あらすじ
祖父の代から目黒に道場を構えていた小野派一刀流の剣客・波切八郎は、御前試合の決勝で敗れた秋山小兵衛に真剣勝負を挑み、小兵衛は二年後の勝負を約した。それを待つ身でありながら八郎は、辻斬り魔に堕ちた門弟に自首を促すことができずに成敗してしまう。道場を出奔し浪々の身となった八郎は、想いを通じた座敷女中のお信にそそのかされるまま、お信の敵、高木勘蔵を討つ。
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Posted by ブクログ
剣客商売シリーズの番外編で秋山小兵衛がまだ自分の道場を建てようとしていた時期のもう一つの物語。
この話の小兵衛以上に主役となっているのが波切八郎という剣客で、御前試合の決戦で秋山小兵衛に敗れたことにより、はたしてこの勝負が真剣であったら!?そして秋山小兵衛という剣客と戦ったからこそそれを試したいと剣客ならではの思いがあり、その勝負を申し入れる。
秋山小兵衛は快くその申し入れを受け入れるが、道場を起こしたりの事情もあり一年後にその約束の日時を指定して挑むことに決める。
その間波切八郎の弟子が辻斬りをするのでそれを止めようとするが抵抗され切り殺す事に成った事などもあり、一旦波切八郎は修業も考え道場を出て行く。
波切八郎は一旦知り合いの宿に滞在するがそこで女中の信という女性と情を通わせ信の仇討ちを手伝うことに。
波切八郎と信の繋がりにそして、仇討ちによってまたも逃亡しなければいけなくなったのを助けてくれる岡本という剣客と流浪の旅に。
秋山小兵衛との真剣勝負は下巻に。
波切八郎の一途な剣への思いと信への思い、そして真剣で人を切ることに徐々に取りつかれて行く波切八郎が気になりながらの下巻突入となる。
この物語についてはほぼ主役は波切八郎という剣に一途な剣客の揺れ動く人生の物語と言っていいでしょう。