書店員すず木のレビュー一覧
書店員すず木
年間読むマンガは2000冊以上!2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。
新作マンガを紹介する「月刊書店員すず木」特集を毎月更新中!
ブックライブ公式Xにマンガコンシェルジュとして降臨することも。
すべて のおすすめレビュー
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これらにピンときた方に是非読んで欲しい、天然お嬢様☓性悪執事 作品!!
クズな私生活がバレてはいけないと、見た目から公私をハッキリ分けている執事の和巳。
そんな私服姿の和巳を椿お嬢様が気づかず好きになってしまい…
恋を成就させるわけにいかない関係…この先一体どうなるの!?2022年07月20日 -
「ブス」と言われ、学生時代にいじめられていた山井 知子(やまい ともこ)。
大人になった彼女は、自分をいじめていた“美人”の同級生・白根 梨花(しらね りか)が美容家として成功し「反ルッキズム」の活動をしていることを知り、怒りに震えます。
納得がいかない知子は、梨花への復讐を決意しますが…。
「ルッキズム」という言葉をご存知でしょうか。
容姿の美醜によって人物の価値をはかるような外見至上主義を表す言葉です。
近年、ルッキズム的な発言や価値観が問題視されるケースが多くなりました。
この物語の主人公・知子はそんなルッキズムにがんじがらめに縛られて身動きが取れなくなっているように感じられます。
作中、知子が梨花に対して言った
「どうしてブスが…差別されている側の人間が変わらなくちゃいけないんだよ!」
という叫びは、ルッキズムだけでなく、ありとあらゆる差別について言えることではないでしょうか。
しかし、知子の主張はそれだけでは留まりません。
「美人にルッキズムのなにがわかるっていうんだよ」
ルッキズムを否定したい知子ですが、そんな彼女もまた美人に対してルッキズム思考がはたらいていたのです。
学生時代の梨花はその美しさ故に男子から言い寄られ、男子をとりまく女子からは反感を買うことが多々ありました。
美人というだけで中身は関係なく判断されることに嫌気がさし、高3で自分を変化させた彼女でしたが、知子と出会ったのはそんな時でした。
見た目で判断されることの辛さを知っている梨花だからこそ、周りから何と言われようが堂々としている知子の強さに憧れていたのですが、知子は梨花のことをいじめの首謀者と敵視していたのです。
それは美人である梨花への偏見から生じる思い違いでした…。
知子からすれば容姿に恵まれ人生イージーモードのように思える美人の梨花もまた、ルッキズムの地獄を味わっていたのです。
ルッキズムによって傷つけられたハズの知子がルッキズムによって梨花を傷つけるという、なんとも皮肉な構造になっています。
描くのは『わたしはあの子と絶対ちがうの』のとあるアラ子先生。
『わたしはあの子と絶対ちがうの』ではアイデンティティについてリアルに描かれていました。
とあるアラ子先生はとても身近な、誰しもがモヤっと思ったことがあることをそのまま描かれるのですが、多角的な視点で描いているところが凄い!
今作もルッキズムというテーマですが説教臭さはなく、こっちから見ればこうだけど反対側から見ると違う…ということに気付かせてくれます。
梨花と知子がお互いにどう変化していくのかも気になりますが、彼女達をとりまくキャラクター達にも注目です!
身長が低いことに悩む小坂や元女芸人の山本、プラスサイズモデルの奈緒美など、様々な悩みを抱えた人物が登場します。
どのキャラクターも「その気持ちわかる!!」と感じられる部分があるのではないでしょうか。
ルッキズムとはなにか?ということや、そこに根深くある問題、悩む人たちが悩まずにすむにはどうしたら良いのかを鋭く描いた本作。
この作品を読んで「ルッキズム」について考えるキッカケにしてはいかがでしょうか。2022年06月20日 -
魔王サタンを倒すために最強のエクソシストとして、劣悪な環境で育てられた神父の少年。
唯一“尊敬しない”人生の先輩である「センセイ」から言われた
「恋をしろ 人を愛せ。そうすれば神が作ったこの世界をきっと愛せるようになる」
という言葉が、独り立ちした後も心にひっかかっていました。
そんなある日、彼はサタンに狙われている「恋する悪魔」をモチーフに絵画を描く少女・愛月(あつき)イムリの護衛を任ぜられます。
神に背いてでも貫きたい恋に憧れるイムリに対し、人に恋することがわからない神父の少年。
2人の波乱に満ちた同居生活がスタートするのですが…。
聖書をベースにしたバトルファンタジーな作品なのですが、“七つの大罪”“堕天使”“魔王”“ファムファタール”など、好きな人には刺さりまくる単語がバンバン登場します。
更には、七つの大罪を司る「魔王サタン」や「魔王アスモデウス」「魔王マモン」など最初から強敵登場でワクワクが止まりません!
また、戒律に縛られた神父の少年という要素も捨て置けません。
バトルマンガとしての要素で十二分に魅力的な物語なのですが、そこへ更にラブ要素が加わります!!
ヒロインのイムリは朗らかな人柄で、ふとした表情がとにかく可愛い。
自分をしっかり持っている所も魅力的です。
普段は自分を押し殺している神父の少年に「楽しい」と思わせてしまうくらい微笑ましい同居生活を送るイムリですが、実は裏がある少女だったのです。
今後、神父の少年との関係がどうなるのか…!?物語の中核になりそうな部分です。
他にも気になったのが、キャラクターの名前について。
この物語、エクソシスト側のキャラクターの個別の名前がほぼ出てこないのです。
「あれ」「神父」「センセイ」…。
立場を呼称することはあっても、名前そのものを呼ぶことがありません。
主人公の名前ですら1巻の中に出てこないのです。
神父は“個人”ではなく、神の聖名のもと信仰に従事する存在であるということを表すために名前が出てこないのか…。
主人公の神父の少年の名前が明かされる時はいつなのか…気になるところです。
1巻目から非常にテンポよく物語が進みます。
迫力あるバトルシーン、可愛いキャラクターデザイン!
どこをとっても期待しかありません!!
2022年06月20日 -
元は飼い猫でしたが、ある日家を飛び出して迷子になってしまいやむなく野良生活をしている白猫・マルル。
他の野良猫に殴られたり、食べ物や水にありつけなかったりと、外の世界は思っていた以上に厳しい世界でした。
ある日、水を飲もうとしてジョウロに頭を突っ込んで抜けなくなってしまった猫に遭遇します。
その猫は以前マルルのことを殴ってきたボス猫のハチワレでした。
3日間飲まず食わずの状態で弱り切っていたハチワレの姿に、世界の厳しさと諸行無常を痛感するマルル。
自分の過去の経験を活かし、ハチワレを無事ジョウロから救い出すことに成功します
マルルは自身がペットショップで売れ残っている時にガラスケースの中から見かけた野良猫は、自分みたいなみじめな存在ではなく自由な存在だと思っていました。
しかし自分が野良になってみて、当時の自分も野良猫も決して自由なんかではなく、自分で生き方を選べなかっただけである事に気付くのです。
これをキッカケに、マルルによって命を救われたハチワレ(ハチ)とマルルは共に協力して生き抜いていきます。
どの猫もとにかく可愛くて愛らしいのですが、ただ可愛くて癒される物語ではありません。
猫視点での猫の生活や人間との関わりを描いており、様々な社会問題や猫問題が散りばめられ、奥深い物語になっています。
セミを追いかけて家を飛び出し迷子になってしまったマルルが飼い主の家を探し出すも、既にそこにマルルの居場所はなく野良として生きていく覚悟を決めたシーンでは、マルルの表情の変化にぐっと心を掴まれます。
猫たちの表情の豊かさや、リアルな猫たちの仕草にも是非注目してください。
マルルとハチのバディを中心に、厳しく切ないながらもたくましく生きる猫たちの姿は、極上のヒューマンドラマならぬ、にゃんこドラマです!!
2022年05月27日 -
日々忙しく仕事に邁進しているアラサー女子・桜川鈴(さくらがわ すず)。
ストレスが溜まると歯が出てしまう癖がある鈴ですが、電車で時々見かけるイケメン男子に癒されていました。
そんなある日会社のボス(社長)が入院してしまいます。
会社を頼まれた鈴の前に現れたのは、癒しのイケメン男子・狼谷奏人(かみや かなと)!!
なんと彼はボスの甥っ子で、社長代理として一緒に働くことに。
鈴のドキドキの日々がはじまります!!
『ラブ★コン』『ダメな私に恋してください』『おとななじみ』の中原アヤ先生の最新作!!
中原アヤ先生といえば、関西弁で繰り広げられるテンション高めなラブストーリーの名手!!
今作は久々に全編関西弁となっております。
登場するキャラクター達は誰もがキャラ立ちしており、とにかくハイテンションで生き生きとしています。
関西弁ならではの会話のテンポの良さや、ボケの連続に思わず笑ってしまうこと間違いなしです。
更に、ストレスが溜まり歯が出てきた鈴をさりげない優しさでフォローする奏人は、鈴でなくとも「惚れてまうやろーー!」と叫びたくなります。
笑いの中にきゅんが詰まっているところは、流石中原アヤ先生!
奏人くんの鈴に対する思わせぶりな優しさの真意は!?
仕事のために恋にブレーキをかける鈴の気持ちが今後どう解き放たれるのか!?
早く続きを…!!と思わずにいられない物語をご堪能ください。
2022年05月27日 -
東大卒、年商800億の会社を継ぐ将来を約束されたエリート・東条秀太郎。
八王子で有名な高卒の元ギャルでド庶民の真夏。
仕事で失敗し生きる気力を失った秀太郎がたまたま訪れた居酒屋に忘れた手帳を真夏が届けたことで二人の関係がはじまります。
徐々に関係を深め結婚を前提に付き合うことになりますが、身分が違う二人。簡単に話は進みません。
そう、秀太郎の母が立ちふさがったのです。
嫁姑バトルといえばドロドロした展開を想像しがちですが、この物語は一味違います。
なにせ真夏が明朗活発でポジティブ!そして、パワフル!!
秀太郎から自分のどこを好きになったのか?と問われた際、
「秀太郎鮭の皮食えないじゃん?あたし好きじゃん?一緒にメシ食う時ちょうどいいじゃん?」だからピッタリじゃない?と言うのです。
それに対し、「鮭の皮は食べたことがないから食べられないだけで…食べたら好きになっちゃうかも…」と返す秀太郎に
「二人で半分ずつすりゃいいじゃん」
と答える真夏。
どんな状況でも乗り越える強さを感じさせてくれます。
そんな真夏の前に立ちふさがる秀太郎の母・百合子も一筋縄ではいかないキャラ。
真夏のことを「ダニ」呼ばわりしたり、ありとあらゆる手を使って秀太郎と別れさせようと謀をめぐらすのです。
真夏は秀太郎と無事結婚できるのか!?
身分違いの格差婚、爽快プレ嫁姑バトル、開幕です!!2022年05月10日 -
フィンランド・ラップランド地方の町はずれで老紳士たちが営む小さなホテル”メッツァペウラ”。
吹雪の中ジュンと名乗る謎の日本人少年が現れます。
全身和彫りの入れ墨が入った彼はどうにもワケアリのようで…。
放っておけないアードルフは一緒にホテルで働かないかと持ち掛けます。
行き場のないジュンは、ホテルマン・アードルフとコックのクスタと共にホテル”メッツァペウラ”での生活をスタートさせます。
日本の施設で育ち、フィンランド人の血をひいているジュン。
フィンランドを訪れたのも自身のルーツを探るためなのかもしれませんが、まだ多くの謎に包まれています。
日本で世話になっていた「先生」と慕うヤクザの影響なのか全身に入れ墨が入っていますが、性格は素直でとても真面目。
それ故に、何故彼が何も持たずメッツァペウラに辿り着いたのか、今後どうなっていくのかが気になるところ。
ジュンの謎も気になりますが、ワケアリの彼をそのまま受け入れてくれたホテル・メッツァペウラの老紳士ふたりも魅力的。
言葉がぶっきらぼうで一見怖そうに見えるクスタですが、誰よりもジュンを心配しています。
突然訪れたジュンと一緒にサウナ(フィンランド式サウナ!!)に入り言葉ではなく行動で打ち解けようとしたり、不器用なところに職人気質を感じます。
THEホテルマン!といった感じのアードルフも、ジュンの人間性を見抜いた人。
しかも元軍人という過去も気になります。
フィンランドの雪深いホテルを舞台にしながら、心がじんわりと温かくなる物語です。
雪どけと共にジュンの心の中の雪もとけて欲しいと願わずにいられません。2022年05月10日 -
男の子にときめかないことを悩んでいる主人公・雫(しずく)。
雫は容姿端麗・頭脳明晰で女子にモテまくっている男子・日生光輝(ひなせ こうき)ならときめき方を知っているのでは?!と彼に相談を持ち掛けます。
自分が冷めてしまうシチュエーションを再現しようと日生の上にのしかかる雫ですが、押し倒された日生は顔が真っ赤に…、しかも何故かその状況に雫もきゅんを感じるのです。
ある日屋上にいた二人に突然落雷が…!
なんとその衝撃で日生と雫の心と体が入れ替わってしまいます!!
戸惑う日生(体は雫)を見て、またもや雫(体は日生)の心は高鳴ります…。
ときめきの条件はもしかして…!?
ふたりの関係はどうなってしまうのか…!?
男女逆転LOVEですが、ただの逆転ではありません。
少女マンガの定番といえば、強引な男子にキュンとする展開が人気です。
ですが、ときめく条件って人それぞれですよね。
そう、この物語の雫と日生は、定番のシチュエーションではときめかないのです。
男女逆転の、強引な女子×受け身男子というシチュエーションにときめいてしまうという、肉体的男女逆転だけではなく、シチュエーションも男女逆転という、W逆転LOVE!!
描くのは『こんな未来は聞いてない!!』でちょっと不思議なハイテンションLOVEを描いた八寿子先生!
今作もテンション高めでコミカルさもありつつ、一筋縄ではいかないキュンを描いています。
注目していただきたいのが、イケメンで百戦錬磨と思われていた日生の可愛さです。
強引な雫を前にすると赤面してしまう激かわっぷり。
それまでのクールな俺様キャラとのギャップに読んでいるこちらはときめきが止まりません。
お互いのときめきに戸惑う姿は、是非第三者視点で楽しんでいただきたいです!2022年05月10日 -
宇宙にハッピーを広めるために地球にやってきたハッピー星人のタコピー。
彷徨っていたところを助けてくれた小学四年生のしずかちゃんをハッピーにしたくて空飛ぶ道具を見せるも、彼女は全く興味を示してくれず…。
それもそのはず、しずかちゃんを取り巻く環境はそんな便利道具でどうにかなるようなものではないほど壮絶だったのです…。
物語はしずかちゃんや学校の同級生を中心とした小学生の世界を描いており、だからこそ、逃げ場のない限られた世界で行われるいじめ・ネグレクト・虐待は、彼女達を追い詰めてゆきます。
ただただしずかちゃんに笑って欲しいだけのタコピーですが、彼(?)の行動によって事態は坂を転がり落ちるように悪化の一途を辿ります。
主人公のしずかちゃんはクラスメイトの雲母坂(きららざか)まりなから壮絶ないじめを受けています。
ですがいじめという概念を知らないタコピーは理解ができず、「遊んでいる」と認識します。
更に「友達とケンカした」と言い痣だらけになっているしずかちゃんを見ても、タコピーは理解ができません。
「ケンカをすると顔の色が変わるんだっピね!」と無邪気に言い、便利道具の“仲直りリボン”を渡してしまうのです。
しかし本来の使い方とは違う使い方で自ら命を絶ってしまったしずかちゃん。
ショックを受けたタコピーはハッピーカメラで彼女が命を絶つ前まで時間を戻しますが…。
しずかちゃんを笑顔にすることはできるのでしょうか…。
しずかちゃんの親は(恐らくは)ネグレクト、しずかちゃんを執拗にいじめるまりなもまた、過酷な家庭環境で生きている虐待サバイバー。
そのほか、登場する子供たちは誰しも人には言えない闇を抱えています。
さらには、
子供の歯止めが効かない残酷さ。
大人の無関心さによる残酷さ。
悪意のない無垢ゆえの残酷さ。
ありとあらゆる残酷さが詰まっており、残酷のジェットコースター状態。
大人から見放され、断絶された残酷な世界で苦しむ子供たちの姿を見ると胸が苦しくなります。
無邪気さに恐怖を感じる方もいるのではないかと思うタコピーですが、この物語は彼のキャラクター性によって救われているのではないでしょうか。
いじめや虐待といったことが横行している世界を「歪んでいる」と言うことがありますが、この物語は悪意を知らない無垢なタコピーの視点で描かれているので、歪んだ世界が更に違う歪みをみせます。
タコピーによって彼女達の世界は今後どう変化していくのか…。
「原罪」は一体何を指しているのか。
色々な考察ができる本作、是非覚悟して読んでいただきたいです。2022年05月10日
