阿佐田哲也のレビュー一覧
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坊や哲のもがき苦しむ様子が自分事のように苦しいです。全然すかっとしないです。ですが汗臭さにムッとする感じも、たまにはいいもんです。
新キャラの鎌ちゃん、安さん、三井なんかも、まぁいいんですが、やっぱりドサ健や達、チン六が出てくると嬉しいですね。特にチン六との再会場面は、ちょっとした感動シーンでした。
さすがに「青春篇」には及びませんが、「風雲篇」よりは面白かったです。旧キャラたちの新時代について行けずにもがき苦しむ様子と、それでいてどこか達観した様子が心を打ちます。ダサ格好いいとはこういうことだろうか。
読み終わった後、何とも言えない物悲しさを覚えます。年をとったということなんでしょうかね。 -
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阿佐田哲也コレクションも、もう6まで来ましたか・・・。ちゃんと買ってるあたり、自分も意外に几帳面だ。
しかしまぁ、このへんになってくると、二度三度と焼き直しされたネタが多く、「あれ、これはあそこで読んだやつだぞ」と思うこともしばしば。
いやまぁ、それはしかたない。誰だってネタを練り直すことはするわけで、このシリーズは、いままであまり日の目を見なかった「練り直す前」のやつなんかを収録しているっていうことなんでしょうから。そう、このシリーズはマニアのためにあるわけなので、そういう「ダブり」も楽しまねばならん、のでしょう。
しかし、表題作が未完なのは残念。(ん、これはどこかで漫画化されてなかったかな・・・?) -
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これは完全に余談である。シンデレラは幸せに暮らしましたとさ、というようなイメージで語れないんだから、とサービス精神で作者が描いてみたんだろう。
公園で、ブランコをこぐ子供を見て、あぁ僕にもそんなことがあった、と思い、老人があいさつをかわしているのを見てそんな風に自分もなるのだろうかと思う、そのような時の公園には僕の時間の流れがひとところにある。
この第4章にはそんなところがあって、卓を囲んで若者と脂の乗った年長者と、先行きの短いもの、それぞれが個性的だが、あれが私であると言えるように書いてくれたはずだ。
つまるところ、「死ぬまで打つ」。巻末柳美里の解説もよかった。 -
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大学時代繰り返しページを開いた本。講義のテキストなんかは殆どが未読、新品、未開封。
当時の学生の必須教科はなんといってもマージャン。リーチマージャンが完成形に出来上がった時代。
それ以前はブーマンっていって細かい点符計算が必要だった。イチニニイヨンヨンパアクンロクって計算をして点棒のやり取り。フリーマージャンの卓にもよく通ったがブーマンは経験が一番の強み。貧乏学生のシロートが入ると露骨にいやな顔されて怒られながらそれでもヘラヘラしながら通った。そのベースがあってリーチマージャンに変わると腕の強弱は別にして瞬時に計算だけはできた。そんな時にこの本が出た。言わないでも全員が読んでた。卓越した魅力的なキャラ設定。作者自身を主人公にしたピカレスクロマンの最高傑作。坊や哲。ドサ健。デメトク。その他キャラコターモロモロ実名虚名入り混ぜ全員が活字の中をいや上をハネ回っていた。
ゴステのイースー、ペンチャンよりカンチャン等の定石もこのシリーズの牌譜の説明(ユニークでシンプルな図入り)で学んだ。
アウトローの悪党どもがヒツジから獲物をぶんどる。殺し以外なら、いや殺してでも分捕る。ギトギトで陰惨な内容も全体に漂う品のいいユーモア感。地獄で意識せず人間生き抜いていくのはイチイチ悲観してたらきりが無い。薄笑いしながら生きていくのが最良の方法だな。自分だけの心意気、心構え、生きていく法律、全てそれぞれのアウトローが持っている。これこそ格好イイってやつ。
暇あればエンタメかわりに本記載の牌譜を眺めてああくればこう切るってイメージトレもした。一時期マアジャンに全てのめりこんでた何年かを形成したのに大いに役立ってくれた。
徹マン繰り返しては今日もアサダテツヤだって言うのが口癖だった。
後年この人の色川武大名義の作品を読み、実力を知りイロイロ読み漁り新作をいつも楽しみにしてた。残念だが亡くなられた。
まだ60歳くらいだった。 -
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阿佐田哲也『ドサ健ばくち地獄』(角川書店、S59)
「麻雀放浪記」シリーズのスピンオフ。天涯孤独のばくち打ちドサ健とその周囲に群がるばくち打ちのお話。勝ったり負けたり、誰からカモられるか敵対関係の一方、結局こいつらとしか遊べないというゆるい仲間感。悪漢小説の本領が出ています。
登場するばくち打ちは誰もが一定の技量を持ってイカサマ上等、周囲もそれをわかっていて高度な心理戦が展開されます。イカサマしようがなにをしようが、カモになるやつがいればそれでいい、と博打の本義を忘れないおおらかな姿勢。
胴元が儲かる構図とそれに固執する者、一方で主催者の義務としての廻し銭制度、貸付を回収できるか腕が問われるところです。
【本文より】
◯金のケリは金でつけろ。それが一番簡単だ。金でケリがつけられないから負い目が大きくなっていくんだ。殿下、そこがお前にはわかっとらんよ。
◯「馬鹿いうな。ばくちのプロなんて居るもんか。コロしたり、コロされたり、俺はしのぎのプロなんだよ」
◯考えてみれば、北抜き麻雀に限らず、ばくちは、止めどきが大事なのである。止めようと思ったときに、すっと立てる人は、大怪我はしない。
◯考えてみると、勝負は常に、トップと、次位以下の三人がおり、その三人が諒承しなければ、決着がつかないのである。」