あらすじ
史上最強の相撲人・雷電を描いた傑作歴史巨編!
異常気象、凶作、飢餓、疫病の蔓延と、厄災ばかりがうち続いた江戸天明期、後世まで語り継がれる一人の力士が彗星のごとく現れた。巨人のような体躯と野獣のような闘志で豪快に相手を投げ倒していくこの男に、抑圧され続けてきた民衆は未来への希望の光を見た。実在の伝説的相撲取り「雷電」の一生を、緻密な時代考証を踏まえドラマチックに描いて、飯嶋和一の名を世に知らしめた大傑作歴史巨編の文庫版を電子化!
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Posted by ブクログ
大作、力作であることは疑う余地のないところ。
ただ、話の流れが前後するため、流れがつかみにくい。
20歳の頃の話のあとに、18歳の頃の話になり、
別の人の話がはじまり、26歳の頃の話になるという調子で
編年形式ではない点が難点だった。
資料がないなかで人物像を浮かび上がらせるため
いろんな周辺人物で脇を固めているものの、
ややもすると雷電の物語なのか、雷電周辺の人の物語か
わからなくなってくる。
Posted by ブクログ
昨今の相撲業界のみなさんがこぞって読んだらいいんじゃないだろうか。
雷電という人が象徴するもの、ひとくちには言えないが、そこにある、自尊心、誇り、怒り、強さ、静けさ、優しさ、正直さ、野性、猛々しさ、まっすぐさ、そういうものに心を打たれる。
相撲業界だけでなく、ぼく自身も背筋がピンとなってしまう、そういう小説だ。
Posted by ブクログ
飯嶋和一にハズレなし!と帯に書いてあるのですが本当です。
いろんな歴史の一面を切り取ってたくさんの作品を残していただきたいです。
ちなみに相撲に興味の無い私ですが本作はとても楽しめました。
Posted by ブクログ
江戸時代に実在した力士・雷電と、商人助五郎を描いた物語。
ときは天明、度重なる飢饉や一揆で苦しむ貧しい庶民を、雷電は相撲を取ることで希望を与えていく。
決しておごらず天性の体格を生かして自己鍛錬を重ねていく雷電だけでなく、彼の良き理解者として支える助五郎の気骨や人情もまた、すがすがしく心洗われる。
一番印象に残ったのは、大火事や天災の後に、雷電が赤子たちを抱き上げ厄災祓いをするシーン。
この場面は何度も繰り返し描かれるが、搾取し利権をむさぼる侍達とは対照的に、民衆を励ます存在として己のすべきことをこなす雷電の、民草への優しい視線に心打たれる。
また、この時代の庶民の生活が丹念に描写されており、リアリティ溢れる重厚な奥行きを物語に与えている。
ただ、時間軸が前後しながら描かれていくので、頭の中を整理しながら読み進める必要があり、読みにくいと感じる人が多いかも。
Posted by ブクログ
雷電と呼ばれる偉大な相撲取りの人生を描いた物語。
最初から最後まで、雷電は市井の人々の味方だった。勝ち続ける重圧を1人で受け入れた。抱え込んでいたものの大きさを思うと、ずっと切ない。
雷電は実在したらしい。
さらっと見て終わりにしてしまっていた富岡八幡宮の大相撲石碑、ゆっくり見に行こう。
Posted by ブクログ
伝説の大関「雷電」本紀。
浅間山噴火による天明飢饉の鬱屈とした時代を背景に稀人雷電の傑出した相撲人としての姿を描く。
江戸時代の相撲文化や興行のあり方も分かる傑作。
雷電は貴ノ浪に押しの強さを加えて磐石にした感じのイメージで読んでいました。
Posted by ブクログ
その場の空気にもふれられそうな文章があいかわらず見事。
この方の小説を読んでいると、“このままでいいのか”“今のままで満足するのか”と
自分自身がせっつかれているような気がする。
Posted by ブクログ
飯嶋氏の小説は淡々と描かれているがその文章が心に沁み入る。
この著作も面白かった。
文の流れにあまり抑揚はないのだが自然と感慨に耽ってしまう。
著作全て読まずにはいられない。
Posted by ブクログ
モンゴル勢に土をつけ来場所綱取りがかかる大関琴奨菊、なんと10年ぶりの日本人力士の優勝だった。TVを観ていて感動した。相撲つながりでこちら『雷電本紀』を手にする。
なんと雷電は21年間現役相撲人生で10回しか負けていない、勝率.962で、大相撲史上未曾有の最強力士(wiki参照)と言われている。ただ強いだけではない涙あり笑いありの自伝である。強い力士といえば、『ああ播磨灘』さだやす圭による日本の漫画作品がある。憎らしいほど強く無敵だ。実在した力士、朝青龍は強くても好きくないな(笑
Posted by ブクログ
全1巻。
個人的にちょっと雷電を調べる必要があって読んでみる。
それほど相撲に興味が無くても引き込まれる
迫力ある取り組みの描写はすごかった。
また、雷電が伝説的強さと優しさを兼ね備えた
魅力的な人物として描かれているのも好感。
ただ、個人的には小説としては....な感じだった。
雷電の話と思って読んでみると、
ずいぶん長く別の人物の描写にページを割いていて、
その人物と雷電の友情が軸に物語は進むのだけど、
時間も人物も行ったり来たりで混乱する。
著者が小説っぽい書き方を嫌っているようだったけど、
それにしても話が見えなく、
イマイチはっきりしない印象だった。