あらすじ
可楽杯決勝での一席で会場を引き込んだ朱音。会場が興奮に包まれる中、因縁の相手・阿良川一生が朱音に放った衝撃の一言とは!? そして、熾烈な優勝争いを制したのは…!? 波乱の可楽杯編、いよいよ完結。物語は新章へ突入――。入門を果たした朱音を待ち受けるのは!?
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Posted by ブクログ
二度目の「寿限無」を見事話し終えたあかね。
いつも感じる可楽杯特有の熱気はどこへ。
技術を競い合う場から、客席はもはや話を聞く場へと変わっていた。
最初にこぐま兄さんに披露した寿限無が如何に空っぽだったかがよくわかる話だった。
あかねの語る二度目の寿限無。寿限無という噺の始まりを知って、そしてそれに込められた登場人物の気持ちを知って、だからこそ演じ切ることが出来る。あかねの噺ではない。寿限無という子供の事を思って名付けた親と子の愛情話に客席は大拍手を送る。
そして審査員である、阿良川一生の一言。
今までの出演者にはよそ行きの笑顔で、よそ行きの気を使った褒め言葉をはなっていた彼からは、本当に一言。
「お前」
「ここはお前が来ていい場所じゃないって
分かってるよな?」
とよそ行きの顔も言葉も忘れて問いかける。
一生師匠からの一言は、それだけだった。
その意味とは、あかねは、からしは、すぐに理解する。
素人の大会をプロが荒らしてんじゃねぇ、
からしもひかるも、
あかねの相手にすらなっていなかったのだ。
そして優勝者に与えられる一生師匠との対談。
そこで語られるあかねの父の破門の理由。
あかねはその理由を知り、一生の落語に対する気持ちも「真打」というのがどういうものなのか、
真剣なあかねに対して一生師匠も真剣に答える。
あかねはまた1つ、前へ進めた気がする。
Posted by ブクログ
可楽杯~一生師匠との対談があってあかね、ついに前座の修行に。新章に突入しました。
これまでは阿良川一門の話でしたが、修行のシーンで他の一門の人たちがたくさん出てくるようになりました。
享二兄さん、酒乱か(笑)
あかねが「ガラスの仮面」みたいな顔になってるとこ、ちょっとウケました。
あの二ツ目のりゑん、たぶん100人いたら100人ともむかつくキャラだろうね。朝がお兄さんとの間で何があったかは次の巻でわかるのかな。
Posted by ブクログ
可楽杯決勝での朱音の一席後の阿良川一生のコメント。
あれだよね、最初のM−1だったか、テツandトモへの立川談志のコメントと同じだよな。朱音と一生の関係性と大会の意義が違うので、意味合いは異なりますが、あの立川談志のコメントは、愛のあるものだったと記憶しています。
可楽杯で優勝して、ラスボス一生との対決を果たした朱音、彼女が聞きたいことは父親の破門理由。一緒が語ったその理由は、芸事に携わる人間にとって、厳しくはあるけど理解のできないものではないというもの。
これを理解できるということは朱音が、プロとして歩んでいる、歩む覚悟を持っているという証左になるんじゃないでしょうか。理解はするけど、諸手を挙げて賛同はしない、というところか。
対面の最後、自分の父親の芸を継承して、ラスボス一生へ宣戦布告する朱音の心意気は、ヒーローでありました。
こうなると、一生と志ぐまの関係性も気になってしまう。過去から芸を引き継ぎ未来へと繋げてゆくのが、現在を生きている自分たちの役目、と言った一生。
勝手な予想ですが、師匠から一門を継いだのは一生でも、己の芸の後継とされたのは志ぐまだった、というような因縁があるのではないだろうか。
その時点での実力は一生の方があったのだけど、自分の芸を継ぐのは志ぐまの方で、一生は師匠とは別の噺家としての未来の方がいいのでは、という判断。業界のためには、そちらの方がいいという。
それが、どちらも後継するつもりだった一生には、消すことのできない想いとして残ってしまったのかなぁ、なんて。
しかし、一生がいう「芸の後に応援がついてくるのであり、応援が先立つのは未熟さの証拠」というのは、なんとも演者にも客にも厳しい言葉であることだ。
どちらかだけでは芸は成立しないということは前提であるけども、どちらが先にいるのか、ということを弁えていないといけないということ。両者に互いをリスペクトする想いがあれば、いいのだけどな。
なにぶん「お客様は神様です」をお客様が言い出して、自称・神様が我が物顔で幅を利かせている状況がニュースになったりすることも多い世の中。
応援する側の自分としては、注意しないといけない部分です。叱咤激励と誹謗中傷って、本来明確な区切りがあると思うのだけど、そこが曖昧になってしまっているからか。その線を容易に踏み越えてしまうのは、応援している対象への「愛」というのが自称・神様らしくて苦笑。
一方で、一生が危惧している弱さを作り出してしまうのも、応援する対象への「愛」というのも、皮肉なことであります。
さて、可楽杯編終了して、新たな展開へ。朱音の噺家としての修行の日々が始まります。なんとも嫌な先輩が出てきて、こいつを打ち負かしてやろう、といったところで5巻へ続きます。
Posted by ブクログ
第1巻「あの日」で阿良川一生が下した判断の真意が朱音に語られるのか語られないのか。可楽杯編がついに決着。
そして、新編突入。個性豊かな落語家が次々と登場。次巻の発売が楽しみでしかない。