飯嶋和一のレビュー一覧

  • 始祖鳥記
    空を飛ぶことに執着した男。意図しない社会の反応。数奇な運命。漢たちの情熱。
    江戸時代、岡山城下の表具屋の職人が空を飛んだことは事実として残ってるそうで、それに脚色してるんだとは思うけど、こんな人がいたかもと思わせる。
    面白かった。
  • 出星前夜
    戦歴の兵であり、島原・南目の村を支える庄屋、甚右衛門は悪政に耐えかねて年貢の準備をやめた。一方、反乱の引き金を引いた寿安は長崎で医道へ。

    寡作ながら書けば名作ハズレなしと言われる飯嶋さんの、最高傑作との呼び声も高い本作は島原の乱の顛末を描いた歴史大作です。島原の乱といえば、学校の授業では天草四郎が...続きを読む
  • 始祖鳥記
    一万円選書に入ってた。
    歴史物特有の言い回しにとっつきにくさを感じるけど、読み応えがあって、すごく面白かった。
    安住せずに己の道を開く情熱に感動する一冊。
  • 出星前夜
    飯嶋和一、やっぱり「力量もある善なる者」が絶望的に負ける話がええのよね、「神無き月〜」とか。こんな読み方性格悪いんかも知れんけど。
    島原の乱、正直よく知らんかった、そもそも「島原」なのにリーダーがなんで「天草」なのか、とか。まぁ読み甲斐あるわ。
  • 狗賓童子の島
    いやー参った。700ページを超える大作に、完読できるだろうか?と不安だったけど、最後の方になったら、読み終わりたくない、このままずっと読み続けたい、と思うようになった。それくらい凄い物語だ‼️
  • 星夜航行(上)(新潮文庫)
    権力階層から転落した者や市井で暮らす者からの視点で描かれる飯嶋和一さんの歴史。ひとかどの人物であるが、ちょっと変わり者だったり、二つの派閥の間で中間管理職的に四苦八苦する。
    本作も馬飼いから武士、商人、通訳と立場を変えながら日本、台湾、フィリピン、朝鮮を股にかけ活躍する主人公。しかも実在の人物となれ...続きを読む
  • 出星前夜
    素晴らしい。目の前で、ひとびとが動いているのが、リアルにわかる表現。しかも丁寧な取材をされている。
    島原の乱はこうだったんだ、とドキュメンタリー映画を観ているような感覚になった。
    虐げられる側に立った優しさと、正義の強さをもった作家の力作だ。
    これは、大傑作である。
    なんども読み直したい。
  • 始祖鳥記
    江戸時代に空を飛ぶ事に取り憑かれた男
    器用で、仕事でも対価を得ているのに・と思うのは一般人の考え。幸吉はただただ飛びたいという己れの思いで行動するのが良い。皮肉な事に彼の行動は腐った世の中ではヒーロー扱いされてしまうが、ブレることなく自分の欲望を叶えていく姿は清々しい。中々大凧が想像し難いのでドラマ...続きを読む
  • 狗賓童子の島
    いわた書店選書
    驚くほど綿密な調査を積み重ね
    リアリティーあふれる幕末の歴史を描いている
    文句なしに面白い
  • 出星前夜
    初飯嶋。学生時代に習った“島原・天草の乱”の裏側?というか、実際はこうだったのかのではないかと思う程の描写に力がありました。この時代のトップらもやはり糞ばかりでホント反吐が出る…。傑作でした!最後のジュアンがこの物語の唯一の希望の光でした^^ 個人的には松平伊豆守を刀で斬り伏せて欲しかったなぁ。星四...続きを読む
  • 出星前夜
    久々の飯島和一、やっぱ読みごたえあったわぁ。
    文庫700Pがっつり6日間かかってしまった。

    島原の乱というと「キリシタンの反乱」という、宗教の自由を得るための戦いという思い込みがある、多分歴史の授業(それも義務教育中の)においてそう思い込まされたのだろうけど、実は重税に耐えかねた農民たちの反乱とい...続きを読む
  • 始祖鳥記
    実在した人をモチーフに描かれた話。
    日本人初の有人飛行に成功したとされる人。

    いつもそうだけれど、ここまで夢中になれる何かがあるのは羨ましい。いっそ妬ましいくらい。
    例えそれが原因で周りや生活がうまくいかない時があっても、そんなに自分の情熱を傾けられるものに出会えることは一種の幸せだと思う。
    表具...続きを読む
  • 出星前夜
    おもろかったです、が、飯島本のいいところも悪いところも出ている感じ。内容的には島原の乱が中心なんだが、最初に外崎恵舟から始まって、それがまた大変面白かったのでそのまま外崎恵舟とジュアンだけにフォーカスしてくれたらよかったのに、、ジェロニモ四郎のこととかいろんな話が詰め込まれすぎて散漫になりすぎ感あり...続きを読む
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず
    おもろかった、たまらんタギリます、。もともと獏本餓狼伝とかあっち系等が非常に好きだったのですが、こういう静かな格闘系もええですねぇ。いや〜〜もー、読んでいる間ずっとアリスのチャンピオンが頭の中でまわりつづけてましたわ。鹿児島県トカラ列島の宝島で生まれたボクサーの物語、特に復活して減量し試合のくだりは...続きを読む
  • 出星前夜
    読み進めるに連れて読む速度が遅くなり、しかしあるところから転げ落ちるように速度が早くなり、だけども読み終えることが辛くて、その速度を何度も落とそうとしたのだけども…読み終えました。
    この本に出会えて苦しくとも幸せでした。読んでいる時期に自身の環境の変化があり、余計に感慨深いものがありました。
    江戸初...続きを読む
  • 出星前夜
     飯嶋氏の作品を読むのはいつもためらう。内容が濃く分厚いのでだいたい2週間くらいかかり、その間は他の本が読めない。でも読みきったあとの恍惚感というか、忘我の境地を味わえる本はそうそうない。それだけすごい。これぞ歴史小説。
     
     舞台は島原の乱が起きる少し前の島原近辺。天候不順で不作が続き年貢を納める...続きを読む
  • 雷電本紀
    大作、力作であることは疑う余地のないところ。

    ただ、話の流れが前後するため、流れがつかみにくい。

    20歳の頃の話のあとに、18歳の頃の話になり、
    別の人の話がはじまり、26歳の頃の話になるという調子で
    編年形式ではない点が難点だった。

    資料がないなかで人物像を浮かび上がらせるため
    いろんな周辺...続きを読む
  • 始祖鳥記
     ライト兄弟の人類初の飛行機による初飛行よりも120年も前の江戸時代後期、人は空を飛べると確信した男がいた。

     備前屋幸吉は表具師としての腕を持ち、その腕で己を乗せた大凧を作った。
     職人としての最高位の銀払いの身であったが、空を飛んだことで人心を惑わした罪で岡山から追放された。

     幕政に苦しむ...続きを読む
  • 出星前夜
    早く次の作品が出ないかなと、いつも待ちきれない数少ない作家の一人。
    飯島和一さんの作品は四~五年に一回くらいしか出ず、それだけ内容に吟味を重ねて作られているのだろうと想像する。時代小説を書く作家は多けれど、これほど引き込まれ心を震わす作品を書かれる作家も珍しいのではないか。
    ならば何故有名では無いの...続きを読む
  • 出星前夜
    2009年本屋大賞7位

    島原の乱

    自分の今まで持っていた「島原の乱」のイメージといえば
    “エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり” の山田風太郎「魔界転生」。
    “妖艶”且つ“神格化”された悲劇のヒーローだったのに、本作を読んであまりのギャップに驚愕。

    沈鬱な話であるのに、征伐...続きを読む