飯嶋和一のレビュー一覧

  • 始祖鳥記

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    面白かった。最後まで心地よく読む事が出来た。
    情景描写、心情描写も上手く、読んでいてどんどんと作品世界に引き込まれていく感じ。

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    2012年08月20日
  • 神無き月十番目の夜

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    史実を基にしてこれを書いたなら相当この作者、つわものだと思う。

    最初は人物も状況もよくわからないままだけど、
    途中から流れがつかめてくると、全容が一気に駆け抜ける。
    そして最初のシーンに戻るという驚愕の小説。

    人の欲の尽きるところなし。
    どの時代もそこは一緒なんだなと実感させられる。

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    2012年07月15日
  • 黄金旅風

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    ネタバレ

     先に読んだ『天地明察』のライトな感じにいささか不完全燃焼な感じを覚え、私としては珍しく続けて歴史モノをチョイス。高校日本史Bの教科書に名前が載っていた末次平蔵の息子・平左衛門(二代目末次平蔵)が主人公。
     もはや小説なのか歴史書なのか、どこまでがフィクションでどこからが史実なのかわからんほどに書き込まれていて、しかも次々新しい人名が登場するため、一見不親切で難解に見える。けれど、重要な部分は繰り返し筆を費やしているため、いつの間にか気にならなくなってくる。さすが信頼の飯嶋和一クオリティ。
     ついつい歴史的考察の深さにばかり目が行ってしまうけど、作者が創作したエピソードもすごく面白い。了介のも

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    2012年06月20日
  • 雷電本紀

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    皆さんは相撲界最強の力士、雷電をご存知だろうか。
    この作品は江戸時代に最強の大関(当時の最高位)として活躍した雷電を主人公にした小説である。

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    2012年05月10日
  • 神無き月十番目の夜

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    太平の世を築き上げようとする江戸初期の裏歴史。徹底した封建制度のなかで、消えていったのは誇り高い百姓たちだけではなく、神もまたその一人だった。

    とにかくやるせない読書だった。誰かが大切にしているものが踏みにじられていくのを読むのがこんなに辛いものだとは。途中でもう何度もやめようと思ったが、最後までなんとか読み終えた。HPが大幅に減った気がする。

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    2012年03月24日
  • 神無き月十番目の夜

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    戦国末期、ヒエラルキー下部に位置づけられてしまった農民たちの、その溢れる生命力ゆえの戦いと弾圧の軌跡を描いた力作。倒叙的に結末が見えているせいか、ただただ読み進むのがつらい(決して読みにくい文章だという意味ではありません。念のため)。口伝も記録もほとんどない日本の片隅の小さな史実から、よくここまでの物語をつむげるものだと驚嘆します。

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    2011年12月15日
  • 雷電本紀

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    読み始めると、外の音が聞こえなくなるくらい没頭。
    心が締め付けられ、苦しくてハッとした。
    しみじみと静かに響く力強さに言葉も出ない。

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    2011年02月06日
  • 始祖鳥記

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    航空学の父と称されるジョージ・ケイリー卿の有人グライダー実験に先立つこと60年、天明5年に有人飛行したといわれる備前岡山の表具師・幸吉の一生を描いた作品。
    三部構成になっていますが、第一部で幸吉は空を飛んでしまいます。これから先、どういう展開になるのだろうかと思っていると、第二部では幸吉は完全に脇役に回り、岡山を所払いになった幸吉が身を寄せた船頭が主役になります。この第二部(塩の専売に対する幕府側商人と自由商人の闘争)が面白い。本音を言えば第一部の間は、引き込まれるという感覚がなかったのですが、第二部に入ってからページがどんどん進むようになります。
    そして第三部。主人公は、船を降り、駿府で商人

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    2016年07月31日
  • 黄金旅風

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     江戸初期の貿易都市長崎を描いた作品だ。とにかくすごいの一言だ。

     その一 鎖国が行われるかもしれない政治的閉塞感がすごい

     その二 宗教政策から人種政策まで長崎の特殊と雰囲気がすごい

     その三 人間がでっかいのがすごい

     なんだか三言になっているが江戸初期のポルトガル、イギリス、オランダ、中国との交易から宗教問題がよく分かる。さらに国際都市としての長崎の複雑さ、幕府とのやり取りの煩雑さや派閥争いから来る命のやりとりが手を握るほど熱い。

     一体誰の目を通して長崎が描かれているか?それがこの小説の主人公、末次平左衛門と平尾才介だ。自由奔放にして素晴らしい平衡感覚(政治、人種間など) 同

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    2010年09月14日
  • 黄金旅風

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    時代考証の深さに圧倒され、緻密な考察に唸りをあげる。
    係わる人のエピソードまで掘り下げすぎる感は否めず、読んでて気持ちが分散してしまったが、読み応えは十分で、最後に「ふーっ」と身体に溜まった何かが押し出され充足感でいっぱいになる

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    2010年09月10日
  • 黄金旅風

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    『始祖鳥』にはかなわないけど、これも痛快な小説だった。
    ただ、長崎という土地柄、悲しい事件からは免れ得ない。だから、ひとくちに「痛快」とは呼べない。
    いい小説には間違いないけど、「飯嶋和一にはずれなし!」の景気のいい帯の雰囲気とはすこし違うんじゃないかと思う。

    親友の夢を語り、ベテラン船頭を口説くシーンには涙が出た。

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    2010年08月16日
  • 黄金旅風

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    面白かった!舞台は鎖国前の長崎。南蛮貿易、火消し、切支丹といったテーマがものすごい詳細かつ迫力満点に描かれている。登場人物もすごい魅力的。平左衛門と才介格好良すぎ。

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    2010年07月31日
  • 神無き月十番目の夜

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    キャラクターがあまり前面に出て無くて、淡々とした感じだけど、すんごく面白い。
    史実に基づいてる点も興味深かった。

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    2010年06月11日
  • 黄金旅風

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    寡作の人、飯嶋和一。こんなに数年に一冊しか出さなくて食べていけるのかしらとこちらが余計な心配をしてしまう。
    この本、2004年に単行本で読んでたのだけど、息子がずっと前に買ってきた文庫本が本棚に積まれてあったので、もう一回読んでみる。
    寛永年間、多くの国籍の人が雑居し隠れキリシタンが多数散在する貿易都市・長崎を舞台に、その長崎を内外の脅威から守った末次平左衛門とその親友・平尾才介の物語。
    キリスト教禁止令強化と一体となった貿易政策転換の狭間の時代に、利権に群がる貿易商と幕閣たち、そこに住まいする庶民の困窮と平和への希求。鎖国政策が開始される直前の時代を、いつもながらに重厚且つ精緻な構成で描きき

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    2013年03月10日
  • 雷電本紀

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    その場の空気にもふれられそうな文章があいかわらず見事。
    この方の小説を読んでいると、“このままでいいのか”“今のままで満足するのか”と
    自分自身がせっつかれているような気がする。

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    2009年10月07日
  • 雷電本紀

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    飯嶋氏の小説は淡々と描かれているがその文章が心に沁み入る。
    この著作も面白かった。
    文の流れにあまり抑揚はないのだが自然と感慨に耽ってしまう。
    著作全て読まずにはいられない。

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    2009年10月07日
  • 神無き月十番目の夜

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    この作家の作品にはずれは無いんじゃないだろうか。
    まだ2作品しか読んでいませんが、どちらとも満点です。
    内容は大勢に飲み込まれる小さなコミュニティの無力さを散々味合わされる物語で、一方的に搾取されるということの理不尽さが読んでいてつらかったです。

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    2009年10月04日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

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    第25回文藝賞受賞作。




    飯嶋和一の作品を読んだのは『始祖鳥記』に続き実はこれが2作目。

    そんでミクシィの飯嶋コミュに入ってるってどうなんかな、と思うけど。

    まいっか。(口癖)




    恵まれた体躯と才能を持ちながらも、アルコールに溺れリングを去ったボクサー。生まれ故郷の南の島への帰郷、ジムの会長の死、そして彼を影になり日向になり支え続けてきた人々との交流を経てボクサーとして人間として見事に再生する。

    まぁありがちなというか"ベタ"ではあるストーリーなのだけど、町の風景、島の風景が主人公のフィルターを通して丁寧に表現されてて、その時々の心情が痛いほど伝わってきて

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    2009年10月04日
  • 南海王国記

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    鄭成功を中心に、明から清国への変動の時代を描いて読み応えあり。歴史を裏事情も含めて復習しているような感じで、事実を淡々と述べているのでかなり頭が疲れた。そして登場人物だけでもとても多く誰が誰やらこんがらがってしまいました。また、これだけの分量、すごいです。

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    2025年11月17日
  • 南海王国記

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    「飯嶋和一にハズレなし」という惹句に釣られて読んだものの自分には合わず。
    物語は、1626年1月にはじまり1683年7月に終わる。明の滅亡から、その明を討って異民族でありながら中華の覇者となった清と、それに対抗しあくまで明の遺臣として戦った南海の覇者・鄭成功との戦いが叙事的に語られる。 淡々と戦記を記しているだけで、鄭成功に感情移入ができずわくわく感が湧いてこなかった。

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    2025年10月30日