黒十字サナトリウム

黒十字サナトリウム

990円 (税込)

4pt

3.5

……甘美な幸福とはこのことだったのか。
肉体と精神とを仲立ちしている知覚がちぎれて、放たれていく刹那の残像と余韻――その先にある淵のふかみだ。

黒十字サナトリウムの患者は、誰しも自分を吸血鬼だと思いこんでいる。

「救いの神がいるのか私は知らない。私は天国に居ないのだから。地獄にも落ちていないから、裁きの神がいるのかもわからない。でも神の法からは逃れられない。私が吸血鬼として甦っているのだから」

春の夜明けにむかって説き明かされていく療養所の秘密とは――。
第9回日本SF新人賞受賞作、絶版となっていたゴシック幻想奇譚が今よみがえる。

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黒十字サナトリウム のユーザーレビュー

3.5
Rated 3.5 stars out of 5
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    Posted by ブクログ

    8+1の短編からなる連作。読みづらい、分かりづらい話もあったが、この美しく妖しい世界観に惹き込まれた。日本SF新人賞(新人賞!?)受賞作品。
    双子のミシィカ&レイナが登場してから断然面白くなる。一番気に入ったのは最後の話かな。ああ、カイ…。(この、ネーミングに雪の女王を連想した人は多いはず)こんなに

    0
    2017年01月29日

    Posted by ブクログ

    面白かったー!二段組で読みごたえあった。長いけれど、たいくつしない。
    ミシィカとレイナは、「こいきなやつら」の双子ちゃんを彷彿とさせるイメージ(あくまでも個人的に…)
    お耽美な世界観(表紙絵の影響もある)の中に、いろいろ勉強したんだろうなぁという蘊蓄が詰め込まれていて面白い。
    言葉遣いがしっかりして

    0
    2014年12月26日

    Posted by ブクログ

    短編集なのかなと読み進めますが、最後に繋がり、
    なんて華麗で素敵な物語なのだろうとうっとりしました。
    耽美な文章は心地よく、あまりの酩酊感に本を閉じ、眠りました。
    アホな私は吸血鬼ではなく睡魔に襲われ、何度も読むのを諦めかけました。
    せめて行間をもう少しあけてくれませんかねと、何度も呟きました。

    0
    2013年02月28日

    Posted by ブクログ

     時系列を超えて、吸血鬼である双子の兄妹を中心に描かれる幻想譚。全編にわたる抑制の効いた表現が却って戦慄的であり、冷たい蒼色が通奏されている。

     内容も充分に整合性がとれ、読み心地が良く文章も美しい。医学的描写も光っている。個人的に印象が残ったのは「通りの瓦斯燈に青い灯が入ったとき」という章。妹レ

    0
    2011年11月19日

    Posted by ブクログ

    好きな要素がたっぷりつまっているはずなのに、衒学的な小説も好きなはずなのに、なんだか重苦しくて読み進めるのがしんどかった。
    しばらくこの作家さんはいいかなという感じもするけど、黒猫ギムナジウムのほうは波長があうと思うので、そちらだけは読んでみたい。

    0
    2013年03月19日

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