ジャズを聴くと『ポートレイト・イン・ジャズ』が読みたくなるし、『ポートレイト・イン・ジャズ』を読むとジャズを聴きたくなる。そんな本です。
というのも、久し振りにセロニアス・モンクを聴いていて、またこの本を読み返したからです。
様々なジャズ・ミュージシャンが、村上春樹の文章によって、和田誠のイラス
...続きを読むトと共に彩られていく本書ですが、大好きなセロニアス・モンクについての文章をちょっと引用してみます。
「濃いブラック・コーヒーと、吸いがらでいっぱいになった灰皿と、JBLの大きなスピーカー・ユニット、読みかけの小説(たとえばジョルジュ・バタイユ、ウィリアム・フォークナー)、秋の最初のセーター、そして都会の一角での冷やかな孤独 ーーそういう情景は、僕の中では、今もまっすぐにセロニアス・モンクに結びついている。素敵な情景だ。」
・・・素敵な文章だ。
こんな感じで、一人のジャズミュージシャンにつき、3〜4頁ほどで書かれていますので、ジャズを聴きながらのコーヒータイムにもピッタリ。
村上春樹の文章自体が綺麗なので、聴いたことのないミュージシャンの稿も楽しめるのですが、著者の小説に出てくる料理のように、文章で書かれたものの方が美味しい場合もあります。
こんな風に音楽について書けたらいいのになぁ。