木村二郎のレビュー一覧
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怪盗ニックの第五作。
非キリスト教徒の身としては、
クリスマスにはそんなに思い入れはないが、
人を許したり、贈り物をしたりという
心温まる季節の話を読むのは好きだ。
と思ったら、サンタクロースが殺される話もあった。
ニックがマジシャンとして豪華客船の舞台をつとめる話が
面白かった。
ライバルのサンドラ・パリスも登場して、
やとわれた話や、蛇に噛まれた彼女を助けに行った話も。
ニックの偽物が現れて、長年の恋人グロリアが我慢できずに、
ニックにお金を出して偽物を盗んでと頼むのも面白かった。
あと、マット・スカダーの新作のためにローレンス・ブロックが
サイン会のために書店に現われたのも。 -
Posted by ブクログ
怪盗ニックの第三作。
思いもよらない展開だった。
一緒に暮らしているガールフレンドを仕事に連れていったら、
攫われてしまったとか、
とうとう彼女に泥棒であることを話すことになったとか、
手数料が値上げしたとか。
消防士のヘルメットを盗んだことで、
殺人犯の汚名を雪ぐことになった話の最後や、
彼女の友達の依頼を受けた話で、
身を守るためにバードウオッチャー達を呼び寄せたのも面白かったけど、
ニックが東京に現われたのには驚いた。
新樹という名前は珍しすぎないか?とか、
食品サンプルが店頭にあるレストランは多すぎて目印にならないぞ、とか
波打つサフラン色の僧衣はインドっぽくない?とか、
突っ込みどころはあるが、
ホテル・オークラや東京タワーが登場して嬉しかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネットで見かけて。
ニックは泥棒。
依頼により盗むが、
金も価値あるものも盗まない。
特殊なもの、斑の虎とか、プールの水とか、おもちゃのねずみとか。
盗んでほしいものの様々だが、
盗んでほしい理由も様々。
他の犯罪のためとか、
他の金めのもののためとか。
どの「泥棒」も楽しめたけど、
革でできた棺を盗む話は面白かった。
メキシコまでひとっ飛びしたからか、
小気味よい詐欺の片棒を担がされたからか。
クロークへのチップが25セントなのも、
野球チームを盗む時に、
ペナントレースに関係ない下位のチームを選ぶのに
心を砕いていたのも面白かった。 -
Posted by ブクログ
・エドワード・D・ ホック「サイモン・アークの事件簿」(創元推理文庫)はこれまでのとは違 ふ。もちろん、物語すべてはサイモンの謎解きである。違ふのはこれまではホックの自選短篇集であつたこと、つまり今回は自選ではないのである。「ホックは 短編集三巻分の作品しか選ばなかった」(307頁、木村仁良「“わたし”はだあれ?」)といふ。そこで「訳者厳選の作品集」(同前)の登場となつた。それ が本書である。「一九五〇年代から四編、七〇年代と八〇年代と九〇年代と二〇〇〇年代からそれぞれ一編ずつの、合計八編を」(同前)収める。幅があるので、語り手も最後は出版社退職の身である。それほど長く書き継がれてきた。しかし変はらぬのはサイモン・アークであつて……。
・本巻5作目「切り裂きジャックの秘宝」はよくある切り裂きジャックは何者かといふテーマにも通じる作品なのであらう。例の如くサイモンが語り手に誘ひの 連絡をする。これが始まりである。さうしてロンドンに飛び、切り裂きジャックの秘宝探しを始める。ポイントは切り裂きジャックの手記である。これが古本屋 に持ち込まれ、その真贋等を確かめるためにサイモンの登場となつたのであつた。持ち込んだのは若き女性、ジャックの血縁者であるらしい。これにジャックの連続殺人の謎と秘宝の在処が書かれてゐるといふ。結論から言つてしまへば、殺人は秘宝の在処を示す地図を得んがためになされたものであり、その地図は殺された娼婦の刺青としてあつたといふ。つまり、娼婦がその地図を渡すことを承知せねば殺してその刺青を剥ぐしかないのである。だから猟奇的な殺人を装ふことになつた。本当のジャックは「けちな泥棒で」(187頁)、「一度喧嘩をした相手の男をナイフで刺した」(同前)以外の暴力はふるつてゐないらしい。殺人 狂でも異常性愛者でもないのである。しかし、秘宝の地図のために娼婦を殺し、それを猟奇殺人に見せかけた、それが切り裂きジャック事件であるといふ。これ は物語であつて切り裂きジャック探求の書ではない。このジャック像、専門家から見ればをかしなところがあるに違ひない。しかし、個人的にはおもしろいと思 ふ。地図を4等分して4人の娼婦の刺青にするなどといふ発想、なかなかできるものではない。どうしてもそれがほしいといふことになれば殺さざるを得ないで あらう。そんな殺人の動機や猟奇殺人とせざるを得なかつた理由も、これで説明がつく。分かり易い。明快である。これが切り裂きジャック探求史の中でどのや うな位置を占めてゐるのか、これは興味あるところであるが、サイモンとは関係ない。物語はあくまでサイモンの名推理を楽しむことである。実はこの「秘宝」、その秘宝の在処を示す地図をいかに読み解くかといふ点が推理の中心である。ところが、サイモンはこれをいとも簡単に解いてしまふ。この作品、もしか したら彼の推理より切り裂きジャックの方に作者の関心があるのかもしれない。さうでなければあまりに簡単に解決しすぎる。安直な発想でありすぎると思ふ。 かういふのはこのシリーズでは、といふより、たぶんこのやうな推理を中心とする作品では珍しいものであらう。それでも切り裂きジャックであるがゆゑに、私 はこれをおもしろく読んだ。さういふ作品だと思へば、それはそれでおもしろいものである。それゆゑに、一日も早く、この続きで更に5が出ることを期待した い。さうなると、そこにはインターネットを縦横に駆使するサイモンがゐるのであらうか。本書でもその片鱗はうかがへるが……といふことは、いかに2000 歳であれ、サイモンも時代に合わせて変はつてゐるのであつた……。