高橋豊のレビュー一覧

  • 死との約束

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    「いいかい、彼女を殺してしまわなければいけないんだよ」
    こんな会話を盗み聞きしてしまうポアロ。休暇のエルサレム旅行中にだっていうのにさすがに名探偵!事件から寄って来ちゃう!

    しかし物語の中盤までポアロの出番はない。話はこの会話の主であるレイモンド・ボイントンと、キャロル・ボイントン兄妹へと移る。
    兄妹が殺そうと決意したのは、自分たちの継母(父の後妻)であるボイントン老夫人。彼女はボイントン氏の死後、家族の上に君臨し、心理的に抑えつけ、絶対に逆らえないと精神に叩き込んでいた。ボイントン一家はこんな感じ。
    ・ボイントン老夫人:昔は刑務所の女看守だった。そりゃーコワい。根っからのサディスト、独裁者

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    2024年11月04日
  • 動く指

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    【マープル】
    1943年マープル3作目。クリスティー53歳。
    前回読んだ『カリブ海』よりも20歳近く若い頃の作品。
    クリスティー自身が選ぶベスト10に入っている。

    事件は地味なんだけどめちゃくちゃ面白い。
    キャラクター、ミスリード、人間ドラマ、演出全てが好きで一気読みだった。

    驚くことにマープルは最後の一瞬しか出てこない。でもその一瞬で警察を含め全員が必死に考えてもわからなかったことが、マープルはすぐにわかってしまう。マープルが言った言葉で、全てが一気に解決に進む。
    始めからマープルが出ていたらこのカッコよさと気持ち良さはないので、クリスティーは演出も本当に上手い。

    ・馬のような顔で、犬

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    2024年08月05日
  • 動く指

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    ネタバレ

    どんな作品かほぼ前情報を入れずに読み始めたため、ノンシリーズだったかな?と思っていたら、290Pくらい割いたところでマープル登場!

    語り手の主人公兄妹、信用できないんじゃないかとか思っていたけれど、真実は枝葉を取り去った単純なところにあり納得。
    ラブ要素はやや突飛なようで、真実を辿る道のりに絡んでいて読み飛ばせないようになっていました。

    舞台のように、登場人物たちのやりとりが意味慎重に魅力的に切り取られていて、最後まで物語としても一定に面白く、楽しい読書の時間になりました。

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    2024年07月18日
  • 死との約束

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    この犯人は誰もわからんやろ!と言いたくなった。
    たぶんこの人だろうなー、ほーらやっぱりね…からの、えーっ!!お前かーい!
    最高でした。話は地味だし特に盛り上がりもないし、時系列とか複雑なんだけど、面白い。
    今作はポアロシリーズの中でも特に心理学的側面からの分析が多く、勉強にもなった。

    あとクリスティー作品全体に言えることだけど、外国人や社会的弱者に対する差別とか偏見が随所に出てくるので、この時代の価値観が知れて結構面白い(その価値観自体が良い悪いの話ではなく)。

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    2024年07月01日
  • 死との約束

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    【ポアロ】
    「いいかい、彼女を殺してしまわなければいけないんだよ」すごいセリフからはじまる。

    三谷幸喜さんの本で「地味だけど面白い」と紹介されていて、2021年に三谷さん脚本、野村萬斎さん主演でドラマ化されている。三谷さんファンなのに知らなかった(^_^;)

    ボイントン一家はみんな何かがおかしい。 
    母親にマインドコントロールされている家族。
    『春にして君を離れ』くらいの毒親かなと思ったら大間違い。自分の家族が苦しむのを見て喜ぶ本物のサディスティックな母親。こんな母親だったら地獄。

    犯人は自分の中で2パターン予想していたけど、どっちも大ハズレだった。予想はハズレた方が嬉しい。
    予想できな

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    2024年06月12日
  • 死との約束

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    ネタバレ

    外しの美学。
    ほんとうに、クリスティーは人の思い込みを見越して、物語を構成する才に秀でていたのだと思う。
    被害者の人物像を明確にするための装飾かと思いきや、犯人の動機と直結するという、、お見事。完全に見逃していました。

    こんなに凄みのある物語が有名にならない、そのことこそ、クリスティー作品の裾野の広さでもあるかもしれない。

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    2023年12月21日
  • 動く指

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    ミス・マープルものとして読むとちょっと物足りないかもしれない。ミス・マープルの出番は後半のごくわずか。
    それでもやはりクリスティらしい誰もが怪しく見える作品で、主人公の兄妹が微笑ましい。
    じっと編み物をしながら、頭をフル回転させるミス・マープルのように世の中を見てみたいと思ってしまう。彼女の頭の中では様々なことがきちんと整理されていくのである。

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    2023年10月22日
  • チムニーズ館の秘密

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    個人的にとても思い入れのある作品でもあり、初めて読んだクリスティ作品でもあるチムニーズ館。ある国の王政復古を巡る国際問題が発端で、呼び寄せられるように社交界で名高いチムニーズ館に集まった人々。そこで巻き起こる殺人、スパイ、宝探し。そしてロマンスも…?ページをめくる毎にワクワクする。バトル警部と競うように謎に挑む青年アンソニーの冒険物として読むのも楽しい。何度目かの再読だが、いつ読んでもワクワクさせてくれる。

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    2023年02月26日
  • 動く指

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    マープル談「頭のいい子は、低脳と紙一重ですからね」の一言が印象的。
    みにくいアヒルの子ストーリーが前面にでた作品なので、優秀かつ多感で悩みが多い思春期の方にオススメします。
    解説によれば「クリスティー自身、一九七二年に日本のファンの質問に答えた自薦十作品の中に、最後にこれをあげている」とのこと。

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    2022年09月17日
  • 死との約束

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    『ナイルに死す』に続く、エルキュール・ポアロの中東シリーズ。とある家族の不穏な人間関係が事件につながる……。

    事件が起こるまで、の第一部が面白い。前作同様、中東の旅情を背景に、独特な個性を持つキャラクターたちの人間関係的な攻防が興味を引く。第二部からはポアロの独壇場。最後の最後まで誰が犯人かわからない、というか話がどう転ぶかわからない、二転三転後のまさかの展開は、まいどまいどながら振り回されるのが楽しい。何かの教訓を得られる人間考察も毎度のことだが、本作はさらなるおまけ付き。このラストは良き。

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    2022年08月29日
  • ヒッコリー・ロードの殺人

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    ネタバレ

    人といい、事件に関連する(?)物といい、とにかくゴチャゴチャいっぱい出てきて。
    そこがすごく面白かった(^^ゞ
    クリスティーの晩年の小説らしいけど、その頃になると、いかに目先の変わった話を書くか?みたいに書いたのかもなぁーなんて考えるのも楽しい。


    いわゆる本格ファンからはしたらトリック的にも、事件の地味さから言っても、小説的にもイマイチなんだろうけど。
    自分は、こういう、一見大したことに思えないんだけど、でも、日常に紛れ込んできた違和感を探っていくと事件が露わになっていく…、みたいな話が大好きだったりする(^^ゞ
    ただ、そういうタイプの話だと、即物的な犯罪の犯人より、愛憎がからんだ動機で起

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    2022年05月26日
  • 死との約束

    購入済み

    久しぶりにクリスティーが読みたくなって購入しました。今の時代のエログロやバイオレンスの無い、上品な、しかし人の思惑や怨念のドロドロと渦巻くクリスティーワールドで大満足です。
    犯人はそうくるか!でしたし、最後はみんなが上手くいく大団円で読んでいてスッキリしました。

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    2022年02月28日
  • 暗闇へのワルツ

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    まさかアイリッシュがこんな悲恋の物語を書こうとは思わなかった。
    冒頭、別人になりすました若き淑女の登場から、度重なる齟齬から発覚する、花嫁入替りの事実。その事実が発覚すると同時に主人公の巨万の富を持ち出して逃亡する花嫁。復讐の鬼と化した主人公は1年と1ヶ月と1日を費やし、とうとう彼女を捕まえる。しかし、そこで彼女の巧みな話術によって誑かされ、結局彼女とまた2人の生活を始める。それが彼の正に人生の大きな過ちの始まりだった。
    花嫁の捜索を頼んだ探偵を自ら殺めることで闘争の日々が始まり、拠点を転々とし、ついに私財も底を尽く。彼女に唆されて博打ぺてんを仕掛けたものの、呆気なくばれて、ついに一文無しにな

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    2021年01月17日
  • 殺人は容易だ

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    ネタバレ

    すばらしい! 映像などで筋を予め知らない久々のクリスティだったこともあるかもしれないが、次はどうなるどうなると一気に読み進めた。女史特有のミスディレクションの妙。材料はきちんと提示してある。

    素人探偵の薄弱な推理のまま終わるはずはないと思いながらも残りのページ数はわずか。どう解決するんだろうと思っていたら、最後は加速度がつくようにピースがはまっていきました。

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    2013年03月04日
  • チムニーズ館の秘密

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    これぞミステリとエンターテイメントの融合、といった作品。
    さる国の重鎮の回顧録に、王子に、政治家に敏腕刑事、魅力的な女性に加えて、主人公は絵に描いたような勇敢な好青年。トリックとかアリバイとかに頭を悩ませる類の読み方はせず、奇想天外な展開を純粋に楽しむべきである。

    ポアロとマープルに少し飽きてきて、クリスティーから離れていたが、ノンシリーズにも読むべき本はまだまだあるらしい。

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    2012年09月23日
  • チムニーズ館の秘密

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    最高に爽快なミステリーでした。さすがクリスティー☆バーネットの『消えた王子』のあとがきに載っていたので読み始めたのだけれど,やめられなくて一気読みでした。内容はとても似ているけれど、どちらも引けをとらない面白さでした。

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    2011年11月09日
  • ヒッコリー・ロードの殺人

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    ネタバレ

    ポアロの秘書のミスレモンのお姉さんが登場します。
    下宿屋で起こる不思議な盗難事件。
    盗難事件の解決が、殺人事件へと展開していく。

    靴の紐のように、順々に事件が大事になっていく。

    ポアロの推理と、警察の捜査とが、順に進んでいって、、、

    オーソドックスな展開で、最終的な場面に進んでいく。

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    2011年08月14日
  • チムニーズ館の秘密

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    ネタバレ

    主人公格のアンソニー・ケイドが、本当はどういう性格の人かが、最後まで分からなかった。
    アガサクリスティに政治的な話題が多いのは、いろいろな国に行ったことがあるためだろうか。

    他の作品のような経験に基づいた話ではなく、こういう経験が面白いだろうという想像上の作品。
    よく国王、皇太子が出てくるのは、まだアガサクリスティの生まれた時代には、ヨーロッパにも王国が多かったせいだろうか。
    あるいは、アジア、アフリカの王国から、ヨーロッパに勉強に来ている皇太子などが多かったからだろうか。

    ちなみに、日本の昔の皇太子も英国で教育を受けていたらしい。

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    2011年08月04日
  • 殺人は容易だ

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    ネタバレ

    主人公は、元警官だという。
    全体を読んでみると、元警官らしいところにあまり気がつかなかった。
    元警官らしさが少しないのは、アガサクリスティが警官の経験がないためだろうか。
    あるいは、親しい人で警官がいないのだろうか。

    少し読み進むうちに、犯人がある女性ではないかと心配になっていった。
    あまりにも、犯人は男性だと決めつけていることからだ。

    また、アガサクリスティの小説では、思わぬ人が犯人のことがあるので、
    この人ではないかと思い、めぼしをつけながら読み進んだ。

    殺人は容易だという題目だが、物語が始まってから起こった2件の殺人は、
    主人公の知らない間に起こっている。
    現場

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    2011年08月04日
  • 喪服のランデヴー

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    詩情あふれる、それでいて抑制された文体でつづられる切ない復讐の物語。
    とってもよかったです。
    よかったことが、記憶に残る。

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    2010年07月12日