阿佐田哲也のレビュー一覧
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「麻雀放浪記」で世間並みの生活に背を向け、博打だけによりかかって若年期を過ごした主人公のその後が描かれる。かつては「坊や哲」として恐れられる賭博師だった哲也も、頭の禿げ上がった立派な中年になり、親の家で居候みたいな暮らしを続けている。「麻雀放浪記」の時のような勇姿はみじんもない。色川武大名義で書かれたいくつかの著書でみられる、彼なりの人生哲学が色濃く反映されており、ギャンブルで全勝するのが不可能なように、人生も勝ち時負け時をしっかり見極めること、自分の運気を上手く捉えることが何よりも大事なのだという持論を強くうち出している。無法者の後日談としてだけでは受け取れない、小説を体現してきた著者の肉感
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読んだ本 麻雀狂時代 阿佐田哲也 20250904
もう何年ぶりだろう。40年近くぶりに阿佐田哲也のギャンブル小説を読む。積本の中に2冊見つかりました。角川文庫のシリーズで2冊だけ読んでないのが手元にあんですね。
読まずにおいてある理由は、「麻雀放浪記」みたいな小説じゃないエッセイがシリーズの中に結構あって、しかも麻雀だけじゃなくて競輪、手本引き、バカラなんでもあれで、なんとなく飽きて、揃えといて読まなくなっちゃったんですよね。
で、改めて読むと、ほとんど麻雀じゃなくてブラックジャックと競輪。でも、年取った懐かしさもあって、面白かったですねぇ。
そう、エッセイと言いつつフィクションが -
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坊や哲のもがき苦しむ様子が自分事のように苦しいです。全然すかっとしないです。ですが汗臭さにムッとする感じも、たまにはいいもんです。
新キャラの鎌ちゃん、安さん、三井なんかも、まぁいいんですが、やっぱりドサ健や達、チン六が出てくると嬉しいですね。特にチン六との再会場面は、ちょっとした感動シーンでした。
さすがに「青春篇」には及びませんが、「風雲篇」よりは面白かったです。旧キャラたちの新時代について行けずにもがき苦しむ様子と、それでいてどこか達観した様子が心を打ちます。ダサ格好いいとはこういうことだろうか。
読み終わった後、何とも言えない物悲しさを覚えます。年をとったということなんでしょうか -
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阿佐田哲也コレクションも、もう6まで来ましたか・・・。ちゃんと買ってるあたり、自分も意外に几帳面だ。
しかしまぁ、このへんになってくると、二度三度と焼き直しされたネタが多く、「あれ、これはあそこで読んだやつだぞ」と思うこともしばしば。
いやまぁ、それはしかたない。誰だってネタを練り直すことはするわけで、このシリーズは、いままであまり日の目を見なかった「練り直す前」のやつなんかを収録しているっていうことなんでしょうから。そう、このシリーズはマニアのためにあるわけなので、そういう「ダブり」も楽しまねばならん、のでしょう。
しかし、表題作が未完なのは残念。(ん、これはどこかで漫画化されてなかっ -
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これは完全に余談である。シンデレラは幸せに暮らしましたとさ、というようなイメージで語れないんだから、とサービス精神で作者が描いてみたんだろう。
公園で、ブランコをこぐ子供を見て、あぁ僕にもそんなことがあった、と思い、老人があいさつをかわしているのを見てそんな風に自分もなるのだろうかと思う、そのような時の公園には僕の時間の流れがひとところにある。
この第4章にはそんなところがあって、卓を囲んで若者と脂の乗った年長者と、先行きの短いもの、それぞれが個性的だが、あれが私であると言えるように書いてくれたはずだ。
つまるところ、「死ぬまで打つ」。巻末柳美里の解説もよかった。 -
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大学時代繰り返しページを開いた本。講義のテキストなんかは殆どが未読、新品、未開封。
当時の学生の必須教科はなんといってもマージャン。リーチマージャンが完成形に出来上がった時代。
それ以前はブーマンっていって細かい点符計算が必要だった。イチニニイヨンヨンパアクンロクって計算をして点棒のやり取り。フリーマージャンの卓にもよく通ったがブーマンは経験が一番の強み。貧乏学生のシロートが入ると露骨にいやな顔されて怒られながらそれでもヘラヘラしながら通った。そのベースがあってリーチマージャンに変わると腕の強弱は別にして瞬時に計算だけはできた。そんな時にこの本が出た。言わないでも全員が読んでた。卓越した魅力的