あらすじ
誰にでも同じように流れて、逆回しにできないもの――普段思い描く時間の姿は、実はごく限られた一面。最先端の物理学では、時間は、〈空間・物質・力を含む巨大な構造の一部〉と考えられはじめています。ニュートン力学、カオス、特殊相対性理論、一般相対性理論、電磁気学、場の量子論、超弦理論……物理学の歴史を辿っていくと、美しく壮大な、時間の真の姿が見えてくる!
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Posted by ブクログ
これまでの物理学の実験事実、知見と思考の大筋が、時間という一つのテーマを視座に解説されていく。
しかも、簡潔だがきちんと言語化されていて、あの本で言っていたことはそういうことだったのかと結びついていく「シナプシング」感覚に浸ることができた。
*「シナプシング」は私の造語
Posted by ブクログ
時間をどう捉えればよいのかという問いを中心に空間や場と言ったこの世の理(まさに物理)について論じられた一冊。
著者が文系の方向けに講義を行なった経験からか、基礎知識がなくても読みやすいものとなっている。
この世は空間と時間の4次元方向の力だけではなく、電磁力や原子スケールにおける強い力、弱い力にも支配されているらしい。
ニュートンの古典力学、アインシュタインの一般相対性理論ではある程度の範囲までしか有効ではない。世の理をより正確に表すならば新たな理論が必要になる。これは考えるスケールと理論のイタチごっこのようにも思える。しかし、超弦理論などによって物理の研究が進むことで(一般相対性理論がGPSに役立てられたように)新技術が生まれるのである。
この本を読んで最新物理学の一端を知ることができ、実はまだよく分かっていない部分もあることを知れた。正直なところ最新の考え方は自分には難しかったので本書の末尾で物理をもっと知るために紹介されている本たちを読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
ニュートン以来、物理の背景に空間と時間の方眼紙を貼りつけて大きな成果を挙げてきたわけだけれども、アインシュタインの頃から方眼紙は実はグニョグニョに曲がるし、前景の物質だってユラユラ揺らいでるとわかった。
歴代の物理学者たちもきっとなんだコレ?と言い続けているに違いないが、今や焦点は背景だった時空の方眼紙って何?どうなっているの?にある。
それを研究しているのが量子重力理論で、しかし、本書ではさらりと紹介しているだけなのでちょっと肩透かし。
しかし、素朴な時間観から量子重力理論に至る流れを辿りながら、物理を数式や紋切り型表現ではなくて著者の言葉でコレってこういうことなのよと言ってくれるのがとても説得力があって腑に落ちる。
Posted by ブクログ
時間とは何かは誰もが気になる哲学的問いではないでしょうか。
私自身、本書を哲学書だと思って購入したのですが、実際は、ゴリゴリの物理学が展開される科学系の本でした。
じゃあ期待外れだったのかと言うと、期待していたよりはるかに面白いではありませんか。
レビューには、時間とは何かに答えていない、物理学が分からないというものが見受けられます。
しかし、本書を読めば、時間とは、物理学でこそ説明されうることが分かります。そして、絶対的な存在と思っていた時間が、そうではなく、相対的であることを知りました。
確かに物理嫌いの方は少々頭痛がするかもしれませんが、著者は数式を用いない平易な言葉で現象を説明しています。
素直に科学って面白いと思いながら読めば、時間とは何かを考えているうちに、物理法則まで勉強できちゃったとお得感満載の一冊です。
Posted by ブクログ
今まで「時間」に関する本は何度かトライしたことがあるが、ようやく少し腑に落ちた感じがする。
特にエントロピーと時間の関係や、光速と時間との関係。
良書。
Posted by ブクログ
全ての人に同じ時間が流れる。という認識こそが思い込み。
時間方向という視点。時間と空間は本来同じものである。ということ。
時間の経過を時間方向に移動すると表現する。静止していても、時間は経過している。従って、静止状態を時間方向だけに動いている状態と表現できる。光速が不変なので、1秒を30万㎞と換算できる。
静止状態では、1秒経過すると時間方向に30万㎞移動する。つまり、時間方向と空間方向は同列に扱える。
時空、世界線などはまだきちんと理解出来ていない。
とても興味深く読むことが出来た。
理解できない部分もあり、再読して理解したい。
Posted by ブクログ
説明が上手い。時間について哲学的に考えるのではなく、物理学で実証的に考えていく。ニュートン力学、特殊相対性理論、一般相対性理論、量子論、等々をイメージしやすいように説明してくれる。時間は時空となり、絶対的な時間はもはや存在しない。質量が重い地表では高い空の上より時間が経つのが遅い。衛星の速いスピードで時間が遅くなるのより影響が大きいという。
(2020.06.22 再読)
Posted by ブクログ
このところ続けて宇宙論の書籍を読み進めていましたが、流れは同じものの、一度、物理学の視点からの書籍ということで、松浦壮氏の「時間とはなんだろう」を読んでみました。”はじめに”のところで「最先端の物理学は、人類史上初めて、時間の真の正体を捉えつつあるという静かな興奮の中にいます」とあり、古来から自分を含めて世界中の老若男女が一度は思ったであろうこの問いかけに答えが見えつつあるというのは、静かな興奮どころか大興奮ではないでしょうか!?
と言う事で、本文を読む前から物凄い期待をしつつも、数ある宇宙論書籍で読み尽くした感のある古典物理学から量子力学のおさらいで終わるのかなと(もちろんそれはそれで何度読んでも飽きないので、何冊も宇宙論の入門書を読んでいる訳なのですが)思いつつ読み始めました。
最初に時間の観念をわかりやすくおさらいした後に、時間が空間の構造の一部である(と言われても最初の時点ではなんのことかさっぱりでしたが)ことを示唆した上で、時間を読み解くために物体の運動である物理学をニュートン力学からおさらいしていきます。ここら辺は他の宇宙論の書籍と大差無いように思われますが、さすが物理学者?であくまで物理の視点での解説なので、宇宙論にありがちな飛躍的な論調ではなく、時間との関連を示唆しながらわかりやすく進んでいきます。象徴的だったのが、量子論をマクロ的な運動にあてはめても現実的ではない対象とするスケールの違いによる「有効理論」と言う物理学の考え方は、私が記憶している限りでは初めての内容で、ここら辺は宇宙論の書籍ではあまり読んだ記憶がない知識でした。宇宙の始まりは量子論が避けて通れないことは理解できても、それをマクロ的に適用して統一理論にしようとすると違和感がある多世界解釈なども(本当は違うのでしょうけども素人にはこのように感じなくもないのです。。。)、このような説明なら納得できます。また古典物理学のニュートン力学から相対性理論までが と言う検証手法でひとつながりになると言う話も新鮮で、物理学はやはり蓄積なのだと納得しました。
本書の中に何度か出てきた例えで、仮に時間が止まれば光子も運動しないので止まっていることの認識すらできないと言う例えも、ともすればSFを通り越した非現実的な高次元・多次元世界の理論も、イメージできる世界に多少は近づきます。自分の解釈でかみ砕くと、もし時間を超えた次元を認識できる存在からは、しょっちゅう時間が止まっているのかもしれない世界を、我々が認識出来ていないだけなのかも知れません。
時間が物体の運動と切っても切れない存在であれば、時間の矢(過去から未来への一方通行)と言う概念も理解出来なくもありません。いずれにしても時間の正体が物理学の一つの事象・法則として明らかになりつつあると言うのが分かる読後は、静かな興奮どころか物凄い興奮を覚えざるを得ません。SFでありそうなネタですが、この世界自体が高次元の別の世界の物理現象の表れである(ホログラフィック理論)事が真剣に研究されていたり、かのアインシュタインも大統一理論を考える前提としてこの世界の物理現象が高次元の現象が現れている結果だという切り口を考えていたと言うトピックスも新鮮です。宇宙論の書籍と似ているようで、やはり物理学の視点での書籍と言う事で、同じ物理学のおさらいも新鮮でより理解が深まった本書でした。ある意味、子供の頃から誰もが感じている「時間とはなんだろう」という人類普遍の謎に現代物理学が肉薄しているのが、観客席から眺められる?ような本書でした。引っ越し続きの海外駐在なので、大概の読後の本は売ってしまうのが常なのですが、この書籍はしばらくは手元に残りそうな書籍です!
Posted by ブクログ
「時間とはなんだろう」という問いから、時空と重力、量子、宇宙などの成り立ち、法則について知ることができた。著者は平易な文章で書いてくれているはずだが、ところどころ難しい…量子や超ひも理論などについての本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
物理学の観点から「時」とは何かを数式などを使わずできるだけ平らな言葉で説明した一冊。
著者は素粒子物理学者で普段文系の学生に物理を教えているらしい。文章が柔らかで細かい章立てがあり、とても読みやすい
Posted by ブクログ
自分には初見では理解が難しかった。日常生活を送る上で認識している時間からは想像できない世界の話だった。時間というものを通して最新研究の流れについて知れたのは面白かった。
Posted by ブクログ
誰もが一度は考えたことがある問いです。
学生時代に習った古典的な時間感、つまりはニュートン力学から特殊相対性理論、そして、量子論へと繋がり、時間を物理的に捉える見方を学べます。
Posted by ブクログ
タイトルの通り「時間」を題材に物理学の中で時間がどのように捉えられ扱われてきたか歴史的な変遷とともに追っていく。ニュートン力学、特殊・一般相対性理論ぐらいまではともかく後半の現代的な量子論・宇宙論の部分は門外漢には相当難しい。物理もちゃんと勉強したい…!
Posted by ブクログ
「時間」の概念を中心に据えながら物理学の発展の歴史を概説してくれるわかりやすい一冊。
わかりやすいといっても現代物理学(特に量子論)は複雑で直感的な理解は難しいのだが、それでも「こういうことかな」というヒントは与えてくれる。
エントロピーの説明などは特にわかりやすい。
Posted by ブクログ
「時間」という視点から、物理学の発展を概観。
感覚に基づく素朴な時間観(と言っても、「21世紀に生きる私たちの」時間観であって、完全にまっさらではないことが分かるが)の確認から始まり、ガリレオ或いはニュートンの時間観から、相対論・量子論を経て、最先端の理論物理が時間をどのように捉えているのかまでを、数式を使うことなく平易な言葉で説明している。
先ず、時間というものは言う程当たり前なものでは無い。それは本質的には運動を測る周期運動であって、本書の言を借りれば、“物体の存在とは無関係に「時間」が存在していて、物体の運動はその時間に沿って起こる(p.30)”という仮説によって導入されたものである。よって、運動とは何か(どのような法則に従うか)が修正されると、理の当然として「時間とはなんだろう」という問の答えも変わる訳である。
ニュートンは運動方程式のパラメータとしての時間、絶対時間を考えた。
アインシュタインは相対性原理から観測者によって異なる刻みの時間が流れていることを導き(特殊相対論)、「重力は時間経過の別名(p.136)」と主張した(一般相対論)。
さらに最先端の量子重力理論に至ると、4次元時空や量子場というのは繰り込みの結果に過ぎず、時間は「空間・物質・力を含む巨大な構造の一部」となる。
正直後半はちんぷんかんぷんだったが、何となくの感じを掴めたのは収穫。良著。
1 時を数えるということ
2 古典的時間観 ガリレオとニュートンが生み出したもの
3 時間の方向を決めるもの 「時間の矢」の問題
4 光が導く新しい時間観の夜明け 特殊相対性理論
5 揺れ動く時空と重力の正体 一般相対性理論
6 時空を満たす「場」の働き マクスウェルの理論と量子としての光
7 ミクロ世界の力と物質 全ては重力場でできている
8 量子重力という名の大統一 時間とはなんだろう?
時間に興味ある人に
全部で8章、第1章から第3章までは20世紀以前の人間が時間をどのように考えていたか、そして時間についての問題を提議している。
第4章は特殊相対論、第5章は一般相対論における時間の概念の変遷。第6章と第7章はマクスウェル理論そして量子論の紹介。
最後の第8章で量子重力の理論と現在物理学者が考えている時間の概念を説明する。
この章では弦理論は勿論のことホログラフィ理論や行列理論についても言及している。
そして最も重要なことは「有効理論」が強調されていること。有効理論は物理に興味がある人全員に理解して欲しい概念だ。
是非じっくり読んで理解して欲しい。
時間の概念の変遷の歴史を知りたい人にお勧めの本。
Posted by ブクログ
中学生のころから、特殊相対性理論ってなんだろうって興味があったのですが、
ようやく、なんとなく言いたいことがわかってきたような気がします(笑)
時間って、そんな考え方があるのかという、かなり衝撃的な経験だったのに加え、世界にはまだまだ分からないことがあるのだということを知ることができました。
Posted by ブクログ
物理や化学の話が途中から入ってきて、話が少し分かりにくかった。結局時間とは?になってしまう。個人的には時間をエントロピーが常に増大する不可逆的な現象のことで、それが原子レベルで起きていているものと捉えた。
人間も細胞単位で破壊→創成が繰り返されて老いていくわけで、その進みを人が時間という単位で計っている。そんな印象を受けました。
改めて1秒1秒を大切にしないといけないなと感じた。
Posted by ブクログ
むつかしくてわからん(笑)
ただ面白いのは、“「観測」というのは、量子にとっては我々が思っているよりも遥かに強い相互作用を伴うため、観測を差し挟むと物理現象が変わってしまうのです。”という点。
他のブルーバックスなどを読むことで、ふと繋がるかもしれないので、折を見て再読したい。
Posted by ブクログ
難しいので、正確な理解には及ばない。
ただ、こうした専門知を浴び続けるのは刺激的だし、私にとってはこの一冊で完結しない、壮大なミステリー小説を読むようだ。時間とは何かが主題だが、物理学の本。著者は数式を用いず平易に書いたというが、やはり辛い。
光は、何でできているか。光は、目に見えない「波」だ。テレビのリモコンが出す赤外線、電子レンジのマイクロ波、ラジオと同じ、電磁波だ。これ、最近YouTubeでも見たので、同じ事言っていると思い著者自身が出演していたのかと確認したが、違う。物理学の常識なのだろう。電磁波は、電気と磁力がつくる波でできていて、すごいことに、そのスピードを計算すると光の速さとまったく同じだった。つまり、「光」は電気と磁石の波だったと。かつ、「光の速さは誰が見ても同じ」。
電気を持つ「電荷」からは「電場」が出ている。電気が流れると「磁場」がぐるぐる出てくる。磁場が変わると、また電場ができる。こうして電場と磁場がおたがいに作り合って、波になって進んでいくのが電磁波だ。
で、時間とは、変化が起こる順番を感じさせてくれるもの。空間といっしょに「時空」として広がる。場所やスピードによって、進み方が変わる。こういう話がもっと専門的に語られる。繰り返すが、難しい。だが、その分、学びがある。
Posted by ブクログ
現代物理学(量子など)をベースに時間とは何か?を解き明かす本。前半は非常にわかりやすかったが、後半になるにつれて宇宙や量子の専門的な話が出てきて、不勉強ゆえ理解に乏しかった。
Posted by ブクログ
私には話が難しく、漠然としたイメージしか持てませんでした。しかし、脳みそに汗をかきながらも、必死に相対性理論や量子力学の話に触れられたことで、目の前の世界が少しだけ違って見えるようになりました。学ぶことって、楽しいですね。
Posted by ブクログ
途中
・ニュートン力学の偉大さ
・運動は予測可能だけど、3つ以上の関わりがあるとカオスになり、予測不可能になる
だからこそ、時間は不可逆的
面白い。また続きを読みたい
Posted by ブクログ
時間を軸にして、物理学の内容がわかりやすく解説されていた。一般性相対性理論まではなんとなく感覚的にはわかった気がするけど、量子になってくるとやっぱりついていけない。
Posted by ブクログ
時間が流れる水のようなものではなく、物体の運動・村土・重力に関係していることはなんとなくわかった。
道元の時間論を理解したいと思っているが、どうも俺には一生理解できないかも知れない。
Posted by ブクログ
タイトルと内容に沿っているのはおもに4章くらいまでで、それ以降は物理学の話にどっぷりと浸かっていく。
それはそれで良いとは思う。
物理学から「時間」という概念だけをスポッと取り出してしまえるわけではないので、全体像を見る必要があるのは理解できる。ただ、量子などの視点で見た「時間」というものの捉え方にはかなりの非日常性が出てくるので、そもそもそれを時間と呼べるのかどうか、という気もしなくはないが、本書を読むとおそらくそれも時間と呼ぶことになるのだろう。
本書の最後で書かれている通り、ミクロな世界ではどのような時間が流れているのか、というのは気になる(というか時間は流れないんだけどな)。