あらすじ
ある日、世界から太陽が消えた。芳枝は一人息子の健太郎を失い、暗い家に閉じこもっていた。だが、その扉を叩く見知らぬ男の子があらわれる。その子は太陽を探しに行くのだという――。「あなたは、だれなの?」闇の中で子どもが大人を導いていく。物語の本源に迫る重層的な語りの構造が、闇の底に驚くべき結末を準備する。代表作『あん』が23言語で翻訳され、世界のリテラシーエージェントが注目するドリアン助川の希望の書。
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Posted by ブクログ
芳枝は、太陽を見ることがない世界のなかにいた。
それは、40歳を目前に突然亡くなった息子を荼毘に付してからだ。
その日から闇の世界だったが、ひとりの少年がドアを叩いてから外へ出る。
そこから物語が変化する。
芳枝が出会った豹と物語を作っていくようでありながらすべては、彼女の意識のなかで過去を振り返っているようでもあり、不思議な感覚を味わった。
子どもに帰ればすべてを素直に表すことができるような…。
気になっていることをもう一度再現しているような…。
最後には希望を与えてくれるようで。
それは、明るい太陽を見ること。
詩的で美しく、穏やかに染み込んでくるような物語
Posted by ブクログ
ちょっと変わった構成の童話みたいなお話。おそらくコロナに罹患して瀕死の状態になった70歳の女性とその文学部仲間の男性とが紡ぐ物語です。
この世から太陽が消えてしまい、彷徨ううちにたくさんの子供たちに出会います。
人は死ぬ間際に何を思うのか。それは生きているうちには誰にもわかりません。そろそろいつ起きても不思議ではない年になった我々は、そういうことをいろいろ考えるわけですね。
ドリアンさんは詩人でもあらせるのですね。もっとたくさん詩を入れてもよかったです。