吉野万理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
隣の市で無差別殺人事件(のちに未遂となる)がおきて、まだ犯人は逃走中。しかもウチの市に逃げ込んでいるらしい。そんな話を聞いて、八条風雅は友達と犯人がいそうな所、ショッピングセンターに行ってみた。警察官の数も増えてきた・・・と思っている矢先、犯人らしき人物を見つけ、野次馬的な気分が恐怖に変わった時、犯人は警察に捕まった。どんな凶悪な顔かと思った犯人は、普通のおじさんだった。
ネットで調べて、犯人とその家族の写真を見ても普通の家庭に見えた。
でもクラスでは身近におきたニュースに持ちきり。
特に洋介はクラスでも(自分より立場の弱い奴に強気ででたり、いじるタイプ)は、犯人に自分らと同級生で中二の女子がいるとわかったら、犯人の家を見に行くツアーをやろうと言い出した。
風雅は憂鬱だった。母が、犯人はウチと遠い親戚だと言うのだ。
正月に親戚が集まる時だって見たこともない親戚。祖母の姉のだんなの息子が犯人だと言う。
なんとなく自分のウチはいい家系だと思っていたから、風雅はショックだった。
事件から数週間たち、クラスでも忘れかけたころ、転入生は来た。
苗字を変えて高橋聡子と名乗った、犯人の娘が転入してきたのだ。
そのニュースをいちはやく伝えた洋介は、もともとクラスでいじっていた淳史ともに、聡子のこともいじりはじめた。
風雅と、いとこのキッキーは、後ろめたい気持ちになる。
聡子を助けたくても、どうしていいのかわからない。そして・・・
物語は二部構成になっていて、前半は風雅編。後半は聡子編。
表紙が風雅のアップで、タイトルとともにインパクトのある装丁。
(裏は聡子の笑顔で、ほっとする)
もしかしたら、もっと衝撃的でグロなものを求めて本を手に取る子がいるかもしれないが、内容はきちんと優等生小説で、大人が読んでも、良書だと勧められる結末になっている。
さすがの吉野真理子です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ鯨崎町の子どもたちにだけ知られていることだが、ゴツゴツとした崖を降りていった所に、そのお店はある。
「おもいで質屋」
丸い文字で書かれた木目調の看板が掲げられたカシスムースのような見た目の可愛い小屋。
そこに住む魔法使いに想い出を預けてお金と交換する。20歳になるまでに取りに来なければ、想い出はヒトデになって海に沈んでしまう。
遥斗はお母さんに怒られたり嫌な想い出を毎日毎日預け、里華は一切想い出を預けずそれでも毎日のように質屋を訪れる。
大人になる前に掴むことができる柔らかな想い出。
シンプルなファンタジー。
魔法使いと男の子と女の子。それぞれがそれぞれの時で感じる思いを繊細に描いたストーリー。
20歳になると「おもいで質屋」のことを忘れてしまうという、子どものためだけの物語が純粋すぎてあまりにも美しい。
10代の頃の想い出って、その時には預けてしまっても良いかなと思うんだけど、大人になるとその頃の想い出はあまりにもキラキラしていて、こういう話を読むと羨ましくなってしまう。
年明けから良い本を読みました。 -
Posted by ブクログ
猫視点小説二作目。
吉野万里子さんの作品はあったかいものが多いのですが、これは少々きつかった……
人間の都合によりバラバラになってしまった二匹の猫―ソリチュードとロンリネス
主に三毛猫ロンリネスの視点で描かれています。
それにしても人間に振り回される猫の気持ちってこんな感じなのかな。
なんだか自分もこんな風にボブに見られていたのかなとか、寂しい思いさせてきたのかなとか考えさせられました。
ロンリネスとソリチュードはどちらも「孤独」という意味だけど、孤独にもいいものと悪いものが。
いろいろ振り回されてロンリネスが引き取られた先での志穂子が言った、「誰かと必死で群れるより、寂しいことに慣れたほうがいい。」言葉がとても印象的でした。
ひとりですっくと立って生きられる人。
ふたつの「孤独」からいろいろなことを考えさせられました。
ただ、DVと虐待の場面は読むのが酷だったので、星は4つにしました。
最後は素敵に終わってますよ。