飯嶋和一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ある土豪の村の住民が一夜に全て消えてしまう。
っていう説明にミステリーかなって勘違いをして手に取った。
いや作者が飯嶋和一さんなので、ミステリーとかSFじゃなく歴史小説だよね、とわかっているんだけど。
序章から二章の途中まで一体どういう話なのかピンとこないまま読んでいて、
私ったらまた背伸びして難しい本に手を出したかな?と後悔し始めた頃、
急に話が動いて、
これはボケ〜っと読んでたらいかんヤツや!となって再び序章から読み返したw
長い間、隠蔽された出来事だったらしいです。生瀬の乱とかって検索したら出てくるんですが、wikiじゃなくこの小説をぜひぜひ読んでみてほしいと思います!
抗えば一村亡 -
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戦歴の兵であり、島原・南目の村を支える庄屋、甚右衛門は悪政に耐えかねて年貢の準備をやめた。一方、反乱の引き金を引いた寿安は長崎で医道へ。
寡作ながら書けば名作ハズレなしと言われる飯嶋さんの、最高傑作との呼び声も高い本作は島原の乱の顛末を描いた歴史大作です。島原の乱といえば、学校の授業では天草四郎が主導した宗教戦争と習いましたが、近年では重税と圧政に苦しんだ民衆の一揆が主体だという説になっているそうです。一方で宗教戦争説も見直されたりして、本当のところはよくわかりません。
本作では、島原の領主、松倉家が課した非常識な税(年貢)とキリシタン弾圧で疲弊しきった民衆が、キリストの教えの元に結束して一 -
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ネタバレ久々の飯島和一、やっぱ読みごたえあったわぁ。
文庫700Pがっつり6日間かかってしまった。
島原の乱というと「キリシタンの反乱」という、宗教の自由を得るための戦いという思い込みがある、多分歴史の授業(それも義務教育中の)においてそう思い込まされたのだろうけど、実は重税に耐えかねた農民たちの反乱というのが本筋。さらには豊臣・徳川の争いの最終局面という見方もできるし、幾層にも積みあがった戦国封建政治の歪みが島原天草地方で噴出したというのが正解。
ということを、この本は教えてくれる。小説の時代も現在も政治をつかさどる連中の中には「下々のモノなどは税金を納める家畜」と思っている連中は少なからずいて -
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おもろかったです、が、飯島本のいいところも悪いところも出ている感じ。内容的には島原の乱が中心なんだが、最初に外崎恵舟から始まって、それがまた大変面白かったのでそのまま外崎恵舟とジュアンだけにフォーカスしてくれたらよかったのに、、ジェロニモ四郎のこととかいろんな話が詰め込まれすぎて散漫になりすぎ感あり。確かにいろんな方向からも知っとくとおもろいとは思うが、ゆうても娯楽小説なのでそこらへんは軽く流してよかろうか、、とは思う。もしくは高田本みたいに狭く狭く深く掘り下げてもらうほうが、、。ともかく、ハイレベルなところでの不満はあれど、やっぱり面白かったです。飯島本にハズレなし。
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ネタバレ読み進めるに連れて読む速度が遅くなり、しかしあるところから転げ落ちるように速度が早くなり、だけども読み終えることが辛くて、その速度を何度も落とそうとしたのだけども…読み終えました。
この本に出会えて苦しくとも幸せでした。読んでいる時期に自身の環境の変化があり、余計に感慨深いものがありました。
江戸初期に実際にあった、キリシタンに対しての苛烈を極めた弾圧と過酷な課税、そのためにすべての普通の生活を奪われ、天災による不作と貧困のために伝染病が蔓延し、もうどこにも引き返せなくなった農民たちが起こした、最大規模の反乱の話である。
キリシタンであることが反乱のすべての理由ではないのに、最後は討伐軍側の都 -
Posted by ブクログ
飯嶋氏の作品を読むのはいつもためらう。内容が濃く分厚いのでだいたい2週間くらいかかり、その間は他の本が読めない。でも読みきったあとの恍惚感というか、忘我の境地を味わえる本はそうそうない。それだけすごい。これぞ歴史小説。
舞台は島原の乱が起きる少し前の島原近辺。天候不順で不作が続き年貢を納めることもできなければ、自分たちが食べる穀物すらない状況下で、病が流行った。栄養状態が悪い子どもたちが真っ先に犠牲になり、ばたばたと死んでいった。にもかかわらず領主は備蓄米を放出することを拒み、年貢を納めらない農民から年貢代わりに牛馬を取り上げるという悪政で報いる始末。
かつてキリシタンの教えが広