ブックライブの書店員おすすめレビュー

書店員すず木のレビュー一覧

書店員すず木

年間読むマンガは2000冊以上!2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。
新作マンガを紹介する「月刊書店員すず木」特集を毎月更新中!
ブックライブ公式Xにマンガコンシェルジュとして降臨することも。

すべて のおすすめレビュー

  • 葬儀屋の「通夜オプション」としてお通夜の間に話を聴く「聴き屋」として働く「夜」こと槙柊夜。
    彼は目覚めると夜の記憶を忘れてしまうのです。

    葬儀屋の物語と言えば、死者の声を聴く『ようこそ亡霊葬儀屋さん』がありますが、
    こちらは霊ではなく残された生者の声を聴き、その人の気持ちの整理をするキッカケを作ってくれます.


    『覆面系ノイズ』や『悩殺ジャンキー』の福山リョウコ先生が少女マンガ誌から飛び出し、ヤングアニマルZEROで連載をしている今作。
    ご本人曰く「生まれて初めて、進むために描いた漫画」ということですが、物語に出てくるどの依頼者も死者との間にあった後悔や未練を自分が先に進むために昇華しており、読んでいる側も前向きになることができます。

    死んだ父と残された娘の思い、
    友人の突然の死に言えなかった思いを抱く青年など。
    どの物語も、切ないながらも前向きになれます。

    依頼者ごとにオムニバス形式で物語が進んでいきますが、1巻の後半から柊夜が何故「夜」として「聴き屋」を営むことになったかが描かれます。
    キッカケは、葬儀がない日に依頼をしてくる「常連」神さんとの夜でした。
    神さんは「きみが全部忘れてくれるから話しやすい」と言います。
    確かに見知った人には言えなくても、赤の他人、しかも朝には忘れてしまう人が相手なら話しやすいでしょう。
    自分ひとりで抱えられない思いを、吐き出せたのならどれだけ楽になるか。
    きっと神さんも初回はそれで救われたのかもしれません。
    しかし、彼はリピーター。自分の話を聴いてもらうのではなく「きみの話を聴かせてくれ」と頼むのです。
    そして最後にこう言うのです。
    「自分より凄惨な別れを聴くと救われるから」

    全体的に摩訶不思議でほろりと泣ける心温まる物語かと思いきや、自分の隠している確信をついてくるこのセリフにハっとしました。
    残酷な一言ですが、世の中には自分より不幸な話を聴く事で自分はまだマシだ。と思うことはあります。
    とてもエゴイスティックなことですが、それで救われる人がいるのも事実です。

    柊夜に一体何が起きたのか。
    彼が夜を思い出せる日は来るのか!?
    不定期連載なのでスローペースでの刊行になるとのことですが、楽しみに次巻を待ちます!!

    2022年07月20日
  • 主人公の華音は、今は亡き有名なロッカーの娘。
    その声は特徴的で、学生時代に好きだった男子から「声がかわいくない。低くて変」と言われたことがトラウマになり、人前で声を出すことを恐れるようになってしまったのです。

    そんな彼女の元に突然父の知り合いだという男性が現れます。
    その人は活動休止してしまったLusterという有名なバンドのギタリスト・一星だったのです!!

    一星は華音の歌声に魅了され、一緒にバンドをやらないかと誘うのですが、普段の生活の中でも人前で声を発することができない華音は戸惑います。
    自分を変えたい…でも怖い…。
    その思いに揺れる彼女に対し、一星は「君の声が好きだよ」と声をかけるのです。

    「声」は目に見えないですし、絵で表現するのはとても難しいモチーフだと思います。
    ですがこの作品の中で華音の声は様々な表現をされています。
    先に述べたような「低くて変」といった表現や、同級生から「風邪声?」と聞かれるシーンから、なんとなくしゃがれ気味の声なのかな?と想像しました。
    ですが、一星はそんな華音の声を「花火みたいに鮮烈」と表現します。
    更には華音が歌うシーンから、きっとハスキーでロックが似合う声なのでは!?と、想像が膨らみます。
    (私はバービーボーイズの杏子さんのような声をイメージしました…)

    バンドを描いたマンガは数多くあり、名作も多数あります。
    この作品はバンド活動を描きつつも、自分のコンプレックスをどう乗り越えていくかがメインになっています。
    バンドマンガとして楽しむもよし、コンプレックスを克服していく様を楽しむもよし、恋愛マンガとして楽しむもよし。
    様々な楽しみ方ができると思います。
    物語の展開も早く、1巻の終りには…!!

    華音はコンプレックスだった声を武器に自分を変えることができるのか?
    続巻が楽しみです。

    あなたの中で聞こえる華音の声はどんな声ですか?
    是非「声」を受け取ってみてください。

    2022年07月20日
  • 父一人子一人で、大切に育ててきた娘を殺された父親。
    「犯人が捕まったとしても、娘はもう戻らない。」
    そう悲しみに暮れる男の前に改変者と名乗る少女が現れます。

    突然現れた少女は何故かロリっ娘で…。
    しかもテンション高めで、「え、ここで突然のギャグパート!?」と戸惑うくらい。
    状況にそぐわないハイテンションが不気味に感じます。
    改変者はいわゆる「この世界」を俯瞰で見るような存在なのだと思います。
    言い換えれば世界の異物と言えるかもしれません。
    それを表現するために、ハイテンションなロリっ娘というアンバランスな存在にしたのではないでしょうか。

    死んだ人間は戻らない。それが世界の法則です。
    ですが改変者が、死んだ娘が戻る法則に改変してしまうのです。

    罪を犯した人間を罰すれば、失われた人を取りもどすことができる。
    つまり、娘を殺めた人間を殺せば娘が生き返る。
    そういう世界に変わったのです。
    (ただし犯人が自殺や自然死してしまった場合は戻りません。)

    男は半信半疑ながらも犯人を捜し襲いかかります。
    殺されそうになった犯人が
    「犯人の心の闇とか生い立ちとか知りたくないですか?本を出版するから生きさせてください」と命乞いをするのですが、
    男は
    「それが何の役に立つんだ!?犯罪予防ができたり被害者が救われるのか!?」
    と冷めきった顔でとどめをさすのです…。
    そして、そこには生き返った娘の姿が…!!

    現代の犯罪と無関係な人の好奇心を皮肉った印象的なシーンです。

    しかし、ここでまた改変者から告げられるのです。
    「この法則は他者にも適用されます」

    つまり、この父親が誰かに殺されれば、娘を殺した犯人が生き返る。
    それを防ぐには、父親が自然死するか自殺するしかありません。
    娘を救った存在でありながらも、殺人者でもあるのです…。

    この事をキッカケに世界は大きく変化し、司法も改正され「蘇柱執行法」が制定されるのです。

    物語は、薬物中毒者に娘を殺された父親や、死刑反対派の家族、過去に殺人を犯した男など、様々な登場人物を中心にオムニバス形式で展開していきます。
    それぞれ状況や抱く思いが異なり、様々な視点を思い知らされます。

    この作品は、鬱マンガを描かせたら右に出るものがいない『なるたる』『ぼくらの』の鬼頭莫宏先生が原案を担当され、鬼頭イズムを継承したかのような繊細かつ丁寧(さらには萌えも!)な絵柄のカエデミノル先生が描いています。
    一見難解で重く思える物語を、先に述べた改変者や物語のテンポの良さでスルっと読ませる手腕はさすがのひと言に尽きます。

    私、この作品を読み終わった後、思わず小躍りしました。
    あまりに面白くて。
    私の大好きな鬼頭ワールドが読めて最高に嬉しいです。
    どの物語も、読んだあと心にズシンと残るものがあります。
    それはハッピーなのか、アンハッピーなのか…
    どちらとも言えない複雑な思いでした。

    読んだ後、みなさんの心に残る思いはどういったものでしょうか?
    是非その思いをじっくり味わってみてください。

    2022年07月20日
  • 可愛い洋服を着たいけれど、自分には似合わない…。
    そう思って諦めたことはありませんか?

    「あの娘みたいに可愛くなれたら…」

    そう思ってしまう自分のコンプレックスとどう向き合うか…。
    カワイイの呪いから解き放たれるための物語です!!

    主人公の宇佐美晶は、女の子に優しく、背が高くショートヘアなのもあり、どこから見てもイケメン…ですが、女子!!
    本当は巻き髪に甘めメイクにフリルの服を着たいと願う、乙女なのです。
    ですが、小さい頃フリルの服を着た晶を見た兄に「ゴリラの女装」と言われて以来、その願望を封じてきました。

    晶はある日、自分の理想を体現したかのようなロリータ女子と出会います。
    しかし、そのロリータ女子は…なんと男性だったのです!!
    ロリータ女子ならぬ男子の大神律との出会いにより、晶に変化が訪れます。

    晶にロリータ服のモデルをやってくれないかともちかける律ですが、
    用意されていたのはパンツスタイルの少年装であることに、
    「やはり自分は男の子役でしかない」と晶はショックを受けるのでした…。

    晶に謝るために男装姿で現れた律。
    彼は男子の服装である自分がどう見えるか?と問います。
    それに対し「似合っているし、可愛い」と答える晶。
    しかし律は、自分では「かっこいい」つもりであると言うのです。

    小さく女顔であるために、どんな服を着ても「可愛い」と言われてしまう律。
    それに対し、背が高くスタイルが良く「かっこいい」と言われてしまう晶。
    律は晶に
    「好きなファッションと自分が実際似合うファッションはイコールじゃない」
    と伝えます。
    ですが、目指す方向さえ合えば男の子に間違われることなく女の子になれると提案する律。
    晶はカワイイの呪いをかけていたのは、自分自身であったことに気付かされるのです!!

    卑屈になる晶に「可愛くなる努力をしていない!」と檄を飛ばす五里江や、
    晶のことを大切に思うあまりに過激な手段を取りそうになる親友のキリなど、
    個性的なキャラが脇を固めています。
    (もしかすると主人公2人よりもキャラが濃いかもしれません…)

    『おとなりコンプレックス』と合わせて読んでいただきたい作品です。

    2022年07月20日
  • 時は昭和12年。
    舞台は、人の命が軽く扱われるような国「満州」。

    関東軍の兵士として母親や妹弟とともに満州にやってきた日方勇は、戦地で助けようとした子供から銃で撃たれて右目を怪我し、前線離脱を余儀なくされます。
    その後、農業義勇軍に配属され、虐げられる日々を送りますが、片目を失って以来利くようになった鼻を生かし、食べられる草花を嗅ぎ分けて貧しい生活の支えとしていました。

    しかし、母が肺ペストに感染してしまうのです。
    母を救うには高額な薬が必要ですが、そんなお金は持っていません。
    何とかして稼がなければ…と思った矢先、古い土や堆肥を捨てているはずの処分場からかぐわしく甘美な芳香がすることに気付きます。
    扉を開けるとそこには、無能兵と虐げられていた陣内茂が金を稼ぐためにこっそり育てていた阿片芥子が咲き誇っていたのです。

    当時の満州は「一番軽いものは人の命」と言われるほどで、生きるためには金が必要でした。
    しかし、金を稼ぐには子供を売るか阿片を売るか…といった手段しかありません。
    一花咲かせるために必死の茂は、勇に芥子を横取りされまいと襲い掛かりますが、逆に勇の妹達に殺されてしまいます。
    それをキッカケに、勇は母のために阿片製造で金を稼ぐ決意をするのです。

    彼は中華民国最大の秘密結社へ自作の阿片を売りつけに行きますが、危うく殺されかけたところを、ボスの娘である麗華に救われます。
    彼女は自分が自由になるため、勇と組んで阿片を支配することで、満州国の支配を企んだのです…!!

    阿片中毒者などのハードな描写がありますが、画力の上手さと丁寧な物語運びによりグイグイ読み進められます。

    製造した阿片の顧客を得るためにかなり強引な手段を取る麗華にハラハラさせられますが、彼女の逞しさに清々しさを感じてしまいます。
    一方、そんな麗華の姿に戸惑いを隠せない勇ですが、彼の度胸と賢さは今後大物になる予感がビンビンします!!
    個人的希望ですが、家族のために"真阿片"という悪魔の発明をしてしまった勇の苦悩などが描かれてほしいです…。

    阿片によって利益を得ている日本軍との対立など、陰謀渦巻く満州で勇がどうのし上がっていくのか…物語はまだまだ始まったばかりです。

    2022年07月20日
  • この物語は淡々と進んでいきます。
    山場がある訳でもありません。
    どこが面白いの?と聞かれると困ってしまうかもしれません。
    でも、ただひとつ確実に言えることは、とにかく面白いのです!!

    主人公は女子高で2年4組担任をしている星先生。
    彼を中心に日常の些末なできごとを丁寧に描いていきます。

    星先生は天然でどこかとぼけており、彼のモノローグ(心の声)に思わず笑ってしまいます。

    最初は星先生のことを冷めている人なのかな?と思ったのですが、酔うとネガティブになってしまったり、生徒の描いた突拍子もないマンガに対し真剣にアドバイスをしたり…。
    どことなく掴みどころがないのですが、読み進めていくと次第に彼の人間性が解ってきます。
    少しずつ剥けてくる彼の人間性の根底には何が残るのか…!?
    気になります!!

    こちらは『夢中さ、きみに。』の和山やま先生の初連載作品です。
    絵柄は最近の女性マンガのトレンドとは異なり、ち密な線で独特な世界を確立しています。
    またクラスで飼っている犬の事を「クラス犬」と呼んだり、星先生の以前のあだ名が「無印良品」だったりと、出てくる言葉のチョイスも風変わりです。

    独特のテンポで進んでいく物語が、なんとなくですが『動物のお医者さん』を彷彿とさせます。
    (佐々木倫子先生がお好きな方は是非読んでいただきたいです。)

    どのページもニヤニヤが止まりません。
    シュールな世界が癖になること間違いなしです!!

    2022年07月20日
  • 田舎の閉鎖的な町で暮らす少年・黒瀬令児。
    彼は、家族に縛られ、町から出ることを許されません…。
    一体彼の人生は誰のものなのか。
    閉塞感やノスタルジーが漂う作品です。

    令児には、認知症の祖母とそれを介護する母、引きこもりの兄がいます。
    母は現在の状況に疲れ果て、自分が楽になるため、令児に大学進学ではなく地元に就職することを強います。
    しかも就職先は、令児をパシりとして使ってくる幼なじみの会社でした。

    令児の人生は令児のものであるはずなのに、家族や町に縛られ、自分の人生を生きることがままなりません。

    そんなとき出会ったコンビニ店員の女性が、令児が好きなアイドルグループのメンバー・ナギであることに気付きます。
    舞い上がる令児ですが、ナギもワケアリのようで…。
    「この町からいなくなる人」だからと自分の置かれた状況を話す令児に対し、ナギは「心中しようか」と提案するのです。
    戸惑う令児となし崩し的に肉体関係をもつナギですが、なんと彼女には夫がいることが発覚します!!

    令児が住む町は「春の棺」という劇中小説に登場する情死ヶ淵伝説の舞台となった町。
    情死ヶ淵伝説とは、その小説の中で書かれている江戸時代に起きたとされる心中の話です。
    この物語は、その情死ヶ淵伝説をキーに展開していきます。

    登場するのはそれぞれワケアリで深い闇を抱えている人たちばかりです。
    しかし、描かれている地方特有の閉塞感やしがらみに縛られた状況への諦め、自分の将来への絶望は、物語の中だけではなく、現実に生きる我々にも身近なことではないでしょうか。
    それらを『ヒメゴトー十九歳の制服ー』の作者である峰浪りょう先生が圧倒的な描写力で描くため、読んでいるこちらも息が詰まるような閉塞感を感じるのです。

    終盤、狭い世界で生きる令児に対しナギは
    「全部捨てて町を出ていけば?」
    という言葉をかけます。
    そこではじめて令児は逃げても良いということに気付くのですが…。

    明るい展開は今のところ見えませんが、彼らに今後救いは訪れるのか、複雑に絡み合った人間関係が「心中」というテーマからどう進んでいくのか…。
    ハッピーな物語に飽きた方、是非この閉塞感に浸ってみてはいかがでしょうか。

    2022年07月20日
  • 究極のモテモテエリート銀行員を奪い合うのはまさかの…男性!?
    憧れ以上恋愛未満のハラハラストーリー!!

    顔良し、気遣いも良し、仕事もでき、男女共にモテモテのエリート銀行員・加賀谷博基。
    そんな彼は、誰かを「手の中で育てる」事に楽しさを覚える男だったのです!

    彼のターゲットは、母親の借金トラブルにより知り合った大学生・三津山陽斗。
    父親のいない家庭で育った彼は、加賀谷から色々な事を教わり人として成長をしていきます。

    一方会社では、理想ばかり言う問題児な部下・設楽功の育成に乗り出します。
    子供の頃から怒られるばかりで褒められることもなく、その性格故にかわいがられる事もなかった設楽。
    親身になって接してくれる加賀谷に対し憧れを抱くようになるのでした…。

    加賀谷の凄いところは、イケメンで完璧であることよりも、そこかしこで思わせぶりなことをしているところです。
    例えば…二人で喫茶店に行き、少し凹んでいる設楽に加賀谷はケーキを「あーん」してあげてしまったり…
    ヤキモチを妬く陽斗に対し「キミは特別」と言ってしまったり…

    そりゃぁ好きにもなるよ!!という行動連発の加賀谷は罪な男すぎます。

    しかも加賀谷の自宅で設楽と陽斗がバッティングという事態に!!
    設楽に対しライバル心を表す陽斗…。陽斗と加賀谷との関係性が気になって仕方ない設楽。
    あざと過ぎると思う人もいるかもしれませんが、ベタ展開…嫌いじゃありません…!!

    このまま陽斗と設楽とで加賀谷を奪い合うのか!?
    今後の展開が楽しみです!!

    ※この作品、あくまでBL作品ではありません。(1巻時点)

    2022年07月20日
  • 『蜜夜婚~付喪神の嫁御寮~』大海とむ先生最新作!!悪妻の本当の姿は…!?
    歴史ファンタジーロマン開幕!!

    時は、戦国時代。
    夫を戦で亡くした水松女(みるめ)は、夫を殺した仇の男のもとへ嫁ぐことに…。

    水松女の生家である荒迪家の娘は「蛇神の愛娘」と呼ばれ、土地の蛇神の加護を受け、嫁いだ先で生まれた子はお家の隆盛をもたらすと言われ、重宝されると共に恐れられる存在でした。

    夫の世話もせず側女にまかせきり、その側女も自分が気に入らないと追い出したり殺す悪しき妻であるという噂がまことしやかに言われている水松女でしたが、本当の姿は噂とは全く異なり、元の夫である屋鉄からの暴力や迫害に耐え忍び、民を心配し民のために力を注ぐ心優しい女性だったのです。

    新しい夫となった加左家の次男・吉次郎は、そんな水松女の真の姿に気づきます。
    水松女も吉次郎の寛大で公正な姿に次第に心惹かれてゆくのです…。

    描くのは。『蜜夜婚~付喪神の嫁御寮~』の大海とむ先生。
    一見か弱そうに見えるものの芯がしっかりとした女性を描かせたら随一ではないでしょうか。
    今回の水松女も、儚げで弱弱しさがありながらも、民のために・下働きの女たちのために尽力する強さをもっています。
    また、夫の吉次郎のイケメンっぷりもたまりません!!
    とむ先生の描く男性の色気は本当に凄いです…!!

    実は良い人である主人公が周りからは悪役として白い目で見られるものの、様々な知識や行動を通して次第に受け入れられていく様は、人気の悪役令嬢系の物語に通じるところがあります。
    転生はしないですが、悪役令嬢などの主人公が成功していく物語が好きな方に是非読んでいただきたい作品です!

    2022年07月20日
  • タイトルだけ見るとアダルト要素が強めのマンガかと思われるかもしれませんが、読み進めていく内にそうではない事に気づかされると思います。
    この作品は、風俗嬢の赤裸々な暴露エッセイではありません。
    カワイイ絵柄とは裏腹に、描かれているのは原作者であるエバラユカさんの心の奥深くに広がる闇です。

    主人公は江原有香。原作者のエバラユカさんご本人です。
    漫画家としてWEB連載を持っていましたが、担当編集からの過度なセクハラを受けます。
    私、編集者のあまりに酷いセクハラ・パワハラに怒りを感じました…!!
    こんなに酷いことがあるのか!?とドン引きされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    男性経験のなかった江原さんは友人に相談するも、「仕事をもらってるのなら我慢しなきゃ」と諭されます。
    仕事だと割り切り「接待」として接しようと頑張りますが、我慢の限界を迎え心が折れてしまいます。
    そうして、ついにはマンガを描く事を辞めてしまうのです。

    マンガという道を絶ってしまった江原さんでしたが、お金を稼がないと生活ができません。
    なるべく少ない出勤で稼げる仕事は…と考えた末に辿り着いたのがデリヘル店だったのです。

    幼少期に癇癪持ちの母から折檻され、自尊心を傷つけられてきた江原さん。
    そのせいもあり、自分に自信が持てないでいました。
    風俗で働くことは周りから下に見られがちという事実に、逆に自分にはぴったりだと思い至ります。

    しかし、初仕事で優しいお客さんについた事で、自分の中で何かが埋まった感覚を得ます。
    その後もデリヘリの仕事を続けるのですが、彼女には更なる地雷が…!!

    それは、中~軽度のワキガであるということ!!
    ワキガを気にするあまり、うまくお客さんと接することができずに思い悩み…。

    江原さんが抱える数々のコンプレックスを克服し、どう自分自身と向き合っていくか。
    それがこの物語の主軸だと思います。

    願わくば江原さんが幸せを掴まれていますように…。
    2巻が楽しみです。

    2022年07月20日
  • 夫婦間の不満が山積み。
    でもお互いにお互いの事を解ってあげられていないだけ!?
    もし夫婦の中身が入れ替わったらお互いを理解しあえるようになるのでしょうか…。

    倉木ちとせは、夫の堅、2歳の娘と暮らすワーキングマザー。
    同じマンションの階違いに暮らすちとせの母に助けられながら、仕事と育児をこなしていました。

    しかし、ちとせがインフルエンザになってしまっても堅はスマホゲームばかり。
    ちとせは具合の悪さと夫への苛立ちで、思わずフライパンを投げてしまうのです!!
    見事命中し倒れる堅。ちとせも高熱で倒れてしまい…次に目が覚めると、ちとせと堅の中身が入れ替わっていたのです!
    戸惑いながらも二人は入れ替わり生活を送ることに。

    入れ替わって生活することによって、はじめて相手の生活や置かれている立場を知ることになった二人。
    お互いが相手のことを理解できていなかったことに気づいてゆくのです…。

    自分の不満をぶつけて相手をこらしめ、スカっとさせる話は多くありますが、この物語はそれだけでは終わりません。
    スカっとさせつつも、相手への思いやりに気づかせてくれるのです。

    中でも印象的なのが2話です。

    娘のななせの成長が他の子供よりも遅れていることを気にしていたちとせ。
    ママ友から「ななせちゃんはおままごともできない」と指摘され、ショックを受けます。
    なんとか娘がお友達とおままごとができるようになって欲しいと、夫婦でおままごとをやってみせることを提案します。
    その時に今までの自分の生活がどんなであったかとイメージしてもらおうと、ちとせは以前の堅の態度を再現してみせるのです。
    娘のいたずらに翻弄され、助けを求める母役の堅。
    しかし父役のちとせは「お父さんはまだ仕事中だから無理」と助けません。
    そこで初めて堅は自分の態度がいかに悪かったかと気づくのです。
    しかし、ちとせも堅に対して怒りを隠さず対応していた事に気づかされ、普段のお互いの態度を反省し笑い合うのでした。

    生活する中で相手に対する不満は多くあると思います。
    ですが不満を抱いているのは必ずしも自分だけではなく、相手への思いやり次第でいくらでも変化していけるのですよね。

    ママ友や、子供の成長、夫婦関係や仕事…数々の問題を盛り込んだ今作。
    二人が入れ替わったままどう生活していくのか、今後どんな波乱が待ち受けているのか、今後の展開が気になります!!

    2022年07月20日
  • 偶然の出会いから、恋人関係を偽装している内にお互いの事が気になって…。
    という見覚えのあるストーリーに思えるかもしれません。
    ですが、赤ちゃんの頃に取り違えられた男女。
    しかもふたりは親同士が勝手に決めた許嫁同士というエッセンスが加わる事により、新しいラブコメに昇華していると思います!!

    描くのは『山田くんと7人の魔女』『ヤンキー君とメガネちゃん』の吉河美希先生!!
    吉河先生、流石です!!と言いたくなる、ツボを押さえた設定と物語展開は読む人の心をグっと掴みます。
    そして、何よりもどの女の子も可愛い!!

    超お金持ちのお嬢様として育った天野エリカと、賑やかな一般家庭で育った名門進学校で万年2位の海野凪。
    全く違う環境で育った二人が偶然出会ったことで物語がスタートします。

    親が決めた男性と結婚させられそうになり、なんとか阻止を企むエリカは、偶然出会った凪に彼氏役をしてもらう事を提案します。
    嫌々付き合わされる凪ですが、お互いの不遇な環境にシンパシーを感じ次第に打ち解けていきます。
    しかしエリカにはお迎えが…。
    今後もう出会うことがないだろうと別れた二人でしたが、凪が本当の親との面会の場所にいたのは…さっき別れたハズのエリカだったのです!!

    エリカと凪はお互いが取り違えられた赤ちゃんだったという事実に驚愕する一方、凪の本当の両親から告げられたのは、二人が結婚して二人とも自分の子供になればいい!という驚きの提案でした。

    しかし凪は、学年1位の女子・瀬川ひろが気になっており…。
    更には凪と実の兄弟ではないとしった妹も何やら思う所があるようで…。

    最初は恋愛感情のなかった凪とエリカですが、この二人の気持ちがどう変化していくのか…
    最終的に凪は一体誰と結ばれるのか…!?
    壮絶な恋の物語の開幕です!!

    自分だったらどの女の子と付き合いたいかを考えながら読み進めてみてください!!

    2022年07月20日
  • 主人公の岸本愛利はヴァンパイア。
    ただ、吸うのは血液ではなく精気を吸い取ります。

    ある時、触れるだけで実の弟を殺してしまった愛利。
    その時初めて、愛する人や親しい人との絆が成立したときに精気を吸い取ってしまうヴァンパイアであると母親から教えられるのです。
    それ以来彼女は深く人と関わることを避け、一夜限りの男の精気を吸い取り死に至らしめてきました。

    ある日いつものように一夜限りの男と行ったホテルから出てきたところを高校教師・藤原に見つかってしまいます。
    藤原が勤務する学校の制服を着ていた愛利を自分の生徒と勘違いした彼は、なにかと愛利を気に掛けます。
    最初は迷惑がっていた愛利でしたが、藤原の熱意を受け次第に気持ちが変化してゆき…
    ある日愛利に触れた藤原が倒れてしまいます。
    そう、愛利が精気を吸ってしまったのです。
    愛利と藤原との間に絆が成立した証拠でした…!!

    ヴァンパイアが出てくる物語は人気が高く、数多くありますが
    この物語のヴァンパイアは他作品とは大きく異なります。
    血液を吸うのではなく精気を吸うところはもちろん、太陽も苦手ではありませんし、寿命も特に長いわけでもない。
    ただ、生きようとしているだけで人を死なせてしまう存在として描かれているのです。

    人を好きになれば、相手の精気を吸って死に至らしめてしまう。
    相手のためには、関わらない事が一番良いと解っているけれど…。
    正にヤマアラシのジレンマ状態の愛利。
    「本当は孤独に生きるべき存在なのに」という愛利の母・愛捨の言葉が胸に刺さります。

    揺れ動く愛利の気持ちが切なく描かれる中、相次ぐ不審死に警察が捜査に乗り出します。
    果たして愛利の恋愛はどうなるのか。愛利や愛捨の罪は暴かれてしまうのか!?
    悲しい愛と運命のミステリーラブロマンスです。

    2022年07月20日
  • 貴女の部屋は、理想の部屋ですか?

    部屋は心を映す鏡とも言います。
    この物語は、部屋の状況を通して、働く女性の等身大の姿を描いています。
    「理想の自分」と「今の自分」にギャップを感じている方に是非読んでいただきたい作品です。

    どんなに仕事が忙しくても、メイクとファッションに気合を入れてキレイを維持する、一見女子力高めな俵あいな。
    しかし、彼女の自宅は服や空き缶が散らかった汚部屋でした。
    「かたづけなきゃ…」と思いながらもどうにもできない日々。

    そんな彼女の憧れは、ベランダから見える同じマンションの窓際に観葉植物がかざられた部屋でした。
    「きっとかたづいたお洒落な部屋に違いない。私もそんな部屋で生活がしたい…」
    そう思えば思う程、自分の部屋とのギャップに打ちのめされてしまうのです。

    仕事も上手く回せない。
    仕事が終わらないから彼氏とのデートもドタキャン。
    部屋が散らかっているから彼氏に立ち寄ってもらうこともできない。
    そんな状況に心が限界を迎え、家の前に立ち尽くしてしまうあいな。

    その状態の彼女を救ってくれたのは、苦手だった同僚の深川でした。
    なんと、憧れだったあの観葉植物のある部屋の住人は彼だったのです…!!

    深川のアドバイスの甲斐もあって、自分の生活ペースを築こうとするあいなでしたが、付き合っている彼との関係に陰りが…!?

    心が荒んでくると部屋が荒れてくる。
    部屋が荒れてくると心が荒んでくる。
    そんな卵が先か鶏が先か論争にも陥りそうな「かたづけ」ですが、みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか。
    キレイな部屋で生活したいけれど、毎日仕事に追われ、かたづける気力がわかない…そうしている間に部屋はどんどん散らかっていく…という状況、私はよくあります…!!

    「キレイな部屋」は「理想の自分」
    「散らかった部屋」は「今の自分」を表しているのだと思います。

    しかし、あいなが「今の自分」を隠し、付き合っている彼氏に見せている姿は「理想の自分」。
    会社で「理想の自分」を見せていたはずの深川に見られたのは「今の自分」と、捻じれた状況に陥るのです。
    好きな人の前では「理想の自分」でいたい気持ちは解りますが…。それって無理しているということで、どこかで歪みが生じますよね…。

    要領よくできない自分に苛立ちを感じながらも、理想の部屋で理想の生活をするために必死に足掻くあいな。
    彼女が今後、どう「理想の自分」に近づけるのか見守ってあげてください!!

    2022年07月20日
  • 独身男性は里親になることができるのか…!?
    親とは、家族とは!?を考えさせられる物語です。

    漫画家の鈴木旭は、元保育士という経歴の持ち主。
    彼は保育士当時、雪の日に母親から置き去りにされ、児童相談所に引き取られた山本高嶺くんのことがずっと心残りでした。
    そう、その出来事を漫画に描くほどに…。

    3年後、そのおかげで漫画を読んだ高嶺くん本人からファンレターが届き、二人は再会を果たすのです!!

    母親に捨てられるというショックな出来事があったにも関わらず、高嶺くんは強くしっかりと成長しているように見えましたが、やはり心の奥深くに傷を残していました。

    そんなある日、旭は児童福祉士の秋山から「里親制度」の話を聞きます。
    旭は「自分が里親になれませんか?」と聞くも、「養育上の親」の条件を満たしていないからムリであると告げられます。
    「鈴木さんは山本くんのために生き方を変えられますか?」という秋山の言葉が胸に刺さる旭。

    思い悩んでいる旭に担当編集である重松が言った
    「誰かのために自分が変わっていくのって案外悪くないよね」
    という言葉をキッカケに、旭は高嶺くんのために何ができるかを模索していきます。

    自分の周りから人がいなくなることに恐怖をおぼえる高嶺くん。
    それでも弱音を吐かずにいる健気さに思わず涙が出ます。

    家族じゃないし、友達でもない二人の関係。
    全く血の繋がりがないふたりは「家族」になれるのでしょうか…。
    いつの日か高嶺くんが救われて欲しい…。その助けに旭がなって欲しい。
    そう思わずにはいられません。

    2022年07月20日
  • 航空会社勤務の風信子、34歳。
    学生時代から仲の良い頼れる先輩・常子と、元アイドルのCA・恵倫と共に楽しく仕事できて、年下の彼氏・晴くんとも結婚寸前で充実ライフを送っていると思っていた…はずだったのに…。

    ある日家に帰ったら、家財道具や金目のもの一切合切と共に彼氏がトンズラしていたのです…!!

    後に、彼の名前は偽名で妻子持ちだったことも発覚。
    全て信子の勝手な思い込みだったと知り、愕然とします。
    落ち込む彼女を叱咤激励しながらも側で支えてくれる常子と恵倫。やっぱり信じられるのは友情ですよね…!!

    そんな中、信子は参加した飲み会で出会った男性・円谷と偶然の再会を果たします。
    なんとその男性は信子と同じ会社の飛行機のパイロットだったのです!!
    しかも、男女どちらからも人気のある、顔よし性格よしのスーパーキャプテン。
    好きになること待ったなし!という相手ですが、その左手の薬指には指輪が…。

    それでも、信子はドラマみたいな恋はいらないと言います。
    信子が望む恋愛は、自分と同じ熱量で好きになってくれて、とにかく裏切らない人との恋愛。
    それって至ってフツーの恋ですけれど、フツーが一番難しい。
    好きな人が自分のことを心から好きになってくれるって実は凄い奇跡なのではないでしょうか…。

    描いているのは『林檎と蜂蜜』で知られる宮川匡代先生。
    各キャラクターが魅力的に生き生きと描かれているのは流石です。
    イケメン円谷キャプテンに至っては、恋愛マンガの男性としてはパーフェクトなかっこ良さ!!
    女性の心を鷲掴みです!!(あえて「女子」じゃなくて「女性」!!)

    円谷キャプテンと信子の関係はどうなってゆくのか…。
    今後の恋の展開に注目です!!

    2022年07月20日
  • いなくなった人たちを思い出にできない、それでも生きることを選んだ人たちを描く濃密な物語。

    “場所の幽霊”と呼ばれる今はもう無い風景が視える男。
    死んだ人の“音”が聴こえる少女。
    ふたりの出会いは、救いをもたらすのか、それとも…。

    幽霊と聞くとホラーやオカルトマンガのように思えますが、怖いのが苦手な方、ご安心ください。
    この物語は幽霊そのものよりも、大切な人が亡くなり自分は残されたという苦悩を描くヒューマンドラマです。

    美術系予備校の塾講師・鶴見也徒は恋人である渦子を洪水で亡くします。
    彼女の遺体は見つからず、それ以来鶴見は彼女が流されたであろう場所に2人で暮らしていた家の“場所の幽霊”が視えるように。
    渦子がいない世界でどう生きていけば良いのか解らず喪失感に苛まされる鶴見ですが、あるとき登校拒否の女子中学生・早淵今に絵を教えることになります。
    彼女もまた震災をキッカケに死んだ人の音が聴こえるようになり、誰からも理解されず苦悩する日々を送っていたのでした。

    はじめて自分を理解してくれた鶴見に、早淵は次第に心をひらいてゆきます。
    そんな彼女に対し鶴見は、“場所の幽霊”が視える場所で音を聴いてくれないかと頼みこみます。
    「渦子は本当に死んだのか、彼女はその場所で自分を待っているのかどうかを知りたい」と言われ、早淵は一度は断ったものの、鶴見の気持ちが痛いほど解るため音を聴くことを承諾します。

    そこで彼女が聴いたのは鶴見を呼ぶ鈴の“音”。
    しかし彼女は「何も…聴こえない。ここには何もいないよ」と鶴見に嘘をついたのでした。

    震災や人の死を描く本作、ただ「死」に対する恐怖や悲しみを描くのではなく、「死」を受け止める人の弱さや強さを描いているのだと思います。
    愛する人がいない世界で生きることがその人にとって本当に幸せなのか…痛烈に考えさせられます。
    亡くなった人を置いて、自分だけ前へ進んでいいのか。進んでも許されるのか…。
    「ただ平穏に暮らすことがうしろめたく感じる。」というセリフがずっしり心にのしかかります。

    『累』の松浦だるま先生最新作。
    掲載当初は短期連載だったのですが、好評につきシリーズ連載となったのも頷けます。

    喪失とそこから先を生きる人間の“音”に耳を澄ましてみてください。

    2022年07月20日
  • 大正末期、舞台はどんな狂った夢でも叶うと言われている魔都・上海。
    そこを訪れた、川島芳子の夢は、男になって国家の大業を担うような冒険をすること!!

    産みの親と育ての親、二人の父から男の生き様を教わった川島芳子。
    彼女は、父が誇れる自分になるには女ではダメだと思い至り、男になるべく上海の怪し気なサスーン商會を訪れます。
    そこで「他の誰かの“夢”をかなえる」という仕事をこなす条件で男になる秘儀を受けるのです。

    しかし、秘儀を受け男になったはずが、依然として女の姿のまま…。
    そんな彼女に与えられた仕事。それは田中隆吉と共に紫禁城に軟禁状態の廃帝 溥儀を助け出すことでした。
    救出作戦の中で窮地に陥った彼女でしたが、あるキッカケにより男に変身し…!?

    本当に「一時的に男になる力」を得た川島芳子ですが、その方法がなんとも吃驚で…。
    『聖骸の魔女』で魔女の変身を描いた田中ほさな先生。
    今作でもトリッキーな変身を描いております!!
    どういう方法で変身するかは、ぜひ読んで確認してください。

    清の粛親王・愛新覚羅善耆と満蒙独立運動の先駆者・川島浪速など、実在の人物名が出てくるので歴史好きはワクワクしっぱなしです!!
    (ただし史実に基づいた物語ではなく、実在の人物名が出てくる冒険活劇です!)

    物語のテンポがよく、登場するキャラクターはどれも個性が強く魅力的です。
    天真爛漫な川島芳子が女でありながら男たちに向かっていく姿も可愛らしいですし、男になると一転し逞しく無敵モードになる爽快感はクセになります!!

    男と女、ふたつの夢を追うことになった川島芳子が最後に選ぶのはどちらなのか…
    今後の展開から目が離せません!!

    2022年07月20日
  • あなたが「結婚式」を挙げるとしたら、何を求めますか?
    価格?華やかな会場?豪華な料理?
    それとも、式の内容に拘りたいですか?

    ふんわりとした空気感は右に出るもの無し!!『孤食ロボット』の岩岡ヒサエ先生が描く、ウエディングプランナーの物語です。

    この物語の主人公は、フリーのウエディングプランナー 猪名川こよみ。
    大手ホテルのブライダルスタッフから独立し、自分で何でもこなすやり手です。

    彼女の元には結婚式にこだわりのある人から漠然としたイメージしか抱けていない人まで、様々なカップルが訪れます。
    そんなカップルにこよみは
    「2人の馴れ初めを教えてください」ではなく、「お2人の生まれてから覚えていることをお聞かせください」と話を始めるのです。
    その人が何を大切にしてきたかを知り、そこからその人のためのプランを考えるのです。

    第1話でこよみが提案したのは、幼い頃から本のある空間が好きな新婦と本を読む事が好きな新郎という、「本が好きである事」が共通しているカップルへの「図書館ウェディング」!!

    本好きな私としてはとても憧れるプランです。
    壁一面の書棚に並べられた本と横スライドする梯子をバックに結婚式なんて…素敵じゃないですか?

    こよみは色々と手を尽くし借りられる図書館を探しますが、図書館は営利目的であってはいけないために貸し出し禁止であったり、飲食で本が汚れる可能性があるから貸せない…と、中々実現に漕ぎつけることができません。
    それでも諦めずにいたところ、場所を提供してくれる私設図書館が見つかったのです!
    提供してくれる図書館側の想い、プランナーの想い、式を挙げる側の想いがひとつになり、素敵な結婚式が執り行われる事に!!

    カップルの人生に真摯に向き合い「結婚式」という人生の一大イベントを“最高の1日”とするべく奔走する彼女の姿を見ていると、読んでるこちらも幸せにさせてもらえる気がします!!

    是非この作品を読んで、今日を“最高の1日”にしてみてください!!

    2022年07月20日
  • 「生きる権利」は持ち合わせていても、「生きる目的」を見失いがちな現代。
    そんな時代だからこそ、「生きることに必死」であるキャラクターが活躍するアツいマンガを読みたくなるのではないでしょうか。

    時は14世紀―
    弟殺しの罪で捕えられ千人を倒して出獄したエリオは、身に覚えのない罪で処刑寸前の貴族の娘ララと出会います。
    一度は死を受け入れたものの、運命に抗うことを決めた少女ララは、己を信じ突き進むエリオと共に逃亡の旅に出ることに。

    二人を追うのは罪人を裁くことに執念を燃やすバルド。
    さらに謎の暗殺者も現れ、より混迷を深めます…。
    ララに重大な出生の秘密も判明し…!!
    カスティージャ王国の大地で繰り広げられる逃亡バトル歴史活劇開幕です!!

    逃亡の途中、素足のララにエリオは自身の靴を差し出します。
    でもララは貴族出身。
    罪人の靴を履くことに一瞬躊躇いを覚えるのですが、すぐに自分が無意識に人を見下していると気づきます。

    それは無実であると訴える彼女の言葉に耳を貸さず、罪人と決めつけて笑いものにしていた群衆と同じではないでしょうか。
    その気づきにより、ララは自分が身勝手な人間であったと反省し、今までの価値観を捨て真っすぐに強く生きるために逃げることを誓うのです。

    正しいことが正しいとされない時代、不条理に立ち向かう彼女の姿に、読む側の拳にも力が入ります。
    また「自分自身を信じる!」と言い切るエリオだからなのか、ララや周りからの差別も飄々と受け流し、向かい来る敵を軽々と打ち砕く姿に、スカっとすること間違いなしです!

    強さ・正直さ・友情が揃った王道の少年マンガが好きな方には是非読んでいただきたいストーリーですが、
    さらに注目すべきは、描くのが『錻力のアーチスト』『シュガーレス』など、ガチンコマンガに定評のある細川雅巳先生であることです。
    力強いタッチで描かれる迫力ある画面は流石の一言です!!

    「生きる事に貪欲であれ。」というメッセージが胸を打つ今作。
    波乱が予見される今後の展開から目が離せません!!

    2022年07月20日