速水健朗のレビュー一覧
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大山 顕 佐藤 大 速水 健朗 稲田 豊史 山内 マリコ 妹尾 朝子
何だか怪しいタイトルで期待してなかったんだけど、
面白かった。深かった。
日本の経済成長の歴史の縮図に、団地がある。
都市に人口が集中し、住まいが不足し、山を切り開き、
団地ができる。
そこに住むのは若い夫婦と子供が二人。
いまだにこの4人家族を標準家族と思っている人がいるのはこのせいか。
夫は仕事に出、妻は家を守る。団地を守る。
もて余す時間が「団地妻 昼下がりの情事」へと発展する。
女を縛る団地。
団地住まいの子はやばい、という言説も生まれる。
そして団地ができて50年、今や団地は独居老人の終の棲家、、、
大雑 -
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自分も同年代の団塊ジュニアの世代なので、昭和、平成時代を追体験できてとても懐かしかった。21世紀になるまでは、まだ、パソコンもケータイもスマホもない、あるいは、一般に広まっていない時代で、人と人との間に距離があり、今よりもすっと切り離されていた。『大きな玉ねぎの下で』にもあったように、近くにいない人とは、手紙とか固定電話とかで弱くつながっていて、その道が絶たれると簡単には繋がれない。そんな時代はこの先体験できなそう。『大きな玉ねぎの下で』『オジいサン』本書と、たまたま昭和を感じる本が続いたので、この勢いで『イニシエーション・ラブ』を再読してみたいと思っている。
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«「当たり前」の前を考える»
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バブル世代を扱った物語やエッセイは今まで何冊か読みましたが、団塊ジュニア世代について書かれた本は読んだことがなかったため、興味を惹かれて手に取りました。
世代論なのかなと思いきや、1973年前後からの出来事や文明の進化を団塊ジュニア世代の筆者の目から冷静に綴るという内容だったのが新鮮でした。
(世代に関する言及では、筆者の速水さんが自身の価値観や置かれてきた状況を「団塊ジュニア世代のサンプル」と位置づけた上で、(テレビの放映内容の話など)「住んでいた地域が違えば見える景色も違うよね」というスタンスで書かれてていたのが、視野が広くて好ましいな -
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著者よりも少し後に生まれたX世代ではあるけど、ほんとうに面白く読んだ。グリコ森永事件の声明文が届いた日に日航機墜落事故が起こっているとか、銀座のアップル日本旗艦店ができたのは2003年なのか、とか。東北震災くらいまでの事件やカルチャーの濃度が濃すぎて、正直ここ10年の時間経過がなんとなく薄く感じるのは、きっと歳をとったからなんだろうなと少し寂しくなったりもした。あとがきに書かれていた、最初に世に出た時のフォーマットがなんだったかを忘れずに想像力を持った方が良い、というメッセージがとても響いた。クエストラブのミュージック・イズ・ヒストリーもぜひ読んでみたい。
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どう食べるかは、政治的選択でもある。
出版された2013年から、さらに日常的にオーガニックという言葉を目にするようになった2019年に読む。
理想を追求するのが左翼的な思考。
そんな風にお硬く考えてなくても、
自然と関心をもっていた「オーガニック」や「サステイナブル」といったテーマを、全編通して政治的側面として捉えられて(いや、言うまでもなく。といった感覚で)いたのが、新鮮でおもしろい発見だった。
フード左翼のジレンマについて書かれた部分は、特に共感。
オーガニック農業について、
サステイナブルではない。
左翼というのは、一般的に科学技術に肯定的だが、フード左翼の場合そうではない。 -
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【揺れて荒れて変えて】阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生する中、安室奈美恵がCDデビューし『失楽園』が人々の関心を捕らえた1995年。平成の中でも時代を画す重大事件が相次いだこの1年を振り返りながら、後代に与えた影響について考察を加える作品です。著者は、幅広い分野に関する著作を持つライターの速水健朗。
著者がまえがきで記しているように、懐古趣味を十分に満たすことができることはもちろん、1995年という1年が持つ重要性を改めて気づかせてくれる一冊でした。この年の出来事をどうまとめるかは人それぞれだと思いますが、議論の補助線として非常に参考になるかと思います。
〜1995年とは、それ以前に -
ネタバレ 購入済み
家探しは人生である
東京に住むならどこがいい?
そんな内容ではありません。
人は人を求め寄り添って生きていくのです。そんな究極の形であるのが東京という都市なのです。昨今の田舎ブームも以前に比べたら数倍の盛り上がりを見せているのでしょうが、如何せんもとの数字から見ると小さく、移住人口全体から見ると都市への人口流入は拡大しているのはメディアによる印象付けによるものとわかります。
縮小の時代に生きる我々はいかに住み生きていくのか?そんなことを考えさせてくれる本です。 -
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人が住む場所をもっと意識するのは引越しをするときかもしれない。引越しのタイミングは就学、就職、結婚、転勤など受動的な移動が思い浮かべられるけどもっと主体的に移動を意識して良いと思う。主体的に移動しやすい人を考えると結構範囲が限定されてしまうので移動力というのはあるのだなと意識することしきり。
東京の都市としての広さは海外を旅行すると実感する。とにかく東京は広い。私のような地方出身者は東京のつかみづらさに当初は戸惑ってしまう。本書では皇居を中心に5kmの都心枠を設定していたが、海外や中世の都市のように伽藍や広場、城を中心として意識することのない我々は、周縁を意識する方が多いかも知れない。山の手 -
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食左と食右。政治思想で食の嗜好を切り分けるという着想が面白い。確かにファストフードやメガ盛りといったジャンク食を好む人間は,政治的にも右を志向する気がするし,オーガニック,マクロビ,有機栽培,ベジタリアンなどは意識の高い左側に位置するだろう。遺伝子組み換えハンターイなんかも思いっきり左寄りだ。
まぁ実のところはそこまで深いものでもなくて,知らず知らずに健康資本主義に絡めとられていたりする。でももっとまずいのは,皆が食左を追究する社会は到底持続可能でないということ。無農薬もGM・添加物の忌避も食の効率を落としてしまい,それでは世界の人口を養うことができない。著者も食右から食左に転向した口らしいけ -
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『ラーメンと愛国』に続き、期待を上回る面白さ。食を通じて政治経済に迫る、というアプローチが成功していて、「山路を歩いていたら、いつの間にか自分の住んでいる街を反対方向から見下ろす丘に出て、よく知っている景色なのにびっくり新鮮わ〜嬉しい」という感じ。
食への態度を「右翼か左翼か」と位置付けることで、食と政治経済の両方に新しい光を当てているのが素晴らしい。
食の面では、食べ物に対する価値観が単なる食べ物への価値観を超えてライフスタイルそのものへの価値観でもあることを示している。
政治経済の面では、政治的には保守ではなく革新(左翼)だが、政府ではなく市場を通じて企業をコントロールすべき(非左翼)とい -
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積読しすぎたが、自分にとっては今、まさに読むべき本だった。
ショッピングモールは規制緩和の結果出現した、都市コミュニティ破壊の資本主義モンスターというのが私が持っていたイメージである。地域政策なる学問を学んだ私にとっては、中心市街地の“商店街”は守るべきもので、ショッピングモールは規制すべきもの。大学時代はそんな雰囲気が学問を覆っていた。
速水さんのこの作品はそんな、中心市街地ノスタルジーに真っ向から戦いを挑むもの…ではない。
ショッピングモールとは何なのかを思想と歴史を紐解くことで教えてくれる。アメリカで発展したショッピングモールはコミュニティ再生機能を期待されていたのだという歴史。そ -
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「ショッピングモールとディズニーランドはもともと新時代コミュニティを作ろうとしていた!」って感じの本。
「治安悪くて住みづらい古い街じゃなくて新しい街を作ろうぜ!」とも。
ショッピングモールやディズニーって
・「取るに足らないもの殺風景な場所」みたいな扱いを受けたり
・「大企業が古き良きコミュニティを侵略している」みたいなネガティブな目で見られたり
な面もあるけど、実は元々買い物を中心として人の集まる場所を作ろうとした、という経緯があったそうです。
実際問題、ショッピングモールやディズニー行くと盛り上がること多いし、ショッピングモールやディズニー的な仕組みでコミュニケーションの場をより良く -
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非常に面白かったです。表題からはディズニー本のようにも思えますが、主体は都市論・ショッピングモール論に関するものであり、ディズニーに関する内容はその一部分なのでタイトルは惹きですね。一昨年に出版された思想家・小説家の東浩紀氏が編集長を務める「思想地図β1」の特集にあったショッピングモールに関する論考が本作の発端となっているようです。都市論というとどういったっものなのかいまいち分かりにくいかもしれませんが、1990年代後半から続々と街の隙間に現れてきたコインパーキングからディズニーランド創設で超有名なウィルト・ディズニーの都市計画論まで、非常に幅広いながらも誰もが身近で考えやすい内容というものな