あらすじ
《この世代の世代論は、ノスタルジーか残酷物語のどちらかである。そうではない本を書くことが本書の目的だが、そうなっただろうか。》――速水健朗(本書「あとがき」より)
ロスジェネ、超氷河期、お荷物と言われ続けた団塊ジュニア世代のど真ん中ゾーンも、ついに天命を知る50代に突入。
そんな世代が生きてきた1970年代から2020年代にわたる、日本社会、メディア、生活の変遷を、あるいはこの時代に何が生まれ、何が失われたのか――を、73年生まれの著者が、圧巻の構想力と詳細なディテールで描くノンフィクション年代記。
既存の世代観を上書きする、反「ロスジェネ」史観の誕生!
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Posted by ブクログ
自分も同年代の団塊ジュニアの世代なので、昭和、平成時代を追体験できてとても懐かしかった。21世紀になるまでは、まだ、パソコンもケータイもスマホもない、あるいは、一般に広まっていない時代で、人と人との間に距離があり、今よりもすっと切り離されていた。『大きな玉ねぎの下で』にもあったように、近くにいない人とは、手紙とか固定電話とかで弱くつながっていて、その道が絶たれると簡単には繋がれない。そんな時代はこの先体験できなそう。『大きな玉ねぎの下で』『オジいサン』本書と、たまたま昭和を感じる本が続いたので、この勢いで『イニシエーション・ラブ』を再読してみたいと思っている。
Posted by ブクログ
«「当たり前」の前を考える»
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バブル世代を扱った物語やエッセイは今まで何冊か読みましたが、団塊ジュニア世代について書かれた本は読んだことがなかったため、興味を惹かれて手に取りました。
世代論なのかなと思いきや、1973年前後からの出来事や文明の進化を団塊ジュニア世代の筆者の目から冷静に綴るという内容だったのが新鮮でした。
(世代に関する言及では、筆者の速水さんが自身の価値観や置かれてきた状況を「団塊ジュニア世代のサンプル」と位置づけた上で、(テレビの放映内容の話など)「住んでいた地域が違えば見える景色も違うよね」というスタンスで書かれてていたのが、視野が広くて好ましいなと思いました。
実際、自身の無知を晒しだすようでお恥ずかしい話ですが、田舎で滅多に電車を使わない私はIT化が進んだ近年になってもなお、切符は駅員さんが穴を開けるものだと思っていたので、数年前に初めて自動改札を見て当惑したのを覚えています(笑)同世代の都会っ子の方にはありえない話なんだろうと思います。)
「テクノロジーを使った道具が一度普及してしまうと、それ以前の生活の細部を人は思い出せなくなる。そこに今一度、想像力を持って挑む。本書はその試みである。」
(P266)
とあるように、1973年以降の出来事や時代の変化を思い出して振り返るという目的で書かれた本書ですが、特に興味深かったのはコンビニの話とパソコンの話でした。
コンビニについては、85年には夜中にいなり寿司を買いに行こうとする女性のCMが流れ、当時評論家の浅羽さんはコンビニに立ち寄ることを「精神の揺らぎ」と表現し、コンビニを「欲望を叶える場」と捉えたとのこと。
これを基に今のコンビニを考えると、当時はおそらく、おにぎりやお弁当、飲み物類を買う場だったところから、今はほんの数年前まで(チェーン店では)某全国チェーンのドーナツ屋くらいでしか買えなかったドーナツ類が平然と並び、「コンビニスイーツ」の種類が格段に増え、スイーツやお菓子、ラーメン等で有名店とのコラボがなされ、ついには出来たてを販売する店ができ始めと、当時の比では無いくらい「欲望」が拡充しているのが面白いなと思いました。
「便利になった」と一言で片付けてしまうこともできますが、これだけ欲望に塗れた場所が存在することに誰も疑問を持たず、むしろ欲望の拡充が奨励されているのかと思うと、コンビニってものすごく面白い場所だなと思いました。
今日も今日とて、もはや無意識のうちにコンビニに足を向けている私は、精神が揺らぎまくっています(笑)
パソコンについても、発売当時は遊び目的くらいでしか用途が無かったというのが興味深い話でした。
今では仕事に必須のメールやWord、Excel等も、コンピュータができて進化した後から生まれてきたものなのだと思うと、今は当然のようにセットで使っているものも、ひとつひとつが凄い発明品なんだなと感じました。
バブル世代からはひとくくりに「草食」という見方をされてきた団塊ジュニア世代のひとりの視点から見てきた歴史を見るとどうなるのかというのを垣間見られたのは興味深かったですし、何よりも、今当たり前だと思っているモノや事の裏側にどのような歴史があったのかを学べたのが面白かったです。
【ひとりごと】
半沢直樹シリーズに触れる中で、『ロスジェネの逆襲』で出てきた森山や瀬名といったロスジェネ世代のキャラクターが速水さんの目にどう映ったのかがとても気になるところ。この世代の方が外からの評価をどのように受け取っているのかを、もっと聞いてみたいなと思います。
Posted by ブクログ
著者よりも少し後に生まれたX世代ではあるけど、ほんとうに面白く読んだ。グリコ森永事件の声明文が届いた日に日航機墜落事故が起こっているとか、銀座のアップル日本旗艦店ができたのは2003年なのか、とか。東北震災くらいまでの事件やカルチャーの濃度が濃すぎて、正直ここ10年の時間経過がなんとなく薄く感じるのは、きっと歳をとったからなんだろうなと少し寂しくなったりもした。あとがきに書かれていた、最初に世に出た時のフォーマットがなんだったかを忘れずに想像力を持った方が良い、というメッセージがとても響いた。クエストラブのミュージック・イズ・ヒストリーもぜひ読んでみたい。
Posted by ブクログ
世代で分けるのはあまり好きじゃないけど、
上の世代と話してたら、この人はこういう時代を生きてたのかーと想像できるようになったなと。
新しいレンズを手に入れた感じでなんだか楽しい!
Posted by ブクログ
同世代としてかなり面白く、懐かしく読んだ。今の時代と比べ、私の生きてきた半世紀は振り返ると不便だったり、滑稽だったり、理不尽であったりする事は否めない。しかしかながら、楽しく、愛おしく、時代の過渡期を肌で感じた面白い時代であった。
読みながら「そうそう!こんなことあった!」「いたねぇ、こんな人!」と1人盛り上がった。すっかり忘れてたこともいろいろ思い出す。
・小学校の時、集金に入っていた500円玉を担任教師が珍しがって、自分の500円札と交換していた。
・ テレビがリモコンでつけたり消したり、チャンネルを変えたりできるようになった。
・昭和天皇崩御。雪が降っていた。外で大きな声で、騒いだり笑ったり(中学生だったから、それは日常だったのだけれども)することがはばかられるほど日本全国が自粛ムードに。
・ファミコンのせいで遊び方が変わった。親戚で集まると外で真っ暗になるまで遊んでいたのだが、従兄弟達はずっとピコピコやっていて、つまらなくなった。
・大学生の時、学部の3割しか就職せずに卒業。7割は、無職のまま。私もその1人。
・レコード→カセットテープ→CD→MD。CDが出てきたときは、音のクリアさに驚いたものだった。その音のクリアさで曲の順番を好きに変えられるMDが出てきたときには画期的だと思ったが、廃れるのが超早かった。ウォークマンでいつも何か聞いていた。
・電話代が高かった。特に長距離。海外とも無料で話せるようになるなんて、夢にも思わなかった。
【懐かしいワード】
グリコ森永事件
宮崎学
ロス疑惑
北の国から(「パソコンで買い物、テレワークができるようになる」というセリフにびっくり。予言レベル!)
FAX
宮沢りえのふんどし姿、「サンタフェ」
高校教師
サントリー「モルツ」(プランナーは佐藤雅彦、CMソングは真心ブラザーズ)
金髪の13歳後藤真希がモーニング娘メンバーに
写メ
9.11
疑惑の総合商社(鈴木宗男)
トルシエ監督、フローラン・ダバディ通訳
Posted by ブクログ
難しいのは、現在に近い現代史を論じる時には、どうしても既視感を覚えることがあるということ。その人ならではの切り口というのが、なかなか見つからない。
だから、どうしても1973年生まれの人たちの独自性というものが、それほどクッキリとは浮かび上がってこない。
楽しい世俗的な読物になって、そこで終わったしまう。
Posted by ブクログ
1973年生まれです
私の人生をそのまま
著者がレビューしてくれていて
めっちゃ有難い本です
懐かしいことや、そーいやそーやったんよなー、といったことだらけで、読んでいる間は至福の時間でした。
Posted by ブクログ
TBS文化系トークラジオLIFEなどでよく聴く速水健朗氏が不思議な本を出した。
1973年生まれ。丑年。私より一回り若い。そうだったんだ、、
彼が記憶の範囲で語る時代の世相は、12歳年上の私は当然知っている。
むろん彼と手すべて覚えているはずもなく、様々な文献をあたったのだろう。
詳しい。
そうなると、こちらも知っている話だけに、つい引き込まれる。
読み飛ばせない。
そういうわけでいつもより時間がかかった。
通して読んで思うのは、現在ってのは突然いまになったわけではないということ。
過去から線で結ばれている、連続している、ということ。
昨今起こっている現象の萌芽はちゃんと過去にある。
貧困、少子化、スマホ、、、
もちろん進化した、といえるものもある。
マイノリティに対する接し方などは、今のほうが明らかいい。
度が過ぎると「ふてほど」の阿部サダオのセリフの世界になるが。
そういえば同性婚に対する札幌高裁の判断が画期的、とニュースにある。
同性愛は太古の昔からずーっとあるものなのだから、認めればいいだけなのに、、、
左利き1割もようやく市民権を得たのだから、できないわけがない。
選択的夫婦別姓はなおのこと。
離婚のときの共同親権は逆にダメな理由は勉強しないと、、、
話がそれたが、それてもおかしくない内容の本ではあった。
過去から今を追いかけた本。
読ませていただいた。
Posted by ブクログ
【きっかけ】
まさしく1973年生まれである自分にとって、育った時代そのものが一冊になった。
そういう一冊だからこそ集中力を保ちつつ読むことができた。少しずつだったけど。
【感想】
50年経つのかという思いと、これから先どうなるのかという不安がないまぜな気持ちにさせられた一冊だった。著者の意図としては、ノスタルジーにならないよう構成など気を使って書いていたようだが、全般的に自分は完全にノスタルジーに浸った。1980、1990、2000年代記。団塊ジュニア世代として多数派の人口も50歳前後の時がきた。
この本を買った動機の一つは最近の生きづらさもある。頑張ってここまで来たけど息切れしてきた。どこまでも世代として人が多いということは今の時代、同世代格差とか分断とかいろいろ言い募られる。自分以外の人の生き方はどうであったのか知りたいということもあった。
どこまでどうように頑張ればいいのか。という自分の思いは読んで当てが外れたが、紋切り型の文章、スバっと展開の切り替えも早くその時の時代の空気感は伝わった。反ロスジェネと帯にあったが、これを読んだからと言って今が変わることはない。
ロストはロストなだけにそこまでのことを著者が意図したかどうかわかりかねた。また、これからの10年をどう生きるかという指標ができるわけでもない。これを読んで同時代を俯瞰し自分自身をどう納得させてられるかという本だと感じた。
自分はそういう意味でもノスタルジーを感じたし大いに懐かしんだ。
Posted by ブクログ
筆者と同世代(75年生まれ)なので登場する物事、事件は懐かしさを感じつつ、自分はこう思ったなと、速水さんと対話するような感じで読んだ。
見たことはない『北の国から』の中に出てくる、「買い物もパソコンでできるようになるし、サラリーマンは会社でなくても家からパソコンで仕事帰りできるようになる」は速水さんも指摘の通り、かなり正確な未来の予言かつ作家(北の国からの)の期待を裏切るものだったと思う。でも団塊jジュニア世代は双方の言い分がわかるそんな世代でもあるのではないかと感じた。家にこもってテレビゲームする子どもももはや、eスポーツとして市民権を得ている。それは決して悪いことではないように感じる。むしろ、批判は過去の極端なノスタルジーではないだろうか。(そこに付随する既得権を手放せない)
また、大学進学率についても、80年代は26.5%であった点について会社や大学のブランド化の始まりについても描かれているがまさにいま、自身のキャラクターをカテゴライズする先駆け(例えば韻脚とか陽キャとか)かと思った。
一番、共感したのは『景気がいい時代、バブル時代に生きていたかったという声を良く耳にするが、当時の一般庶民は、好景気にむしろ腹を立てていた。儲かっているのは、株を持っているものと土地を待っているものだけ。庶民は、マイホームを旡夢見ることすら許されない。』(ユニコーンの名曲 大迷惑を思い出す)という箇所。あの頃、小学生だったがむしろ沖縄、北海道に飛行機で行った!というのですらちょっとした羨望の的でお金もちの子どもの方が少数派だった。(むしろ家族旅行はいまのが充実してないか)
他にもいろいろと懐かしい点はあるが、好景気の恩恵があったのは一部だと思う。
世代で語る、というのはともすれば分断化や変なカタルシスに陥りそうだけど冷静に書いていると思う。小室ファミリーやモー娘。の考察も面白かった。
ただある意味、バブル世代にせよ、氷河期世代にせよ、ある程度の年齢になると金枝篇みたいに犠牲にならざるを得ないのかな。何らかの恩恵に預からず、損な役回りであったとしても。誰だって生きてりゃ年を取るし貧乏くじを引くときが来るのではないだろうか。そこから離れようともがくほど生きづらくなる人も多くなる仕組みになっているのは辛い。いろいろと考えさせられた。
Posted by ブクログ
通して読めない。語り方が私の波長とうまく合わないのか読みにくい。断片は面白い。ノスタルジーでも残酷物語でもなく、は成功しているのだろう、確かに。メディアに興味のある人なのだから当然だけど、取り上げられ方の話になる。フォーマットの話、というむすびの言葉が印象的だった。
Posted by ブクログ
アラフィフ世代の半生を取り巻く社会事象を編年で振り返る。昭和から平成、令和の懐かしい文化史。
かなり細かく文化や社会的な出来事を振り返る。プロ野球評論の死亡遊戯みたいな感じ。ただし、事実の羅列に終始し、考察のようなものはない。
Posted by ブクログ
1973年生まれの著者が、1973年から2020年代までの社会や生活の変化、印象的な事件や出来事を、1973年生まれの有名人たちを紹介しながら記しています。
ロスジェネ、超氷河期‥とあまりいい思いしてこなかったな〜と思う1973年生まれ。
そう、私は1973年生まれ。
だから、読みながら懐かしくて楽しかったけれど、この時代を知らない人たちは読んでどう思うのかな?
時代が進んでいろいろなことが発展しても、次々と新しい問題や事件はでてきて、苦しみも楽しみも同じようにあって、結局世界って変わらないんだなという思ってしまいました。
Posted by ブクログ
「1973年に生まれ」た私には
面白懐かしく読めたが
もっとずっと若い世代とかは
どう読むのだろう?
一周回っておもしろかったりするのかな?
当時の事象を振り返ると
なんかとてもおもしろいが
同じ意味合いでの
「おもしろみ」を感じるのだろうか?
Posted by ブクログ
著者の生まれた1973年からの50年間を社会、政治、経済、サブカルチャー、事件、風俗などを語りながら振り返る。
私は著者と世代が違うので共有できてない情報もあったが、概ね面白く振り返ることができた。携帯電話やインターネットがなかった時代にどうやって生活していたか、思い出させてくれた。
Posted by ブクログ
自分より数年上の世代の彼らが、自分が生きてきた時代からどんな空気を感じとっていたのかよくわかる。
もう少し社会論的な話に及ぶと良かったのに。ロスジェネとも言われる団塊ジュニア世代の悲哀にもっとフォーカスしてほしかった