【感想・ネタバレ】新装版 マックスウェルの悪魔 : 確率から物理学へのレビュー

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Posted by ブクログ 2018年10月20日

『現実世界と統計力学がリンクする!』「分子などの粒子の集団としての振る舞いをその確率から統計的に記述する物理」と説明されて「なにそれ面白そう!」と興味が持てる人間は間違いなく少数派だが、本書はもうこれ一冊で存分に統計力学を楽しむことができる。「コーヒーとミルクってなんで混ざるの?」「お茶はなんで冷め...続きを読むるの?」という小学生にされたら困るような日常の疑問を統計力学的に説明し、そこから一般人がわかるようでわかってない理論上位に位置する熱力学第二法則とエントロピーの話に綺麗につながっていく。そして極めつけにオチのエントロピー社会論。エントロピーが増大し、もはや誰にも全容を把握することができない社会で、個々の負のエントロピーは今後も同じようにエネルギーを正しく消費できるのだろうか。統計力学の教科書を開く前に読むべき一冊。

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Posted by ブクログ 2018年09月09日

今まで読んだエントロピー関連の本では群を抜いてわかりやすく、おもしろかった。薄い割には内容が濃い。とはいっても入門書。何を勉強すればよいのかわかってきたので、本書を足がかりにこれから深く勉強していきたいと思う。

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Posted by ブクログ 2017年03月19日

非常に面白かった。本書の初版が出版されてから、今日に至るまで人類全体のエントロピーは増大し続けている現状を鑑みると、本書の結びにある人類自身がマックスウェルの悪魔となり、自らの救世主となる未来は遠い。

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Posted by ブクログ 2012年07月03日

熱力学の第1法則・第2法則、エントロピーの性質を分かりやすく説明しています。最終章で、エントロピーを世の中一般に広げて話をしているのもすごい。確かに今の仕事は、反エントロピーを生産することですね。

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Posted by ブクログ 2011年12月07日

最高に面白かった!
熱力学を中心に全ての自然現象についての知識が深まります。
ミクロの世界に浸りたい方は是非!

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Posted by ブクログ 2011年07月29日

これはすごい。
こんなに読みやすいのに、エントロピーを軸とした「自分が今考えてみたいこと」にどんどん踏み込んでいってくれた。いかんせん熱力学・統計力学は学問的にもうHOTではないと考えがちであったが、昨年田崎先生の熱力学を読んで以降考えを改め、本書によりさらに興味を刺激された。
都筑先生の著作は学生...続きを読む時代にいくつかお世話になったが、教科書的ではない本書にこの著者の魅力が詰まっている。
なるほど、長年支持されるだけの理由がある本だ。

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Posted by ブクログ 2010年05月22日

[ 内容 ]
タイムマシンを実現させて過去をよみがえらせ、永久機関を動かして、世間をアッといわせてみせる。
人類が滅び、宇宙に終焉が訪れるとすれば、マックスウェルの悪魔こそ、救世主か?この不可思議な悪魔に目をつけながら、時間の向きを決めているという「エントロピー」を、他に類を見ない面白さとわかりやす...続きを読むさで解説する。

[ 目次 ]
1 永久機関のはなし
2 エルゴード仮説より
3 確率から物理法則へ
4 秩序崩壊
5 なぜ空気はつもらないか
6 でたらめの世界
7 救世主としての悪魔

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2022年11月19日

夕もやにかすむ街はずれの空地、くさりかかった丸太や、土管が乱雑に並び、掘り返しの穴には水がたまって、垣根の竹が汚水の中に落ち込んでいる。
……
と、ある傾きかけた家の台所で、坊やが泣いていた。
……
あかりもない台所はすでに薄暗い。まもなく坊やの父親も、一日の仕事から帰ってくるだろう。
...続きを読む……
さきほどまで物干し竿の洗濯ものを動かしていた風も凪いで、あたりは気味の悪いほど静まりかえっている。
……

このような文章が出だしから数ページ続く。物理学の本だというのに!
そうだった。久しぶりの感覚だ。これが、都築卓司さんの BLUE BACKS だ。
今回は、どんな世界に連れて行ってくれるのか、とワクワクして読んでいた昔の自分に戻ったような気分になった。

熱は熱いものから冷たい方向へとしか流れない。
この熱の一方通行性という確固たる真理を打ち破るべく、マックスウェルの悪魔は登場する。

分離から混合の方向へ移行するのを、エントロピーの法則とよぶ。
100℃と0℃の水を混ぜると50℃で安定化する。50℃の水が100℃と0℃の水に分離することはない。
エントロピーは時々刻々に増大していく。

熱の一方通行性、つまり現象の進行があるうちは時間が存在する。
今は太陽や地球が分離した状態にあるが、やがて混合する。
宇宙の全てが混合し均一化すると何も起こらなくなり、時間の存在や向きという概念も怪しくなり、エントロピーに変化がなくなる。

エントロピーとは、でたらめさかげん、複雑化、多様性、平均的なものへの推移。

生物の遺伝のからくりや人間が作り出す様々な物は、混沌から秩序を生み出しており、エントロピー増大の法則に反している。
マックスウェルの悪魔は人間の中に宿っているように思える。

地球温暖化は山火事や巨大台風などを起こし、人間を含む生物が作り出した秩序あるものをぶち壊している。
エントロピー増大の法則に反していると考えられる人間は、地球という単位で考えるとエントロピー増大の速度を速めることに貢献している。

池谷裕二さんの「生きているのはなぜだろう。 (ほぼにちの絵本)」を読んだ時と同じような気持ちになった。

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Posted by ブクログ 2021年09月19日

上手くたとえ話を交えながら書かれているのでわかりやすい。自由エネルギーとエントロピーの関係のイメージを掴むのに良い。(ただ平和鳥の原理は結局よくわからなかった。)

最終章は物理だけの話ではなく人間社会へと話が及ぶ。情報の爆発により人間が滅亡する話は2021年に読んでも説得力があり、本当にそうなりそ...続きを読むうに感じる。把握・判断すべきことに溢れすぎている現状を打開するにはやはり判断を機会に委ねるしか無いのか。

久保亮五先生の人類滅亡時期の予言に関するエピソードはボルツマンを彷彿とさせた。

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Posted by ブクログ 2020年08月24日

マックスウェルの悪魔

身近な科学本レーベル ブルーバックス の真骨頂。

宇宙の熱的消滅や人類滅亡は フィクションが過ぎる気もするが、自然の脅威 エントロピーと 救世主 マックスウェルの悪魔 という見方は面白い


イメージしか捉えられないが
エントロピーは
*混合、一方通行性、全体主義化
*情報...続きを読む量が増えていく様子、わからなさの度合い
*エントロピーは増え続ける〜集団の中では 人間はエントロピーを増大させる


マックスウェルの悪魔は
*分離したり個別化したり
*自然の流れを変える
*エネルギーは持たないが、分子や原子の動きをコントロールできる


エントロピーの法則
*分離から混合の方向へ移行する
*熱の一方通行性(熱いものから冷たい方向にしか流れない)〜温度差のあるニ気体が接触すれば 平均化する

エネルギーを持っているとは
*位置エネルギー(高い位置、引いた弓、伸ばしたバネ)
*運動エネルギー(物体が走る)
*熱エネルギー
*電気エネルギー

エネルギー保存則(熱力学の第一法則)
*エネルギーは形を変えることはあっても、全体としての量は一定〜不変性を主張

熱力学の第二法則
*分離の状態はやがて混合の状態に追い込まれる〜移動の方向を示す
*第二法則に対抗するのがマックスウェルの悪魔


科学にマクロとミクロの学問区分があるとは知らなかった。「同一のものであっても、全体(マクロ)と個々(マクロ)では違う表情を見せる」という言葉は示唆的

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購入済み

エントロピーを理解したい人に

2020年08月12日

エントロピー、熱力学の第2法則を知りたい人にお勧め。エルゴード仮説についても書かれているが、書かれた時期が少し古いので、最近進展について触れられていない。最近大きな動きがあったらしいので、現在の状況が書かれていないのが残念。是非第2版を出して内容を最新のものにして欲しい。

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Posted by ブクログ 2019年09月27日

純粋に物理の本です。マクスウェルの悪魔とは、エントロピーを減少させることができる不思議な悪魔です。

たま~に「マクスウェルの悪魔の実験に成功」という記事を見ます。発電の分野などに関して夢のあるお話です。

物理が好きな人には面白いと思います。

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Posted by ブクログ 2013年02月24日

2年前に読んで途中でギブアップしたものをリベンジ。新装版のせいか、今回はまず最後までいけました← まずエントロピーについて理解せねば・・・^^;まだ物理も習いたての自分にとって、難しかったですが内容的には面白かったです。なぜ落ちた物体は上へ行かないのかとか、人間など生物が自分の体を自分の意思で動かせ...続きを読むるのには理由がある・・・など、なるほど(?)と思える身近な現象満載でした。またリベンジしたいですw

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年12月06日

熱力学第二法則、エントロピー増大についてわかりやすく解説している良著。物理の世界と同じように人間社会も放っておくと色んなモノが複雑化(エントロピーの増大)していく。たたでさえ情報量が増えて選択・決断の機会が増えているのだから、一つ一つをシンプルにすること(反エントロピーの増大)を心掛けないといけない...続きを読むと教えられました。

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Posted by ブクログ 2012年02月01日

体系的なまとめから。

・エントロピーとは、情報量を示す尺度であり、言い換えればわからなさの度合いやでたらめさかげんを示すもの。

・熱力学の法則
第一法則:エネルギーはその形態が変わっても、全体としての量は一定のまま
第二法則:分離の状態は、やがて混合に追い込まれる
第三法則:絶対零度では、エント...続きを読むロピーは0になる

・マックスウェルの悪魔とはこの熱力学の第二法則に歯向かい、混合させたものを分離させることによってエントロピーを減少させることが可能な空想上の存在。

だけど話はこれだけに留まらない。要所要所で出てくる巧みな社会的比喩にはハッとさせられるし、後半では人間も反エントロピーの創造者であり、もしかしたら人間自身がマックスウェルの悪魔では…と想像力を広げていく。決して堅苦しくあろうとはしないし、その視点は確かに日本社会を射抜いている。

これは科学的視点から未来を考えようとする姿勢、それが結晶化された本なんだと思う。

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Posted by ブクログ 2012年01月15日

熱力学、量子論、統計学。物語と絡めているところが面白い。統計学的なエントロピー増大の原理は世の中のいろいろな場面で役に立ちそう。

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Posted by ブクログ 2011年05月05日

サラリーマンが苦しいのは毎日自然に逆らってエントロピーを減少させようとしているからと理解。エントロピー増大をマクロの視点で見ると、また違った情報化の見方ができそうです。情報の波にのまれぬよう、自分の中の悪魔を鍛える必要があります。

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Posted by ブクログ 2012年05月02日

 本学の学生さんは、「確率から物理学へ」などという副題を見ただけで手に取らない可能性が高いかもしれないが、ひとことでいえば、この本は「エントロピー」という概念についての啓蒙書であり、熱力学(統計力学)の入門書でもある。エントロピーという概念は、理科系の学生にとっても必ずしもわかりやすいものではなく、...続きを読む熱力学の専門の講義では当然数式での説明になるだろう。しかし、この概念、環境問題などに関心のある学生には知っておくほうがよりしっかりした考察ができるはずのもので、また、生命とはなにか、という哲学的関心のある学生も、どこかで出会う概念である。
 初版の年度が1970年とあるように、これは評者にとっても、中学生時代の思い出の一冊でもある(手元にある当時の価格は290円となっている)。中学1年生のときだったか、ふだんはあまり干渉しない父親が、「こんな本があるよ」と数冊の新書サイズの本をそっと置いていった。それは当時、科学の啓蒙を目指して講談社がシリーズで出版しはじめたブルーバックスシリーズだった。青いカバーのこのシリーズはその後、私の本棚をつぎつぎに埋めていくことになるが、初期の本にはとくに名著が多いように感じる。なかでも、本書の著者である都筑卓司氏の数冊の本は、永美ハルオ氏の印象的なイラストとともに、わくわくしながらむさぼり読んだ記憶がある。いまだに理系か文系かはっきりしない自分自身が、とりあえず理系の進路を選択したのも、この出会いがかなり大きな要因になった気がする。
 難しいことをやさしく説明するのが、じつは一番難しい、というのは多くの人が感じていることだろう(とくに大学の教員?)。この著者はそれを楽々とやってのけた(かのように見える)天才である。教養科目の教師としてこれ以上の人はいないだろう。すでに亡くなられたそうだが、一度、私も都筑氏の講義を直接受けてみたかった。数あるブルーバックスシリーズのなかで、これが新装版として再出版する本の1つに選ばれ、さらに長い旅立ちを果たしたらしい。当然である。

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Posted by ブクログ 2018年12月21日

理数系の話が苦手なため、半分くらいは難しくて分かりませんでしたが、分かる部分は楽しめました。
70年代に書かれた本なのに、最終章では50年後の現代社会の姿を言い当てているところにドキリとさせられました。

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Posted by ブクログ 2012年01月19日

熱力学や統計力学について、平易に解説されていると思うが、部分的には、難しくて十分理解できないところもあった。
でも、素人が一冊読んだだけで完璧に理解できるというほど簡単な内容ではないのだろう。本当に分かろうと思ったら、同じテーマの本をいくつも読まないと無理かも。
実際、朝永辰一郎の「物理学とは何だろ...続きを読むうか」の次に読んだので、朝永本で分からなかったところの理解が少し進んだ。

ところで、エントロピーについての身近な例で、片付いた部屋は低エントロピーで、子供が散らかした部屋は高エントロピーだと書かれていたが、「この」散らかり方は(別の散らかり方と区別すれば)唯一の散らかり方なのだから、エントロピーが高いと言えるのだろうか?
という疑問が湧いた。

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Posted by ブクログ 2011年12月31日

熱力学が生んだ鬼っ子とも言うべきマックスウェルの悪魔を題材にエントロピーの概念を分かりやすく解説した本です。
単なる科学の啓蒙書の域をこえて、私たちの日常生活にまで言及した哲学的なテーマも内包していて、文系の人にも興味深く読める本になっています。
ただ、平易に書いてはいるのですが、ところどころ数式も...続きを読む出てきており、そこはかなり難しく読み飛ばしてしまいました。

最後、著者は宇宙の熱的死ならぬ情報化社会の発展による人間社会の死について懸念を示していますが、元になった本が書かれたのが1970年ごろだというのを考えると少し大げさな気もしました。

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Posted by ブクログ 2011年07月09日

マックスウェルの悪魔に対する反証を知りたかったが、初版が古いこともあり、現在の状況は分からなかった。

内容は確率とエントロピーの関係が中心であり、なかなか難しい。エントロピーについて新たな視点から見ることができるようになった。しかし簡単には読めなかった…

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

最もimpressiveなのはこの本の最後。

現代社会の発展は人間の死に向かわせる。

それは、社会の発展に従ってエントロピー=情報処理量は増大し、人間はその処理を行えなくなるからだ。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

決して読みやすくはない。
「空気は積もらない理由」
「熱的終焉」
熱力学関係の基礎知識が身につく。
一度よむべき。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

良くも悪くも、全く考えずにスラスラ読めるといった感じの本。高校生にも、一通り統計力学の計算問題ができるようになった大学生が読んでもそれなりに面白く感じると思う。

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