あらすじ
嬉しいのに涙が出て、傷ついても信じてみたい。自分にそんな感情があることを、初めて知って驚いた。こんなに大事な想い出を、人は忘れてしまうもの? ううん、忘れ去るなんて、きっとしない。見えなくて触れないからこそ大事だって、分かってる。人間って侮れないんだよ――。きらきらと胸を打つ、大人のための長編小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
海辺に住んでいる魔女におもいでを預けたら、引き換えに魔女はお金を払うー
魔女がでてくる話だから、もっとファンタジーだと思って読み始めた。
切なさと、親への申し訳なさと、色々な感情がごちゃ混ぜになった。
久しぶりに、もう一度読みたいと思える本に出会えた。
Posted by ブクログ
最初の想像と違う話に、驚きつつ、最後はいい読後感を味わえた。最近読み切りばかり読んでいたので、一人一人が想い出を預ける事で、なんて想像していたが違った。
想い出を預け続ける男の子
想い出は預けないのに通う女の子
うん、良かった!
Posted by ブクログ
お金欲しさに思い出をこんな形で預かるとは思いもしなかったなあ。
イヤな思い出…楽しい思い出が薄っすらと消えかかって来てる年齢なのかな
ふと思い出しては記憶を辿ってみたりして。
一緒の時間を過ごしてもお互い想い出話をしても、ん?なことあったけ?みたいな事が良くある。噛み合わなったり誤解も生まれる。
少々、童心に返りつつの読書になりました
Posted by ブクログ
入り江に子供達は向かう。
しかし大人達は何も言わないし、後をつける事もない。
大人達はみんな、秘密基地でもあるんだろうくらいにしか思っていないし、別に問題もないだろうと共通の認識だからだ。
しかしその入り江にあるのは質屋。
おもいでを預かる質屋。
しかも魔法使いが店主なのだ。
おもいでを話して、その想い出に値段がつけられる。
その金額を子供達は手にする事ができるが、話をするとその想い出を忘れてしまう。
二十歳になる前にお金を返せば想い出はまた自分のものとなる。
そして二十歳になると魔法使いの事も忘れてしまう。
里華は魔法使いと仲良くなり、質屋に通うが想い出は一度も話したことはない。
ただ友人ってだけで。
里華の友人関係、男女関係から取り巻く環境が少しずつ繋がる。
でも魔法使いは人間に対して都合の良い魔法は使ってはくれない。
魔法って便利だけれど、それに依存するようになると魔法使いの言葉でいう「人間ではなくなる」のだそうだ。
悩み考え答えを出し、解決する方法を魔法に頼ってはダメだと言うのだ。
魔法使いの絶妙な距離の取り方は、大人と子供でも置き換えられると思った。
Posted by ブクログ
岬のはずれの一軒家に魔法使いのお姉さんが住んでいる。
そこは子供たちの想い出をあずかってくれる質屋さん。
あずけた想い出は、二十歳になる前に取り戻さないと、「ヒトデ」として海の底に沈められてしまい、
それと同時に、子供たちは魔法使いのことも忘れてしまう───。
魔法使いが言っていた、記憶と想い出の違い。
「お母さんのオムライスがおいしかった。」これは記憶。
「めったにオムライスを作ってくれないお母さんが、久しぶりに作ってくれて、すっごくおいしくてうれしかった。」これが想い出。
うん、なんとなくわかる気がします。
もしも自分なら、どうしただろう…。
齢を重ねた今、楽しいことも、悲しいことも、何もかもひっくるめて今の自分がある。
そう肯定しているつもりでも、できることなら手離してしまいたい苦い記憶もあるわけで…
悩む……。
ある日を境に、忘れられていく魔法使いが、淋しげでせつなかったです。
何一つ変わらないようでも、見えなくなっているものってあるんだろうな…。
最後、母の思い出を買い戻しに来た遥斗に、ホロリとさせられました。
前向きな里華にエールを!
そして、雪成にはゲンコツを!(笑)
Posted by ブクログ
物語の...中盤......
あまりにも鮮明な悲劇に、胸を刺され、頭を殴られるような感覚に陥りました...
辛い...なんとも辛い......
しかし最後まで読んで思ったが、この魔法使いさんはもしかして...いや言うまい。
Posted by ブクログ
魔法使いから里華に向けられた言葉の中に素敵な言葉がたくさんあったなぁ。こんな言葉をかけてくれる魔法使いがいるなら、オイラも通ってしまう、年齢制限で引っかかるけど。今日を忘れてしまうことで明日を何とか迎えることができるというほど、多分オイラは追い込まれたことがない。だから、芽依が想い出を売ってたことに対する抵抗感は里華と一緒だ。記憶を売ることでいじめに耐えていた芽依を、里華が魔法ではなく人間の力で助けてあげられたのはよかった。悠斗がお母さんの通夜に札束をつかんで、魔法近いのところにお母さんの想い出を全部取り戻しに行ったのも(お母さんの最後のプレゼントは涙出た)。魔法使いではなかったけど、オイラにも救いの一言をくれる人がいたなぁ。オイラは、まわりの若い奴らに言ってあげられてるかなぁ、できてないよなぁ。質に入れなくても忘れていくことが多くなったし。
Posted by ブクログ
想い出限定の質屋さん。魔法使いがやってる質屋さん。
お客さんは子ども限定。
大人になると想い出限定の質屋さんのことは
すっかり忘れてしまうシステム。
いやな想い出だけを質入れする子、
いい想い出もいやな想い出も執着せずに手放す子ども。
決して手放さない子ども。
魔法使いは世話をやくこともなく、
突き放し過ぎることもなく
やってくる子ども達を迎える。
魔法使いとの想い出も素敵な想い出なのに忘れちゃうんだ。
実は、きっと魔法使いは寂しいのかもね。
どの想い出も大人になる自分を作ってきたもの。
手放さないでと子ども達に言いたいな
。
手放さなくても、
忘れちゃうことなんてままあることなんだよなぁ。
これが。
いい話でした。
Posted by ブクログ
おもいで質屋、海辺の崖の先の魔女が開いている子供対象のお店。ファンタジー的な要素もあるけれど、内容はけっこう子供時代、学生時代の問題山積みの真面目なもの。
Posted by ブクログ
想い出無くして人は成長出来ない。
だから、いつまでも想い出は星の様にその人の中で輝き続けるのかもしれませんね。
大切な想い出に気付く瞬間があれば、人は変われるのかもしれない。
と、しんみり思った一冊。
Posted by ブクログ
鯨崎町の子どもたちにだけ知られていることだが、ゴツゴツとした崖を降りていった所に、そのお店はある。
「おもいで質屋」
丸い文字で書かれた木目調の看板が掲げられたカシスムースのような見た目の可愛い小屋。
そこに住む魔法使いに想い出を預けてお金と交換する。20歳になるまでに取りに来なければ、想い出はヒトデになって海に沈んでしまう。
遥斗はお母さんに怒られたり嫌な想い出を毎日毎日預け、里華は一切想い出を預けずそれでも毎日のように質屋を訪れる。
大人になる前に掴むことができる柔らかな想い出。
シンプルなファンタジー。
魔法使いと男の子と女の子。それぞれがそれぞれの時で感じる思いを繊細に描いたストーリー。
20歳になると「おもいで質屋」のことを忘れてしまうという、子どものためだけの物語が純粋すぎてあまりにも美しい。
10代の頃の想い出って、その時には預けてしまっても良いかなと思うんだけど、大人になるとその頃の想い出はあまりにもキラキラしていて、こういう話を読むと羨ましくなってしまう。
年明けから良い本を読みました。
Posted by ブクログ
吉野さんは『シネマガール』に続いて2冊目。『シネマガール』が漫画のような軽いノリだったので、あまり期待してなかったんだけど凄く素敵なお話だった!私にも質入れしたい忘れたい想い出があるし、ずっと忘れたくない想い出もある。最後の里華と魔法使いの件と、遥斗くんが想い出を一度に取り戻すシーンが良かった。私が質屋を覚えてないのはもう20歳を過ぎちゃったからなんだなぁ。2011/522
Posted by ブクログ
海辺に住む魔法使いは、「おもいで質屋」を営む。
質屋にはコドモたち(正確には20歳未満)がおとずれ、魔法使いに、自分の「おもいで」の話をする。
するとその話をきいた魔法使いがそのおもいでに値する代金をはらうシステムだ。
代金は魔法使いが決める。
質屋には様々なコドモが訪れる。
お金目当てにおもいでを質に入れるコドモもいれば、つらい記憶を質にいれるコドモもいる。
また、おもいでを質にいれることはせずに、たんに魔法使いに会うだけのために質屋に来るコドモもいる。
永いときを生きる魔法使いと、束の間のときを過ごすコドモたちとの交流の物語。
永遠・・・かもしれない時を生きる魔法使い。
想いをかけた相手は、いつも先にいなくなってしまう。
孤独な魔法使いの物語。
人は、大事に大事にしまっておきたい記憶をもっていることもあれば、蓋をしてしまいこみたい記憶をもっていることもある。
たとえば、そんな負の記憶がお金になるなんてことがあったら、世の中どうなるのだろう。
嫌なことが忘れられれば楽になるし、さらにお金まで手に入るのであるから、お金目当てにじゃんじゃん記憶を質にいれる人がでてくるのは間違いない。
記憶を質にいれることでお金が手に入ることに味をしめてしまったコドモはまっすぐには育たないだろうなぁ。
あくまで、想像ですけれども。
ともあれ、
それぞれの理由で記憶を質にいれにきたコドモたちそれぞれの物語が、心に沁みます。
Posted by ブクログ
おもいで質屋のお話。
物語の雰囲気がすごく好きだったなぁ。
ちょっとファンタジーなんだけど、内容はすごく考えさせられる。
ツライことがあった時、誰しも逃げ出したい、忘れたいと思った経験があるはず。
でもどんな思い出でも、その人を形成する大事なものなんですよね。
Posted by ブクログ
里華の、おもいで質屋に通い詰めながらも、決して思い出を質入れしないという一貫した姿勢が素敵だった。
困難から逃げる弱さを持ちながらも、どうしてここでこういう思考になるかなあと歯痒くなるくらいそういう年頃の女の子らしい面も兼ね備えていた。
そして、彼女と対象的なのがほんの些細なことでもすぐ、質入れしてしまう男の子。
けれど、彼が母親を失い、それまでに質入れした思い出を全て取り返したことから、例えそれがどんなに辛い記憶であったとしても、それらは全てその人にしか体験できなかった大切な記憶なんだと、かけがえのないものであるからこそ、決して軽々しく手放してしまっていいものではないんだと考えさせられた。
里華と雪成の別れのシーンも印象的で、雪成のその理論はあまりにも酷いと思う反面、けれども、それはその通りなんだよなあとも感じた。
そういう意味でも、この作品は里華自身の生活や、魔法使いとの交流の中に、大人になっていくということについて、よく描かれていたように思えた。
Posted by ブクログ
想い出を質にいれる。
その子が20才になるまで、魔法使いが預かってる。
20才になると その記憶すらなくなって。
はるとくんのカバンが切なかったな。
あとは リカちゃんが20才になったとき。
もう会えなくても それでも想い出はきちんとあって。
ある意味、特別だなと思ったり。
海の底のヒトデ。
静かに静かに とても穏やかなイメージ。
Posted by ブクログ
おもいで質屋。
海の近くにひっそりとあるこのお店は子どもにしか見えない。
ここは質として想い出を差し出し、20歳の誕生日を迎えるまでにお金を返さないと一生返してもらえなくなってしまう。
差し出された想い出に魔法使いが値段をつけ、子どもたちにお金を渡す。
お小遣いが欲しい子どもたちが今日も想い出を預けに来る。
以下ネタバレ。
主人公の女の子が魔法使いと最初に出会うのは新聞部の取材。
彼女は最後まで想い出を預けるということに反対します。
想い出を預けることはなくても、魔法使いとの関係は20歳まで続きます。
彼女の時間とともに物語は流れていく感じなのかな。
母親との想い出ばかり預ける男の子。
おばあちゃんを轢いた犯人を捜そうと魔法使いに頼む男の子。
いじめられている想い出(想い出とはいわないか)を預ける女の子。
みんなそれぞれ思いを抱えて想い出を預けに来る。
10代の思い出そのものが結晶化した物語。
と帯に石田衣良さんのことばがありましたが
この物語は10代のころの一生懸命な友情や恋愛を一気に思い出させてくれました。
雪成(主人公の彼氏)のことばはなんて身勝手なんだと思ったけど
魔法使いがいった
「想い出にならない人。それが運命の人よ」
ということばにすごく共感しました。
そんな人に出会えたかな……
Posted by ブクログ
2011年出版。ファンタジー。想い出の質入れを受ける魔法使いと、主に成長していく少女のお話。ファンタジー過ぎて現実味を失わないように、と云う意図なのか? 設定やシーン展開の割には、虐めや男女間のあれこれ、死や犯罪まで生臭い面も。教訓?押し付けがましくは無いが、意図されている気がして何やら余りシックリ来ない。
Posted by ブクログ
現代版ファンタジー的な話。魔法使いが出てくるのだがちょっぴりほろ苦く切ない。20歳になると見えなくなり忘れてしまう。いつの時代もファンタジーは子供だけの特権なのだろう。
Posted by ブクログ
小さい頃、こんな不思議で素敵な場所を
見つけられなかったことが残念。
私だったら、大切な思い出あずけるかな?
子どもだったら、今ほど何も考えず
あずけちゃうのかな・・。
あの空間でリスが入れた紅茶がのめたら、
それだけでうれしい。
Posted by ブクログ
子どもにしか行けない「おもいで質屋」。そこには魔法使いがいて、思い出を預ける代わりにお金をくれる。
ゲームを買うお金欲しさに些細な思い出を売りに来る子ども、いじめられている事実を忘れたくて思い出を売りに来る子ども、思い出を預けることに反対な子ども。いろんな子どもが思い出質屋に魔法使いに会いにやってくる。ファンタジーで、ほんわかしているけど、思い出の大切さが描かれている。
Posted by ブクログ
海辺に「おもいで質屋」があって、そこに住む魔法使いが、思いでと引き換えに、お金を貸してくれる、そんな噂が、子供たちの間に広まった。大人になると、踏み入ることができなくなる「おもいで質屋」。女子高生のリカと、魔法使いの交流を描く。
私が子供で、「おもいで質屋」が実際にあったとしても、思い出を質に入れたりしないだろう。どんなにいやな思い出でも。なぜなら、忘れることが、私にとっては、最大の恐怖だからだ。だから、魔法使いとリカが、お互いに大切な存在になれて、二人とも記憶を残していて、そういう結末にほっとした。辛いことも、悲しいことも、嬉しいことも、思い出があれば前に進んでいける、私はそう思う。たとえ、思い出す度に涙が溢れ、二度とあえない人のことでも、忘れたくはない。
Posted by ブクログ
ファンタジーっぽいほんわかな内容かと思いましたが、そんなことはない!いじめ、失恋、嫉妬、猜疑心など人にとって嫌な出来事(感情)を中心に話は進んでいきます。そういった想い出を子どもたちはどう乗り越えていくのか。最後まで飽きずに読めました。終わり方も私はあれが一番良かったと思います。
Posted by ブクログ
『想い出あずかります』ライトノベルの分類の入るのだろうと思うけど
けっこうぐっとくるところがあり楽しめた。
20歳以下の青少年しか相手にしない思い出を質草にとりお金をくれる質屋さんが魔女によって営まれているという荒唐無稽な設定なのだが、結構すーっと話に引き込まれ、違和感を感じないまま読み進めることができた。覚えていて会話で使いたいなあと思わせるような表現が何カ所もあり筆者の力を感じた。これはおすすめです。
Posted by ブクログ
子供だけが知っている「おもいで質屋」のお話。
思い出は、その人だけの大切な物というのは里華に同感だなぁ。
良い、悪い含めて、経験値が大人になるのに必要なことだと思う。
読んでいて雪成の自信に溢れた存在がとーっても嫌いでした。
それから魔法使いって、本当に魔法使いなんだぁ~という、なんか不思議な感覚で読んでいました。どこかで子供の幻想?って感覚が抜けなかったからかも。
Posted by ブクログ
若い女性には、「受ける」タイトルかもね。少女趣味的な一面もある作品ですが、人生にとって「一番大切なものは何か」を教えてくれるいい作品だと思う。
Posted by ブクログ
以前読んだ『秋の大三角』より、ずっと良かった。
あちらは2005年の作品ゆえ、6年もたてば、筆力も上がるか……(笑)
普通の生活の中に、ファンタジーが入り込む、まさにエブリディ・マジックの世界なのだけれど、あまりに普通の小説の顔をしているので、本当にファンタジーなのかどうか、いつも疑いながら、何度も読みかえしてしまう。
その不思議な導入がこの作者のテなのかもしれない。
さて、本書。
イメージとは程遠い魔法使いが、20歳以下の子どもたちのおもいでを買ってくれる海辺の町が舞台。
その家に出入りする遙斗と里香・・・・・それぞれの物語が動いていく。
私はかなりツボにはまる。
不自然な感じは否めないところも多々あるけれど、でも好き。
いまどきの10代の女の子の恋愛模様がきゅんきゅんしてしまう。
いじめへの対処もお見事。あ~、こんな風にできたら、すっきりするだろうな~
二十歳になること、乗り越えていかなくてはいけないこと、
忘れてはいけないこと。
そんなものに、久々に胸うたれ、何度も繰り返し読んでしまった。