高橋豊のレビュー一覧
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ミス・マープルシリーズ③
静養のため、妹のジョアナと共にリムストックへとやって来たジェリー・バートンは、誹謗中傷が書かれた差出人不明の手紙を受け取る。バートン兄妹は一笑に付すが、この町では以前から人々を誹謗中傷する手紙が出回っていることを知る。
そんな中、手紙の内容を苦にして、自殺者が出てしまう。
誰が、こんな手紙を書いて町中にばらまいているのか?
なぜ、こんなことをしているのか?
自殺か他殺か?
田舎の個性的な面々は、誰もが無関係なように見えるが、誰もが怪しくも見えてくる。
謎ばかり深まる。
しかし、ラストにマープルが登場し、謎の根本をシンプルに示す。
うわぁ~スッキリ!視界が一気にクリアになった。そして、全てのピースがはまる爽快感!
バートン兄妹のロマンスもまた良かった〜 -
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1938年の作品
エルキュール・ポアロシリーズ長編16作目。
あらすじ
エルサレムを訪れたポアロがたまたま耳にしたのは、「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という男女の囁きだった。
ヨルダンに旅行に来たツアー客の1人である医師のサラ・キングは妙なアメリカ人の家族と居合わせる。その家族は揃いも揃って家長のボイントン夫人の権力の支配下にあり、自由を奪われていた。サラは、息子のレイモンド・ボイントンと友人になり、彼らを救いたいと考えていた。しかし、かつて刑務所の看守だった夫人は、子供たちにサラとの交流を禁止する。腹を立てたサラはボイントン夫人を非難するが、夫人は「私は、行動も名前も顔も、何も忘れたことはない。」と謎の言葉を残した後、ペトラ旅行で何者かに殺害された。
家族全員が容疑者の中、エルキュール・ポアロは犯人探しを開始する。
中近東シリーズのうちの一つですが、異国情緒や旅の雰囲気が感じられるのは「ナイルに死す」や「メソポタミアの殺人」の方かな?
殺された人物が、死んだ方が皆のためになるどうしようもない悪い奴、というところからして、「オリエント急行の殺人」と同じような展開か?と思わせらます。作品内でも、オリエント急行のときのように見逃してくれ、というようなセリフが出てきます。が、さすがクリスティー。オリエント急行とは全然違う展開になっていきます。
1938年という時代を生きた、さまざまなタイプの女性について想いを馳せることができる深みのある作品。
医師として自立している強い女性、サラ・キング。
元看守として家族の中で権力を誇示するボイントン夫人。女ながらに政治家として活躍しているウエストホルム卿夫人。ウエストホルム卿夫人のような活動的な女性に憧れながらも、自分では何もできないアマベル・ピアス。母親のせいで家族以外とつながりを持ったことがなく、外に出るのを恐れているキャロライン・ボイントン。精神的に不安定で、思い込みの激しいジネブラ・ボイントン。
それに比べてこの作品に出てくる男性たちはなんとも弱々しく自分の意志がない(毒親のせい?)
女性ながらに小説家として女性がまだまだ生きづらい時代に生きた、アガサクリスティならではの視点を感じます。
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こちら、正直あまり期待せず(未読のマープルものだから……)くらいのテンションで読み始めたのですが、クリスティー作品の中で一二を争うくらい好きかもしれません(”面白い作品”でなく”好きな作品”部門で)。なんだかずっとニコニコしながら読んでいました〜(´ω`*)
そもそもあらすじの「ミス・マープルが若い二人の探偵指南役を務める」からしてうーんという感じなのですが、読み終わってみればマープルさんの出番はほぼナシ!なんなら、途中までノンシリーズだと思い込んでいたくらい。
ですので、マープルものだと意気込んで読むとちょっぴり拍子抜けかもしれませんね。ノンシリーズにマープルさんがゲスト出演、くらいな期待値だと嬉しいサプライズという感じです。
なにが良いって、バートンの語りが良い!
「この物語の書き手」の時点で少し警戒してしまったのですが、まったくの杞憂でした。というか、本書に関しては(こうかな?)と予想したことは何一つ当たりませんでしたが(いつものこと)。
妹のジョアナ共々、具体的なバックボーンはよくわかりませんが裕福な暮らしで育ちがよく、田舎の町に越してきても人々を偏見の目で見ることなく、実におおらかに構えているのでこちらまでなんだかゆったりした気持ちに。
特に、「バートン家の者たちは、ここんところ売れ行きが悪いのね!」と慰め合う様なんて、なんて仲がよく、そして二人とも人がいいんだろうと感心してしまいました。
その他の登場人物たちも、たしかにクセはあるけども基本的に善良な人々で、解説にある通り、こんなに好きになっちゃったのに裏切られたらかなしい……とハラハラする始末。よっぽどセント・メアリ・ミード村の方が毒があるような……笑
肝心の謎解きもスッキリ解決して、こーんなに円満に収まるミステリーも珍しいのではないでしょうか?
ミステリーの中では浮いてしまいがちなロマンス要素も今回はとっても好ましく描かれていて、もうなんの不満もありません。
再読の機会があれば、無駄に疑心暗鬼になったりせず、このハッピーな物語を存分に楽しみたいと思います〜。 -
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「わたしは決して忘れませんよ。よく憶えておいてね。わたしは何一つ忘れていませんよ」
ほんとうのホラーは、人のこころの中にある。
恐るべきマザーにより支配されたポイントン家の人々。
第一部はこの話の主人公たちがこの物語の彩りを掻き回すように着色する。
ここでのポワロはまるで“ひょっこりはん”のように、物語のちょっとした端っこに顔を出す程度。
事件発生後の第二部になり、ポアロは本来の位置に着く……。
アガサ・クリスティーのミステリーは、本当に色々な展開を楽しむことができる。
最終的には謎の解明になるが、その結果がそんなに重要ではない時もある。
このお話はまさにそう、過程での登場人物のあやふやさがいい。
良かったです。 -
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ネタバレ面白かったなあ…
この本を原作とした三谷幸喜のドラマが再放送するのを知って読んでみた。三谷幸喜は「地味だけど面白い」って言ってたけど、たしかにめちゃくちゃ面白かった。
個人的には『ナイルに死す』や『メソポタミヤの殺人』より好き。
作中に登場するエルサレムやペトラの風景がピンとこなかったので、ネットで画像検索しながら読んだら楽しかった。
あと三谷幸喜のドラマのキャストを見て、登場人物のイメージを掴みながら読むのも楽しかった。
ただ、当時のヨーロッパの人の中東地域への価値観や宗教観はやっぱり理解できてないので、そこは仕方ないかな〜という感じ…
「彼女を殺してしまわなければならないんだよ」というセリフを一番最初に置いて、様々な登場人物がボイントン家に関わり合っていく…旅行中の出来事を通して、家族全員の気持ちが犯行へ傾いていく、その過程も面白かった。
そしてそのすべてが伏線で、鮮やかに回収していくのが本当に気持ちいい。
真犯人は最後の最後までわからなかった…
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ネタバレミステリーにおいて物語の導入はとても大事な要素で、冒頭から惹き込まれると終盤まで一気に魅せられて怒涛の様に読み終えてしまう。そして、クリスティは冒頭の構成がとても上手で、終盤まで圧倒的なインパクトで読者に驚きを与える。
今作では警察を引退している主人公ルークが、ロンドンに帰郷する列車の中で、とある老婦人と一緒になる。彼女は地元で連続殺人が起きており、それをロンドンの警察まで伝えにいく途中だと告げる。ルークは全く信じていなかったが、後日、その老婦人が車に轢かれて亡くなった事を知り、また、別の日には老婦人が次の被害者になり得ると心配していた医者が死亡した事を知る。ルークは事実を確かめる為に舞台となるウィッチウッドに向かう。
サスペンス要素も多く、しかししっかりとミステリーとして読む事が出来る。クリスティの大量殺人は少ないが、彼女が大量殺人モノを描いたらこうなるというお手本の様な作品だ(そして誰もいなくなったは全く別のテーマだと思っている)。現代ではサイコパスや狂人等サスペンスやホラーによった作品も多いが、読み易さとバランス感は今作が頭抜けて面白いと思う。
登場人物達は当然ながら怪しい人ばかりで、ルークはまるでおどろおどろしいウィッチウッドに生贄に向かった様な印象だ。今作でヒロインの役回りであるブリジェットについても、冒頭から信用せずに疑ってかかってしまう程、どんよりとした雰囲気をもつ作品だ。
ルークは探偵役として行動力はとても高いが推理力は乏しい。読者と同じ目線という作品も多いが、どうやら僕は探偵が読者を置き去りにして、"ワトソン"が読者に寄り添うスタイルの方が好きなようだ。今作ではルークがほとんど全ての人物を疑ってかかる為、犯人に迫っていくスリリングなやり取りは感じられず、更には終盤にブリジェットがいきなり推理を覚醒させて、少し大雑把な印象だった。それであっても物語の始まり方、終盤のどんでん返し含めとても面白い作品だ。作中、様々な殺人事件があるわけだが、クリスティは作中よく、殺害方法の型の話をするが、今回、殺害方法が実は共通性がある事に感心してしまった。ピンカートンの事故から物語はスタートするが、実は彼女の死も共通性をきちんと持った殺人の一つだった。(バトルはおいしい所を調整する役目だった(笑))
残念ながら、翻訳が機会的に思えてしまう部分があり、定型文の様なやり取りに見えた部分がある。余り翻訳を気にした事はないが、こういった影響があると学んだ。原文であれば更に面白いのであろう。
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購入済み
面白かった
物語として面白かった。
めでたしめでたし。
このみによるけど私には面白かった。
ミステリとしては、それほどでもないかもしれない。
もちろん謎解きは鮮やかでなるほどと思ったけど、
なんとなく犯人の目星はつくので。 -
Posted by ブクログ
登場人物の魅力、キャラクター性は様々な物語になくてはならない要素だ。クリスティは描写力に定評があり、人物描写、風景描写は本当にその人達がその場所で生きている様な、そんなイメージを読者に与える。当然、時代のギャップや違和感は出てしまうが、それはあくまで古典としてのギャップであり、反対にそれらも魅力として捉えると、とてもノスタルジックな世界観の中ミステリーが展開されていき、何か壮大なストーリーを経験している様な、そんな気持ちになる。
今回、いきなり「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」という二人の人間の会話をポアロが偶然耳にするところから始まる。舞台はエルサレム、そして死海を中心に展開されていき、ポアロの海外旅行物の一つにあたる。イラクやエジプト等、考古学者のパートナーを持つクリスティらしい場所から、今回はイスラエル周辺が舞台となり、砂漠や岩だらけの場所、洞窟等現実離れした設定が魅力的だ。
物語の中心はサラ・キングという若い女医とボイントン家の人々が担う。家長のボイントン夫人はとても嫌な人であり(クリスティは嫌な年寄りを描かせたら世界一だろう(笑))、ボイントン家の人々は彼女に支配され、洗脳され、外界での生活を遮断されて暮らしている。今回、偶然、家族旅行に来ているが、周りからすれば異常な家族に見られている(全員が夫人の悪意に敵意を持っているが、批難の言葉は辛辣、余りにも酷い表現が昔からクリスティ作品の魅力の一つでもある。)
舞台はホテルから場所を移し、ヨルダンのペトラに移動するが、そこでボイントン一族を巻き込む殺人事件が発生する。物語は第二部に進み、ポアロのが本格的に参戦し、事件の真実に迫る。
メロドラマ的な要素と二転三転するストーリー。誰かが誰かの為に真実を偽り嘘をつき、全てを隠そうとしていくが、ポアロは真相を見抜き、心理の中に真実を見つけ、組み合わせていく。全てを正しく配置するポアロの手法が巧みな作品で、僅かの時間で真相に辿り着いてしまう。
クリスティ作品を読み慣れていた事と、遥か昔に読み終えていた作品の為、何となく犯人を推理できたが、やはり一筋縄ではいかない、意外性のある展開は面白い。また、個人的には「オリエント急行事件」についてポアロが問われ、言及している様子もあり、あの事件の結末とポアロの対応にはとても感動していた為、作中ではどの様に思われていたのかが不思議であった(やはりあの結末を世間が納得していない事は明白な様だが、真実は一族とポアロしか知らない)
長い間クリスティの作品に浸かり、そもそも僕の読書の土台を形成した作家であり、また改めて作品を手に取るようになると、過去作との関連や言及が以外に散りばめられている事に気づき、面白さのベースが改善されていく。今作は当然、過去作なしでも楽しめるのだが、雰囲気を更に楽しむ為に「ナイルに死す」や「メソポタミアの殺人」「白昼の悪魔」等と関連して読むと旅行気分を味わいながらとても楽しめるだろう。