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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
永井荷風が谷崎潤一郎の短編小説を読んで、自分の疲れ切った空想力ではこのような若い新進作家のような強い力の籠った作品の製作を仕上げることができない、と言ったそうだが、自分もこの作品からはそれを一番強く感じた。新しい描き手の作画から物語の構成から、自分にはとても思いつかないことばかりだった。そして何より本作には作者の強い力が籠っている。執念といってもいいようなものが作品を覆っている。描いていて辛い絵もあっただろうが、それを乗り越えて物語を完成させていることからその執念のようなものが感じられ、作者の言いたかったことが伝わってくるのだ。ドラえもんのアンチテーゼであり、ちまたで流行りの「やり直しタイムル
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Posted by ブクログ
描画と物語の強い製作に圧倒される。マンガのキャラクターはマンガ家の分身と言われるが、それをここまで仮借なく突き放して描けるのは凄い。描いてて辛いということはないのだろうか? 子どもの精神や知性の善と悪が未文化なグレーさ、とりわけタコピーの彼ら少女少年よりも幼い精神がゆえの無力無能の徹底ぶりは、自分ならストレスで描き進めて行ける自信がない。ストーリーも自分の空想力が思いつく予定調和を遥かに超えていく。これが作者の創造力というより、むしろ今の子どもたちの世界のただのリアリズムに過ぎないのだとしても、これだけ綺麗事を剥ぎ取ったものを描くには、相当自分の人格を削って差し出さないと描けない気がする。アニ