ドリアン助川のレビュー一覧
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日没前にだけ突然現れるポスト。そのポストには、あらゆる人の悩みや願いが記された手紙が入っている。主人公は、妻子を突然事故で亡くし、悲しみにくれて生きるうちに、そのポストの手紙に返信する、管理人の役割を担うことになる。
主人公は長年返事を書き続け、相談者を励まし続けます。そのアドバイスの中で大切にしているある教えがあり、何とか続けていますが、人を救ったり励ましたりしていることが綺麗事で、なにより自分自身が全く救われず先に進めていないことに罪悪感を感じています。
インドでの体験、仏陀の教えなどを交えながら、新たな境地を開いていく主人公。
ただの綺麗事やポジティブシンキングとは違う、心を伴った -
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今年はドリアン助川さんの本を沢山読もうと決めている。明川哲也の名で出版されている物も含めると、自分が知らなかっただけで、割と沢山書かれていた。暫くは、「面白かったけど、読まなくてもよかったなぁ」と後で思うような本になるべく手を出さないようにしようと思っている。いろいろで行き詰まっているせいで、何か好転する糸口を本から得たいのだと思う。ただ歳をとっただけかもしれないけれど、時の有限性も無意識に感じるようになった。だから今は、期間限定で、本当に好きだ、本当に良い本だ、と思えるような本を、今までより少し慎重になって、次に読む本に選ぼうと思う。
この本、割と短く、中学生くらいから読めそうだ。一方で -
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ネタバレ前科者で先代に恩があるためだけにやっていたどら焼き屋さん「どら春」の店長さん。ある日、店の前に立ちこちら見つめている年配のおばあさんと出会う。体が少し不自由そうなその人は、その店で働かせてほしいと話す。断り切れず試しに働いてもらうことにするが、その人の作るあんに驚く。そのあんの作り方を教わりながら、その人・吉田さんの過去や思いに触れながら自分のこと・店のこと・これまでのこと・これからのこと等について少しづつ変えていこうとする店長さんの、吉田さんとのお話。
前から読みたいリストに登録していた本。あんこを通して再生していく話だと思って読んでたけど、思ってた話とは話の流れが違ってちょっと驚いた。 -
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天生園のモデルになった全生園の裏に住んでいます。1997年頃は、学校が終わると毎日友だちと全生園で遊んでいました。学校でもハンセン病についての学習があった地域でした。祖母の友だちにもトクさんや森山さんのような様相の方がいらっしゃいました。
私にとっては身近な題材です。それでも、罹患した方の視点から語られる場面は胸がギュッと苦しくなりました。いくら身近でも、決して慣れることはない苦しい過去がある病気だと改めて思いました。
ただ、苦しい過去がある病気が題材でも、この小説を通じてだと甘いあんも心に残るので、なんとか最後まで読み切ることができました。
「あん」という言葉が題名になったことに、店