奥山真司のレビュー一覧

  • 日本4.0 国家戦略の新しいリアル

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    ルトワックの日本への指南書(前半)とグローバルな情勢分析。

    題名の日本4.0とは、日本の戦略文化について、内戦を一掃した徳川幕府を1.0、西欧の帝国主義に飲み込まれないための明治政府の近代化政策が2.0、戦後の軍事面での弱体を日米安保に依存して経済に全力集中した3.0と整理する。その上で、3.0の構造は抑止が効く中露にはともかく、抑止できない北朝鮮との間では、自らの身を自らで守る必要があり、4.0と言うべき戦略文化に移行すべきというもの。

    方法論としては、少子化の傾向を変えて、イノベーションや経済成長の基盤を維持し、北との関係で持っても使えない核兵器は持たず、代わりに実戦的な先制攻撃力や特殊部隊を確保することを挙げている。パレードだけ上手い軍隊を戦えないと非難して、イスラエルやフィンランドのように脅威に晒されている国の軍隊のリアリティを称賛している。

    また、リアリティについては、第二次大戦後に、ポストヒロイックウォーとして、犠牲を避ける傾向がアメリカ軍でも強まっていることを指摘。イスラエルの単純な作戦と異なり、完璧を見据えて作戦規模が拡大して本末転倒になっている状況を指摘している。また、マティスやペトレイアスについても、politically correctな軍人で軍事合理性を欠いていると批判。要するにリスクを恐れない戦士の文化が消えつつあるということ。

    また、最後の章で地政学から地経学という視点で米中対立を分析。

    リアリスティックに戦士の文化を効率的に追求し、新たな戦略文化に至ること、これが現在日本の課題である。

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    2021年07月25日
  • 見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか

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     昨年発売された「目に見えぬ侵略」の続編。案の定読むのに苦戦したが、欧米諸国での中共の工作の細かい部分まで知ることができた。農村から都市へという戦略、特に姉妹都市などを利用した工作は、公務員になる身として知っておいて良かったと思う。

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    2021年02月19日
  • 戦争にチャンスを与えよ

    mac

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    ビザンツ帝国の戦略

    一部ご紹介します。
    ・すべての考えられる状況において、可能な限り戦争を回避する。しかし、いつ何時戦争が勃発しても大丈夫なように行動する。
    訓練を怠らないこと。常に戦闘準備を整えておくこと。
    戦争準備の最大の目的は、戦争開始を余儀なくされる確率を減らすことにある。
    ・敵とその考え方に関する情報をできるだけ集め、継続的に敵の動きを監視する。
    ・攻撃と防御の両方で精力的に軍事行動を実施する。
    多くの場合、小規模な部隊で攻撃し、総攻撃よりも斥候、襲撃および小規模な戦闘に重点を置く。
    武力行使を最小限に留めることは、説得に応じる可能性のある者を説得する助けになり、
    説得に応じない者を弱める助けになる。
    ・消耗戦争や他国の占領をしない。やるのは、「非戦闘」の機動(詭道)。
    電撃戦や奇襲で、敵をかき乱し、素早く撤退する。
    目的は敵を壊滅させることではない。うまくすれば敵を味方に変えてしまうこともできるからだ。
    敵が複数いる場合、お互いを攻撃させるように仕向けられれば、単一の敵よりもかえって脅威は小さくなる。
    ・全般的な勢力均衡を変えるために同盟国を求め、戦争を首尾よく終わらせることを目指す。
    外交は平時よりも戦時の方がより重要だ。
    最も有用な同盟国は、敵の隣国だろう。なぜなら、彼らは敵との戦い方を熟知しているからだ。
    ・敵の政府転覆は勝利への最善の道である。
    戦争のリスクや費用に比べれば、実に安上がりなので、積極的に行うべきである。
    宗教的狂信者でさえ買収は可能である。なぜなら、狂信者はもともとクリエイティブなので、自分の大義に背く行動でさえ正当化できるものなのだ。
    ・外交や政府の転覆が十分でなく、戦争を行わなければならない場合、戦争は敵の強みを出させずに、敵の弱点を突く「合理的」な作戦と戦術を用いるべきである。
    それには消耗戦を避け、辛抱強く徐々に相手を弱体化させることだ。
    時間がかかるかもしれないが、急ぐ必要はない。
    なぜなら、ある敵がいなくなってもすぐに代わりの敵が必ず現れるからだ。
    ・「戦わずして勝つ」ことを目指し、それでも戦争が勃発したら最小限の兵力と資源で戦争の勝利を得ることこそ理想である。
    正義や道徳といった抽象的な価値の名の下に戦争を遂行するなどもってのほかである。


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    2022年09月30日
  • ルトワックの日本改造論

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    稀代の戦略家による日本改造論。多くの示唆と知的な刺激に満ちている  明解な文章で、分かりやすい。
     2019年12月の発行なので、世界情勢は少し前のことを書いているが、米中冷戦についての予言などは、的中しているものもあり興味深い事この上ない。
     エドワード・ルトワックは本書以外にも日本に関する著作がある。彼は日本の歴史や戦国時代の合戦、明治維新の変遷、日清・日露戦争についてよく知っているし、日本人とは違った視点でそれを語ることのできる(決して批判的ではない)軍事戦略家である。
     2018年に発行された「日本4.0」で彼は、日本人は極めて高度な戦略文化をもった民族だと述べている。日本は、必要になれば状況に合わせて戦略的にシステムを構築できると彼は言う。直近の戦争に敗れはしたが、日米安保を利用し平和を享受している戦後システム(国防費がGDPの1%程度であるにも関わらず他国から攻撃されず生き延びている)もその一つだ。
     しかし現在の日本は、その戦後システムでは対応できない状況にある。少子化による人口減少、北朝鮮の脅威、米中対立にこれからどのように対応していくか。その道筋をこの本では示してくれているのだ。
     あくまでもルトワックの視点から書かれたものだ。先進国における少子化の理由や韓国人のトラウマの構造など、読者によっては納得できない内容も含まれているかもしれない。しかし、国際情勢を俯瞰して見るのに役立つ一冊であることは間違い無いだろう。
     これから日本や世界はどうなるのだろう。後半年したら、この本をもう一度読み直したい。

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    2026年01月18日
  • 世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう

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    自身の人生への取り組み方を考えることができる。
    戦略を自身の人生や生き方に取り入れることができる。

    大切なのは、
    自身がどう生きるべきか(大戦略)から紐解いて、
    戦術にまで落とし込むことが大切。
    技術レベルで活動をしていても、最終的にはレッドオーシャンに行き着くことが多い。思想になにを置くか。
    どのようにして最後を迎えたいかを考えて、絵を書くことが大切。

    順次戦略、累積戦略では、
    うまく双方の歯車を回すことが大切。
    一方で陰徳や、影の努力などは疎かにしがちなため、意識的に行っていくべき。
    また、陰徳を積むことで「運」も良くなる。

    なにか小さなことから陰徳を積み。
    自身のブレイクスルーに向けて戦略的な努力をしていきたい。

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    2020年05月24日
  • ルトワックの日本改造論

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    第一にやるべき事は子供を増やす事だ、というのが僕の持論とあっていて共感しました。
    ww2後のオランダとドイツの関係と、韓国と日本の関係、面白え。

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    2020年01月25日
  • 戦争にチャンスを与えよ

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    人道介入が戦争を長引かせてしまっているのが現実だった。
    どの国も人も様々な違いが必ずある。第三者はともかく、当事者同士が互いに無関係でいられる社会ではないので、干渉することなくやっていくことは難しい。

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    2019年02月13日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    企業間や人間関係にも使えそう、なるほどと思ったことのいくつかを。

    「国の規模が大きいほど外国への理解度は低くなる」
    企業でも同じことが言えると。

    「大国は小国に勝てない」
    他国連携要素が生じてしまう。

    国家そのものの性質、国体を見抜き理解し、どう取り扱うかが重要。

    代表的なアメリカ人は「人類には文化を超えた普遍的な性質がある」と心の底から信じている。
    人種的、文化的なバックグラウンドを公の場で表面するのが憚れる国がアメリカ。違っているから相容れないことがある、とは微塵も考えない。
    人種差別主義者と思われたら、人として終わった扱いになる。

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    2019年01月04日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    稀代の戦略家と呼ばれる著者による中国論。
    以下、本書より。

    【日本政府への提言】
    (2016年3月20日発行)
    最後に現在の安倍首相や日本の対外政策担当者に向けて注意を喚起して、本書の結びとしたい。
    「慎重で忍耐強い対応」というのは、通常はほぼ全ての国に対して勧められるもの。
    だが、私がここで強調したいのは、中国のような規模が大きく、独裁的で不安定な国家に対しては、それが逆効果という事。

    中国は、15年のうちに3度も政策を変更している。
    さらに作戦レベルや現場レベルで、ソ連でさえ決して許さなかったような軍事冒険主義が実質的に容認されている。
    これに対抗するには、有事に自動的に発動される迅速な対応策が予め用意されていなければならない。
    中国が突然、尖閣に上陸した時、それに素早く対応できず、そこから対応策を検討し始めたり、米国に相談を持ちかけたりするようでは、大きな失敗に繋がるだろう。

    現在の中国のような国家に対処するには、所謂「標準作戦手順」のようなものが必要。
    これは予め合意・準備された行動計画の事。
    慎重で相談しながらの忍耐強い対応は、相手もそれができる政府でなければ逆効果。

    アルカイダ・マグレブのマリ占領に直面したフランスが、もし「慎重で忍耐強い対応」をしていたら手遅れになっていただろう。
    国連やNATOで対応策を練っていたら間に合わなかった筈。
    しかしフランスは、予め行動計画を準備していたからこそ、迅速に対応できた。

    既に述べたように、日本は米国を頼りにしつつも、同時に全面的には頼るべきではない。
    特に尖閣問題についてはそう言える。

    現在の日本は、米国と同盟を組みながら中国に対峙しているが、ここで決定的に重要なのは、日本側からは何も仕掛けるべきではないという事。
    つまり逆説的だが、日本は戦略を持つべきではないし、大きな計画を作るべきではないし、対応は全て「反応的」なものにすべき。
    これが本書の結論。
    巨大で不安定で予測不可能な中国に対し、敢えて積極的な計画をもって対抗しようとするのは、そもそも馬鹿げた事であり、成功する筈がない。
    何が起きるかは予測不可能だから。
    従って寧ろそれぞれ独立して多岐に渡る能力に支えられた「受動的な封じ込め政策」を行うべき。
    真珠湾攻撃のようなアタックや、逆に平和イニシアチブなども進めずに、日本はひたすら受動的な「封じ込め政策」に徹するべき。
    米国には、政府を批判しながら「イニシアチブを取れ!戦略がない!計画がない!」と「戦略」の推進を主張する愚かな人間がいる。
    これは全く余計な事。
    日本でこのような声が大きくならない事を祈るばかり。

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    2019年01月03日
  • 日本4.0 国家戦略の新しいリアル

    mac

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    外敵に備えるために

    気になったところを一部、紹介します。

    ・勝つためには、あらゆる手段でサプライズを狙う必要がある。戦争の目的は「勝つこと」であり、「ルールを守る」ことではないからだ。それ故、機動の仕方だけでなく、メンタル面での柔軟性を身に付けねばならない。

    ・本当に実力のある軍隊は、全てを完璧に観客に見せるような演習(演劇)はできない。そのための練習を行うリソースがもったいないからだ。全ては本物の戦いのために使わなければならない。

    ・戦争で守る原則は「攻撃は最大の防御」「不測の事態を恐れるな」「リスクをとれ」である。

    ・地経学の目標は「国家の富の拡大、そして国民の就業率を最大化すること」

    ・正解のない状況(例えば戦場)にAIは対応できない。

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    2022年09月30日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    ネタバレ

    独自の戦略論を持つ著者による、中国の対外戦略の推移とその問題点の指摘。及び、それに対して日本がどう対処すべきかの提案。
    まあ、インタビューを元にまとめた物だけあって、サクサク読める(読めた)
    中国に関しては「明日どうなるかわからない。何の担保も無い」以上、何らかの方針を立ててそれに基づいてこちら(日本)から働きかけるよりも、「封じ込め」と「リアクション」(中国が何をしでかしても対応できる様に各部署で準備しておいて、何かあったら「リアクション」)の方が適しているのでは?という案については、理解できる(中国相手にイニシアチブをとれるというのは傲慢すぎる)ただし、「国家のパラメータと変数」論については、事例として持ちだした物が恣意的すぎるというか、パラメータと変数を入れ替えていたようにも読めたので保留。
    いずれにせよ、アフリカの独裁的な小国同様に不安定な「大国」が我が国の近隣に存在し、しかも直接我が国の領土に現在進行形で手を出していることを「脅威」と捉えない方が無理がある。
    それより何より、「ローマ帝国の大戦略」「ビザンツ帝国の大戦略」を邦訳してよ!!

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    2018年10月14日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    大国は小国に勝てない、常識的な国から自身の力を過信した国へ変わり続ける中国に対し、日本がどう対応するか。極めて受動的に封じ込めるというのは論理的には分かるが、世間には納得してもらえないだろう。

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    2018年02月13日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    来日のたびにインタビューしたものをまとめた本。
    中国の対外的な路線を2000年以降の中国1.0(平和的台頭)、2009年からの中国2.0(対外強硬)、2014年秋からの中国3.0(選択的攻撃)に分類し解説。
    戦術的大成功が戦略的失敗となった1941年の日本や2003年のアメリカ、フィードバックシステムに欠ける習近平、海洋パワーとシーパワーの概念、中国4.0(どうなるかわからん)に対応するには戦略を持たずひたすら反応に終始するコンテインメント(封じ込め)の推奨など、面白く学ぶところ大であった。

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    2017年07月06日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

    購入済み

    読んで良かったです

    スタンダードジャーナルで本書を知って読み始めました。
    とても面白い視点でとらえた考え方が多く、イロイロと応用出来そうです。

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    2017年01月06日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    とてもわかりやすい現代中国論。大国は小国に勝てないという説を基に理論が進んでいくがとてもわかりやすい。中国の横暴に恐れていたけど、中国の内情を知れば弱気になる必要はないなと思った。

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    2016年09月16日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    ネタバレ

    2015年に習近平が訪米の時にオバマに提案した「新型大国関係」つまり「G2」提案は、日本のマスコミでは、日本は米中の挟間に取り残されるような取り上げ方をした。
    本書によると、この習近平の「G2」提案は、キッシンジャーのアイデアで、しかも彼はアメリカの中で「G2」を信じている唯一のアメリカ人と喝破している。
    別の本でも、中国はキッシンジャーへ莫大な資金援助をしているとのこと。
    また、キッシンジャーの著書の中で、彼はドイツと日本は必ずアメリカを脅かす存在になると警告しているほどの日本嫌いなのだ。
    しかし日本のマスコミは、中国問題になると、直ぐにキッシンジャーのインタビューを掲載したりして、中国寄りの論調が目につくし、中国報道に関して、中国の主張を受け入れなければ、日本はすぐにでも中国から締め出されるか、尖閣に攻め入られそうなヒステリックな論調で、政府批判をする。
    そういう意味で、本書は目先だけではなく、もう少し長い目で戦略的に中国を見ているし、日本のマスコミや評論家には見られない別の視点で中国を見ているのがよく分かる。

    以下、この本の概略を紹介します。

    中国はこの15年間に三度の大きな外交政策の転換をしている。
    チャイナ1.0:1970~2008:平和的台頭
    1972年以降のアメリカの対中政策は、中国を助けてソ連に対抗させる政策であったが、2000年以降アメリカは中国が余りに豊かになりすぎる事を恐れ始めた。
    しかし江沢民に指導された中国は、GATT・WTO・IMFへの加盟をし、私的財産権や知的財産権など国際法を順守し、国際秩序を脅かすようなことはしなかった。
     
    チャイナ2.0:2009~2014:対外強硬路線
    リーマンショックの発生とそれを克服した中国の自信が、政策を大きく変えていく。荒唐無稽な「九段線」に代表される南シナ海や尖閣の問題を次々と起こす。
    これに対して周辺の民主主義国では、親中派のリーダーを選ばなくなり、インドのナレンドラ首相や日本の安倍首相のように中国との摩擦も厭わないタフな人物が選ばれるようになった。またフィリピン、マレーシア、ミャンマー、ベトナムなどが、反中国包囲網を形成し始めた。
    ここで中国は「力の論理」に対抗する「逆説的論理」を理解できていない失敗を犯した。中国の最初の一手に対して、それに対する反応が周囲から起き、相手も動くし、情況も変わるダイナミックな相互作用が動きだすということが、理解されていなかった。
    この時期の中国は、日米同盟の2つの弱点を突こうとしていた。
    1つ目は、アメリカは尖閣の領有権争いでは中立を貫く。2つ目は靖国参拝問題。
    特に中国は日本に対して強硬姿勢を貫いた。彼らの読みは、中国市場に魅力を感じる日本企業が政府に圧力を掛け、言いなりに成るはずであった。
    それに対して安倍内閣は、靖国府不参拝の約束も尖閣が係争地であることの認定もしなかった。

    チャイナ3.0:2014~   :選択的攻撃
    太平洋を中心に反中国包囲網が形成され、2014年秋に中国は「チャイナ2.0」の間違いに気づいた。
    そこで「選択的攻撃」と呼べる「チャイナ3.0」に移行したが、成功していない。
    この「チャイナ3.0」は2つの要素から成り立っている。
    ①反撃をしてきた側への攻撃を止める。ベトナムと日本との関係がその例。
    ②キッシンジャーの提案する「G2」つまり「新型大国関係」を構築する。
    ここでも、中国は壁に突き当たっている。

    ここで著者はプーチンと習近平の違いを次のよう述べている。
    「大国というのは、ある要求をする前に、それが成功するか否かを見極めるものだ。ロシアがそうであるように、いったん要求を表明すれば、そこから動きを止めることはない」「中国の場合は、尖閣について大騒ぎをする割には何も起こさない。中国はただ騒ぐだけなのだ。これはロシアと中国の大きな違いだ」
    「ロシアは戦略を除いてすべてダメで、中国は戦略以外はすべてうまい」と皮肉っている。

    別途、著者は韓国と日本の謝罪問題についても述べている。
    ここでは、本題から外れるので簡単に留める。
    日本は韓国に対して既に十分過ぎるほど謝罪したし、今後もそれは続くであろうが、無駄である。なぜなら、韓国が憎んでいるのは、日本人でなく、日本の統治に抵抗せずに従った自分達の祖父だから。韓国人は自分たちの祖父を恥じている。その怨みが日本人に向けられている。だから彼らは決して日本人を許せないのだ。

    また日米関係についても、以下のように述べている。
    「アメリカが戦略面で日本を守ることは、何ら問題はない。ただ日本に取って中国の脅威というのは、その性質が異なる。日本本土への侵攻というより、離島の占拠だからだ。率直に言って、アメリカは現状では日本の離島の防衛までは面倒を見きれない。ここから、日本が自国の安全保障を全てアメリカに依存することから生じるマイナス面が明らかになる。自国の小さな島すら自分で守れないことが、むしろ日米関係を悪化させる方向に向かわせる。これは日本政府が自分で担うべき問題なのだ」

    チャイナ4.0:著者からの中国への提案
    ここまで書くと書き過ぎるので、これは省略する。

    日本政府への提言
    結論として、中国は戦略の下手な、極めて不安定な国なのである。それに対して周辺国は、全ての国に当てはまる「戦略の論理」を見極め、それに冷静に対処していくことが、求められる。
    巨大で不安定で予測不可能な中国に対し、あえて積極的な計画を持って対抗しようとするのは、そもそも馬鹿げているし、成功するはずがない。
    真珠湾攻撃のようなアタックや、逆に平和的イニシアチブなども進めずに、日本はひたすら受動的な「封じ込め政策」に徹するべきなのだ。

    全編を通じて、現在の中国の分析に関して、日本のマスコミが避けているような視点からのものであり、現状分析~提案に至るまで「目から鱗」の新鮮な論述である。
    是非お勧めの一冊である。

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    2016年07月12日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    中国を戦略的な視点から視ていることで、
    中国の違った姿が 浮き彫りになる。
    このルトワックという人は、スゴイな。
    【エドワードルトワックの戦略論】

    習近平が 『核心的リーダー』として登場している。
    その意味を知るものはなく、
    それを決めることができるのは、
    習近平だけと言う中国の現実。

    2000年以降、中国は三度、その戦略を転換してきた。
    「チャイナ1.0」 =平和的台頭
    『中国の国際舞台の台頭、経済は日本を超え、アメリカに迫る』
    国際舞台には、戦略のロジックがあるが、それを抑えた。
    「チャイナ2.0」 =対外強硬路線;胡錦濤時代
    戦略ロジックを発動させた。大国の錯覚。
    『胡錦濤は権力を充分に行使していない弱腰政権リーダー』
    2014年秋に 間違いに気がついた。反中同盟ができた。
    「チャイナ3.0」 =選択的攻撃
    フィリピンに対する攻撃。 
    フィリピンのエリートは中華系。そして文化的に反米である。
    →しかし、反発された。
    インドに対する攻撃。
    2009年から2014年まで、インドとの国境侵入事件を起こした。
    そして、中国は スリランカに基地をつくろうとしている。

    金はチカラなり という錯覚。
    国力と経済力はちがうことを 強調。
    イギリスもフランスも いまだに国力がある。
    経済力が先行し、国力がおくれてやってくる。
    経済力でごり押しすればなんとかなる。

    2008年から2009年
    線的な予測をすることで、中国はさらに伸びて行く。
    アメリカは沈み、中国は昇る。
    China Up,US down.
    これは、ゴールドマンサックスの予測だった。

    中国の主張した 九段線。
    蒋介石の主張した 十一段線をベースにしている。

    大国は 二国間の関係を保てず、
    第三国が 支援する構造があり、想いのままにならない。
    パラドキシカルロジック 逆説的論理。

    2013年 ベトナムの反発。
    中国のベトナム沖の石油プラットホームに対するベトナムの対応。
    中国は 海のゲームでは勝ったが 地のゲームでは苦戦した。
    最初の一手があれば 当然それに対する反応があることを
    理解していなかったこと。

    日米同盟の弱点
    アメリカが領有権争いでは、中立の立ち場を貫く。
    靖国神社参拝に対してアメリカは距離をもっている。

    『ロシアは戦略をのぞいてすべてダメだが、
    中国は戦略以外はすべてうまい。』

    『中国が失敗したのは、自分たちの都合の良い日本を勝手にでっち上げたことによる。』
    中国の主張をおしつけようとしたが、
    自分たちの主張をおしつけることができなかった。
    おなじように 『都合の良いアメリカ』もつくることになる。

    『大国というのは、ある要求をする前に、それが成功するかどうかを見極めるものだ。
    そしてロシアがそうであるように、一旦要求を表明すれば、そこから動きを止めることはない。
    成功するまで行動しつづけるからだ。』

    習近平のリスクは 党や軍を敵に回しかねない。

    2015年9月の習近平の訪米は 失敗だった。
    アメリカに対して 対等になったと言うイメージアップ。
    G2 中国とアメリカの『新型大国関係』
    これは、キッシンジャーが 中国に売り込んだ。

    中国は 内向きであり 『自分たちに都合の良い外の世界』を
    『発明』する。この『発明』は、日々更新され、強化される。

    『百年国恥』の借りを返したやりたい。

    『人類の歴史は、長きにわたる犯行と愚行の歴史』
    冷静な判断をすべき時にできないという愚行。

    中国という国の性質 『国体』
    習近平を一体誰が選んだのだ?
    習近平は 共産党支配を破壊しつつある。
    反腐敗運動は どこに進むのか?
    共産党が つくりあげてきたものは 腐敗にまみれていても
    今の中国をつくりあげたことは 確かなのだ。

    毛沢東のエンジンは イデオロギーだった。
    共産主義を求心力とした。
    鄧小平は マネーを求心力とした。
    『イデオロギー志向』『権力志向』『マネー志向』
    の共産党に、優秀な若者が 入らなくなっている現実がある。

    習近平は 美しい妻をもち、共産党 政府 軍隊の権力を持っている。
    当然、お金は 余るほどある。
    しかし、もっていないものがある。
    『真実を伝えてくれる人材』がいない。
    情報のフィードバックシステムがない。

    韓国がなぜ日本嫌いなのか?
    それは、自分たちの祖父たちを恥じているからだ。
    そのうらみが、現在の日本人にむけられている。

    変数とは 政府の決定により変化する政策
    パラメータとは 国体 である。
    習近平は 中国と言う国体 を守ることができるのか?

    中国4.0
    1 九段線を引っ込める
    2 空母の建造をやめること

    中国の問題は 外国を理解できず、それゆえまともな外国との交渉もできない。

    中国の戦略的な文化は 内的なコンセンサスの欠如。外的な理解の欠如。
    『シーパワー』;海における軍事力。
    『海洋パワー』;他国との関係で生まれるもの。
    『大国は小国にかてない。』

    日本は『慎重で忍耐強い対応』は 中国には逆効果である。

    重要なキイワード
    1 パラドックス
    『今日成功した戦略は、明日は必ず失敗する。なぜなら それは今日成功したからだ。』
    2 大国論
    『大国は小国に勝てない。』
    『国が大きいほど外国への理解度は低くなる』
    3 感情論
    4 戦略文化というパラメータ
    『文化決定論』
    『戦略文化』『戦略も文化に馴染みがない』
    →内向きの権力闘争の戦略はあっても、外向きな戦略はなく
     外は 内むけように『都合のいいように』編集する。

    戦略を論じる場合に どこに足場をおくかで
    かなり違ってくる。この戦略論は アメリカを軸にしながら
    日本を足場にして考察していることで、かなり違った風景が生まれてくるのである。
    もちろん 仮想敵国の 中国を 主なターゲットとする。

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    2016年04月23日
  • 世界を変えたいなら一度”武器”を捨ててしまおう

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    順次戦略、累積戦略それぞれバランス良く取り組んでいくことの大切さを教えてくれる本。特に人の見えない所で徹底する累積戦略はサボってしまったり、人に言いたくなりがちだが、それをグッと押し留めようと気を引き締められました。

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    2014年07月05日
  • 見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか

    Posted by ブクログ

    第一刷。2020年12月27日発行。
    中国共産党があらゆる手段を使い、周囲を取り込んでいく手口が記されている。
    『飛鳥新社』以外の日本国内の出版社は出版することを躊躇ったのでないだろうか?
    発行が2020年という事だから、記述自体は当然その前であり、中国国内の不動産バブル崩壊前、EV産業の隆盛前の出来事であるが、中国と距離を縮めてきた昨今のフォルクスワーゲンに代表されるドイツ経済の低迷・危機を十分に予見するに値すると感じると共に、日本でも同様の事態に陥らない為にしっかり防衛している必要性を感じた次第である。現役の政治家にも是非読んでいただきたい一冊。
    途中、少々中たるんだ印象あり★-1とした。

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    2026年09月09日
  • 地政学 ―地理と戦略―

    Posted by ブクログ

    地政学の論文集。
    マッキンダーやマハンといった古典地政学から、それを批判的な視点でみる批判地政学まで、多様のジャンルの論文が収録されており、バランスよく地政学の全体像を俯瞰することができる。
    元々の論文としては若干古く、用いられる事例が湾岸戦争やモガディシュなのは時代を感じるが、それでも現代に通じる普遍的な教訓がいくつも導かれているように思う。
    例えばインフォメーションパワーが「それ単独で戦争に勝てる」環境を形成するわけではなく、「戦略的効力を発揮するには、物理世界で重大な影響を与えられなければならない」という議論は、AIが急発達する足元の環境でも改めて顧みる価値があるのではないか。
    また批判地政学の論文が批判する「右翼の反動主義者」による「地政学を用いた対外政策の単純思考化」も、昨今の欧州における極右政党の台頭を見るになんだか頷けてしまうところがある。

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    2026年09月09日