飯嶋和一のレビュー一覧

  • 始祖鳥記

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    飯嶋和一の最高傑作。
    骨太で長編すぎて全然進まない、なかなかない読書体験。これぞ飯嶋和一…

    幸吉は、ただ飛びたいと願った気持ちだけだったのに。いつのまにか投獄されて、すべてを捨てて海を超え、それでもいろんな人との関わりのなかでまた結局戻ってくるのは「飛びたい」という気持ちだった。
    途中、塩の話と海とが繋がった瞬間は鳥肌もんでした。それぞれ、矜持のために、後世のために、世の中のために、生き抜いた男たちがいる。
    アツイ。あつすぎる。ハードボイルド時代小説やん。

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    2025年12月02日
  • 神無き月十番目の夜

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    ある土豪の村の住民が一夜に全て消えてしまう。
    っていう説明にミステリーかなって勘違いをして手に取った。
    いや作者が飯嶋和一さんなので、ミステリーとかSFじゃなく歴史小説だよね、とわかっているんだけど。
    序章から二章の途中まで一体どういう話なのかピンとこないまま読んでいて、
    私ったらまた背伸びして難しい本に手を出したかな?と後悔し始めた頃、
    急に話が動いて、
    これはボケ〜っと読んでたらいかんヤツや!となって再び序章から読み返したw

    長い間、隠蔽された出来事だったらしいです。生瀬の乱とかって検索したら出てくるんですが、wikiじゃなくこの小説をぜひぜひ読んでみてほしいと思います!

    抗えば一村亡

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    2025年10月21日
  • 黄金旅風

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    長崎を基点とした海外貿易がもたらす富と権力がどれほど人の心を狂わせたのか、知識や技術、物品と共に渡来したキリスト教が当初は有り難がられたもののやがて弾圧へと舵を切った背景など、江戸時代の長崎の様子をここまで深く描いた作品に初めて出会いました。
    しかも幕府の権力者の立場ではなく、地元の人間からの視点であるところが良い。
    かなりのボリュームですが、それだけの価値があると思います。

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    2025年03月14日
  • 始祖鳥記

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    空を飛ぶことに執着した男。意図しない社会の反応。数奇な運命。漢たちの情熱。
    江戸時代、岡山城下の表具屋の職人が空を飛んだことは事実として残ってるそうで、それに脚色してるんだとは思うけど、こんな人がいたかもと思わせる。
    面白かった。

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    2023年08月20日
  • 出星前夜

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    戦歴の兵であり、島原・南目の村を支える庄屋、甚右衛門は悪政に耐えかねて年貢の準備をやめた。一方、反乱の引き金を引いた寿安は長崎で医道へ。

    寡作ながら書けば名作ハズレなしと言われる飯嶋さんの、最高傑作との呼び声も高い本作は島原の乱の顛末を描いた歴史大作です。島原の乱といえば、学校の授業では天草四郎が主導した宗教戦争と習いましたが、近年では重税と圧政に苦しんだ民衆の一揆が主体だという説になっているそうです。一方で宗教戦争説も見直されたりして、本当のところはよくわかりません。
    本作では、島原の領主、松倉家が課した非常識な税(年貢)とキリシタン弾圧で疲弊しきった民衆が、キリストの教えの元に結束して一

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    2023年08月12日
  • 始祖鳥記

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    一万円選書に入ってた。
    歴史物特有の言い回しにとっつきにくさを感じるけど、読み応えがあって、すごく面白かった。
    安住せずに己の道を開く情熱に感動する一冊。

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    2023年01月17日
  • 出星前夜

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    飯嶋和一、やっぱり「力量もある善なる者」が絶望的に負ける話がええのよね、「神無き月〜」とか。こんな読み方性格悪いんかも知れんけど。
    島原の乱、正直よく知らんかった、そもそも「島原」なのにリーダーがなんで「天草」なのか、とか。まぁ読み甲斐あるわ。

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    2022年11月17日
  • 狗賓童子の島

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    いやー参った。700ページを超える大作に、完読できるだろうか?と不安だったけど、最後の方になったら、読み終わりたくない、このままずっと読み続けたい、と思うようになった。それくらい凄い物語だ‼️

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    2022年08月18日
  • 星夜航行(上)(新潮文庫)

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    権力階層から転落した者や市井で暮らす者からの視点で描かれる飯嶋和一さんの歴史。ひとかどの人物であるが、ちょっと変わり者だったり、二つの派閥の間で中間管理職的に四苦八苦する。
    本作も馬飼いから武士、商人、通訳と立場を変えながら日本、台湾、フィリピン、朝鮮を股にかけ活躍する主人公。しかも実在の人物となれば面白いこと間違いない。

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    2022年01月05日
  • 出星前夜

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    素晴らしい。目の前で、ひとびとが動いているのが、リアルにわかる表現。しかも丁寧な取材をされている。
    島原の乱はこうだったんだ、とドキュメンタリー映画を観ているような感覚になった。
    虐げられる側に立った優しさと、正義の強さをもった作家の力作だ。
    これは、大傑作である。
    なんども読み直したい。

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    2021年12月13日
  • 始祖鳥記

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    ネタバレ

    江戸時代に空を飛ぶ事に取り憑かれた男
    器用で、仕事でも対価を得ているのに・と思うのは一般人の考え。幸吉はただただ飛びたいという己れの思いで行動するのが良い。皮肉な事に彼の行動は腐った世の中ではヒーロー扱いされてしまうが、ブレることなく自分の欲望を叶えていく姿は清々しい。中々大凧が想像し難いのでドラマ化して見てみたい

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    2021年07月04日
  • 狗賓童子の島

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    いわた書店選書
    驚くほど綿密な調査を積み重ね
    リアリティーあふれる幕末の歴史を描いている
    文句なしに面白い

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    2020年04月15日
  • 出星前夜

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    ネタバレ

    初飯嶋。学生時代に習った“島原・天草の乱”の裏側?というか、実際はこうだったのかのではないかと思う程の描写に力がありました。この時代のトップらもやはり糞ばかりでホント反吐が出る…。傑作でした!最後のジュアンがこの物語の唯一の希望の光でした^^ 個人的には松平伊豆守を刀で斬り伏せて欲しかったなぁ。星四つ半。

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    2019年05月14日
  • 出星前夜

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    ネタバレ

    久々の飯島和一、やっぱ読みごたえあったわぁ。
    文庫700Pがっつり6日間かかってしまった。

    島原の乱というと「キリシタンの反乱」という、宗教の自由を得るための戦いという思い込みがある、多分歴史の授業(それも義務教育中の)においてそう思い込まされたのだろうけど、実は重税に耐えかねた農民たちの反乱というのが本筋。さらには豊臣・徳川の争いの最終局面という見方もできるし、幾層にも積みあがった戦国封建政治の歪みが島原天草地方で噴出したというのが正解。

    ということを、この本は教えてくれる。小説の時代も現在も政治をつかさどる連中の中には「下々のモノなどは税金を納める家畜」と思っている連中は少なからずいて

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    2018年08月07日
  • 始祖鳥記

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    実在した人をモチーフに描かれた話。
    日本人初の有人飛行に成功したとされる人。

    いつもそうだけれど、ここまで夢中になれる何かがあるのは羨ましい。いっそ妬ましいくらい。
    例えそれが原因で周りや生活がうまくいかない時があっても、そんなに自分の情熱を傾けられるものに出会えることは一種の幸せだと思う。
    表具師という仕事、今ではすっかり聞きなれない職業になってしまいましたが、自分でものを作り出すかっこいい仕事だな、と思います。

    1万円選書の一つ。

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    2018年06月22日
  • 出星前夜

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    おもろかったです、が、飯島本のいいところも悪いところも出ている感じ。内容的には島原の乱が中心なんだが、最初に外崎恵舟から始まって、それがまた大変面白かったのでそのまま外崎恵舟とジュアンだけにフォーカスしてくれたらよかったのに、、ジェロニモ四郎のこととかいろんな話が詰め込まれすぎて散漫になりすぎ感あり。確かにいろんな方向からも知っとくとおもろいとは思うが、ゆうても娯楽小説なのでそこらへんは軽く流してよかろうか、、とは思う。もしくは高田本みたいに狭く狭く深く掘り下げてもらうほうが、、。ともかく、ハイレベルなところでの不満はあれど、やっぱり面白かったです。飯島本にハズレなし。

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    2017年10月27日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

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    おもろかった、たまらんタギリます、。もともと獏本餓狼伝とかあっち系等が非常に好きだったのですが、こういう静かな格闘系もええですねぇ。いや〜〜もー、読んでいる間ずっとアリスのチャンピオンが頭の中でまわりつづけてましたわ。鹿児島県トカラ列島の宝島で生まれたボクサーの物語、特に復活して減量し試合のくだりは圧巻やねぇ。やっぱりハズレないですな飯嶋本。

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    2017年10月22日
  • 出星前夜

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    ネタバレ

    読み進めるに連れて読む速度が遅くなり、しかしあるところから転げ落ちるように速度が早くなり、だけども読み終えることが辛くて、その速度を何度も落とそうとしたのだけども…読み終えました。
    この本に出会えて苦しくとも幸せでした。読んでいる時期に自身の環境の変化があり、余計に感慨深いものがありました。
    江戸初期に実際にあった、キリシタンに対しての苛烈を極めた弾圧と過酷な課税、そのためにすべての普通の生活を奪われ、天災による不作と貧困のために伝染病が蔓延し、もうどこにも引き返せなくなった農民たちが起こした、最大規模の反乱の話である。
    キリシタンであることが反乱のすべての理由ではないのに、最後は討伐軍側の都

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    2017年08月13日
  • 出星前夜

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     飯嶋氏の作品を読むのはいつもためらう。内容が濃く分厚いのでだいたい2週間くらいかかり、その間は他の本が読めない。でも読みきったあとの恍惚感というか、忘我の境地を味わえる本はそうそうない。それだけすごい。これぞ歴史小説。
     
     舞台は島原の乱が起きる少し前の島原近辺。天候不順で不作が続き年貢を納めることもできなければ、自分たちが食べる穀物すらない状況下で、病が流行った。栄養状態が悪い子どもたちが真っ先に犠牲になり、ばたばたと死んでいった。にもかかわらず領主は備蓄米を放出することを拒み、年貢を納めらない農民から年貢代わりに牛馬を取り上げるという悪政で報いる始末。


     かつてキリシタンの教えが広

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    2017年08月15日
  • 雷電本紀

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    大作、力作であることは疑う余地のないところ。

    ただ、話の流れが前後するため、流れがつかみにくい。

    20歳の頃の話のあとに、18歳の頃の話になり、
    別の人の話がはじまり、26歳の頃の話になるという調子で
    編年形式ではない点が難点だった。

    資料がないなかで人物像を浮かび上がらせるため
    いろんな周辺人物で脇を固めているものの、
    ややもすると雷電の物語なのか、雷電周辺の人の物語か
    わからなくなってくる。

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    2016年10月23日