吉野万理子のレビュー一覧
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中学2年生の木佐貫桃は「いい人」だ。人の悪口を言わないし、掃除はサボらない。「宿題を見せて」と頼まれたら気前よく見せてあげる。天然とも言われるが、基本、いい人。クラスメイトからも、いい人の象徴みたいと思われている。
最近、苗字が変わったのはお母さんが大病院の時期委員長のお医者さんと結婚して、地元では高級住宅街の大きな家に住むようになったからだ。
中学1年の妹・鞠は、クラスでは「いい人」を演じているけれど、いじめられないように、目立たないように立ち回っている。
桃のクラスで中心的存在の沙也子と知奈津の提案で、文化祭では中止になったミス・ミスターコンテストの代わりに、「いい人ランクング」をする -
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クラスのいい人ランキングで「いい人」になった中学2年生の桃。よろこぶべきことのはずなのに、クラスでの立場がだんだんおかしくなっていく…
さらりと始まったいじめは、そのうちさらりと標的がかわり、さらりと何事もなかったかのようになる。いじめって軽々しいものではないのに、気がついたらはじまっていたり、おわるときも何事もなかったかのように終わったりする。だけど、もちろん当事者にとっては簡単なものなんかじゃない。主人公の桃は天然すぎて、なかなかいじめに気づかなかったりするけれど、「体重は増えてないのに体が重たくなった気がする」とか、しっかり心には負担がのこっている。最後にも、すべては終わったけど何事も -
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本屋で目を引いたので購入。これから読み始めるのですが、私の好きな「サバイバル ウェディング」と同じようなにおいがするので楽しみです。
一瞬で読み終わってしまいました。
予想通り、とっても面白かったです。
この本に出てきた映画でまだ見ていないものを全て見てから、またこの本を読んだらもっと深く理解できると思いました。
どこにでもいる普通の女の子に焦点を当て、まるで映画のように彼女の成長ぶりや、ポイントとなるどんでん返しがあり、起承転結がしっかりとしており、本当に映画のように楽しむことができました。
特に女の子には、胸を張っておすすめしたい作品です。 -
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岬のはずれの一軒家に魔法使いのお姉さんが住んでいる。
そこは子供たちの想い出をあずかってくれる質屋さん。
あずけた想い出は、二十歳になる前に取り戻さないと、「ヒトデ」として海の底に沈められてしまい、
それと同時に、子供たちは魔法使いのことも忘れてしまう───。
魔法使いが言っていた、記憶と想い出の違い。
「お母さんのオムライスがおいしかった。」これは記憶。
「めったにオムライスを作ってくれないお母さんが、久しぶりに作ってくれて、すっごくおいしくてうれしかった。」これが想い出。
うん、なんとなくわかる気がします。
もしも自分なら、どうしただろう…。
齢を重ねた今、楽しいことも、悲しいことも、 -
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魔法使いから里華に向けられた言葉の中に素敵な言葉がたくさんあったなぁ。こんな言葉をかけてくれる魔法使いがいるなら、オイラも通ってしまう、年齢制限で引っかかるけど。今日を忘れてしまうことで明日を何とか迎えることができるというほど、多分オイラは追い込まれたことがない。だから、芽依が想い出を売ってたことに対する抵抗感は里華と一緒だ。記憶を売ることでいじめに耐えていた芽依を、里華が魔法ではなく人間の力で助けてあげられたのはよかった。悠斗がお母さんの通夜に札束をつかんで、魔法近いのところにお母さんの想い出を全部取り戻しに行ったのも(お母さんの最後のプレゼントは涙出た)。魔法使いではなかったけど、オイラに
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母の再婚で苗字が変わり、緊張の始業式を迎えた桃と毬の姉妹。天然の「いい人」キャラの姉・桃と、空気を読んでいける妹の毬。ドキドキの中、文化祭を期にクラスの「いい人」コンテストが始まる。当然のように一位に選ばれる桃。そこから少しづつクラスの雰囲気が変わっていく。
そもそも「いい人」選びをしようという段階で、先が見えてくる話なのだが、前後の話づくりがうまくいっていると思う。桃に陰でアドバイスをしてくれる隣のクラスのヒーロー・尾島の存在と、尾島を師匠と呼ぶ妹の毬がストーリーが陳腐になるのをうまく回避している。
終業式で撮った集合写真を破り捨てないけど、絶対見ないという桃の言葉が真実だと思った。 -
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想い出限定の質屋さん。魔法使いがやってる質屋さん。
お客さんは子ども限定。
大人になると想い出限定の質屋さんのことは
すっかり忘れてしまうシステム。
いやな想い出だけを質入れする子、
いい想い出もいやな想い出も執着せずに手放す子ども。
決して手放さない子ども。
魔法使いは世話をやくこともなく、
突き放し過ぎることもなく
やってくる子ども達を迎える。
魔法使いとの想い出も素敵な想い出なのに忘れちゃうんだ。
実は、きっと魔法使いは寂しいのかもね。
どの想い出も大人になる自分を作ってきたもの。
手放さないでと子ども達に言いたいな
。
手放さなくても、
忘れちゃうことなんてままあることなんだ -
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4人の中学生たちの連作短編。
優等生で人当たりも良く、先生からも信頼されている伊集院慶一。ガツガツ主張しないでも、みんなに当然のごとく委員長に選ばれる、それもやぶさかでない。でも、そんな態度が放送部の後輩たちにはみすかされ…。
美鈴は母と二人暮し。離婚して別居している料理人の父の影響で、きちんと出汁から作ったりする料理が得意。中学になって口が悪くなって不良みたいになった、とか保護者たちにも言われているけど、そんな事はない。仕事が出来て、濃い味が好きで大雑把な母は、大学のテニスサークルからの友達を「新しいお父さんにどうか」と紹介し、美鈴が今まで見たことがなかったような笑顔を見せる。悪くない人