あらすじ
風が鳴った。平蔵は愛刀の鯉口を切る。雪か? 闇の中に刃と刃が噛み合って火花が散った──。 著者の逝去によって「鬼平」シリーズ最終作品となった未完の長篇〈誘拐〉。そのほか、おまさ・お熊が活躍し、平蔵の腹違いの妹・お園の婚礼も登場する女づくしの「女密偵女賊」。おまさの亭主と同名の五郎蔵が役宅の髪結いに。緊張感あふれるなかにも、どこかユーモラスな「ふたり五郎蔵」を収録。また一巻目から読み返したくなる、充実の最終巻!
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Posted by ブクログ
鬼平犯科帳 (24)
短編「女密偵女賊」「ふたり五郎蔵」と、長編「誘拐(未完)」の3話構成。
まずは、小柳さん、お園さん、おめでとうございます。お園さんよかったですね。小柳さんも今度こそ幸せになって頂きたいです。
今回の長編「誘拐」は、 著者の逝去によって未完のまま終わっております。おまさの安否や、これからどうなるのか続きが気になる状態のまま・・。という感じでしたが、きっと“チーム・鬼平”の面々が良い感じに解決してくれたのだと妄想します。
これにて、「鬼平」シリーズは最終になりますが、1巻からずっと飽きさせず、最後まで面白く読めたのは流石だと思います。
さて、次は「剣客商売」シリーズを読もうか、「仕掛人・藤枝梅安」シリーズにしようか・・嬉しい悩みです。
Posted by ブクログ
ああ、とうとう読み終わってしまいました…。
『女密偵女賊』『ふたり五郎蔵』と大切に読み、『誘拐』はこれからというところで未完のまま終わり、続きは想像するしかなくなりました。おまさが無事に戻るのか、はらはらさせたまま終わりだなんて。本当に寂しい。もっともっと鬼平の活躍を見たかったです。
Posted by ブクログ
鬼平犯科帳最終巻。
なんか薄いと思ったら「著者逝去のため未完」の文字。
池波正太郎最後まで書き上げたかっただろうな。
しかし鬼平カッコよすぎる。
賊を逃してしまったベテラン密偵の言い訳を聞いて「それはいいわけというものだ」と嗜めておきながらも小判を一枚。
やっぱ最高の上司。
おやびんカッコイイよおやびん。
鬼平はヒーローではなく、悪人も火附盗賊改も人間、人情で築き上げる世界であることを感じさせる世界観が良い。
そして前巻がレズ話だったが、今度は賊に女房かどわかされた挙句にNTR髪結い屋。
NTRされた男を慰める為に平蔵が「女房はあきらめろ。よいか女というものは所詮...」と言いかけようとしたところに奥さん&妹登場。
苦笑しながら口を閉ざしたところに次の文言。
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初夏の空は晴れわたって、葉桜が風にそよいでいる。
「町中では、苗売りがそよいでいような。」
ふと、つぶやき、平蔵は居間へ入って行った。
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なんという結び。
なんだこの心地良い言葉の響き。
処刑(しおき=仕置き)とルビふったり、中二病的なところもある。
レズにNTRに...池波正太郎は、先見の明と風俗に詳しかったのだろう。
それとも昔も今も変わらず歴史は繰り返されるということなのかも知れない。
今はただ。
軍鶏鍋とか蕎麦手繰りに行きたい。