にしけいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
"「さぁ、がんばろう、内人くん!きみは、あしたの夕方の塾まで、約三十四時間ぶっとおしで作業をすることができる。なんて幸せなんだろう!」
創也が、ぼくを熱い目で見る。
「ひょっとして、休憩なしで作業させるつもりか?」
「ひょっとして、休憩がほしいのかい?」
「社会科で、労働基準法ってのを習ったんだがーー」
「残念なことに、労働基準法を遵守してたら『夢幻』は完成しないんだよ」
「……これから『南北磁石』の略称を『SN』から『BSN』にするよ」
「頭につけた『B』は『BRAVO』の意味かな?」
「『BLACK企業』の『B』だよ!」"[p.54]
この展開いつから考えてたんだろう -
Posted by ブクログ
"「内藤君がでるのなら、創也君もでなきゃ!」
女子のだれかがいった。
えっ?
ぼくがでるのなら、創也もでなきゃいけない?……どういう理屈だ?
だいたい、運動神経が不自由な創也と二人三脚するってことは、鉄下駄をはいたうえに米俵をかついで徒競走にでるようなもんだ。"[p.30]
少しややこしい仕組みしてる短編集。
"「きみは、ボツになったと聞いても、一度も『いっしょうけんめい書いたのに……』と泣き言をいわなかった。この点は、とてもいい」
「ふん」
ぼくは鼻を鳴らす。
「どれだけ時間と手間ひまをかけても、いい作品ができるなんて思ってないよ。そして、ダメなものは、ボツ -
Posted by ブクログ
“そのとたん、横Gがかかって、ぼくと創也の体がゴロゴロところがり、フワリと飛び、床に墜落。まるで、バスに乗っているときに急ブレーキをかけられたみたいだ。
ジャンケンゲーム機にぶつかってとまる。頭と背中に強い衝撃。
痛い……。
「いったい、どうしたんだ……?」
ぼくは、おどろいて創也にきいた。
創也は、まるで体がころがるのを予測していたかのように、平然とした顔をしている。(それでも、派手にころげたけどね)
「フッ……。まだおどろくのは早いよ」
目を伏せてニヒルに笑う創也。(ぶつけた頭にコブができてるけどね)”[P.136]
この人の本は物語の裏にすごく怖い事が隠されてる感じがぞくぞくする。