【感想・ネタバレ】水辺のブッダのレビュー

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Posted by ブクログ

 多摩川の河川敷に住むホームレスたち(主人公は新入りの望太)の物語と,単位制高校2年生の絵里との物語が並行して進んでいく。もちろん,最終的にはどこかで接点はあるという設定。
 随所に出てくるホームレスの古株ブンさんの言葉が,なぜかわたしの心に染み入る。どん底ともいえる状態の中で生きている意味とは何なのか。彼らの未来とは何か。今この時間とは何か。ドリアン助川の心の言葉が,この古株の言葉を通してわたしに迫ってくる。
 そして,やっぱり,ドリアン助川の目は温かい。人生に失敗した(と思っている人)も,普通に歩いているサラリーマンも,同じように生きていくべきであるし,未来はある。望太の結末と絵里の結末は,形は違えども,向かった先は同じだったと思う。

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2022年01月13日

Posted by ブクログ

主人公の望太は社内で起きた窃盗の罪を自分に被せようとした同僚を殺してしまい、6年間服役した。退所後も定職につかず、今はホームレスとして暮らしている。離婚した妻は娘の絵里を連れて再婚。しかし娘には父親の名さえ教えず、死んだことにしている。そして絵里は新しい家族の中でネグレクトされている。近くで生活しながらお互いに知らないこの親娘を交互に描きながら物語は進みます。
河に身を投げ自殺しかけた望太を救ったホームレスの指導者や仲間、どこか仙人めいたホームレスの老人・ブンさん、性依存症の女性、ホームレスを襲撃する若い男、望太が暮らす多摩川の流れのそばには様々な傷を持った人物が登場します。
そして家を出た絵里は典型的なDV男と同棲し、やがて知らずに望太に接近します。
ブンさん(=水辺のブッダ)のスピリチュアルな言葉もなかなか面白い。さらにそれとの関係は曖昧ですが、エンディングで望太と絵里がつながる様に得る前向きな悟りはとても心地良く。
この手の話にありがちな押しつけがましさの少く、良い話でした。

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2021年05月18日

Posted by ブクログ

重くて、最後まで暗い。
ホームレスになった父と、
家族に蔑ろにされ、どんどん道を踏み外す娘。
どこかで救われてほしかったけど、悪循環は断ち切れず。
どんより。

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2021年06月21日

Posted by ブクログ

読後感がスッキリ!という作品ではない。
この作品から得たものを、自分で抱え込んで、考え続けていくんだろうなと思う、そんな本だった。

やむを得ない事由から人を殺めた男は、殺人犯の子という誹りを我が子に与えないためという理由で、妻と子を捨てる。
服役し、ホームレスとなった男は、その暮らす河原で師とも思える男と出会う。
ホームレス生活の中で、男は人生と向き合い直すことをことを考え始める.....

そして、あとは読者が考え続けていくことなのだろう。

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2019年11月21日

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過ち犯しててしまった父と孤独になった娘の物語。

殺人で服役し、出所して最終的に多摩川にたどり着いた望太は、多摩川のホームレスのカリスマ的存在・ブンさんに出会う。

ブンさんの生きる姿に魅了されながら、娘の姿を追う望太。

娘の絵里は、継父との折り合いが付かず、道を外れ、DVに耐えながら、体を張って生きていた。

そんな二人が多摩川の近辺で奇跡の再会を果たそうとするが。。。


抽象的な表現が過多で、イメージを今ひとつ掴めにくかったのと、ブンさんのキャラが確立してなかったのが惜しいところかな。

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2019年10月19日

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テレフォン人生相談のドリアンさんが、書かれた小説。あの優しい声の感じが本当に伝わってくるような本でした。

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2019年09月08日

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ネタバレ

人生捨てたもんじゃないと思えるような物語ではないのに、優しい気持ちになる。
今回は婉曲的でなく、ブンさんに語らせ、望太が体現するストレートな表現だった。

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2019年07月27日

Posted by ブクログ

映画化されなかなかのヒットとなった「あん」。今回、第67回日本エッセイスト・クラブ賞受賞を受賞した「線量計と奥の細道」
出版点数も順調に増えていて、前回の「新宿の猫」なかなかの佳作で個人的には存在感が増している作家です。
ところが「線量計と奥の細道」は重版かからず早くもプレミアが付いている状況で、他の著書に関してもあまり置いておらず、買おうと思っても見当たらなかったりします。何とも不遇な作家だなと思います。
さて、本書もひっそりと販売されています。表紙がなかなか綺麗なので是非皆さま手に取って頂きたい。題名が「水辺のブッダ」なので宗教的な話なのかと思われるかもしれませんが、宗教というよりも哲学という感じです。
訳あって子供には死んだと思われている父親が、ホームレスになりつつも子供を忘れる事が出来ず、同じホームレス仲間と生活しながら、いつか自分の子供の役に立ちたいと願い日々を送る話です。
お涙頂戴に終始しないのでこれで人気爆発って訳にはいかないと思いますが、個人的には好きな本であります。

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2019年07月16日

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