【感想・ネタバレ】南海王国記のレビュー

あらすじ

史上初、台湾侵攻!歴史小説の巨人、最新刊!

国境を脅かす騎馬民族の大軍を何度も退け、明王朝を堅守し続けた名将・袁崇煥(えんすうかん)が、私欲にまみれた宦官たちの讒言によって処刑された。明朝の終わりの始まりだった。若き崇禎帝(すうていてい)は人民の困窮などには目を向けず、自らの独裁君主権を脅かされることばかりを恐れた。ほどなく、李自成(りじせい)の反乱によって明は滅亡した。

その年、20歳を迎えた青年がいた。青年は、漢土の沿海で最も恐れられた海賊の子だった。幼い頃から聡明だったその青年は科挙の生員(受験資格者)となり、南京の太学で儒学を修めた。青年の名を、鄭成功(ていせいこう)といった。

明王朝が倒れ、満州の騎馬民族が国号を清とあらため漢土を席巻、明の旧臣らが続々と清に寝返っていく中で、「抗清復明」を高らかに掲げて青年は国を作った。
台湾島に建てられたその国は、わずか22年の間だけ幻のように耀いた。

(底本 2025年7月発売作品)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

飯嶋和一の新刊。前著「星夜航行」では文禄•慶長の役を描いていたが、本作はそのあと。鄭成功(1624〜1662)の明朝復興戦争の全貌を描いている。
明末の混乱から始まって、鄭成功が南海王国を打ち立て、三代に渡る台湾統治とその終焉までが冷徹な筆致で語られる。
大変な力作です。しかしながら、やはり一般的なレベルで読み通すにはハードルが高い。明の滅亡から清の成立までの部分では世界史上有名な人物が出て来るが、鄭成功が南海を拠点として抵抗戦争を始める辺りからは一般人には全く初見の人物が次から次へと登場し、次々と死んでいく。感情移入する隙さえ与えられない。(それに色っぽい話は微塵も出てこないしね)

…というわけで⭐︎は四つ。“大変に力のある作家が、歴史的には余り顧みられない所に全力を注いだ”って言うと偉そうな物言いだけど、本当にそんな感じです。

台湾をめぐる政治状況がきな臭くなっている今、かつての清王朝が台湾にできた“仮”亡命政府と如何に戦ったかを知っておくのはタイムリーなのかもしれません。

0
2025年11月14日

Posted by ブクログ

1616年、ヌルハチの寧遠城攻めから画く。新聞の広告、何より本書タイトルが意味不明なため、何の話かと思うのだが、敵について描くのは当たり前だろう。それにしても順番は違うだろう。導入が長すぎる。鄭芝龍についてもそれなりに丁寧に描くのもいい。しかし肝心の鄭成功の日本時代についてほとんど記述がない。何の記録もないのであろうが、推測で書いてほしかった。
終わりは1683年、台湾の鄭王国崩壊までだ。これは嬉しい。丁寧に書いているんだろうが、あっけない。実態もそうだったんだろう。それにしても鄭家内部はどうしようも無い。清の皇帝継承が上手く行っているのに対して対照的だ。この辺りは書いて欲しかったところ。
鄭家内部だけでなく軍についても上手く行ってない。鄭成功が厳しすぎることが原因か。もし将軍が一人も離反しなかったとしたら、清よりずっと強い国になっていただろうに。
後は南京での戦いでの成功の決断問題か。歴史にifはないのだが。『鄭成功』が入ってない。小説だから抜いたのか、読んだが参考にしていないということか。こちらも面白いぞ。
参考文献に陳舜臣の『鄭成功』が入ってない。小説だから入れてないのか、参考にしていないということか。こちら面白いし、長さも1.5倍あり。

0
2025年08月29日

Posted by ブクログ

鄭成功を中心に、明から清国への変動の時代を描いて読み応えあり。歴史を裏事情も含めて復習しているような感じで、事実を淡々と述べているのでかなり頭が疲れた。そして登場人物だけでもとても多く誰が誰やらこんがらがってしまいました。また、これだけの分量、すごいです。

0
2025年11月17日

Posted by ブクログ

「飯嶋和一にハズレなし」という惹句に釣られて読んだものの自分には合わず。
物語は、1626年1月にはじまり1683年7月に終わる。明の滅亡から、その明を討って異民族でありながら中華の覇者となった清と、それに対抗しあくまで明の遺臣として戦った南海の覇者・鄭成功との戦いが叙事的に語られる。 淡々と戦記を記しているだけで、鄭成功に感情移入ができずわくわく感が湧いてこなかった。

0
2025年10月30日

「小説」ランキング