飯嶋和一のレビュー一覧

  • 始祖鳥記

    Posted by ブクログ

    想像通り読み応え充分で想像以上の感動!難しそうで買ってから読み出すまで時間がかかったけど、一回読み出したら止まらない!江戸時代、空を飛ぶことを夢見た男の話しかと思いきや、いろんな魅力的な人々が登場して、いろんな要素があって一口では感想が言えないけど、本を読んで震えるほど感動したのは久々。人と人との出会い、己の利益ではなくみんなのために悪政に知恵と勇気で立ち向かう商人たち、一つのところに安住できず夢をあきらめきれない男たち、どの登場人物も聡明で思慮深く魅力的だった。

    0
    2011年06月24日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

    Posted by ブクログ

    中短編3作。
    時代背景や内容がどうであれ、彼の作品には心を救われる。
    折れそうなところを補強してもらったみたいに。

    0
    2011年03月28日
  • 雷電本紀

    Posted by ブクログ

    昨今の相撲業界のみなさんがこぞって読んだらいいんじゃないだろうか。

    雷電という人が象徴するもの、ひとくちには言えないが、そこにある、自尊心、誇り、怒り、強さ、静けさ、優しさ、正直さ、野性、猛々しさ、まっすぐさ、そういうものに心を打たれる。

    相撲業界だけでなく、ぼく自身も背筋がピンとなってしまう、そういう小説だ。

    0
    2010年08月16日
  • 神無き月十番目の夜

    Posted by ブクログ

    冒頭の強烈な血生臭さに圧倒され、手が震えた。
    衝撃的な作品は「歴史小説」に非ず、「記録」であろう。
    言葉が不慣れなのもあるが、これほど一語ずつ噛み締めて読んだ作品はない。
    ああ、本読みでよかった。

    0
    2010年06月11日
  • 神無き月十番目の夜

    Posted by ブクログ

    戦国が終わってまもなく起きた小生瀬の一種のクーデターを描く。村民と土俗的な宗教、そしてそれを抑える権力の構図の中で物語りは悲惨なラストを目指して一気に展開する。面白い小説ではあったが、重くて暗い。

    0
    2010年06月05日
  • 雷電本紀

    Posted by ブクログ

    飯嶋和一にハズレなし!と帯に書いてあるのですが本当です。
    いろんな歴史の一面を切り取ってたくさんの作品を残していただきたいです。
    ちなみに相撲に興味の無い私ですが本作はとても楽しめました。

    0
    2010年03月20日
  • 神無き月十番目の夜

    Posted by ブクログ

    飯嶋氏の著作全て読んだが今までの最高傑作だ。有名でない史実を取り上げ緻密に書きあげる力量には感嘆を覚える。淡々とした文章ながら熱きものを感じてしまう。

    0
    2009年10月07日
  • 雷電本紀

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    江戸時代に実在した力士・雷電と、商人助五郎を描いた物語。

    ときは天明、度重なる飢饉や一揆で苦しむ貧しい庶民を、雷電は相撲を取ることで希望を与えていく。
    決しておごらず天性の体格を生かして自己鍛錬を重ねていく雷電だけでなく、彼の良き理解者として支える助五郎の気骨や人情もまた、すがすがしく心洗われる。

    一番印象に残ったのは、大火事や天災の後に、雷電が赤子たちを抱き上げ厄災祓いをするシーン。
    この場面は何度も繰り返し描かれるが、搾取し利権をむさぼる侍達とは対照的に、民衆を励ます存在として己のすべきことをこなす雷電の、民草への優しい視線に心打たれる。

    また、この時代の庶民の生活が丹念に描写さ

    0
    2011年09月29日
  • 神無き月十番目の夜

    Posted by ブクログ

    ついさっきまで生活していた痕跡を残して、突然住人達が消えてしまった隠れ里をめぐるお話。
    はじめはバラバラだった謎が
    グイイイイイイっと一つに収束して
    しかも最悪の格好で完成するという鬱ストーリーなのに
    「どうだ!読んだった!」という達成感いっぱいです。
    誇り高い隠れ里の住人たちがカッコイイ!

    0
    2009年10月04日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

    Posted by ブクログ

    2009年の35冊目です。FM横浜のアナウンサー北村浩子さんのコーナー「Books A to Z」で紹介されていて、興味を持って読んでみました。表題作を読むと、走りたくなること請け合いです。

    0
    2009年10月04日
  • 始祖鳥記

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     うおー!すごい!「全日本人必読!」と書くだけはある!
     ものすごい急展開もない。すさまじいオチもない。派手な名ゼリフがあるわけではないし、現実離れした濃いキャラクターが出てくるわけでもない。それなのに、とても胸が熱くなるのだ。第一部では天才表具師でありながら、空を飛ばずはにいられない幸吉の心中に共感し、第二部では「××が来た!」と伊兵衛と一緒になって叫んでしまった(笑)そして第三部では……と、それは読んでのお楽しみ。
     それじゃあ、この小説はどんな小説だったんだ、と振り返ってみる。ものすごくざっくりした言い方だが、ただ出会うべき人物が出会い、為すべきことを為し、淡々と、しかし着実に、物語が展

    0
    2012年06月24日
  • 神無き月十番目の夜

    Posted by ブクログ

    重厚で緻密な、石造りの建物のような小説。丹念に削りぬいて積み上げられ、その隙間には紙一枚も入らない。
    血なまぐさいあらすじに惹かれて読み始めたが、本を閉じると、物悲しく静かな余韻が残る。

    0
    2009年10月04日
  • 汝ふたたび故郷へ帰れず

    Posted by ブクログ

    始祖鳥記がかなり良かったので読んでみました。
    もう、素晴らしい!!電車で泣きそうでした。危ない危ない
    こういうストイックな男の人にはグッとくるわぁ。ハードボイルドのような斜に構えたのは好みじゃないんだけど、真直ぐで一途な男はいいよねー。
    ボクシングは全然興味ないし見るだけで痛くてダメなんだけど、ボクシング好きな人はもっと楽しめるんだろうな。ちょっと残念。知らなくてもその臨場感は十分伝わってきたけど。

    0
    2009年10月04日
  • 南海王国記

    Posted by ブクログ

    台湾で尊敬されている鄭成功とその一族の建国から滅亡までの史実に基づいた話です。登場人物が多いのと、丁寧な反面、感情表現が少なく、長いので、頭に入りにくいところもありましたが、歴史を新たに知ることができて勉強になりました。

    0
    2025年12月13日
  • 南海王国記

    Posted by ブクログ

    明が倒れ清が勃興する中国の時代、オランダの東インド会社通詞から海賊王に成り上がった鄭芝龍。交易の上前を跳ねて勢力を蓄える。その子供、鄭成功は日本人の母を持つが、中国に赴き科挙を目指す。志半ばにして、明を助け清に抗うことにして、交易で稼ぎ清との闘争に乗り出す。アモイを本拠地とし、一時は南京に攻め上がったが、最終的にはもとの木阿弥に。そこから当時はオランダ領だった台湾を攻め国を建てることに成功する。

    0
    2025年12月04日
  • 南海王国記

    Posted by ブクログ

    飯嶋和一の新刊。前著「星夜航行」では文禄•慶長の役を描いていたが、本作はそのあと。鄭成功(1624〜1662)の明朝復興戦争の全貌を描いている。
    明末の混乱から始まって、鄭成功が南海王国を打ち立て、三代に渡る台湾統治とその終焉までが冷徹な筆致で語られる。
    大変な力作です。しかしながら、やはり一般的なレベルで読み通すにはハードルが高い。明の滅亡から清の成立までの部分では世界史上有名な人物が出て来るが、鄭成功が南海を拠点として抵抗戦争を始める辺りからは一般人には全く初見の人物が次から次へと登場し、次々と死んでいく。感情移入する隙さえ与えられない。(それに色っぽい話は微塵も出てこないしね)

    …とい

    0
    2025年11月14日
  • 出星前夜

    Posted by ブクログ

    島原の乱について、学校では単純に抑圧されたキリシタンの反乱と教えられたがそんなに単純なものでは無いと判った。
    藩主が分不相応な家臣団を持ったため、年貢を倍以上取り立てられながらもキリストの教えにより逆らわずにいた島原や天草の地。だがそれも限界になり武装蜂起となる。
    ちょっと無抵抗主義にも程があるし共感は出来ない。武装蜂起後も今一つ目的不明で人間臭くはあるが味方も敵もだらし無い。
    またキリストの殉教とは逆らわずに死ぬ事とされているので島原の乱を起こしたキリシタンは殉教では無いらしい。何だかそれも馬鹿馬鹿しい。
    物語の主題が自分に合わなかったが、小説としては面白かった。

    0
    2025年08月31日
  • 南海王国記

    Posted by ブクログ

    1616年、ヌルハチの寧遠城攻めから画く。新聞の広告、何より本書タイトルが意味不明なため、何の話かと思うのだが、敵について描くのは当たり前だろう。それにしても順番は違うだろう。導入が長すぎる。鄭芝龍についてもそれなりに丁寧に描くのもいい。しかし肝心の鄭成功の日本時代についてほとんど記述がない。何の記録もないのであろうが、推測で書いてほしかった。
    終わりは1683年、台湾の鄭王国崩壊までだ。これは嬉しい。丁寧に書いているんだろうが、あっけない。実態もそうだったんだろう。それにしても鄭家内部はどうしようも無い。清の皇帝継承が上手く行っているのに対して対照的だ。この辺りは書いて欲しかったところ。

    0
    2025年08月29日
  • 雷電本紀

    Posted by ブクログ

    雷電と呼ばれる偉大な相撲取りの人生を描いた物語。
    最初から最後まで、雷電は市井の人々の味方だった。勝ち続ける重圧を1人で受け入れた。抱え込んでいたものの大きさを思うと、ずっと切ない。

    雷電は実在したらしい。
    さらっと見て終わりにしてしまっていた富岡八幡宮の大相撲石碑、ゆっくり見に行こう。

    0
    2025年07月12日
  • 始祖鳥記

    Posted by ブクログ

    【2025年21冊目】
    時は江戸天明期。災厄の続く時代、ある噂が駆け巡っていた。鵺が夜な夜な出没し、「イツマデ、イツマデ」と叫んでは時の朝廷を批判しているのだという。その頃、一人の銀払いの表具師が夜な夜な凧を背にしてある挑戦をしていて――「鳥人」幸吉と纏わる人々を描いた歴史長編。

    岩田書店の一万円選書で選んで頂いた一冊。最初はなかなか読み進められませんでしたが、話が幸吉だけでなく、彼に影響された人々の話に広がり始めるにつれ、どんどんと物語の中にのめり込んでいきました。

    人の感情を書いた作品が好きなのですが、この作品ではわかりやすく感情を書いたシーンはあまりないと言えます。それにも関わらず、

    0
    2025年03月04日