飯嶋和一のレビュー一覧

  • 黄金旅風

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    江戸初期の長崎にて、鎖国に至るまでの経緯を代官の家に生まれた平左衛門の視点を中心に描かれた物語

    以下、公式のあらすじ
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    江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、後に史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門と、その親友、内町火消組惣頭・平尾才介だった。代官であった平左衛門の父・末次平蔵の死をきっかけに、新たな内外の脅威が長崎を襲い始める。そのとき、卓越した政治感覚と強靱な正義感を持つかつての「大馬鹿者」二人が立ち上がった。
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    2024年05月27日
  • 始祖鳥記

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    江戸時代に鳥のように空を飛ぶことに人生を賭けた男の話。
    凧揚げが盛んな地で育ち、表具屋としての技を磨くうちに凧で空を飛ぶことを思いつく。しかし実験を重ねるうちに大騒動になり町から追放となってしまう。そんな時に幼馴染の船乗りが彼を拾い、共に廻船業を営むが海育ちの者との差を感じ陸暮らしを始めるが、あることがきっかけで再び空を飛ぶことへの挑戦を始める。

    実在の人物と思われるが、ほとんど記録が残っていないため大半が創作らしい。
    他の作品と比べるとドラマチックさは控えめ。主人公の行動を通して、当時の世の中のシステムへの批判的な面も窺える。
    空を飛ぶことへの執着は主人公の性質という感じではあるが、もう少

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    2024年01月12日
  • 始祖鳥記

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    ネタバレ

    一万円選書の二冊目。
    私にはちょっと難しかったかも…
    幸吉の人となりはわかったし、物語的にも面白かったけど、細かい設定があまり頭に入らず流し読みしてしまった。歴史小説は好きな方なんだけど、わかりやすく没入できる司馬遼太郎はすごいなと思ってしまった。ただただ私の読解力の問題だけど。

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    2024年01月03日
  • 出星前夜

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    初めて作者の作品を読んだが、躍動感を感じられなかったことと、討伐軍・蜂起軍双方に感情移入できなかったことから、メインの島原の乱の攻防シーンが遅々として読み進まなかった。

    序盤の村での蜂起の場面までは同情し怒りを共感し没入できたが、寿安や鬼塚監物が暴徒化を自覚した段階で同時に熱が冷めてしまった。作者は蜂起側寄り(というより客観的な歴史分析として幕府の非を糾弾する意図だと思うが。)だったが私個人は松倉家以外の大名・家来にも同情を禁じ得ず、勿論根底には劣悪な環境改善の訴えがあるとはいえ、信仰を盾にして人を殺していく蜂起勢への身勝手さに怒りを覚えるほどだった。鬼塚監物はまだ理性的な人物として描かれて

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    2023年01月08日
  • 星夜航行(下)(新潮文庫)

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    上巻に引き続き朝鮮出兵及び貿易や国内情勢が詳細に描写されている。
    市民の苦渋に見向きもされず、なおも強硬に戦おうとする秀吉に終始ムカムカしながら読んだ。
    主人公の最後はびっくり。
    こういう終わりだとは思わなかった。

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    2022年03月20日
  • 星夜航行(上)(新潮文庫)

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    小説とは分かっているけれども、詳細に描写された内容に歴史書であるように錯覚してしまう。
    会話文は少なく、説明が多いため読むのにすごく時間がかかった。
    武将たちの歴史物は読んできたが、町民商人の視点で見るお話は戦の無益さや理不尽さが克明にあらわれているなぁ。
    下巻ではどうなるのか…

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    2022年03月19日
  • 始祖鳥記

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    てっきりギリシア神話のイカロスをめぐるお話のような完全なフィクションを想像していたのですが。半分違ってました。実在の人物を題材にしており、作中で発生した事件も史実に基づいているみたいです。
    この種の作品はどうしても歴史上の出来事に縛られてしまうため、往々にして展開が窮屈になってしまいがちですが、本作もその例に漏れていない印象です。
    また、本作のキモは間違いなく第二部の塩をめぐる幕府や問屋との対決で、この部分はかなり面白く読めたのですが、相対的に幸吉が空を飛ぶお話が付け足し程度にしか思えないという弊害が・・・。第一部が終わった時はこの後何をやらかしてくれるんだろうと期待したんだけどなあ。結局、『

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    2021年09月09日
  • 出星前夜

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    706ページの大作は、繰り返しの多い筋運びも相まって、読み切るのに骨が折れた。
    歴史の教科書では数行で終わる「島原の乱」が、これほど凄惨なものだったとは。大作の過半が戦い以前に割かれ、為政者の出鱈目な圧政に虐げられた民衆の苦しみが限界に達していく様が描かれる。閾値を超えた民衆の苦しみは支配への抵抗へと向かうが、もたらされるのは救いでも解放でもなく、殺戮合戦による膨大な屍だった。
    それは私の受け取りであって、彼らにとって戦いの果の死は、救いや解放を意味するのだろうか。

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    2021年07月02日
  • 始祖鳥記

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    今年はエンタメ最優先と決めているので、基本的に小難しそうな文学には、たぶん殆ど手を出さない。当然本作も、各所で絶賛されているのを見て、なるべく早めに読みたいと思っていたものの一つ。個人的に感じるふとした懸念は、同じく絶賛される”黄金旅風”につき、それほどポジティブなイメージが残っていない点だった。そして本作。正直、しんどかった。上記の個人的今年のポリシーから、止めようかとも思った。時代背景についての細かい描写は、知っておくべきだろうし、分かった方が楽しめるんだろうけど、踏み込むとドツボに嵌ること必定なんで、基本的には読み飛ばし。その上で尚、読み進めるのがしんどかった。特に第2部は、ここだけ視点

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    2021年02月09日
  • 黄金旅風

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    キリシタン弾圧が始まり、鎖国が本格化し始めた頃の長崎を舞台にした歴史小説。内容は面白かったし、よく調べてあるのだろうとは思うのだけど、正直読みにくかった。話がうまく流れてくれない感じ。それが残念。

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    2020年02月19日
  • 出星前夜

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    ネタバレ

    島原の乱が起こった背景を丁寧に描く時代小説。乱の首謀者といわれている天草四郎を主とするのではなく、生活苦に悩む人々に焦点を当てて、物語は進んでいく。

    これを読むとキリスト教というより、悪政に苦しんだ結果、蜂起がおこったというのが正しい見方なのかも知れない。キリスト教を禁止するための名目にこの反乱が利用されたのだろう。

    本作は悲劇的な話だが、政治に翻弄される人民、反乱そのものを政治利用する政府(幕府)、騙される人民という構図は今も変わっていないのだろうと思う。

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    2020年01月12日
  • 始祖鳥記

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    私自身が時代小説が苦手で、存分にこの小説を堪能できたというわけではないのだが、江戸にはびこる悪政の中で男前に戦う、幸吉をはじめとした登場人物に魅了され、前代未聞のこころみを行う苦労、苦心、工夫に引き込まれた。今ぼんやり生きている自分の人生って何だろう・・・?と、作中の人物ではないが、考えさせられてしまう。私は空を飛ばないが、そういう意味では解説でも触れられていたが危険な小説である。

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    2018年10月26日
  • 黄金旅風

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    重かったー。気分的にじっくり読みたいときには満足感も得られそうだけど、ちとそういう気分でなかったためにともかく重い。というわけで上っ面をなめてしまった感ありながら、正義の味方というものもなく、厳しい現実を突きつけられながら読んでいくという、ある種のストイックさを求められるのであった。歴史は厳しい。

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    2017年07月15日
  • 雷電本紀

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    後半からグイグイ引き込まれる。江戸時代のお相撲さんの話かと思いきや、町民文化的なディティールと生き様的な漢っぽさに読み応えたっぷり。

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    2017年05月04日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

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    一度は引退したボクサーがカムバックしてくる話。非常に緻密かつ克明にボクシングの試合を書ききっていて、それこそリング上のすべての出来事を書いているよう。文章を読むだけで試合を生で観たような大きな満足感を得る。ボクシングに詳しいわけではないが、ボクサーの試合はこういうものだという事がこの本を読めばよくわかると思う。ボクシング好きな人に是非読んでもらい感想を聞きたい。

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    2017年03月12日
  • 出星前夜

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    な、ながかった。。。。面白いんだけど、だんだん最後の方は流し読みになってしまった。とはいえ、色々なことを考えさせれられる1冊だった。

    島原の乱をベースに描かれた時代小説。
    松倉家への苛政に対する武装発起を様々な角度から描かれている。英雄が現れて、民衆とともに立ち上がる!というようなものではなく、そこにいる一人ひとりが主役になっている。

    解説より↓
    「殉教という響きに陶酔する危うさ。戦の寒々しい熱狂の後にやってくる虚無感。上を前にした時に現れる人間の本性。カリスマを崇める心の弱さ。統率を失った時、いとも簡単に崩れる個人の意思と自制。善の陰に潜む醜さ。特定の人間を崇めることなく、また特定の宗門

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    2017年02月20日
  • 雷電本紀

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     モンゴル勢に土をつけ来場所綱取りがかかる大関琴奨菊、なんと10年ぶりの日本人力士の優勝だった。TVを観ていて感動した。相撲つながりでこちら『雷電本紀』を手にする。

     なんと雷電は21年間現役相撲人生で10回しか負けていない、勝率.962で、大相撲史上未曾有の最強力士(wiki参照)と言われている。ただ強いだけではない涙あり笑いありの自伝である。強い力士といえば、『ああ播磨灘』さだやす圭による日本の漫画作品がある。憎らしいほど強く無敵だ。実在した力士、朝青龍は強くても好きくないな(笑

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    2016年02月26日
  • 始祖鳥記

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    時代背景を詳細に書きまくっている小説。こういう日本人がいたことが凄いと言うか、日本人だからやったような気がする出来事。日本人という存在をあらためて考えさせられた。

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    2015年11月23日
  • 黄金旅風

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    本屋大賞、2006年度8位。歴史小説だけど、教科書を読んでるみたいで、あんま盛り上がってこない。史実を忠実に再現してるのか、エピソードがぶつぶつ切れてるのと、説明が多すぎてるのとで、読むのに苦労した。

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    2015年01月23日
  • 始祖鳥記

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    ネタバレ

    陸軍大佐の竹内正虎が日本航空発達史の中で取り上げている、備前屋幸吉の話で、凧が好きで、遂には、自分がその凧に乗って空を飛んで、世間を騒がせた話だ。当時は、飢饉などへの幕府の対応が悪く、世間は不満の塊であり、凧に乗って飛んだ幸吉が、鵺になぞらえられて、『イツマデ、イツマデ』と、幕府の失策がいつまで続くのか揶揄したと言ったように、間違って世間に捉えられ、幸吉は備前を追われる。
    封印していた凧作りがひょんなことから、再びすることになり、また、大空を飛びたいという欲望に駆られ、とんでしまう。

    幸吉は人間が空を飛んだ最初の人である。ライト兄弟より100年以上も前の話である。

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    2014年11月01日