• 量子重力理論とはなにか 二重相対論からかいま見る究極の時空理論

    誰も知らない量子重力

    今までにない量子重力の解説書である。

    ハイライトは第3章の二重相対論とスナイダー理論である。
    この理論は知らなかったので新鮮だった。

    1,2章は相対論と量子論を論じているので多くの人が既に知っているだろうが、
    3,4章は多分多くの人が全く知らない内容だろう。

    この2章を読むだけでもこの本を手に取る価値がある。

    物理科を出た人なら3章から始めても良いと思う。

    ともかく他の本で読んだことがない内容なので読む価値はある。

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  • 時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体

    時間に興味ある人に

    全部で8章、第1章から第3章までは20世紀以前の人間が時間をどのように考えていたか、そして時間についての問題を提議している。
    第4章は特殊相対論、第5章は一般相対論における時間の概念の変遷。第6章と第7章はマクスウェル理論そして量子論の紹介。

    最後の第8章で量子重力の理論と現在物理学者が考えている時間の概念を説明する。
    この章では弦理論は勿論のことホログラフィ理論や行列理論についても言及している。

    そして最も重要なことは「有効理論」が強調されていること。有効理論は物理に興味がある人全員に理解して欲しい概念だ。
    是非じっくり読んで理解して欲しい。

    時間の概念の変遷の歴史を...続きを読む

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  • 文庫版「ほがらかな探究 南部陽一郎」

    南部先生を知りたい人に

    小柴、益川、茂木、そして南部夫人など様々な人の目から見た南部先生の人柄と業績について書かれた本。

    そして何と言っても一番のハイライトは南部先生自身の記憶による自らの人生をたどったノート、
    そして写真である。

    私が日本人の物理学者で一番凄い天才だと思っているせいもあるかもしれないが、全ての人に読んで欲しい本だ。

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  • 学問の発見 数学者が語る「考えること・学ぶこと」

    数学者の自伝

    フィールズ賞受賞者である広中先生の自伝である。それだけで数学に興味がある人間には絶対面白い。

    何故かと言うと天才数学者がどのようなことを考えているのかが知ることが出来て興味が膨らむ。

    それだけではない。数学者がどのように考え、超一流の数学理論の創造者がそのプロセスをどのようにとらえているかが垣間見える。

    数学だけでなく、理系の人には勿論、全ての人に薦められる。

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  • 2つの粒子で世界がわかる 量子力学から見た物質と力

    ボーズ粒子とフェルミ粒子

    この本に期待していたのはボーズ粒子とフェルミ粒子の対称性、即ち超対称。
    しかしこの本は超対称の本ではなかった。即ち素粒子論のほんではなく、物性の本だった。

    しかしながらボーズ粒子と超流動、フェルミ粒子と超伝導など良く知らないトピックについて
    詳しく説明されているので、結果論として読んで良かった本。

    これらのトピックに興味があればお勧めの本です。

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  • 物理学者の墓を訪ねる ひらめきの秘密を求めて

    ユニークな旅の紀行記

    以前から物理学者とか数学者に関連する場所を尋ねることが多く、ボーアの生まれた家とかアインシュタインがベルンで住んでいた家などを
    尋ねたことがあるが、墓を尋ねることは珍しかった。唯一の例外はウェストミニスター寺院とモスクワのランダウの墓。

    しかし、この本を読んでこれからは積極的に偉人の墓を訪ねてみようと思った。

    墓に刻まれたボルツマンのエントロピーの公式とシュレーディンガーの方程式は是非自分の目で確かめたいと思った。

    この本の続編が刊行されることを希望する。


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  • 場の量子論 -不変性と自由場を中心にして-

    場の量子論の独学にお勧め

    独学が難しい場の量子論だが、ほぼ行間ゼロのこの本なら独学が可能。場の量子論の最初の教科書として絶対お勧め。
    場の量子論の教科書として最高峰のものである。

    裳華房のホームページに全ての演習問題の詳細な解答が与えられているので、全ての演習問題も解いてほしい。
    解けなくてもしっかり読めば、場の量子論の理解が格段に進む。

    他の本で挫折した人もこの本でもう一度場の量子論に挑戦してほしい。

    その後もう一つレベルが上の九後とかワインバーグにも挑戦できるようになる。

    この本は紙の本を三省堂で昨年買ったのだが、最近電子版が出たのはうれしいことだ。


    この本を読んでもだめなら、...続きを読む

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  • 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論

    人間原理につぃて知りたい人に

    人間原理についての説明している本。多分日本語でこのテーマについて詳しく説明している本は他にはない。

    この本の魅力は人間原理否定派から人間原理容認派に変わった著者による作品だということ。
    故に最初から人間原理に肯定的な人間より深いところが見えているような気がする。

    著者は人間の宇宙観の変遷を昔から現在までを展望しているので、人間原理だけでなく宇宙観に興味がある人間にも
    お勧め。

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  • 間違いだらけの物理学

    科学者に勧めたい本

    潮力、遠心力、揚力など誤解が多い項目を詳しく説明している本。
    物理学を習ったものでも大抵このような古典物理の問題を深く考えたことはない人は多いのでは。
    故に科学分野の専門家こそ読んで今まで深く考えなかったことを考えて欲しい。

    科学者に勧めたい本。

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  • 神が愛した天才科学者たち

    科学者のエピソード満載

    「神が愛した天才数学者たち」と同様に天才科学者が如何に凄い人なのかが分かる一冊。
    科学者がどのような人なのかに興味がある人々にお勧め。
    ニュートンの章で「イギリスの科学を100年後らせた大罪」は興味ある見解。

    問題が二つある。
    1)エジソン、ライト兄弟は厳密な意味で科学者とは言えないのではないか?
    2)もっと最近の科学者も取り上げて欲しかった。例えばファイマンとかポーリング。

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  • 神が愛した天才数学者たち

    数学者のエピソード満載

    数学者のエピソードが満載の本。
    天才の凄さが分かる本です。世の中には信じられないほど優秀な人間がいることが分かるだけでも読む価値がある。
    例えばリーマンの章ではリーマンが800ページを越えるルジャンドルの本を6日で読破したと、
    凡人はおろか相当数学の才能がある人間でも信じられないエピソードが書かれています。

    残念なのは20世紀の数学者が一人も取り上げられていないこと。
    20世紀にもとんでもなく凄くてエピソード満載の数学者がいる。
    例えばヒルベルト、フォン・ノイマン、ゲーデル。

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  • なっとくする量子力学の疑問55

    量子力学の副読本

    標準的な量子力学の教科書を初めて読むときに様々な疑問が湧き出てくるのは自然なことだ。しかし多くの標準的な量子力学の教科書では計算の仕方については詳しく書かれているが、多くの学生良く分からないと疑問に思う概念的な事柄について詳しく説明されていないことが多い。
    そのキャップを埋めるのがこの本である。故に量子力学を初めて学ぶ学生が教科書と共に読む本としてお勧め。

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  • ブラックホール・膨張宇宙・重力波~一般相対性理論の100年と展開~

    ブラックホール興味がある人に

    ブラックホール、宇宙の膨張、インフレーション、重力波について知りたい人にお勧めの本。大学で物理学専攻でなかった人向けの一般相対論と宇宙論の解説本はそれこそ星の数ほどあるが、ブラックホール、重力波の話題についてここまで丁寧に解説している本は珍しい。一冊だけ読むならこの本がお勧め。

    因みに重力を曲がった空間と最初に結びつけたのはアインシュタインではない。最初はイギリスの数学者クリフォードである。アインシュタインの功績は重力を曲がった時空と結びつけたこと。重力を曲がった時空と結びつけたことで一般相対論が生まれた。

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  • ざっくりわかるトポロジー 内側も外側もない「クラインの壺」ってどんな壺? 「宇宙の形」は1本の「ひも」を使えばわかる?

    大学教科書の前に読むと良い

    例えばブルーバックスのトポロジーの本を読んでもっと先が知りたい人にお勧めの本。
    ブルーバックスなどの数学に興味がある高校生向けの本と異なり、随分と数学の大学教科書に近い記述である。
    しかしながら、数学科の学生向けの本と比べると遥かに読みやすい本であり、数学の神髄に触れられる本である。

    数学科の位相幾何を習う前に読むと良い本。

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  • 重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る

    相対論から超弦理論まで

    素晴らしい本。相対論から超弦理論そしてブラックホールまでをカバーした本。

    特に印象に残ったのが二つ
    1)「不確定性原理」は一つの量子状態は固有の位置と速度を同時に持つことはないと言う原理。一方「ハイセンベルグの不確定性原理」は位置の測定しようとする行為が速度の測定値に不確定性を生むという測定制度の限界。これは目から鱗だった。

    2)3次元空間では量子電磁気学は繰り込みが可能だが、4次元以上の空間になるともっとタチの悪い無限大が出てきてしまい繰り込むことが出来ない。高次元では量子電磁気学が成り立たない

    このように、物理学の専門家でも新たな知識に出会える本である。

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  • 新装版 マックスウェルの悪魔 : 確率から物理学へ

    エントロピーを理解したい人に

    エントロピー、熱力学の第2法則を知りたい人にお勧め。エルゴード仮説についても書かれているが、書かれた時期が少し古いので、最近進展について触れられていない。最近大きな動きがあったらしいので、現在の状況が書かれていないのが残念。是非第2版を出して内容を最新のものにして欲しい。

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  • 時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」

    もう一度読みたい本

    最初の5章は時間をテーマした本なら絶対カバーされるテーマ。他の本でも知ることが出来る。面白かったのは第6章の「タイムパラドックスはおきるか」。もう一度読んで深く考え、そして理解したい。第7章の内容(時間は何故流れるように感じられるのか)が取り上げられたのは意外だった。時間に関する本を色々読んでいるが、このテーマをカバーした本は初めて。新鮮だった。
    時間をテーマにしている他のブルーバックスを読んでからもう一度読みたい本。

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  • ニュートンに消された男 ロバート・フック

    ニュートン、フックの時代の科学

    フックのことを良く知らないので、知りたいと思って買ったのだが、この本は一般的に言うフックの伝記ではない。彼の育ちとか家族とかは余り書かれていない。しかし、フックの業績が詳しく紹介されているので、フックの科学的伝記と言える。故にフックの科学的業績に興味がある人にはお勧めの本と言える。それだけではない。特にフックとニュートンの時代の科学界のことが詳しく書かれているのでその時代に興味がある人間には是非勧めたい。

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  • 「集合と位相」をなぜ学ぶのか ―数学の基礎として根づくまでの歴史

    集合と位相が良く分からない人に

    素晴らしい本です。集合と位相の標準的な教科書を読んで良く分からなかった人たちにお勧めの本です。

    そのような人は標準的な教科書(例えば「集合、位相入門」松坂和夫著)と平行してこの本を読むと理解が格段に進むと思います。
    松坂を少し読んで、その後「 なぜ学ぶのか」の同じセクションを読みます。そしてもう一度松坂を読む、を繰り返すと良いと思います。

    私も集合と位相を理解したいと思い、いろいろな本を読みましたが、この本を読むまでは集合とか位相を本当に理解したとは言えなかったのです。しかし、この本で理解が一気に進みました。

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  • 無限の果てに何があるか 現代数学への招待

    数学者以外の人にお勧めの本

    本のテーマは数学基礎論。数学なら知っているよ、と言う人にお勧めの本。数学で博士号を持っていない人なら確実に数学のイメージが変わります。この本を読むのに必要な数学のレベルはそんなに高くない。新聞のようにすらすらと読める本ではないが、高校で数学を習った人なら読めるはず。特に数学なら分かっている、と思っている(数学科以外の)理工学部の人には是非読んでほしい。私の大学、大学院での専攻は物理学で、数学も学部レベルのクラスは殆ど全部、そして大学院レベルのクラスもいくつか習っていますが、それでも数学のイメージが変わりました。

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