ドリアン助川のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今年はドリアン助川さんの本を沢山読もうと決めている。明川哲也の名で出版されている物も含めると、自分が知らなかっただけで、割と沢山書かれていた。暫くは、「面白かったけど、読まなくてもよかったなぁ」と後で思うような本になるべく手を出さないようにしようと思っている。いろいろで行き詰まっているせいで、何か好転する糸口を本から得たいのだと思う。ただ歳をとっただけかもしれないけれど、時の有限性も無意識に感じるようになった。だから今は、期間限定で、本当に好きだ、本当に良い本だ、と思えるような本を、今までより少し慎重になって、次に読む本に選ぼうと思う。
この本、割と短く、中学生くらいから読めそうだ。一方で、ちょっと中学生にはハードすぎるかなぁという懸念もある。人間や人生の厳しさがダイレクトに伝わってくるのだ。私はドリアン助川さんの小説のそこが好きで、一冊丸ごと一度に読み切りたくなるような勢いは特に好きなところだ。内容はそうロックじゃないけど、勢いがロックなのだ。でもそこが、あまり児童には向いているようには思えず、読んで欲しいけれど、あまり薦められない気もする。でも、読んで欲しい。
○『何かを得て、何かを失った
世界中の大人たちと
何かを失って、何かを得ようとしている
世界中の少年たちに。』
初めに書かれているこの一文が、この本をよく語っている。
菓子職人の老人サジと、家や学校に居場所がなく、疎外感を感じている少年トルリの物語。少年ならではの短絡的な物事の捉え方と、戦争を含め数々の体験をしてきた老人の世界観で語られる話が交わる。人の心とは、世の中とは…というようなことが、頭でではなく、心で感じ取って考えている感じにさせられる。
読んで良かったと思える本だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前科者で先代に恩があるためだけにやっていたどら焼き屋さん「どら春」の店長さん。ある日、店の前に立ちこちら見つめている年配のおばあさんと出会う。体が少し不自由そうなその人は、その店で働かせてほしいと話す。断り切れず試しに働いてもらうことにするが、その人の作るあんに驚く。そのあんの作り方を教わりながら、その人・吉田さんの過去や思いに触れながら自分のこと・店のこと・これまでのこと・これからのこと等について少しづつ変えていこうとする店長さんの、吉田さんとのお話。
前から読みたいリストに登録していた本。あんこを通して再生していく話だと思って読んでたけど、思ってた話とは話の流れが違ってちょっと驚いた。吉田さんは元ハンセン病患者。隔離や差別、つらい過去の話は読んでて辛かった。人それぞれいろんなことがあって、それぞれつらさや悲惨さはもちろん違うけど、そんな中でも一生懸命もがいて生きていくんだなって思った。吉田さんの店長さんへの思い、どら春で働いていた時の思い、胸が詰まる。話は店長さんの完璧な再生まではなく、気持ち的なところでの立ち直り的な感じで終わるけど、吉田さんからの最期のさくら茶のヒントを得て、吉田さんから引き継いだ道具、ワカナちゃんの働き口のためにも店長さんの「どら春」のどら焼きができると思いたい。 -
Posted by ブクログ
天生園のモデルになった全生園の裏に住んでいます。1997年頃は、学校が終わると毎日友だちと全生園で遊んでいました。学校でもハンセン病についての学習があった地域でした。祖母の友だちにもトクさんや森山さんのような様相の方がいらっしゃいました。
私にとっては身近な題材です。それでも、罹患した方の視点から語られる場面は胸がギュッと苦しくなりました。いくら身近でも、決して慣れることはない苦しい過去がある病気だと改めて思いました。
ただ、苦しい過去がある病気が題材でも、この小説を通じてだと甘いあんも心に残るので、なんとか最後まで読み切ることができました。
「あん」という言葉が題名になったことに、店長さんとトクさんの絆を感じずにはいられないのです。