高橋豊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「いいかい、彼女を殺してしまわなければいけないんだよ」
こんな会話を盗み聞きしてしまうポアロ。休暇のエルサレム旅行中にだっていうのにさすがに名探偵!事件から寄って来ちゃう!
しかし物語の中盤までポアロの出番はない。話はこの会話の主であるレイモンド・ボイントンと、キャロル・ボイントン兄妹へと移る。
兄妹が殺そうと決意したのは、自分たちの継母(父の後妻)であるボイントン老夫人。彼女はボイントン氏の死後、家族の上に君臨し、心理的に抑えつけ、絶対に逆らえないと精神に叩き込んでいた。ボイントン一家はこんな感じ。
・ボイントン老夫人:昔は刑務所の女看守だった。そりゃーコワい。根っからのサディスト、独裁者 -
Posted by ブクログ
【マープル】
1943年マープル3作目。クリスティー53歳。
前回読んだ『カリブ海』よりも20歳近く若い頃の作品。
クリスティー自身が選ぶベスト10に入っている。
事件は地味なんだけどめちゃくちゃ面白い。
キャラクター、ミスリード、人間ドラマ、演出全てが好きで一気読みだった。
驚くことにマープルは最後の一瞬しか出てこない。でもその一瞬で警察を含め全員が必死に考えてもわからなかったことが、マープルはすぐにわかってしまう。マープルが言った言葉で、全てが一気に解決に進む。
始めからマープルが出ていたらこのカッコよさと気持ち良さはないので、クリスティーは演出も本当に上手い。
・馬のような顔で、犬 -
Posted by ブクログ
【ポアロ】
「いいかい、彼女を殺してしまわなければいけないんだよ」すごいセリフからはじまる。
三谷幸喜さんの本で「地味だけど面白い」と紹介されていて、2021年に三谷さん脚本、野村萬斎さん主演でドラマ化されている。三谷さんファンなのに知らなかった(^_^;)
ボイントン一家はみんな何かがおかしい。
母親にマインドコントロールされている家族。
『春にして君を離れ』くらいの毒親かなと思ったら大間違い。自分の家族が苦しむのを見て喜ぶ本物のサディスティックな母親。こんな母親だったら地獄。
犯人は自分の中で2パターン予想していたけど、どっちも大ハズレだった。予想はハズレた方が嬉しい。
予想できな -
Posted by ブクログ
ネタバレ人といい、事件に関連する(?)物といい、とにかくゴチャゴチャいっぱい出てきて。
そこがすごく面白かった(^^ゞ
クリスティーの晩年の小説らしいけど、その頃になると、いかに目先の変わった話を書くか?みたいに書いたのかもなぁーなんて考えるのも楽しい。
いわゆる本格ファンからはしたらトリック的にも、事件の地味さから言っても、小説的にもイマイチなんだろうけど。
自分は、こういう、一見大したことに思えないんだけど、でも、日常に紛れ込んできた違和感を探っていくと事件が露わになっていく…、みたいな話が大好きだったりする(^^ゞ
ただ、そういうタイプの話だと、即物的な犯罪の犯人より、愛憎がからんだ動機で起 -
購入済み
久しぶりにクリスティーが読みたくなって購入しました。今の時代のエログロやバイオレンスの無い、上品な、しかし人の思惑や怨念のドロドロと渦巻くクリスティーワールドで大満足です。
犯人はそうくるか!でしたし、最後はみんなが上手くいく大団円で読んでいてスッキリしました。 -
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まさかアイリッシュがこんな悲恋の物語を書こうとは思わなかった。
冒頭、別人になりすました若き淑女の登場から、度重なる齟齬から発覚する、花嫁入替りの事実。その事実が発覚すると同時に主人公の巨万の富を持ち出して逃亡する花嫁。復讐の鬼と化した主人公は1年と1ヶ月と1日を費やし、とうとう彼女を捕まえる。しかし、そこで彼女の巧みな話術によって誑かされ、結局彼女とまた2人の生活を始める。それが彼の正に人生の大きな過ちの始まりだった。
花嫁の捜索を頼んだ探偵を自ら殺めることで闘争の日々が始まり、拠点を転々とし、ついに私財も底を尽く。彼女に唆されて博打ぺてんを仕掛けたものの、呆気なくばれて、ついに一文無しにな -
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Posted by ブクログ
ネタバレ主人公格のアンソニー・ケイドが、本当はどういう性格の人かが、最後まで分からなかった。
アガサクリスティに政治的な話題が多いのは、いろいろな国に行ったことがあるためだろうか。
他の作品のような経験に基づいた話ではなく、こういう経験が面白いだろうという想像上の作品。
よく国王、皇太子が出てくるのは、まだアガサクリスティの生まれた時代には、ヨーロッパにも王国が多かったせいだろうか。
あるいは、アジア、アフリカの王国から、ヨーロッパに勉強に来ている皇太子などが多かったからだろうか。
ちなみに、日本の昔の皇太子も英国で教育を受けていたらしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公は、元警官だという。
全体を読んでみると、元警官らしいところにあまり気がつかなかった。
元警官らしさが少しないのは、アガサクリスティが警官の経験がないためだろうか。
あるいは、親しい人で警官がいないのだろうか。
少し読み進むうちに、犯人がある女性ではないかと心配になっていった。
あまりにも、犯人は男性だと決めつけていることからだ。
また、アガサクリスティの小説では、思わぬ人が犯人のことがあるので、
この人ではないかと思い、めぼしをつけながら読み進んだ。
殺人は容易だという題目だが、物語が始まってから起こった2件の殺人は、
主人公の知らない間に起こっている。
現場