速水健朗のレビュー一覧
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サブタイトルが「住所格差と人生格差」。
人生の格差が住所の格差に現れる…んではなくそうでなく、その逆だ、という革新的?結論に向けて、なぜ今、都心回帰が起こっているのか、を読み解いていく。
ずっと続いてきた住居価格の「西高東低」、郊外マイホームからの遠距離通勤が一般化していく歴史的経緯に始まって、現代の東京都民の都市回帰と他方移住、住むところ選びの要素を各論でレポート。
そして最大のテーマは、食住、そして職住の近接や東京内での一極集中の裏側にある、都市に住むメリット=人の集積度が産業や資本、創造性の源だから、というのが面白い。つまり、人の近く(都市)にいるから稼げるようになるのであって、稼げ -
Posted by ブクログ
経済学者のハーフォードは、人は近くにいると「お互いに学び合う」と著書に書きました。であるなら、「都市に住むと人は「頭が良くなる」から生産性が高くなる」=都市に住む人の平均給与が引き上げられる。(P155)。新中間層が考える資本とは、教育に重きをおくので、土地を資本と考えず、教育の条件により引っ越しをするなど、都心を目指す要因が複数語られました。食住/職住の近接が好まれる傾向も合理的であるよなと思いました。それゆえに、バルや個人経営の店が住宅街にできて繁盛しているとか。本書には八丁堀のmaruが登場しました。P25にある皇居から5キロ圏内にある主な企業と大学の地図を見て、都心とは思っているより広
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Posted by ブクログ
郊外型のショッピング・モールとは区別される都市型のショッピング・モールと、それを生み出した消費者の欲望との関係を、社会史的な観点から明らかにしています。
ショッピング・モールが地域のコミュニティを破壊したという短絡な批判をおこなうのではなく、消費者の欲望が都市のショッピング・モール化を推し進めた経緯を冷静に見ることが重要だと考えています。そのために、ウォルト・ディズニーが晩年に、都市そのものをテーマ・パークとするような計画を持っており、それが現代における都市のショッピング・モール化の動きのさきがけとなっていたと主張します。
それなりに興味深く読んだのですが、ここから消費社会についてのどのよ -
Posted by ブクログ
サクッと読めて、あの1995年という年を知れる。オウムと震災ではない、あるいはエヴァではない、1995年。1995年といえば小学1年生で阪神間に住んでいたので、ほとんど記憶はないのだけれども、なんとなくエモい気持ちになりました。バブルは弾けてしまったけど、まだ絶望感は少なくてただただ漠然とした不安がある時代。その雰囲気がなんとなく伝わってきた。
ここに書かれてる様々なトピックをさらに深く掘ってみるとか(個人的に小林よしのりの『ゴー宣』が気になった‼︎)あるいは自分の好きな年を同じように観察してみるとか。読んだ後こそ楽しめる本だなあと思ったり。