吉野万理子のレビュー一覧
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神奈川県出身の作家の作品として読みました。
主人公は中学生。
夏休み明けに転校生がやってきたことで、それまでの環境が大きく変わります。
転校してきた聡子(さとこ)は、先だって起こった通り魔事件の犯人の娘、であると同時に、自身の「遠い親戚」でもあったのです。
直接血がつながっているわけではないとはいえ、「親戚」の「犯人の娘」とどう付き合っていくか、模索していく主人公たち。
心ない「いじめ(いじり)」のターゲットになりがちな聡子を、(自分の身を守ろうという本能を抱えつつも)助けよう、守ろうと努力する姿はリアルでもあり、応援したくなります。
主人公の「最近、オレは思うんだ。誰も彼も、実はつながってて、極端な話、オレとこの国の首相も千年さかのぼれば、遠い親戚なんじゃねーか、って赤の他人なんていない、つーか」というセリフや、聡子の「一言でも言葉を交わしたら、「赤の他人」は「知り合い」に変わるの」というセリフは、なかなか響くなあ、と感じました。
YA小説として、中高生におススメしたいなと思える一冊でした。 -
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小学6年生の広記は、父、妹の奈奈、同級生の建太郎、トモちんと横浜スタジアムでベイスターズの応援をするのが一番の楽しみ。
憧れは、ハマのキャプテン筒香嘉智。
「体が大きくって、森のどまんなかに生えてる、どっしりした木みたいだ」
「応援する人じゃなく、応援される人になりなさい」
こうお母さんに言われたという建太郎は、もう観戦は一緒に出来ないと言い出す。
2016年春、ベイスターズは最下位にあえいでいた。
「君は将来、何になりたいの?」
大人が子供に聞く質問の定番。
小学6年生の広記にとって、こんなに難しい質問はない。
トモちんは地元野球チームのエース。男の子に負けていない。
広記は、5年生の時にそのチームを辞めてしまったけど。
建太郎は中学受験して、自分の夢をつかみに行くらしい。
ハンディキャップのある妹の奈奈は、しっかりとした自分の考えを持っている。
ベイスターズがはじめてクライマックスシリーズに進出した2016年。
ハマの番長三浦大輔が現役を引退した2016年。
広記の家にも小さな奇跡が舞い降りる。
語り合うこと。
人を励ますこと。
「応援」する人自身が、実は元気になっていく。 -
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「いい人ランキング」
このネーミングがすごい。何か起きないわけがない。
「いい人」だからいじめられるという構造が、怖い。いじめる側が「いじめ」ではなく「いじり」といっていることも、ゾワリとする。
でも、いじめの話なのに、読後感が真っ直ぐ前を向いていて、かつ、さらりと納得できて、とても良かった。
主人公の桃が、妹が師匠と呼ぶ隣のクラスの「いい人」にいじめの相談するのだけど、この人がいい味だしてる。
ある過去があって、いい人を演じてるというスタンス。この人を師匠と呼ぶ妹もいろいろあったんだろうね。
この登場人物がそれぞれ主役ので短編集とか読んでみたい。 -
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面白かったです♪
主人公・紺野真穂。
就職氷河期で、滑り込み就職した会社が三年後に倒産。
再就職先のキャラクタービジネス会社で初めての営業に配属されて…。
基本、お仕事小説なんですが、紺ちゃんの片思いがくすぐったくてね。
天然で立ち直りは早いが、大事な場面で緊張すると「へっ?」と気の抜けた返事をしてしまう紺ちゃん。
同じプロジェクトチームの大賀センパイに恋い焦がれ、
思いを詠った短歌がこれまた愉快で。
「いつまでもひとところに留まってちゃいけない。
毎日頑張ってるんだから、今の君はあの頃の君とは違う」
凹んでいるとき、こんな言葉をさりげなくかけてくれる大賀センパイ。
あ~、素敵です。
「紺ちゃん」と初めて呼んでもらえたときは、
自分のことのように、ときめいちゃいました♪
俺たちは所詮、世の中という舞台の中ではエキストラ。
でも、だからこそできることもある。
舞台の隅っこで自由にそれなりの自我を持って踏ん張り続け、
そしていつかはステージの中央にいるスターを食ってやる。
「!」マークのついたエキストラ。
うん、いいですね!
「仕事」ってなんだろう。「働く」ことにはどんな意味があるんだろう。
で始まる大好きな荻原浩さんの「解説」も良かったです。
肩の力がふっと抜けて、元気をもらえた一冊でした。 -
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劇は小中学校でかなりやりました。
思い出に重なる部分があり、児童書ですがこれほどハラハラドキドキと感情を入れて読めるとは思いませんでした。
準備の慌ただしさ。
本番直前の緊張感。
舞台上の想定外の出来事。
上演後の達成感、そこはかとない寂寞。
小学校高学年くらいからは台本に沿ってやるのではなくていろいろなオリジナリティー溢れるアイディアを発揮して自分たちの劇を創造できるようになります。
劇の楽しみは皆で懸命に作り上げてこそ。
主役、脇役、ナレーション、脚本、演出、音響、小道具、大道具、衣裳・・・
そしてお客さん。
「その劇」は「その時」にしかできないんです。
小学生、プロでないからこそ余計におもしろいんです。