木村二郎のレビュー一覧
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第三巻のトピックは。
・ニック、日本に来る。
・グロリアに、怪盗であることを告白。
・記者に盗みの現場を押さえられる。
・依頼を受けてから決行までの間に足首を骨折。
どれも読み応えあったが、グロリアに話したことによる微妙な変化がいちばんの見どころ。この作品を楽しむうえではどうでもいいことだが、長年連れ添ったパートナーに「俺、実は怪盗なんだ」と言われたらどうするかな。人を殺したりはしていないわけだし、法には背いているかもしれないけど所詮法律も人が作った決まりに過ぎないし、職業に貴賎なし、愛があれば問題なし…か?とリアルに想像するのも楽しかった。 -
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相変わらず、なんか、フツーなところが良いんだよな、ニック。価値のないものを盗む、ちょっと謎解きがあって、美女が出てきて、という定型お仕事パートは楽しんだ。
恋人のグロリアの登場回数がぐっと上がってきていると感じたが、彼女が、いつもニックの帰りを大人しく待つただの可愛らしい恋人でしかないというところが、今世紀的にはちょっと物足りない。しかしこれも、ニックから見たグロリアの姿としてはその通りなのだろう。ニックの真の姿をグロリアが知らされていないのと同じように。語られていないグロリアの暮らしは、読者だって如何様にも妄想できる余地があると言える。グロリアを主人公にした二次創作とかないのかなあ。 -
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泡坂妻夫のエッセイで、「価値のないものしか盗まない」という『怪盗ニック』シリーズが紹介されていた。泡坂さんが一九三三生まれの二〇〇九年没、エドワード・D・ホックは一九三〇年生まれの二〇〇八年没と、ほぼ同世代の二人。とはいえ作家としてのデビューはホックの方が二十年ほど早い一九五五年。
ホックはEQMM(エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン)の常連作家だったようだ。泡坂さんは同エッセイで「若い頃はクイーンとカーが特に好きだった」とも書いていたし、それだけでもなんとなく二人の波長が合いそうに思えてしまうが、「価値のないものしか盗まない」という、天邪鬼でちょっと馬鹿げていてユニークなポリシーも -
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アメリカのミステリ作家「エドワード・D・ホック」の短篇集『怪盗ニック全仕事〈1〉(原題:The Complete Stories of Nick Velvet: Vol.1)』を読みました。
久しぶりに短篇が読みたい気分だったんですよね。
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人から依頼されて動くプロの泥棒「怪盗ニック」が盗むのは「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけ。
そんな奇妙な条件にもかかわらず、彼のもとには依頼が次々舞い込んでくる。
ターゲットはプールの水、プロ野球チーム、恐竜の尾……それらをいったいどうやって盗む?
短編の名手「ホック」が創造したユ -
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『ブラック・マスク』という雑誌が、今の時代に、日本にあったら楽しいだろうなあ、とは、ハードボイルド・ファンにとって人生を通して心に浮かんできてやまない一つの叶わぬ夢である。かのハメットが、このパルプ・マガジンを足掛かりにサム・スペイドというキャラクターを作り出したのは有名な話。ハードボイルドの探偵役は、かくて汚れた街をゆく騎士と呼ばれるようになった。
歓ぶべきことに、その『ブラックマスク』を抜け出して現代に蘇らせる邦訳が、ここに登場。本書のポール・ケインは、その文体でも内容でも、史上最もハードボイルドな作家として名を馳せている方であるらしい。巻末の木村仁良さん(翻訳の木村二郎さんと同じ人 -
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「価値のないモノを盗む」
怪盗ニック全集の3巻
今回は、きのうの新聞、赤い風船、蜘蛛の巣、石鹸、使用済みのティーバッグ、子供の絵、絵葉書、電話機、消防士のヘルメットなどなど
古いテレビドラマシリーズを見てるような感覚で、なめてかかると「何故依頼人はそれが必要か?」「それをどう盗むか?」で、ひと捻り加えてくるのが心地よい。
ジェフリー・ディーヴァーが豪華な食材(積み上げた設定、下調べ)で作る料理だとしたら、ホックさんのはなんというか「ひねり揚げ」スナック菓子感覚で合間合間でつまんで結局満腹になる感じ。
恋人のグロリアについに泥棒稼業がバレてしまうものの、グロリアはニックよりも冷静…強い… -
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ネタバレサイモン・アークの第四作。
興味深かったのは「黄泉の国の判事たち」。
このシリーズの語り手、「私」の父と妹が自動車事故で亡くなった話。
サイモンにお願いして、事故を調べてもらうことに。
事故に真相は明らかになるが、
「私」の過去に何があったのか、何故家出したかの謎は記されなかった。
話として面白かったのは、「切り裂きジャックの秘宝」。
あの有名な切り裂きジャックの事件は、
ヴィクトリア女王五十周年に献上されるはずだった
黄金のライオン像の隠し場所をめぐる事件だったという話。
隠し場所の地図が売春婦たちの肌にタトゥーとして彫られていたため、
内臓をえぐるという猟奇的な事件になってしまったとい -
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怪盗ニックと同じ作者だったので。
サイモン・アーク、千五百歳ぐらいの元コプト教の僧侶にして、
悪魔を求めて世界を旅する男。
墜落した飛行機を捜しにエジプトの砂漠へ向かったり、
オオカミを撃ったはずが男が死んでいたと主張する男のところへ行ったり、
ジャワ島を占領した日本軍が残した黄金を巡る殺人に遭遇したり。
最初の「死者の村」では、
村の人間がみんな崖から飛び降りて死んでいた。
金鉱ねらいの犯罪だろうとは気がついたが、
新興宗教を標榜する男がやってきて村のみんなが熱狂していった、
と証言した、村に住んでいた女性が怪しいと思っていた。
まさか、その女性が主人公(普通の人間の男性)と結婚するとは -
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怪盗ニックの第六作。
「グロリアの赤いコートを盗め」が最大の驚き。
ニックとグロリアのなれそめだった。
途中で政府の仕事と言い訳する話が合ったが、
これが元だったとは。
ニックの嘘を随分簡単に信じるなー、とは思ったけど、
この時の説明があったからなのか。
しかもグロリアが推理力を発揮して、
自分の赤いコートを盗ませた犯人とその理由をつきとめるとは。
ニックの仕事には無関心だった最初の頃に比べると、
グロリアのイメージがだいぶ変わった。
他にもライバルのサンドラ・パリスも登場する話が出ていた楽しかった。
グロリアと協力して盗んだアップルパイの話も。
これが最後の作品とは残念。 -
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怪盗ニックの第五作。
非キリスト教徒の身としては、
クリスマスにはそんなに思い入れはないが、
人を許したり、贈り物をしたりという
心温まる季節の話を読むのは好きだ。
と思ったら、サンタクロースが殺される話もあった。
ニックがマジシャンとして豪華客船の舞台をつとめる話が
面白かった。
ライバルのサンドラ・パリスも登場して、
やとわれた話や、蛇に噛まれた彼女を助けに行った話も。
ニックの偽物が現れて、長年の恋人グロリアが我慢できずに、
ニックにお金を出して偽物を盗んでと頼むのも面白かった。
あと、マット・スカダーの新作のためにローレンス・ブロックが
サイン会のために書店に現われたのも。 -
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怪盗ニックの第三作。
思いもよらない展開だった。
一緒に暮らしているガールフレンドを仕事に連れていったら、
攫われてしまったとか、
とうとう彼女に泥棒であることを話すことになったとか、
手数料が値上げしたとか。
消防士のヘルメットを盗んだことで、
殺人犯の汚名を雪ぐことになった話の最後や、
彼女の友達の依頼を受けた話で、
身を守るためにバードウオッチャー達を呼び寄せたのも面白かったけど、
ニックが東京に現われたのには驚いた。
新樹という名前は珍しすぎないか?とか、
食品サンプルが店頭にあるレストランは多すぎて目印にならないぞ、とか
波打つサフラン色の僧衣はインドっぽくない?とか、
突っ込 -
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ネタバレネットで見かけて。
ニックは泥棒。
依頼により盗むが、
金も価値あるものも盗まない。
特殊なもの、斑の虎とか、プールの水とか、おもちゃのねずみとか。
盗んでほしいものの様々だが、
盗んでほしい理由も様々。
他の犯罪のためとか、
他の金めのもののためとか。
どの「泥棒」も楽しめたけど、
革でできた棺を盗む話は面白かった。
メキシコまでひとっ飛びしたからか、
小気味よい詐欺の片棒を担がされたからか。
クロークへのチップが25セントなのも、
野球チームを盗む時に、
ペナントレースに関係ない下位のチームを選ぶのに
心を砕いていたのも面白かった。