飯嶋和一のレビュー一覧

  • 出星前夜

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    最近軽い本ばかり手を出している私は、ずいぶん苦戦しました。
    天候不順も一切考慮されない通常の倍の年貢、栄養失調から子供たちの間に伝染病が広がる。そんな松倉家の苛政に武装蜂起する若い寿安。朝鮮出兵で戦いの悲惨さと無意味さを知り、農業の発展により苛政を凌ごうとする庄屋の甚右衛門。そんな二人がいつか入れ違い、甚右衛門は島原の乱を貫き、暴徒と化した民衆に失望した寿安は、長崎で子供たちの伝染病治療に邁進する。
    島原の乱を題材にした700ページにわたる歴史大作です。司馬史観という言葉がありますが、この作品も飯嶋史観といった雰囲気もあります。ずいぶん濃密な書き込みでなかなか前に進まず。特に後半は戦闘場面が延

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    2016年05月15日
  • 黄金旅風

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    ネタバレ

    竹中重義の陰謀から長崎を守った末次平左衛門の話。ルーツの中に隠れキリシタンの家系もいるので興味深く読んだ。ページ数が多くて読むのに1か月以上かかった。

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    2015年06月20日
  • 黄金旅風

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    読むのに時間がかかりました。
    歴史小説。そう、小説なんですけど、盛り上がりがないんです。

    徳川秀忠から家光へ、将軍が変わり時代も変わろうとしているとき。
    海外との交易の玄関口だった長崎を舞台に、締め付けを強めてくる幕府、私腹を肥やそうとする大名たち、キリシタン、南蛮人などを相手に、外町代官末次平左伊右衛門が町民の平和と安全を守る物語なのです。

    ドラマチックに書けば、どこまでもドラマチックになり得る題材を、淡々と書き進めるのはいいのですが、個別のエピソードが本筋にからんでこないのが、つらいです。
    一つ一つのエピソードには、人としての思いがあふれ、なにがしかのものを次世代につなごうとしているの

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    2015年02月14日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

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    いいなあ、これ。あしたのジョーにはまった記憶、あの高揚感がよみがえってきた。


    挫折から這い上がる人間ドラマ。その先には栄光が…と、いかないところがいい。


    孤独を感じていたが、実は多くの人に支えられていたことに気づく。
    能力の限界と、折れた心を自覚しながらも、胸中の奥底にくすぶり続けていた夢に気づく。


    のりちゃんがジョーから離れていったときのセリフ
    「誰もが青春を謳歌しているのに、矢吹君は暗いジムで」うんたらかんたら。


    のりちゃん目線の人にはわかるまい。
    男はいくつになってもこういう世界に生きたいという憧れを持ち続ける。


    主人公の設定もいいし、脇役も渋い。
    「ボクシング小説の

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    2017年08月15日
  • 黄金旅風

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    江戸時代の長崎での南蛮貿易の話。
    幕府や大名たちの私欲に翻弄されながらも、長崎住人を守り通そうと奮闘する、今で言う県知事を描いている。
    切支丹と縁が強い長崎ゆえの事件だったり、唯一の海外との窓口ゆえの政治的駆け引きだったり、全てのエピソードがおもしろい。
    また、主人公の人となりが魅力的で、その後をもっと知りたくなる。

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    2015年01月19日
  • 神無き月十番目の夜

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    転がり落ちる流れを止めることは一人の人間にはできない。 それでもただしいことを行うことは勇敢でもあり無謀でもある。

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    2014年11月30日
  • 神無き月十番目の夜

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    なんとも読後感の悪い小説。今時の小説って勧善懲悪的なというか、水戸黄門的な終わり方のものは減った。ただ、なんらかの未来への希望がもてる結末であったり、たとえ主人公が死んでも、なんとなく読後感が爽やかだったりする。ところがこれは全く違う。史実から紐解き、飯島和一流の味付けがあったからこそ読めたが、でなければとても読めたもんじゃない。おもしろくないという事じゃなくて、人々にはなんの未来もなく、そしてただ死んでいく。どん詰まりに追い詰められて死んでいく。悪を蹴散らすスーパーヒーローなんて一切でてこない。お上に逆らう村の住民数百人が、老人・女・子供にかかわらず、みんな殺戮されていくという結末だ。年貢を

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    2014年10月12日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

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    表題のボクシング小説が抜群に良かった。

    自分がリングに立ってるかのような息遣いを感じさせる
    精緻な描写が光る小説で、ノンフィクションものよりも
    リアルな雰囲気がありました。

    終わり方がまた絶妙で、もっとこの話を
    読んでいたい、これからどうなっていくのか?と
    思ったところで終わってしまう。

    収録作はどれも荒削りなところが見受けられるが
    作家としての力量の確かさも同時に感じる3編でした。

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    2014年09月07日
  • 出星前夜

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    期待通りの読み応え。
    ジリジリと導火線を這う火花のような緊張感。
    その場にいるような臨場感。
    これは読まないと。

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    2014年07月10日
  • 黄金旅風

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    ネタバレ

    実権が徳川秀忠から徳川家光に移る過渡期における長崎を舞台にした小説で、鎖国への道を歩んでいく貿易政策の変化と切支丹への取締の様子を描いている。

    史実に基づいているのか、末次平蔵の変死とか、内町火消組の組頭・平尾才助の最期とか、いささか勿体ないような退場の模様である。長崎の民町を守る、その一点だけでぶれることなく凛とした末次平左衛門が魅力的だった。

    “夢を見ているのか現のことなのかどこか判然としないまま右肩越しに平左衛門が振り返った時、蝶は再び高く上昇し、焼け野原となった町を軽々と飛び越えて見えなくなった。夢のなかに一人だけ置きざりにされた思いばかりが平左衛門の内に残った。”

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    2014年05月03日
  • 始祖鳥記

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    評判を聞いて期待して読んだ飯島和一作品。期待通り。時代背景描写、人物描写が秀逸。これから他の作品を読むのが楽しみ。

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    2014年04月22日
  • 黄金旅風

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    マイナーな歴史の1ページを大作に仕上げたものです。普通主人公がこれだけカッコよければもう少しハッピーエンドになりそうなものですが、歴史小説なのでいかんともしがたいですね

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    2013年12月27日
  • 黄金旅風

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    飯嶋和一氏の作品で、江戸に入り秀忠が没し家光が将軍になろうかという時代の長崎の貿易商人末次家の跡取り平左衛門の大活躍を描いた大河ドラマに取り上げられても面白いのではと思わせるくらい非常にスケールが大きく面白い物語。親との確執から、まだ基督教が禁止される前に寄宿学校に入れられていた時代のエピソード、そこで仲良くなったはぐれものとの武勇伝などなど、長崎に派遣された悪代官竹中家の首領の欲にかられて政事の本質を忘れた姿に怒り、長崎の民を守る為にその代官様を追い落とす策を練り、ついには切腹にまで追い落とすまでの大筋を飾るサイドストーリーが面白い。ページ数が多いが面白いので一気に読み進む事ができた。時代小

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    2013年11月27日
  • 始祖鳥記

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    "Tale of Archaeopteryx" 英訳するとこうなるのかな?小さいとき大好きだったアーケオプテリクス。ええもちろんスペルは辞書引かせてもらいましたとも。

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    2013年09月13日
  • 神無き月十番目の夜

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    まず、藤九郎と直次郎萌え。

    歴史に興味のない私でも、ぐいぐい読めた。詳しい人なら倍以上おもしろいんだろう、と思う。
    登場人物が、皆魅力的。
    なのに、それぞれが己の想いで動いた結果、最悪の事態となっていく。

    荻原規子さんの勾玉三部作で育って、もう良い大人になってしまった方にオススメしたい。

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    2013年07月26日
  • 黄金旅風

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    ドキュメンタリー映画をみているような臨場感。骨太で精緻。作者の私情は一切入らない筆致。カタルシスは若干物足りなく感じるが、濃厚な歴史小説を読みたい時にはBestな小説。感情移入したキャラが早々に亡くなり、ちょっと悲しい。

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    2013年05月04日
  • 黄金旅風

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    江戸時代の長崎が舞台。

    オランダやポルトガルとの交易状況や
    江戸時代の権力構造がよく分かる。

    船大将“弥兵衛”
    火消組“才介”
    長崎代官“平左衛門”

    魅力的に描かれている。

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    2013年01月12日
  • 雷電本紀

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    尊敬する上司から選別として頂戴した小説。

    実際の力士をモデルにした物語。雷電の強さに、江戸の人々と同じように圧倒される。

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    2012年12月24日
  • 黄金旅風

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    NHKの大河ドラマになりそうな感じの大スケールなお話。

    江戸時代の海外貿易都市・長崎が舞台の小説。
    佐世保にいたこともあって、なんとなくイメージ的に掴みやすかったし、「あの地で昔はこんなことがあったのか~」となんとなく感慨ふけりながら読みました。

    長崎が、オランダやポルトガルと親交があったのは知ってたけど、
    こんなにも海外との貿易がさかんな街だとは思ってもみなかった。
    そして、その背景には切支丹弾圧という悲しい過去もあって、他の日本と比べると、まるで異国のような感じさえしたわ。

    今も昔も同じで、外交の駆け引きや賄賂などいつの時代も何百年経っても変わらないのね~。ってある意味笑える。
    でも

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    2012年11月27日
  • 始祖鳥記

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    何が違うか自分でも判然としないけど、他の人と違う飯嶋さん独特の読み味の時代小説。自分には主人公の飛ぶことへの動機が解るようで解らなかったのが少々辛かったけど、それでも十分楽しめました。

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    2012年11月24日