前川かずおのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ面白かったです。
小学校の壁新聞の記者になったハチベエ、ハカセ、モーちゃん。三者三様の記事づくりにキャラクターをいかに魅力的に描くか、この辺りに作者の那須正幹先生の高い構成力が伺えます。
なにより終盤、取材相手の気持ちを考え、『気持ちがハッキリするまでは記事にはしないでおこう』と考えたハチベエの記者としての姿。序盤に記事内容を盛りに盛っていた男とは思えないほど成長していて読んでいて少しウルっときてしまいました。
並びに、これはあとがきでも書かれていたことですが、ガス中毒で死にかけていた孤独な老人を三人で助け、地方紙に三人が載るというシーンには舌を巻いてしまいました。あの後、おばあさんは息子さん家族と住むようになったのでしょうか?妄想が捗りますね。
児童文学とはいっても、記者における心構えや葛藤、取材相手との交渉など、『記者ってどういう仕事?』という疑問に100%応えてくれる本作。
本当に面白かったです。 -
Posted by ブクログ
すごくキャラクターの作り方がうまいと思ったし、どんな小学生でも大人になれば変わっていくんだなっていう子どもの可能性も感じてしまった。
無鉄砲で先のことを考えるのが苦手だったハチベエが、3人の中で一番冷静に先のことや家族のことを考えていたり、モーちゃんに度胸がついて積極的になっていたり、ハカセが女性に興味を抱くようになっていたり。たしかに三人組が成長したら、こうなるんだろうなってイメージできるものだった。
またミステリーテイストで、オチがどうなるのか興味津々で一気読みした。この作品って、未来が不透明で可能性に満ちている、子どもが主人公だからこそ書ける作品だなと思った。 -
Posted by ブクログ
自分が小学校の教員なこともあり、終盤の宅和先生と新谷さんが焼酎を飲みながら交わすなかでの宅和先生の言葉に心打たれた。
新谷さんが先生に言う。
「子供の自主性を尊重する。つまり、やりたい放題させる。暴力を肯定しようが、人間どうしの信頼をやぶろうが、おかまいなしなわけだ。」
この言葉に宅和先生が返す。
「演じるドラマが暴力的だからといって、子どもたちが暴力を肯定しているとは思えません。事実、彼らは何度も話し合い、それぞれが自分の知恵を出して劇を成功させたんです。(略)あなたは、教師の指導力といわれたが、わたしも大人として子どもに対する時は、かなりきびしくやっておるつもりです。しかしそれは、あくまでかいぞえにすぎん。子どもは、教師の力で成長するわけじゃない。じふん自身の生きる力なんです。よろしいか。子どもは、いきものなんですぞ。人形じゃあない。わしは、30年間、小学校で子どもを見てきたが、わしの力で子どもが成長したとは、これっぱかりも思っておりません。子どもらは、自分の内なる力で成長しておるんです。この力を、じゅうぶん発揮できるように配慮してやるのが、わしの役目です。(略)」
30年のキャリアを持ちながら、周りへの見栄えではなく、子どもが自分たちの力でやりとげようとする力を信じる宅和先生の信念に感服する。そして、「30年間、わしの力で子どもが成長したとは、これっぱかりも思っていません。」と言い切れる先生の教師としてのあり方に痺れる。
自分はどうか…親の目、先輩の先生たちの言葉、周りのクラスとの差を気にして自分のクラスの子どもたちのことを取り繕おうとしてはいないか。そんなくだらない小さな世間を気にして、子どもの成長を1番に考えられていないのではないか。子どもの力を信じられていないのではないか。
本編では、子どもの力をまざまざと見せつけられた。今の自分が、子どもの成長を1番に、子どもを信じて教員やれているかどうか、ふりかえるためにも、手元に置いて数年後にまた読み返したい1冊になった。