ブックライブの書店員おすすめレビュー

書店員すず木のレビュー一覧

書店員すず木

年間読むマンガは2000冊以上!2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。
新作マンガを紹介する「月刊書店員すず木」特集を毎月更新中!
ブックライブ公式Xにマンガコンシェルジュとして降臨することも。

すべて のおすすめレビュー

  • 霊が視える高校1年生のニケこと二家光(にけ ひかり)。
    彼女にとって霊が視えることは当たり前の日常でした。
    ある日、最近学校に来ていない同級生のネモこと根元久楽(ねもと くらく)の家を訪れると、そこは元気な霊たちであふれていました。
    ネモの指摘によってニケには人間と霊の区別がほとんどついていないことが判明。このままではニケの命が危なくなる可能性も!?
    そこでニケは日光アレルギーであるネモの日よけになる代わりにおばけよけになって欲しいと頼みます。
    ふとした再会からはじまる摩訶不思議なラブストーリー!!

    描くのは『君に届け』の椎名軽穂先生。
    『君に届け』とは全く異なる読み口の作品に驚きました。

    実は読み始めた時には普通の学園ラブストーリーだと思いました。
    ですが次第に「あれ?なんか…おかしいぞ?」いう違和感を覚えはじめます。
    そして判明する、画面に描かれている人物が必ずしも生きている人ではないという衝撃!!
    「いや、そんなことある!?」とツッコミたくなりますが、この物語はオカルトギャグではありません。
    オカルト要素を盛り込みながらもしっかりとしたラブストーリーであり、人間ドラマを描いているのです。

    霊も怖い表現で描かれるのではなく、とにかく元気そう。
    読んでいて怖さは感じませんのでホラーが苦手な方でも大丈夫です。

    気持ちも行動も真っすぐなニケとこじらせ気質のネモのコンビが微笑ましく、今後の展開に期待大です!!
    さらに各所に散りばめられている、ニケの秘められた過去も気になるところ。

    椎名先生の新境地をご堪能ください!!

    2024年08月28日
  • 隕石が衝突し荒廃した地球。
    さらにはスカベンジャーと呼ばれる人間を主食とする奇形生物の増殖により、人は大地を捨て天へと暮らしを発展させていました。
    下層に残された人々は中層区域管理組織【国土浄組合】に支配されており、そこで血の繋がらない姉と上層を目指して懸命に生きる主人公のニチカ。彼の体には本人も知らない秘密が…!!

    様々な困難や敵と対峙しながら、ニチカ自身の過去や真実に迫る物語!!
    最下層から成り上がり?這い上がり?幸せを掴むことができるのか…!?

    描くのは『曇天に笑う』『煉獄に笑う』の唐々煙先生!!
    圧倒的な筆致は「さすが」の一言。
    世界観の表現力はもちろんのこと、キャラクターの生き生きとした描写が素晴らしいです。

    最初は自分自身が何者かも把握していなかったニチカ。
    彼の成長とともに、世界の謎や隠された真実が徐々に明らかになっていきます。
    様々な能力を持った個性的なキャラクター達も魅力的!
    スカベンジャーや組合とのバトルシーンはとにかくカッコイイ!!

    家族愛や友情、成長、そして人類の生存と進化も描かれており、バトルマンガとしてもファンタジー作品としても存分に楽しんでいただけると思います。

    果たしてニチカは姉の仇を討ち、上層部に革命を起こすことができいるのか!?
    奈落で強く生きる主人公を描いた『ガチアクタ』が好きな方には特におすすめの作品です!!

    2024年08月27日
  • 主人公は料理が取り柄の高校1年生 飯野 都羽(いいの とわ)。
    教室でもマンションでもお隣さんの儚げな美少年・佐伯 琥春(さえき こはる)くんが気になって仕方ありません。
    そんなある日、琥春くんが「お小遣い」と引き換えに大人の女性とキスしている現場を目撃してしまいます。
    都羽は退廃的な生活をする琥春くんを心配し、勢いで「ご飯係」を買って出ることに。

    琥春からのお礼は過激なスキンシップ!?
    このまま都羽も琥春くんの魔性に囚われてしまうのか!?

    新たな沼男子の登場です!!!

    琥春くん、昨今の沼男子の中でもかなりの魔性。
    彼の魅力は同世代に留まらず、年上女性や男性にも及んでいます。
    さらに、天真爛漫な都羽に対し大切にしたいと思いつつも、無性に食らい尽くしたいと言ってしまう、自覚ありの偏愛タイプ。
    かなりの危険人物です!

    一方、琥春くんにあれこれ健気に尽くしてしまう都羽。
    いいように使われていない!?報われないのでは…!?と心配になってしまいますが、そこは流石魔性男子の琥春くん。
    ガッツリと濃厚なご褒美が…!!

    時折見せる素の琥春くんの可愛らしさや、都羽への態度が次第に変化していく姿に注目です!!
    琥春くんは魔性男子から溺愛男子へと変革を遂げるのか…!?
    溺愛男子となった琥春くんのパワーは凄そうで、溺愛を通り越して偏愛になってしまうのでは…!?という不安を感じつつ、次巻を待ちます。

    2024年07月02日
  • 元・売れないアイドル、現・プータローのすみれちゃん、31歳。
    そんな彼女の従兄弟の高校1年生 雄星(ゆうせい)には野望がありました。
    それは、すみれちゃんと組んで同人アイドルの頂点を目指すこと!!
    アイドル時代に売れなかったすみれちゃん。それは活かす側の能力がなかったから。
    すみれちゃんには才能がある!それを証明するために雄星が立ち上がります。

    早速すみれちゃんを焚き付けコスプレ写真集を作成。
    初回50部はすぐ完売。これが話題になり、SNS(雄星が勝手に運営していた)はプチバズり!!
    新作写真集もすみれちゃんが売り子をしたことで売上アップ!!
    さらに、ファムファタ任三郎なるプロダクション社長からスカウトが!!
    果たしてすみれちゃんは令和の世でリベンジをかませるのか…。
    どうなる、すみれちゃん…!?

    元アイドルの再生物語と聞いて、復讐を誓う展開や芸能界のきな臭い裏話、重いヒューマンドラマなどを想像していませんか?
    その想像、間違っています。

    まず主人公である「すみれちゃん」が元アイドルという肩書からは程遠い自堕落生活を送っているキャラクター。
    ヒロインでありながら、酒、タバコ、パチンコに溺れる日々。さらには改造原チャリに乗ってバイトのスナックに出勤…。
    すみれちゃんのクズっぷりにいっそ清々しさを感じます。
    それでいてグラビア番長と呼ばれていたボディは健在!!
    こんな衣装での撮影は嫌だと言いながらも、雄星にノせられて次第に表情を作っていく様は、ゾクっとします。

    そしてすみれちゃんを売り出すことに熱心な雄星。
    彼は決してグラビア好きやアイドルオタクなどではなく、ビジネスとしてすみれちゃんを売り出すことを真剣に考えているのです。
    というのも雄星にとって「すみれちゃん」という存在は憧れの存在。
    だからこそカッコ悪くいてほしくないという思いがあったのです。

    そう考えると彼の優れた市場分析・企画・ブランディング力は全てすみれちゃんのために必死に研究した結果と言えます。
    雄星、すみれちゃんのこと大好きじゃん!!

    さらにファムファタ任三郎なるプロダクション社長も、クセが強い…というよりも、クセしかないキャラクター。
    自身でもコスプレもしている彼女の「私は80歳になっても人を惑わす自信がある」という言葉の力強さ。
    彼女の登場によって物語が大きく動きそうな気配があります。

    物語はライトな読み口ではありますが、その中に垣間見える心情描写に引きこまれます!!
    成り上がり物語としてはもちろんのこと、登場キャラ全員クセが突出しているので、キャラ推しとしても楽しんでいただけるのではないでしょうか。

    すみれちゃんがどう化けていくのか、雄星の夢は叶うのか!?
    注目です!

    2024年07月01日
  • 木下桃花(きのした ももか)25歳OL。初カレとのHを拒否したらフラれ、やけ酒をした翌日、ベッドで目を覚ますと隣には見知らぬ男子が!?
    一緒に朝チュンを迎えた男子は、5歳も年下のイケメン大学生 叶(かなえ)。
    来るもの拒まずだけど誰にも執着がなさそうな叶の姿に、桃花は衝撃を受けます。
    成り行きで叶と同居することになった桃花ですが、彼の強引さにキュンが止まりません!!
    果たして理想の恋愛はできるのか!?このまま叶の沼にハマってしまうのか…?

    「少女マンガみたいな素敵な恋がしたい」
    そんなことは実際にはないと思いつつも夢見てしまったことはありませんか?
    この物語はまさに、そんな夢を叶えてくれる作品です!!

    恋愛に夢を見過ぎて不器用な桃花の素直さは、こんな良い子なのだから幸せになれるよー!!とエールを送りたくなるキャラクター。
    それに対し、叶はチャラさのある男子。
    こんな男子にハマったら沼。 危険なにおいがプンプンします…。

    叶の他の女子にはつれない態度をとっていますが、桃花にだけは違う顏を見せるように…。
    次第に叶の本質がチラ見えする度に、思わずドキっとしてしまうのです。
    これぞ沼…!!!!

    昨今の少女マンガは溺愛ブーム。
    本作でも、今まで女の子に対し執着がなかった男子が次第に「溺愛」へと変化する姿を楽しんでいただけること間違いありません!

    2024年06月07日
  • 幼い頃のトラウマから、「誰かの『特別』になること」を恐れてしまう綺優(きゆ)。
    そんな自分を変えたいと願いながらも、大人になっても、恋愛に踏み込めない日々。
    中学生時代、そんな淋しさを埋めてくれていたのは、遊び人の同級生「よだかくん」でした。
    誰のことも好きにならないからこそ、安心できる存在だったのです。

    ある夜、カフェバーでパティシエとして働くかつての「よだかくん」である豊高(とよだか)と再会!
    「自分だけを選んでくれる人をすきになりたい」と変わらず遊び人なよだかを拒みますが、彼からされたキスには本気がにじんでいて…!?

    どのページもとにかくキラキラです。
    綺優も麗しいし、よだかくんも麗しい…。読んでいてキュンが画面からあふれ出てきているような感覚を味わえます。

    「モテる男性が自分のためだけに尽くしてくれる」特別感は一般的には嬉しいシチュエーション。
    ですが、「自分のことをすきと言ってくれた人が離れていった自分」に価値を見出せない綺優にとっては、また同じことが起きてしまうのでは…という恐怖でしかないのです。

    女遊びが激しいよだかくんが過去の女性関係を清算し綺優一筋になっても、彼女に警戒されないように努めるいじらしい姿に、応援したくなります。

    読者側は綺優がよだかくんを自然に受け入れている姿に、もうそれは恋!!必要なのはその人だよ!!と言いたくなりますが、そう簡単にいかないところがまた良いのです。

    どっぷりした溺愛がお好きな方は必読です!!!

    2024年06月07日
  • ‟男らしくない”という理由で、彼女に浮気されフラれた教師・久慈弥九朗(くじ やくろう)。
    子供のころから色白で華奢…男属性とは無縁な26歳。
    モデルでインフルエンサーで文武両道で“生物学部”部長の女子・阿加埜(あかの)。
    生徒からの相談に困る久慈に対し彼女は唐突に性淘汰論を展開しその場を納得させてしまいます。そして久慈に生物学部の顧問になること、さらに性淘汰論からさらに彼がモテるために自分と付き合うフリをすることを提案します。

    彼女の言葉の説得力に心がゆらぐ久慈。
    生徒と教師の関係でラブが発展してしまうのか!?
    生物学の知識がふんだんに散りばめられ学ぶこともできてしまう、ラブコメ作品!

    クジャクのオスについてご存知でしょうか?
    この物語のキーとして阿加埜が解説をしてくれたクジャクの話をご紹介します。

    クジャクのオスは長くてキレイな尾羽を持っています。
    ですが、長い尾羽のせいで空を飛ぶのは苦手、派手なので天敵にも見つかりやすい。
    邪魔なだけの尾羽。それでも何故この尾羽が重要なのか…?
    それはメスに好かれるから!!
    メスにとってオスらしいオスの体であるからなのです。

    そこから発展する性淘汰論!!
    難しい話なのでは…!?と不安になった方、大丈夫です。
    あくまでクジャクの話ですから!

    ジェンダーなんて気にしない時代と言われ、多様性を扱った様々な作品がある中で、生物学に基づく恋愛論でぶっ叩いてくるところに清々しさを感じます。
    また様々な恋愛の問題に対し高説を垂れる阿加埜は一見恋愛のプロのようですが、実は一番ピュアで奥手。とあるキッカケで好きになった久慈にアタックするも、やり方を間違えているのが可笑しいのです。

    キャラクターも可愛らしいですし、会話のテンポも良く学びを得つつも思わず笑ってしまう。
    イチオシのラブコメ作品です。

    2024年06月07日
  • ヤクザに殺し屋として育てられ、人の愛を知らずに生きてきた少女、ねずみ。
    偶然出会った普通の青年、碧(あお)から一目惚れであると告白され、とまどいつつも恋に落ちるねずみ。
    彼女は自分の仕事を隠し共に暮らし始めますが、碧はねずみの仕事現場を目撃していたのです。
    そのことが組織にバレ、碧を殺すように命じられるねずみですが…。

    プリクラ機の中での殺人シーンから、幼少期のねずみの肉体を弄ぶヤクザと、物語の冒頭から凄惨なシーンが続きます。
    主人公ねずみの可愛らしさ、人殺しを生業としながらも失わない純粋さ。
    それ故に彼女の壮絶な生い立ちが際立ちます。
    闇の底に沈んだような、暗く鈍い光を湛えるねずみの瞳。
    それが碧と出会ってから大きく変化します。

    特殊な生い立ち・環境で過ごすねずみと比例し、あまりに “普通”の碧。
    逆にこの物語の中では異様さを感じてしまいます。
    碧が明るければ明るい程、物語の中に落とす影は濃く感じるのです。

    ねずみの幸せを願いつつ、絶対このままハッピーエンドにはならない…という予感を感じながら読み進めると、やはり大きな障壁が訪れます。
    ねずみの誕生日に碧が手配してくれたディナーデート当日、突然入った殺しの仕事。
    そこにいたのは組織に捕らえられた碧。
    ねずみが自身の手で彼を殺すか、二人とも殺されてしまうのか…!?
    こんな絶望があって良いのか!?と思ってしまいますが、物語はそこで終わりません…。
    さらなる衝撃の展開が待ち受けているのです…。

    精神的にも、肉体的にもハードな展開が繰り広げられるノワールストーリーではありますが、そんな中で命をかけた二人の愛がどうなるのか…!?
    注目の作品です!!

    2024年06月07日
  • 病気の影響で小学生の頃に身体の成長が止まってしまった、吉乃 華(よしの はな)25歳。
    彼女はその133cmという身長のために、心無い言葉を投げかけられたり、失礼極まりないことを聞かれたり、仕事先でナメられたり…数々の理不尽を味わってきました。
    どんな状況でも持ち前の明るさで乗り切ってきた華ですが、自分らしさを失わない会社の後輩である岩見(いわみ)に憧れを抱きます。
    ですが岩見も人には言っていない悩みを抱えていたのです…。
    互いを知り次第に距離が近づいていくふたりですが…。

    正直、低身長であることでこんなに理不尽なことを言ってくる人いるの!?と驚きました。
    理不尽というか、もはや侮辱です!!
    読んでいて心無い言葉を投げつけてくる人たちに怒りを感じましたが、それにもめげず笑顔を絶やさない華に心が痛くなりました。

    彼女の人間としての強さがとにかく魅力的で、彼女のセリフは心に残るものが多く、名言集が作れるのでは!?というくらい。


    中でも個人的に心に残ったセリフをいくつかご紹介します。

    「頭を下げ続けた今までの私に そうさせてきた人たちに 負けてたまるか」
    「人の価値観とか苦労とかって 目には見えないから汲み取るのは難しいよね」
    「私はどうせなら自分や他人の「無い物」探しをするんじゃなくて それぞれの良い面に目を向けていきたいな」
    (レジの女性に対して、あっちの子は可愛いけどあの人はナシだわ~と言った男性に対し)
    「ここにいる人はあなたに評価されるために存在しているわけじゃないよ」

    散々理不尽に晒されてきた華がこれらのセリフを言えるって凄い!
    岩見くんも作中で言っていましたが、彼女の芯の強さにカッコ良さを感じずにはいられません!!

    また、華が憧れる岩見くんも自分自身をしっかりと持っているキャラクターです。
    彼はあまり表情が変わらないことから不愛想と言われがちですが、実は軽い顔面麻痺があり笑顔を作るのが難しいという体質だったのです。

    お互い、周りからはハンデととられそうな見た目の生きづらさを持っていますが、そこに固執するのではなく受け入れていたのでした。

    嫌なことがあると「何故自分ばかり…!」と思いがちですが、この物語を読むと、人は誰しも他人からは知りえない何かと戦っていることに気づかされます。

    今後、華と岩見の関係はラブに発展するのか気になります!
    とにかくふたりには幸せになって欲しい!!そう思える物語です。

    2024年04月30日
  • 切鮫 鋭二(きりさめ えいじ)40歳は事件が伴侶と言い切ってしまうほど仕事熱心な刑事。
    そんな彼がとある事件現場で出会ったのが、声を出さない不思議な女子高生・梔子 鶫(くちなし つぐみ)です。
    鶫はたまたま遭遇した自殺現場でこれは自殺ではなく巧妙なトリックを使った殺人事件であると、スケッチブックを使った筆談とド下手な絵で解き明かしてしまいます。
    彼女の観察眼と推理力に感服する切鮫刑事ですが、その事件をキッカケに鶫に気に入られてしまい、無理やり婚姻を迫られることに…!!

    年の差22歳の凸凹探偵コンビ(凸凹カップル!?)誕生です!!

    一見ラブコメのようではありますが、其の実しっかりしたミステリ作品です!!

    ミステリ作品の要素として、探偵役と助手役のキャラクターは重要です。
    今作の探偵役は、スケッチブックで会話をする女子高生というかなり特殊なキャラクター。
    しかも、事件解決に繋がるキーとして鶫がイラストを描くのですが、それがとにかくド下手。
    謎解きの前に絵解きが挟まるというのが、斬新です。
    そして鶫ちゃんの可愛さに惹かれファンになる方も多いのでは?
    しかし可愛いだけではないのが彼女の凄いところ。
    もちろん推理力も凄いのですが、特筆すべきはその行動力。
    切鮫刑事に婚姻届けを持って迫ったり、家に押し掛けたり…。事件でも凄惨な現場に臆することなく犯人と対峙するのです。

    助手役の切鮫も魅力的です。
    真面目でありつつも、可愛さがあるのです。(ガタイの良いおじさんではあるのですが…!)
    彼の凄さは、普通だったら女子高生が突然「これは自殺じゃなく殺人事件」と言って(正確には筆談で伝えて)きたら相手にしないところを、ちゃんと向き合って鶫の意見を受け入れるところです。
    鶫も彼の柔軟さと真っすぐな優しさと可愛さに惹かれたに違いありません!!

    ミステリとしてはそこまで難しいトリックではありませんが、物語の構成は本格ミステリのそれですしテンポも良くワクワクしながら読み進められます。
    実写の連続ドラマで見てみたい!!そう思う作品です。

    2024年04月30日
  • 砂漠の中にある、動物たちが住む町ママタウン。
    その一角にふたりで住んでいる女子高生のまめ子と子豚のユリリィはとても仲良しでした。
    楽天家で明るいまめ子と真面目なユリリィ。まめ子がユリリィを守って生活をしているかのようでしたが…。
    ある日ふたりは町の中心部へと出かけます。
    動物たちが中心となった町は賑やかで活気があり、色々なお店が立ち並びます。
    しかしそこに貼られた「たずねぶた」の張り紙にはユリリィの写真が…。
    隠れるように町を歩くふたり。狙われているのは、ユリリィ?それともまめ子!?
    次第に物語は不穏な展開に突き進んでいくのです…。

    『pupa』『鬼喰い少女と月梟』『赤ずきんの狼弟子-月への遺言-』の茂木清香先生の新作です!!
    (待っていました…!!!!)
    茂木先生と言えば、「食べる」「食べられる」の関係性を描き続ける異才。
    今作も期待を裏切らない作品です。

    冒頭のキャラクターの可愛らしさとほのぼの感。
    読み口はメルヘンな物語のようですが、読み進めていくうちに異変に気付くはず。
    気付いた時には抜け出せないところまでズブズブとハマっていることでしょう。
    流石、茂木先生。
    茂木先生にしか描けない世界がここにあります。

    読み始めに抱いていたまめ子とユリリィの関係性が、町で逆転していることに気づいた時の衝撃たるや。
    ユリリィが生きるために料理をしていたまめ子。それが何を示していたのか解った瞬間震えました。
    まめ子のユリリィに対する優しさは、生きるための依存なのかと一瞬疑ってしまいましたが、恐らくすべてを受け入れた先にある深い感情なのでしょう。

    まめ子という存在は一体何なのか?
    ユリリィと生活するようになった経緯は…?
    この世界の中で本当に異質なのは果たして…?
    気になる謎がイッパイで、今後が気になって仕方ありません、

    食べるものと食べられるものの間に、強者・弱者の関係性ではなく「愛」がある物語。

    グロテスクな表現があるため、読み手を選ぶ作品ですが『pupa』好きな方は必読ですし、『メイドインアビス』が好きな方にもおすすめしたい作品です。

    2024年03月28日
  • 主人公の立花志乃(たちばな しの)はギターを弾く瀬名瑞生(せな みずき)の姿に恋に落ち、付き合うことになったふたり。
    幸せな時間が続くと思った矢先、瀬名が親の都合で東京に引っ越すことに。
    ふたりの関係は終わりを迎えます。

    ずっと瀬名のことを忘れることができなかった志乃。
    進学先の東京の大学でも、瀬名がギターを弾いていたことを思い軽音部に入ることに。
    そこでまさかの瀬名本人との再開を果たすのです!
    しかし彼は中学生の頃の面影はなく、見事なチャラ男に…!

    人が変わったように思えた瀬名でしたが、新歓コンパでは周りから志乃を守ってくれ…。
    やっぱり瀬名は瀬名のままなのか!?それともチャラ男になってしまったのか!?
    志乃の思いはどうなってしまうの!?

    初カレとの再会というエモい定番シチュエーションに加え、大学生になった瀬名のイケメン無双っぷりが凄いです!!

    ふたりは同じ軽音部で活動することになるのですが、ギターを楽しそうに弾く彼には中学生時代の面影が…!!
    中学生時代の思い出なんて忘れてしまった風でいながらも、随所で覚えているアピールをしてくる瀬名。
    期待しないでいようとする志乃ですが思わせぶりな姿に、彼にとっても大事な思い出として残っているのかも…と期待せずにはいられません。

    志乃が気持ちをまっすぐぶつけると、スっと避けつつも近い距離感を保ったままの瀬名。
    ずる過ぎます…!!
    こちらから近づけば離れ、距離を取ると近づいてくる…。
    そんな状態のふたりに。読者の感情はジェットコースター状態です。

    どうみても惹かれあってる!!としか言えない状況なのに、中々上手くいかないふたりにムズキュンしっぱなしです。

    是非、エモさムズキュンで揺さぶられてください。
    読み終わった感想は、「尊い…」の一言に尽きるかもしれません。

    2024年03月27日
  • 刀社会の日本で刀匠を志す少年チヒロは、伝説の刀匠である父・六平国重(ろくひら くにしげ)の下で日々修行に励んでいました。
    おちゃらけた父と寡黙な息子。穏やかな日々がいつまでも続くと思っていましたが、悲劇によって突然終わりを迎えます。

    38か月後、そこには父を殺された復讐と奪われた妖刀を取り戻すべく剣士となったチヒロの姿がありました。
    父とも仲の良かった柴(しば)と共に、父の仇である妖術師の集団・毘灼(ひしゃく)の情報を求めて戦いに明け暮れる日々。
    そんなある日、護衛を探していた少女シャルと出会います。
    彼女はなんと奪われた妖刀の1本を見たと言っており…。

    復讐のため死と隣り合わせの生活をするチヒロ。
    クールな彼と対照的に、柴はかなりおちゃらけた性格の持ち主。
    不思議な体質のシャルちゃんにも、読みながら思わずツッコミを入れたくなる。
    暗めなテーマの物語ですが、重苦しく感じさせないのはそういったキャラクターの魅力にあると思います。

    戦闘シーンも、刀を用いたバトルに加え不思議な妖術や妖刀ならではの表現もあり、迫力満点です!!
    妖刀の太刀筋が、国重が大切に飼っていた金魚の姿を模しているところは必見。
    敵の妖術師の能力も個性的で斬新です。
    戦闘シーンはどの構図もカッコイイ!!
    ストーリーの面白さはもちろんのこと、キャラクター、絵柄すべてが魅力的。

    物語全体を覆う死の影、しかしどこかコミカル。そんなアンバランスさに惹かれます。
    早く次を!!そう思わせられた作品でした。

    2024年03月27日
  • 歌もダンスもド下手くそ、おまけに性格も素直じゃないアイドル・うるみん。
    そんな彼女に人気が出る訳もなく、なんと推しているのは世界で一人、奥田君也(おくだ きみや)だけ!!
    その状況に危機感を抱いたキミヤは、自分だけでも精いっぱい推すことを決意。
    ポンコツアイドルと彼女を推し続ける男のちょっと変な日常を描いたラブコメディ!!

    この物語はいかにうるみんがポンコツであるかが描かれていますが、この物語を読む方は、うるみんを推すアイドルオタク・キミヤのフィルターを通して彼女を見ていることに気づくでしょう。
    うるみんのポンコツ具合がとにかく可愛く、愛おしく思えるのです。

    たとえば…
    ファンサ(※ファンサービスの略)としてウィンクをするも、足つぼマッサージを受けているかのような顔、もしくはチベットスナギツネのような表情にしかならないうるみん!(しかも自分でできていないことに気付いていない!)
    キメのポーズがひとりだけズレてしまううるみん!(そもそもダンスが下手!)
    ステージを捌ける時に壁に顔面強打してしまううるみん!(素で出口を間違えている!)
    どれもポンコツがすぎる!!とツッコミたくなるエピソードですが、キミヤ曰く「愚かわいい」の極地なのです。
    できていない姿すらも愛おしい。
    まさに限界オタクのあるべき姿!!

    彼の
    「地球上80億人のなかであなたのファンがオレしかいないのなら、オレが80億人分あなたを推します」
    というセリフは究極の愛のメッセージ(byオタク)ではないでしょうか。

    更に読み進めていくと、ふたりの関係性の変化に気付くはず。
    うるみんとの間に距離感を保ちたかったキミヤが次第に彼女に対し身も心も近くなっていくのです。
    うるみんにとっても、キミヤという存在が変化していき…。
    読んでいるこちらも、ふたりの距離がどうなるのか先へ先へとページを進めてしまします。

    現役で推し活中の方、過去に推し活したことある方、推し活をしたことがない方も、色々な方に読んでいただきたい作品です。

    2024年03月27日
  • 一人称を“ぼく”から“オレ”に変えるタイミングを悩む中学生・日野 陽介(ひの ようすけ)には双子の姉・みかげがいます。
    自分の思春期の変化をみかげには絶対気づかれたくない陽介。
    変わりたいけど、気づかれたくない…そんな相反する感情にモヤモヤする毎日を送っていました。
    そんな陽介の前に現れた、ぽっちゃり女子の転校生・望月 恵(もちづき めぐみ)。
    彼女のお尻に“ムチンっ”と手を踏まれてしまった陽介は、その感触が頭から離れなくなり、ついには精通という大人の階段をのぼることに…!!
    大人の体への変化と自分のフェチの覚醒に戸惑う彼を尻目に、みかげは双子で入れ替わって学校に行こうと提案してきますが…!?

    男子には負けたくないと思っていたみかげ。
    そんな彼女もふとした出来事で教師の間 晃平(はざま こうへい)に恋をし、彼の手にえも言えぬ感情を抱くのです。

    更に、陽介が気になっている望月さんも、男女の双子の姿を見てなにやらフェティシズムの扉が開いた模様…。

    この物語の凄いところは、ただのフェチをテーマにしたエロを描いている訳ではなく、あくまで思春期を迎えた少年・少女たちが、どういった性癖に目覚め・自覚し・受け入れ・開花させていくのかを描いているところです!!

    描くのは新人作家のみそくろ先生。
    新人とは思えぬ描写力とキャラクターの表情の豊かさです。
    またフェティシズムの表現も非常に個性的。
    登場人物それぞれが思春期を迎え、心と体が大人になっていく中で覚醒するフェティッシュの世界が瑞々しく、かつ大胆に描かれています。

    彼ら彼女らの成長と共に、開花していくフェティシズムをじっくり味わってください。

    そして、思い出してください。
    あなたのフェチが目覚めたキッカケは何でしたか?

    2024年02月13日
  • 強い異能を用いて神々を喜ばせる巫(かんなぎ)の名家に生まれた令嬢・小夜(さよ)。
    父の再婚をキッカケに優秀な異能をもつ異母妹や継母に使用人のように虐げられていました。
    ある日、小夜は濡れ衣を着せられ異界へと売り飛ばされてしまいますが、ひょんなことから火の神である鬼灯(ほおずき)のもとへ、花嫁という名の掃除人として嫁ぐことに。
    特別な異能を持たない小夜でしたが、唯一物の声を聞くことができる「蝶の耳」の力で鬼灯の役に立てるよう頑張りますが、あくまで自分は「掃除人」。しかし鬼灯は掃除人としてではなく「花嫁」として接したいようで…!?

    呪われたワケあり神様と、虐げられ令嬢の溺愛生活スタートです。

    浅木伊都先生によるラノベ『火の神さまの掃除人ですが、いつの間にか花嫁として溺愛されています』を原作とし、『君がブルーバード』や『恋人は旦那さま』の山田こもも先生がコミカライズ!!

    とにかくどのページも絵が華麗!!
    ページをめくる度にうっとりしてしまいます。
    大正時代の世界観にファンタジー要素が加わり、画面からキラキラが溢れ出れてきそうです。

    小夜を娶ることになった鬼灯は周りから「醜い」「穢れている」と忌み嫌われていますが、小夜の目には美しい男性にしか見えません…。
    「俺の顔は醜いだろう?」と顔面アップで迫る鬼灯に、「そんなワケあるかーい!!」とツッコミを入れてしまったのは私だけではないハズ。
    しかし彼の本当の姿はどうも違うようで…。そのあたりは今後少しずつわかってくるようですが、気になります!!

    さらに注目シーンは1巻で鬼灯が着替えをするシーン。どう見ても「ムー●・プリズムパワー・メイクアップ!」状態。キラキラが迸っております。
    何を着ても似合う鬼灯。今のところほぼ和装ですが、洋装も見てみたい…!!

    鬼灯がいかにカッコイイかを語ってしまいましたが、小夜の健気さと可愛らしさも是非お伝えしたいところ。
    主人公の小夜は虐げられてきた令嬢のため自己評価が低いのですが、それでも自分にできることを…と一生懸命掃除をしたり料理をしたりする姿をに、応援せずにはいられません。
    「私なんて…」となりがちな彼女ゆえ、鬼灯が小夜を溺愛をしていることも気づいていません。
    鬼灯の思いが空回りしている姿も可愛いし、無意識に振り回している小夜も可愛い!!

    “可愛い”と“キラキラ”と“きゅん”が詰まった虐げられ令嬢の大正ファンタジー作品の新星誕生です!!

    2024年01月25日
  • 主人公は、3人の女性。
    死に物狂いの努力で垢抜けて初恋をやり直す美容女子、彼氏からモラハラを受けて過激なダイエットに走るぽっちゃり女子、美容系インフルエンサーとして活躍するバリキャリ女子。
    一人目の主人公、馬場 茜(ばば あかね)は、高校時代の初恋の人ノアくんを未だに想う23歳OL。
    ですが、高校時代の彼女は「バケモンの馬場さん」と呼ばれていました。
    それが悔しかった彼女は死に物狂いでお金を貯め、ダイエットや歯列矯正、肌治療、メイク、美容医療とできる限りの努力をし、見事誰から見ても美しいと言われるまでになりました。
    そしてノアくんと再会するのですが、高校時代の同級生であることを隠し初対面として接するのです。
    しかし、ふとしたキッカケで彼女が「バケモノの馬場さん」であることがバレてしまい…

    VOCEウェブサイトで連載され大人気となった今作。
    描くのは山科ティナ先生。
    女性の心の些細な機微を鮮烈に描きます。

    「バケモノの馬場さん」であることが周りにバレ、「整形した?」と揶揄された時に茜が言った
    「化粧して課金して綺麗になる努力をして ようやくマイナスを0に戻していってるの」
    「わたしの容姿をとやかく言う筋合いはない!」
    というセリフに、よく言った!!!と思わずにはいられませんでした。

    他にも茜の友達のブリちゃんは、モラハラ彼氏のせいでダイエット沼へ…。
    ノアくんのビジネス繋がりで茜と知り合った白鳥 エレナは美容インフルエンサーとして活躍する女社長。あらぬ噂により中傷を受けることに…。


    登場する女性陣が、女性が憧れる女性でありつつも、自分と照らし合わせて「ありえる…」と思うシチュエーションばかり。
    そんな彼女たちが必死に生き、幸せを掴もうとする姿に励まされます。

    エレナの「誰もが自分自身を愛せる世界にしたかった」というセリフは、全女性に贈りたい言葉です。
    この作品を読んで救われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    美しくあることが全てではありませんが、自己評価を他者にゆだねないことの大切さを教えてくれる作品です。

    2024年01月25日
  • 大和皇國の陰陽五家のひとつ白蓮寺家 次期頭首である白蓮寺 麗人(びゃくれんじ れいと)の許嫁であった菜々緒(ななお)。
    ある日、猩猩という猿の姿をしたあやかしに攫われ妖印を刻まれてしまいます。
    傷モノとされてしまった菜々緒は婚約を解消され、里の人全員から虐げられることに。
    猿の面をかぶり粗末な身なりで飼い殺しにされる日々でしたが、嫁探しに訪れていた紅椿家 新当主頭首に見初められ、紅椿家に嫁ぐことに。
    しかし“皇國の鬼神人”と呼ばれる紅椿家の当主 夜行は呪われた体質で…。

    加熱する令嬢ブーム。中でも“虐げられ令嬢”は鉄板の人気ジャンルです。
    今までは西洋風の虐げられ令嬢に注目されがちでしたが、ここのところ“和風虐げられ令嬢”への人気が高まってきています。
    そこにきて登場した今作!注目しない手はありません!!

    注目していただきたいのが、キャラクターの表情です。
    菜々緒の可憐でありながら悲壮感が漂う儚げな表情、夜行の自信に溢れながらもどこか切なげな表情…!!
    ふたりの目線にドキっとしてしまいます。
    さらに美麗な絵で描かれる怪しげな世界にうっとりすること間違いなし!

    虐げられ令嬢系のだいご味と言えば、不遇な境遇からどう幸せになっていくのか…!?というところですが、夜行は割と最初からトップスピードで菜々緒を溺愛します。
    ただこの物語は恋愛要素に加え異能ファンタジー要素があるので予想外の障害が発生し「菜々緒はどうなってしまうの!?」と先が読めません。

    菜々緒と夜行 ふたりがどう支えあうのか、これからの溺愛展開に注目です!!

    2024年01月25日
  • 金髪ヤンキーの小林は、みんなが簡単そうにやっていることも間違えてばかり。中々上手くできません。そのためバイトも続かず、勉強もドロップアウトぎみ。
    そんな彼のクラスに宇野啓介が転校生としてやってきます。
    彼はちょっと変わっていて、常に声が大きく、汚れたノートを常に持ち歩き、独り言を言ってずっと笑っています。
    彼は記憶するのは得意だが、同時に複数のことをこなしたり臨機応変が苦手。その他にも苦手なことがいっぱい。
    彼の姿を見て「ヤバイ奴がきた…」と思う小林ですが、ふとした出来事で距離が縮みます。

    そしてある日、小林の幼なじみである朔が宇野をからかう事件が。
    宇野を心配し一緒に下校した小林は、宇野が家で号泣している姿を目の当たりにします。
    彼が常に持ち歩いているノートに「悔しくても泣くのは家に帰ってから」と書かれているのを見た小林はショックを受け、いつもニコニコしている宇野の心の内を知るのです。

    自分をからかったり怒ることもなく普通に接してくれる小林に特別な感情を抱いた宇野。
    宇野のまっすぐな言動に変な奴と思いながらもどこか尊敬している小林。
    苦手なことが多いふたりが送る瑞々しい青春物語です!

    昨今「生きづらさ」という言葉をよく耳にします。
    ですが「生きづらさ」と言っても具体的には人それぞれ。
    実際に「生きづらさ」を感じていても、何がどう生きづらいのか言語化できず、余計にイライラが募りより生きづらくなることもあるのではないでしょうか。
    この物語はそんな言語化できないモヤっとする生きづらさをひとつずつ紐解いてくれるのです。

    物語の中で宇野は自分のことを
    「わからないことがある時は一人で宇宙に浮いているみたい」と表現します。
    そして、「でも宇宙を歩きたい!」と。
    その言葉に衝撃を受けました。確かに宇宙空間に一人になったらもの凄く怖いし混乱しますよね。
    それでも歩きたいと思う宇野の強さに心が震えました。

    「人と同じように生活するのに、工夫が必要な人もいる」ということを知った小林も影響を受け、自分自身としっかりと向き合うように変化していきます。


    優しさと工夫で少しずつでも彼らが楽しく過ごせるようになりますように、そう願わずにはいられません。
    そしてタイトルの通り、ふたりが宇宙のような不安な状況でもしっかりと歩いていけるよう成長する姿を見ていきたいです。
    時代が変化している「今」だからこそ描けた物語をご堪能ください。

    2024年01月25日
  • 主人公の伊東 紀理(いとう きり)はパワハラ&セクハラが横行する職場で次々と仕事を押し付けられ、さらにプライベートではモラハラ彼氏に振り回される…という最悪な日常を送っていました。
    彼女の思いはただひとつ。
    「役に立つ人間になりたい」
    それは過去の家族に対するトラウマからの思いでしたが、頑張って頑張って頑張った結果、体も心も限界を突破してしまいます。
    死を覚悟した紀理でしたが臓器移植カードを手にしたことで、死んでから役に立てるのであれば今は好きに生きようと決意するのです。
    こうして始まった紀理の人生「決算」、一体どうなるのか…!!

    今までに「人生やりなおしたいな…」と思ったことはありませんか?
    それか「自分の好きなように生きてみたいな」と思ったことはありませんか?
    この作品は一度でもそう思ったことある方に是非読んでいただきたい作品です。
    (もちろん思ったことがない方にも読んでいただきたい!)

    それまで紀理を追い詰めてきた職場への反逆や、紀理をぞんざいに扱ってきた彼氏への報復など、読んでいてスカっとします!
    死んでから臓器提供によって人の役に立つのであれば、それまでの人生は好きに生きたっていいじゃないか!という彼女の振り切りは身勝手なようではありますが、いっそ清々しく憧れを感じます。
    「私は幸せを探すために全部を捨てたんじゃない。」
    「確認したいんです。その先の景色を。私の人生に価値はあったのかを。」
    そう言い切った彼女の表情の強さに心を鷲掴みにされました。

    やりたいことを一つずつやっていく紀理ですが、その途中で新たな出会いや過去の振り返りもあり、自暴自棄で行動しているわけではなく決算の過程で受ける変化すらも味わいつくそうとしている貪欲さを感じます。

    彼女がどう変化していくのか、決算の先に何を見出すのか…一緒に確かめてください。

    2024年01月25日