阿佐田哲也のレビュー一覧
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あの阿佐田哲也氏が、博打の世界に生きるい古いタイプの勝負師達を、35編の小説に描いた。
どいつもこいつもろくでなしばかりで、妻の香典を全部ノミ屋にぶち込んじまう元バイニン、北海道の炭田住宅から麻雀一本で全国周遊に出かけた二人組、大穴を本線で当てちまったばかりに、借金を背負って遠洋漁船に乗り込むこととなった競馬新聞記者などなど。
そんな勝負師達の見せる浮沈は、悲壮ながらもすばらしくユーモラスであり、この小説は阿佐田哲也にしか書けまい、と思わせる凄みがある。中でも数少ない競馬にまつわるエピソード「フジイサミの双眼鏡」は、競馬好きにはたまらない作品だろう。
このようなギャンブルにまつわる活気を描ける人間は、昨今の公営競技の衰退と時期を同じくして、ひっそりと消えていってしまったかのようだ。
あの往時の活気を偲ばせる「勝負師の遺品」として、この本は愛されていくべきではないだろうか。 -
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最高だ。面白い。面白ければ全て良し。
意外と文もきちんとしていて、麻雀以外の臨場感、戦後の空気ってのが楽しめる。
おもしろい。
----(後日加筆)
麻雀小説だからって舐めたらいけない。
全四巻だが、一巻に関してだけ言うと神掛かっている。
博打から出る人間の本性みたいなところが上手く描写されている。
それぞれのキャラクターがしっかりと立っている。
哲学がある。普通の生活でなく、ギャンブルという負ければ終わりの生活から生まれる、どぎつい哲学が。
とにかくかっこいいし、深い。
まあ、問題は麻雀がさっぱり分からないと難しいという点で。
麻雀をしていて得したな、という事と言えば。
大学時代に一夜を明かせる友達ができたこと。
そして、この小説を楽しめたということ。
そのくらい良い小説。
ちなみに、筆者の阿佐田哲也氏は、色川武大という名前でちゃんとした純文学も書いている。 -
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青春小説の傑作中の傑作。
和田誠さん原作の映画もよかったです。
が、やはり原作の小説は偉大です。
僕の青春はこの本とともにあったと言っても過言ではありません。
僕の人生に与えたであろう影響も計り知れません。
人間は泣きながら裸で生まれてきて
一人静かに孤独に死んでゆく生き物です。
しかし、そのはかない人生の中で
血沸き肉踊るような激しい世界を生きずして
どうして死ねようか、そんな本です。
最初に手にとってから20年30年と経ち
僕自身のほぼ半分が過ぎました。
ところが今読んでも、やっぱりドキドキします。
心の奥深くが揺さぶられます。
魂の本です。
こんな小説を書いた阿佐田さん(色川さん)にたいして
畏敬の念を抱かずにいられません。
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初めて「麻雀放浪記」を読んだ時から阿佐田哲也のファンになった。本作の内容とは直接関係ないが、ここではまず阿佐田哲也について触れたい。
現在、Mリーグ人気によって麻雀は小学生の大会まで開催される健全で知的なゲームとして普及しているが、その功績は阿佐田哲也によるものが大きい。まず不朽の名作「麻雀放浪記」の連載によって1970年代~80年代に空前の一大麻雀ブームが起こった。テレビ番組「11PM」では麻雀コーナーがあり、阿佐田哲也によって結成された「麻雀新撰組」の活躍によって各地域でバラバラだったルールは統一され、牌を捨てる際の手つきや対局中の所作を洗練させ現在の競技麻雀の基礎を作った。新撰組のメンバーだった小島武夫や古川凱章などは麻雀会を代表するスターになる。1981年には日本プロ麻雀連盟を創設し初代会長に就任。阿佐田哲也の活躍によって、それまで「不謹慎な博打」というイメージが強かった麻雀を「知的で技術を競う競技」として世間に認知させたと言ってよい。
さて本作の話をすると、これは「麻雀放浪記」の中でもピカイチの強烈なキャラクター「ドサ健」を主人公にしたスピンオフ的な作品だ。坊や哲のモデルは阿佐田哲也自身だが、ドサ健は戦後上野界隈の賭場に実在した伝説的な相場師かつ勝負師の「相場さん」という人がモデルらしい。本作は全員が悪党のピカレスク小説。敗者がどのように朽ちていくか、その「負け方の美学」を描く点に阿佐田哲也の真骨頂がある。現代だと「ギャンブル依存症」と片付けられそうだが、そんな生易しいものではなく、博打に己の生き様を賭け、最後には墜ちるしかないと分かっていながら破滅の道を進む人たちが鮮明に描かれている。 -
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漫画であらすじは知っていましたが、やはり原典を読むと、細かい描写があって、より深く楽しむことができました。ママ関連の話は小説の方がかなり詳しかったですね。最終決戦にいたる流れも小説では丁寧に描かれているので、坊や哲の心情がよくわかりました。
逆に最終決戦の牌譜は漫画の方が多く勝負の熱さを感じられます。小説の方は少しあっけなかったかな。そこだけが残念なところです。
登場人物たちのセリフが格好いいんですよね。上州虎がまゆみと家を賭けての勝負に行くまでの口上がなかなかふるっています。ダサ格好いいという感じでしょうか。反抗する坊や哲に対して、諭しつける出目徳もいいですね。役者が一枚上という感じです。
読み終わって、登場人物たちの姿が目に浮かぶようです。人が死ぬという結末なのに、何て爽やかな読後感なんだろう。いやー、面白かった。 -
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ギャンブル、特に麻雀に関しての小説作品。
漫画「哲也-雀聖と呼ばれた男」の原作にもなっている。
個人的にその作品がとても好きで、未だにコミックスを所有している数少ない作品のひとつ。
さすがに麻雀のルールを少しは知っていないと十分に楽しめないようにも思うが、手に汗握るギャンブル的展開は、それなしでもとても面白い。
この手の小説における最高傑作というのも頷ける。
また、小説の中に牌の表現があるとは思わず、これにはとても驚いた。
個人的には、漫画版に思い入れがあり、それを踏襲するかのような展開かつ、登場人物たちもなんとなく思い描けるような感覚が、とても楽しめている。
房州さんの最期は、漫画版ではめちゃくちゃ美談になったんだな…とか。
全4巻で残り3巻あるが、今後、また知った登場人物たちが登場するのか、楽しみ。
必ず読みたいと思う。