しらびのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もはや「ラノベ」であることが辛い。
これがオッサンや生意気なクソガキがバチバチぶつかり合う純小説であったなら…。
あえて、「ラノベ」の定義が「可愛い女の子がたくさん出てきてキャッキャウフフの俺様つえー」という作品だとして(そうじゃない作品がたくさんある事も知ってますとも、えぇ)。
本作品はまさしくラノベなのです。
微妙にうだつが上がらない主人公が異様にクオリティの高い(酷い言い草ですが)美少女達に囲まれ、更には好意を向けられ、ロリコンだのハーレムだのとうらやまけしからん状況を続けて早14巻。軽妙な言い回しとテンポの良さで、本来地味なはずの将棋という題材を扱いながら、面白おかしく読者を引き込んできたのです。
が。
…が。
気が付けば、ページをめくるたびに広がるのは、登場人物の誰もが傷つき血を吐きのたうち回りながら、たった一つの望みを掴むために屍山血河を這い進む地獄絵図。
たまに差し込まれるラブコメ展開や心和む一時が、煮えたぎる油に落とされる一滴の冷水に思えるほど、熱さと痛みに満ち満ちています。
特にキツいのが、血の涙を流すのは主人公の八一ではなく、少女達であるという点。
八一は八一なりに大変な思いをしているのですが、客観的に見れば彼は棋士としての閾値を突破し「魔王」と化してしまいました。すでに人(普通の棋士)としての苦しみを感じません。
苦しまない者は(少なくとも本作では)物語の主役足りえませんので、今巻の八一はどちらかと言えば蚊帳の外です(もちろん、魔王としての地獄に堕ちるわけですが)。
代わりに、八一に惹かれる少女達が軒並み修羅道堕ち。
…そうなんですよねぇ。堕ちちゃうんですよ。踏みとどまれば、引き返せばいいのに、立ち止まれない。滂沱の涙を流しながら、一歩一歩追いかけずにはいられない、一途さ。
健気と思いますが、むしろ狂気からくる寒気を感じずにはいられません。
誰か一人ではなく、誰も彼もが堕ちていく奈落。八一の、将棋の持つ魔性が少女達を狂わせていくように思えて、なるほど、これは「魔王」の所業だなと独り言ちるのです。
更に恐ろしい事には、彼女達にはそれぞれ彼女達なりの「愛し方」があるというところ。誰もが自分だけの思いを胸にその身を焼いている…それがなんともいじらしい。
一心不乱に思いを貫き通せるというのは、まさに若さであり強さなのかもしれません。
リアクションに惑わされてしまいますが、雷だってそうなのでしょう。
…しかも、最後の最後にあの人まで牙を剥いたので、恐ろしいやら何というやら。
この作品、というかこの巻、ホントに面白いというか、胸を打つのは間違いないんですが…兎に角ツライ、っていう感想になってしまいます。
もう皆が泣いてしまって、そしてその全ての涙がぐっとくる…そしてツライ。
どのシーンが、じゃなくてどのシーンもぐっときて、ツライ。
現状、「将棋は人を幸せにしない」とすら思えてしまっているので、どうにかしてほしいとこですねぇ。
きっと、孤独な魔王を救うのは―
余談。
この物語はホントに稀有なほど「熱い」物語だと思っています。
しかし冷静に見てみれば、所詮は一つのゲームの中で繰り広げられる勝負に過ぎず、そこに人の生き死にがかかってるわけではない、もちろん世界の命運もかかっていないのです。
なのにその一つの勝負、いや、一つの駒の動き、一瞬の閃きにすら心臓が沸き立つのを感じ、登場人物の何分の一かでも「熱く」なっているのを感じるのは何故なんだろう。
もちろん、文字として「熱い」と書かれているし、駆け引きの妙も描かれているのですが…果たしてそれだけで人は、というか私自身はここまで熱くなるものなのだろうか。
余りの熱量に、「りゅうおうのおしごと!」の本質的な熱源って何なんだろう、と思ってしまうのでした。 -
購入済み
傑作
人種や国家といった抗い難い世界で懸命に生を全うしようとする少年少女たちの群像劇。とでも言えば良いのでしょうか。みなさんの素敵ばレビューコメントの通り、私もぐすんと来ちゃいました。
傑作と呼ぶ相応しい作品に出会えました。ありがとうございます。
あと、自然描写の比喩表現がとても綺麗だと感じました。 -
購入済み
文句無しに面白い
アニメを見てから、原作を読んだのですがここまで面白いとは思っていませんでした。将棋の事に詳しくない方でも読めて面白い内容になっていると思います!
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Posted by ブクログ
シリーズ9巻は言ってみればクレナの巻だった。
彼女の心の揺らぎが86達の心そのものを象徴していた。
前巻でセオが傷ついて戦えなくなり、最期まで戦い抜くという86の矜持を貫けなる事態に動揺する仲間たち。
クレナも戦いに対する矜持が時に戦争が終わらないことを望む呪いへと変化しそうになる中、同じような境遇の聖教国の兵士たちを前にして戦う意味をもう一度見出す展開。
ようやく、実にようやく86たちも戦争のその先を見ることができるようになったのだなあ。
長かった。
それにしても、このシリーズではなんとも理不尽な境遇が次から次へと登場して精神を持って行かれる。
聖教国の兵士たちもそうだし帝国の私兵たちもそう。
けれどその先に描かれたこのラストはいい。
葛藤の末の吹っ切れたクレナに喝采を送りたい。 -
ネタバレ 購入済み
変革の巻
攻め続けていた天使と、ゴールを迎えたと思われた白雪姫。
2人のターン唐突に終わって、山城桜花とシンデレラのターンが回ってきた。
まさかの急展開に驚きました。
最終章の始まりということで、なにやら八一の周りも不穏な空気になってきました。銀子の病気、あいの葛藤。あと数巻で片がつくのだろうか。
なによりデレの入ったお嬢様方の攻勢を早く読みたいと思わせる終わり方で、次巻が待ちきれません。 -
購入済み
やはり熱い作品
今回の話は物語が大きく変化、クライマックスに向け動き始める巻だと思う。大きな決断をする者も…。
将棋をここまでドラマティックに書く作者は凄いな、と思った。
かなり次巻が気になる終わり方で楽しみで待ちきれない。 -
購入済み
各々の意思
この一冊も面白かった。
いつもの日常。しかし、変化は往々にして起こるもの。各々が望む事は全てが最良であるがゆえに残酷な一面もある。新たな岐路に出会う時人は、自信の最善を信じ最良を見つけることが出来るのか。 -
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八一争奪戦
本命対抗が一歩下がったことで、(服が)黒いのと(腹)黒いのがこれから名乗りをあげそうです。
将棋の話としては、今までは八一中心でしたが、地位も棋力もカンスト気味なので、魔王の二つ名通り、これからはラスボスの位置になりそうですね。