高橋豊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
学生寮で頻発する失せ物という重大事と感じるのも難しいトラブル
一見すると何か法則性が存在するかも想像できない失せ物リスト。それを丁寧に紐解いていく事で見えてくる犯人やそれ以外の者達の思惑
探偵エルキュール・ポアロが関わった事から事態が意外な展開を見せる流れはアガサ・クリスティーの巧みさを感じるね
また、本作の特徴を上げるとすれば、事件に関わる者達が殆ど学生という点。それによりクリスティー作品に多い遺産や金品を巡る争いではなく、もっと単純で若々しい若者の感性が前面に出た人間関係が事件を複雑にしているね
ただ、まあ、事件の要素を紐解いていけば最終的に別の顔を見せるのだけどね
いや、本当に学生寮の問題というスタートから意外な着地点へ至ったと感じられる終盤だったよ
一つだけ、難点というか困った点を上げるとすれば、最後まで誰が誰だか判別が付かなかった事だろうか……
ドラマ版を見てればもう少しイメージを固めた上で読めたのかな…? -
Posted by ブクログ
「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『ヒッコリー・ロードの殺人(原題:Hickory Dickory Dock)』を読みました。
『終りなき夜に生れつく』、『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』、『NかMか』、『ポアロのクリスマス』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。
-----story-------------
外国人留学生の多いロンドンの学生寮で盗難騒動が次々と起き、靴の片方や電球など他愛のないものばかりが盗まれた。
が、寮を訪れた「ポアロ」は即刻警察を呼ぶべきだと主張する。
そしてその直後、寮生の一人が謎の死を遂げる。
はたしてこれらの事件の裏には何が…マザーグースを口ずさむ「ポアロ」が名推理を披露する。
-----------------------
1955年に発表された「エルキュール・ポアロ」シリーズの長篇27作目となる作品、、、
『ポアロのクリスマス』に続き「エルキュール・ポアロ」シリーズ作品です。
「ポアロ」の秘書「ミス・レモン」の姉「ハバード夫人」が管理人として雇われているヒッコリー・ロード二十六番地の学生向けの寮で盗難事件が多発、、、
盗まれたモノは靴の片方や電球など他愛のないものばかり… 「ポアロ」は、探偵の理論と方法という講演をするという理由で寮に入り込み、真相を探ろうとします。
窃盗の大半は、寮生「シーリア・オースティン」が、同じ寮生の「コリン・マックナブ」の気持ちを惹きつけるための犯行ということが判明しますが、一部の盗難について「シーリア」は犯行を否定します、、、
「シーリア」が犯行を否定した盗難に何か意味があるのでは… と推理した「ポアロ」は真相を究明しようとしますが、そんな中「シーリア」が寮でモルヒネにより毒殺され、その後、寮の経営者「ニコレティス夫人」、寮生「パトリシア・レイン」が相次いで殺害されます。
「シーリア」の犯行ではなかった盗品、、、
ずたずたに裂かれたリュックサックは密輸の道具だったり、
電球は警察の捜査時に見えにくくするための工夫だったり、
聴診器は医者になりすます小道具に使われたり、
と、それぞれ意味のある犯行だったんですね… そして、その背後には大規模な麻薬密輸が絡んでいたという展開でした。
短時間に一気に多くの登場人物が出てくるので、人物の相関関係が判りにくかったなぁ… 特に寮生たちについては、名前と人物像がなかなか一致せず、ちょっと感情移入し難かったですね。
男女の寮生による犯行… そのうちの一人は、過去に犯罪歴(家族を毒殺)があったというオチでした、、、
途中で、ある程度、犯人が想定できる展開でしたが、なかなか面白かったです。
以下、主な登場人物です。
「エルキュール・ポアロ」
私立探偵
「ミス・レモン」
ポアロの秘書
「ハバード夫人」
レモンの姉。寮母
「ニコレティス夫人」
寮の経営者
「マリア」
ヒッコリー・ロード下宿料理人
「ジェロニモ」
マリアの夫
「ナイジェル・チャプマン」
歴史学専攻の学生
「レン(レオナード)・ベイトソン」
医学生
「コリン・マックナブ」
心理学専攻の学生
「サリー・フィンチ」
アメリカ人の女子留学生
「ヴァレリ・ホッブハウス」
服飾品のバイヤー
「エリザベス・ジョンストン」
ジャマイカからの女子留学生
「パトリシア(パット)・レイン」
考古学専攻の学生
「ジュヌビエーブ・マリコード」
フランス人の女子留学生
「ジーン・トムリンソン」
セント・キャザリン病院物理療法研究生
「アキボンボ」
西アフリカ人の留学生
「シーリア・オースティン」
セント・キャザリン病院薬剤師
「シャープ」
ロンドン警視庁の警部 -
購入済み
面白かった
面白かったです。
途中までは何が起こっているのか
良くわからないまま話が進んでいきますが
最後になるほどとなります。
結末もわかりやすくて
たしかな満足です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいやはやアイリッシュ、もといウールリッチは設定がすごい。発表後60年近く経った今でもその設定は斬新だ。
ある街で愛し合う若い男女がいる。非常に初々しい二人の間にやがて悲劇が訪れる。ある飛行機から落とされたビンがたまたま彼女に当ったのだ。最愛の女を失った彼は廃人となり、やがて復讐の鬼と化し、同日同時間に同場所を通過した飛行機に乗り合わせた乗客全てに同じ苦痛を事件の起こった5/31に味わわせるのだった。
この設定を読んだだけでもう早く読みたいと思うのは当然ではないだろうか?
しかも唄う詩のような美文は健在で今回も陰惨な内容ながら幻想的な衣装を纏いながら物語は流れていく。
しかも成される復讐は5つあり、それら全てが極上の短編小説のようにスパイスが効いているのだ。
顔の見えない主人公ジョニー・マー。彼のした事は非道で許されないことだが、彼のされた事もまた同じである。深く哀しみを湛えて復讐を成す彼が到達する最後は恋人ドロシーに扮した警察見習い生。その再会で彼は至上の悦びを発散する。
最後死ぬ前に救われたのか?
私は救われたと思う。いやそう信じたい。 -
Posted by ブクログ
翻訳を通しても、都会的で洗練された文体の強度を失わない稀有な作家の一人、ウールリッチ/アイリッシュ。1948年発表、ブラックシリーズの代表作でもある「喪服のランデヴー」では、その耽美なレトリックがすでに完成しており、序章と終章における溜め息が出るような情操の表現を味わうだけでも読む価値がある。上空を通過した飛行機の乗客が投げ捨てた瓶の直撃を受け、逢瀬の待ち合わせ場所にいた恋人を殺された男。その無残で凍てついた心象風景を綴っていくプロローグは、ウールリッチならではの世界観を形作っている。
本作は凄まじい怒りによって復讐の鬼と化し、狂気の淵へと墜ちた若者ジョニー・マーが、真犯人を特定できないままに対象となる5人の男を探り出し、躊躇うことなく地獄の底へと突き落としていく物語だ。脈略無き不可解な連続殺人を嗅覚鋭く追う刑事も登場させるが、メインで描くのは、緻密な計算のもとに遺恨を晴らすべくジョニーが対象5人に加えていく報復の顛末である。推定する加害者を単に殺すのではなく、ジョニー自身が味わった悲劇と同様の苦悩へと陥らせる。その非道/冷酷ぶりは極まっており、罪のない人々までも犠牲にしていく若者には、いつしか同情よりも畏怖感の方が強まっていくだろう。
捻りを施した構成の妙とサスペンスフルな展開で読ませる秀作であり、ウールリッチの魅力が存分に溢れている。ノワールの先駆であり、ラストシーンにおいて自らも暗黒へと堕ちていくジョニーの絶叫が重い余韻を残していく。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ植民地から帰ってきたルーク・フィッツウィリアム。ロンドンに向かう汽車の中で出会ったウイッチウッド村のミス・ピンカートン。ウイッチウッド村で誰も気がつかないうちに連続殺人が起きており次に狙われるのはハンブルビー医師と気がついたとかたるミス・ピンカートン。翌日、ミス・ピンカートンが轢き殺されたと知るルーク。そして殺害されたハンブルビー医師。ウイッチウッド村へ向かうルーク。ホイットフィールド卿の秘書で婚約者のブリジェットの従兄弟として村に滞在するルーク。ブリジェットとの捜査。殺害された人々が関わるのは?被害者の一人エミリーがお手伝いをしていたミス・ウェインフリートの話。元ホイットフィールド卿と婚約していたミス・ウェインフリート。ホイットフィールド卿を怒らせた運転手の死から犯人を推理するルーク。バトル警視の登場。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ物語中のロマンスが良い。
ちょっとひねくれたおてんばな女の子がやがて…
恋愛ものとして印象の方が強く残った。
2025年8月再読。
ロマンチックラブの部分はいいねー。
映像化してほしい。
ミス・マープルがする推理を主人公がしていて、それが伏線になっていて、マープルがそこから謎解きをするというワンクッションが面白かった。
クリスティー作品の恋愛関係にしてはハピエンにまとまっていて良い。
その周辺にいやなひとがいないのもいいし、勇気あるヒロインを助けるヒーローもかっこいい。
マイ・フェア・レディ要素もあり。
ヒロインの理解されない美点を主人公が見抜いてくれるとこが良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアガサ・クリスティー大全集で星5つだったので期待して読んだ作品。
ボイントン夫人の性根の悪さには納得。誰かをいたぶっていないと生きている意味がない、というような人で、一度ターゲットを決めたら徹底的に追い詰める。あれだけ人を苦しめていたら、誰かに殺されても仕方ないと思ってしまうほどだった。
ただ、ボイントン家の娘たちにはかなり引っかかった。母親に支配されてきた被害者なのは分かるけれど、あまりにも自己中心的。結局、自分のことばかり考えているように見えて、「あなたたちも大概じゃない?」と思ってしまった。
そして一番気になったのがサラ。ボイントン家とは何の関係もない部外者なのに、「自分がこの家族を変えなければ」という発想になるのがどうしても理解できなかった。いや、あなた部外者ですよね?と思ってしまう。しかも、出会ったばかりのレイモンドとすぐに恋に落ちる展開も、正直あまり腑に落ちなかった。
犯人がウエストホルム卿夫人だったのも、「え、そこ?」という感じ。最初の頃に事情を聞かれて、服装について話していたくらいの印象だったので、最後に犯人として出てきたのはかなり唐突に感じた。
さらに、最後はポアロに追い詰められたウエストホルム卿夫人が自殺する。『アクロイド殺し』のときと同じように、ポアロが犯人を自殺へ追い込んでいるようにも見えて、「ポアロ、そこまでやるの?」という気持ちになった。
作品として評価が高いのは分かるけれど、私は謎解きそのものよりも、登場人物たちの行動に「いやいや、それはおかしくない?」とツッコミを入れながら読んだ作品だった。
でも、こういうふうに登場人物に納得できないところがたくさんある作品ほど、読後にあれこれ話したくなるので、これはこれで面白かった。