ドリアン助川のレビュー一覧

  • 新宿の猫

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     もう「叫ぶ詩人の会」の歌を聞いて以来,ドリアンのファンになってしまったので,評価は付けられない(5以外にない(^^;;)。
     さて本書について…
     新宿に住む十数匹の野良猫を題材にして小説が書けることが面白い。主人公の山ちゃんという男性(ボク)。小さな焼き鳥屋の店員の夢ちゃんという女性。その焼き鳥屋に集まる常連は,なかなかクセのあるメンバーだ。
     小説の常で,内容についてちょっとでも紹介すると,読むときのドキドキさがなくなる。だから,これ以上は書かない。
     ただ,いろんな創作や文学や芸術は,一般大衆の大多数を相手にするのではなく,目の前にいる一人に向けて行うものではないか…という作者の訴えに

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    2021年12月12日
  • あん

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    読んでいて涙が止まらなかった。
    和菓子屋に勤めてはいるが、いいかげんに生きていた主人公と美味しく『あん』を炊く謎のおばあさんの、柔らかいやりとり。
    次第に明らかになるおばあさんのつらさ、悲しさと、物語のそのような柔らかい空気間があいまって読んでいて、涙が止まらなくなった。
    大好きな本。

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    2021年08月30日
  • あん

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    月並みな感想だけれど、ものすごく感動した。なんだか、周りの全ての人に優しくなれるような、壮絶な生き方をしてきた人の話。言葉が刺さる。ずしっと心に響いた。それでいて読んだ後は清々しい気分。良かったなぁ。

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    2021年03月17日
  • あん

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    もっと若い頃に読んでいたら、主人公のどら焼き屋店長目線で読んでいたはず。
    半世紀生きた今は、隔離施設で生き抜いてきたハンセン病元患者の徳江さん目線でもストーリーを追い、映画の撮影現場にいるような、どら焼き屋が隣家のような、深い味わいのある物語でした。
    樹木希林さんの映画も観てみたい。
    ブラウスのシーンでは目頭が熱くなりました。
    桜のきれいな徳江さんの故郷も、まさかの近所。春になったら行ってみよう。「吉井徳江」として生きたひとりの少女のことを思って。

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    2020年06月26日
  • 新宿の猫

    ネタバレ 購入済み

    ネコに優しい街

    イスタンブールは猫が暮らしやすい所のようです 夢ちゃんが幸せに暮らせますように

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    2019年03月03日
  • 新宿の猫

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    ネタバレ

    選ばれていないときが選ばれているとき。そんなときにも寄り添ってくれる人、詩、そして猫がいる。
    切ない夜にホッピーの飲めない僕は、「なやむ前のどんぶり君」以来、虜になっている焼きピーマンを食することにしよう。

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    2019年02月18日
  • あん

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    ハンセン病の老婆と務所帰りの男との物語。

    刑期を終え出所した千太郎は、お世話になった先代のどら焼き屋「どら春」で働き、オーナーである先代の奥さんに借金を返す毎日。

    とりたてて旨くもなく、まずくもない中国産のあんを使ったどら焼き屋から逃げ出したいと考えていた千太郎に、声をかけてきた老婆。

    指が曲がり、体の不自由さを感じさせる老婆は吉井徳江と名乗り、どら春で働かせてほしいという。しかもあんを作って50年という。

    アルバイトとして働くようになった徳江の作るあんは絶品で客足も伸びる。

    しかし徳江がハンセン病患者の隔離施設だった天生園から来ていることが噂になり、客足が落ち、オーナーに

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    2018年11月18日
  • あん

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    病気で閉じ込められていた徳江さんと千太郎との不思議な出会い。
    偏見の怖さにも悲しくなったが、生きるものだけでなく、周囲をとりまくものたちに耳を傾けて生きる素敵さがじんわり広がって、「誰にも生まれてきた意味がある」という言葉が、あったかく心にしみわたる感じが何とも素敵な本でした。
    千太郎さん、どら焼き屋をまた始めてくれているといいなぁ・・・
    ほんのり桜がかおる塩どら焼き、食べてみたい。

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    2018年10月12日
  • 多摩川物語

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    前に「あん」を読んですごく心地良い温かさを感じたから、同じ著者の小説をもうひとつ読んでみようと思って…
    この小説も、じんわり涙が出てくるような温かさに包まれてた。
    感動の押しつけはまったくないんだけど。ほんとに、じんわり、という感じ。

    多摩川沿いで生活を営む人々の短編集。多少、連作めいた要素もあり。
    野良猫に名前をつけて可愛がる農家の中年女性、古書店で働く恋する青年、川べりに棲むホームレスに絵を教えてもらった少年、閑古鳥が鳴く食堂の主人、妻をなくしたシングルファーザーetc
    日々を送る人々の傍にはいつも川があって、そこには悲しみや辛さや笑顔がある。
    ただ通りすがるだけの川、時に訪れて遊ぶ川、

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    2016年05月27日
  • 多摩川物語

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    多摩川は馴染みの深い川であり書店に平積みされていることもあり購入。
    最初の「黒猫のミーコ」を電車で読んでいたら泣きそうになり危なかった。
    著者の名前は知っていたがこれからもう少し読んでみよう

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    2016年04月30日
  • あん

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    ネタバレ

    ここまで私の心に響き渡って、心揺さぶられた作品は久々。ストーリーも登場人物の設定もメッセージ性も、何から何まで素晴らしい。

    前科のあるどら焼き屋の雇われ店長千太郎と、ハンセン病で50年以上もの間、社会から完全隔離されて生きてきた老女徳江の物語。

    親兄弟からも見捨てられ、夢も希望も理不尽に奪われて、生きる気力さえ失い、神を恨むほどの不条理な人生をイヤでも歩まなければならなかった二人の生き様。
    親子ほどの歳が離れた二人の出逢いが、お互いに生きてきた意味を成す。

    「私たちはこの世を観るために、聞くために生まれてきた。この世はただそれだけを望んでいた。だとすれば、教師になれずとも、勤め人になれず

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    2024年11月25日
  • ピンザの島

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    ネタバレ

    『あん』を読んでドリアン助川の作品の良さを感じたので新刊も読んだ。いろいろな事情を抱える男女3人が見知らぬ島で働き、命の大切さなどを学び、それぞれが成長していく姿を描いている。途中、残酷なシーンがあり泣いてしまったが私たち人間が生きていくためには命をいただく事は必要なので、受け止めるべきだと自分自身に言い聞かせた。ピンザを通して主人公や読者も成長をする作品だと感じた。

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    2014年03月03日
  • 星の降る町 六甲山の奇跡

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    数年前に朝日新聞の人生相談の明川さんの回答を読んで面白いなー・・・
    と思って、それ以来、そのコーナーを見逃さないようにしてたんだけど、
    今回はその明川さんの本です。

    家にも学校にも居場所を見つけられないトルリという少年と、
    サジという名の洋菓子店を営んでいる職人の話。

    トルリは幼い頃から、そのサジとは知り合いなんだけど、最近、サジの洋菓子店から
    お菓子をちょくちょく万引きしてる。

    サジは、ちょっと問題を起こして以来お店のお客さんが減り、
    最近では傾きかけた洋菓子店で、それでもお菓子作りに励んでいる。

    そんな中、ひょんなことから、二人は給水塔に登り降りれなくなってしまう。

    大人の為の童

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    2009年10月04日
  • あん

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    ままならない世間の目と現実に耐え忍ぶ勇気をくれる。
    馴染みのない、教科書から知っているぐらいの病気を持っていたおばあちゃんと、さえないどら焼きやの店長。周囲の目。
    事件が終わっても遺恨が残るように、病気が治ってもなお苦しまなければならないおばあちゃんが悲しく、やりきれない。それでも笑っていけた強さを尊敬する。
    その後がとても気になるので続編書いて欲しいです。

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    2025年11月23日
  • 線量計と奥の細道

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    叫ぶ詩人の会のファンでした。
    福島原発事故、風化させないためにも読んでおきたい。
    もちろん奥の細道を体感するためにも。

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    2025年08月24日
  • 水辺のブッダ

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    妻子と幸せに暮らしていた望太はあることがきっかけで殺人事件を犯してしまい服役後、多摩川沿いでホームレスに。妻の再婚後は子どもの居場所も不安定になり多摩川の河川敷で川を眺めて過ごすことも多くなった。もう少しで会えそうだったのに不運にも会えず。幸せになってほしかった。

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    2025年05月20日
  • あん

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    テレビで樹木希林さんが演じている映画をみて引き込まれた

    「店長さん、あらゆるところに耳を澄ませていてください。普通の人には聞こえない言葉を聞いて、聞いて、聞いて、どら焼きを作ってください。それだけできっと、店長さんの未来も、どら春の未来も開けていくと思います」  

    いつの日か 店長がどこかで「塩漬け桜のどら焼き」を販売する時がきますように

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    2024年12月07日
  • あん

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    ネタバレ

    前情報0で読み始め「あん」は餡子だったのね〜と軽く読み進めると、だんだんと胸が苦しくなってくる

    『店長さん。あなたももちろん、生きる意味がある人です。
    塀のなかで苦しんだ時期も、どら焼きとの出会いもみんな意味があったのだと思いますよ。
    すべての機会を通じて、あなたはあなたらしい人生を送るはずです。そしてきっといつか、これが自分の人生だと言える日がくると思うのです。物書きにならずとも、どら焼き職人にならずとも、あなたはあなたらしく立ち上がる日がくると思うのです。』

    そして苦しいだけじゃなく、「誰にでも生きる意味がある」とエールを受け取れる、
    季節を感じる温かな風が吹く物語

    ドリアン助川さん

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    2024年11月24日
  • あん

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    出だしからとても引き込まれる作品。
    自分の人生に何の希望も持てない男。
    後悔と諦めの中で日々をやり過ごす中、
    現れたなぞの老女との出会いが
    そっと男の世界に灯りを灯し始める。

    映画化されているようで、
    キャストを見たら、あー、なるほど!と思わせる配役だった。

    男と老女の手紙のやり取りの場面に涙。
    人生の先輩、和菓子作りの師匠、
    そして時には母親のように。
    あたたかな励ましが沁みた。

    社会の中で役立つ人でありたい。
    じゃあ役に立たない人は生きる意味はないのか。
    生きていたらいけないのか?
    この本の中で、老女はそんなテーマについても自分らしく語っている。

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    2024年10月26日
  • 動物哲学物語 確かなリスの不確かさ

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    思いがけずサイン本

    動物の視点の物語集、それでいてとても哲学的。タイトル通り。
    思索にふけり、思考が深まる。

    話ごとにいろんな哲学者の思想と絡められているようだが、哲学的思考の入門書にもなりそうな?
    浅学なので思想の元の全てはわからなかったが、考えさせられた。

    丁寧に時間をかけて読みたい本。
    実際にゆっくりゆっくり読んだ。

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    2024年08月03日