可南さらさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ思ってたよりずっとよかったというのが正直な感想です。(失礼)細かいことを言えば、色々とツッコミどころはあったのですが、お互いを思う兄弟愛に胸がキュッとなりました。
弟がすごくすごくよかった。
ガチで兄弟なのだけど、そのあたりの禁忌を犯すドロリとした背徳感みたいのはあまりなかった。
幼い頃事故で両親をなくし、資産家だった父の実家に引き取られた兄弟。
跡取りとしての重圧。自分がいい子でいなければ自分達の居場所がなくなってしまう。唯一の拠り所である幼い弟と離ればなれになってしまう。常に兄としての責任感を感じていた要。
幼い頃から兄が大好きで大好きで、いつしかそれが恋愛感情だと自覚して絶望した清司。それは望んではいけないもの。決して手に入らないもの。
兄のそばにいることに耐えられず、家を飛び出したことを身勝手だとなじられても本当の理由は告げられない。
心のよすがだった弟に裏切られたと思い傷ついても、一族の中で孤軍奮闘する要。しかし周囲の目は冷たく、祖父の死で後ろ盾を失った要は窮地に立たされる。
起死回生を狙って、不本意ながらもカメラマンをしている清司を久方ぶりに訪ねた。祖父が遺言で弟に遺した株式を譲り受けるために。
二年ぶりの再会にもかかわらず、取りつく島もない清司。なぜそんなにも自分を嫌うのかと、売り言葉に買い言葉で、要は株の譲渡を条件に『ヌード写真の練習台になる』約束を交わしてしまう。
『アンタには色気がない』とあざ笑うように、戯れのように体に触れてくる清司。一方的に昂らされてしまう羞恥に混乱しながらも、要は不思議と頑なに凝り固まった心が溶けだしていくような感覚にとらわれる。
清司の前でだけは弱味をさらけ出していいのだと。
認められたいと必死に頑張ってきた努力が報われず、涙を流す要に労るように清司の唇が触れてくる。額に、頬に、まるで小さな子供をあやすみたいに。けれども唇だけには決して触れない。
まどろむ要の髪をやさしく梳く清司の指先。そっとなぞるように唇に触れては名残惜しそうに去っていく。まるで指先でキスされてるみたいだと要は思う。
そしてみつけた白い木箱にしまわれていた写真。
すべては日常の何げない瞬間。怒っている要。ご飯を食べている要。清司の部屋で安心しきった顔で眠っている要。撮る側の愛情が溢れ出すような、やさしい色合いのスナップ。一体どんな気持ちでファインダーを覗いていたのだろうと思うと、何だか泣きたくなる。
『あれがお前の東京タワー?』のくだりが胸に残った。
清司の気持ちを受け入れた要だけれど、やっぱり“ほだされた感”は否めない。
ようやく欲しいものを手に入れたのに、いつか兄が我に返るのではないと、どこかで終わりを予感しながら心を揺らしている清司がいじましくて、積年の想いを遂げた圧倒的な幸せ感よりも切なさの方がまさった。
ちょっとおまけして4☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレ何にもわからないうちに恋を教えられて、パリに行ってくるから~と言われた静流さん。不安にもなるし、家庭環境のせいもあって甘えることが難しい静流さん。
パリで修業中のパティシエ攻が静流が見合いをしたという情報だけで、師匠との約束等ぶっちして帰国する。
高校から付き合っているんだから、恥ずかしいとか言ってないで一言「待っててくれ」と言っておけばすべて丸く収まった気もするけど、
すれちがい・誤解(やっぱり女性のほうが・・・!みたいな)・言葉足らず・勘違い・・・でも最終的に胸焼けするほど甘いお話が大好きなのでとても心地よく読めました。
やはり、料理上手な男(今回はパティシエですが)はいい。 -
Posted by ブクログ
読みやすい文章で、切なく甘いストーリーが上手い作家さん。
この作品は小説ガッシュ創刊号掲載で、その時には冒頭の高校時代の描写がなかったんですよね。このシーン素敵で胸キュンです。
リーマンの静流は自分を過小評価しすぎていて、何事にも臆病。彼は腐れ縁とも言うべき男、佐久間のことが学生時代から好きだったのですが、彼に振り回される一方的な関係にケジメをつけようと、一度別れを告げていました。ところが、2年間音信不通だった佐久間がいきなり現れたところから、また静流は悶々とした想いにとらわれてしまうのです。しかも、おいしい食事で懐柔され、モテ男にまた昔のようにセフレ扱いされそうだと思って悩みます。
でもこの話は静流視点。自分に自信の無い彼の思い込みで、話が展開しているわけです。遊ばれてる、と勝手に思い込み、その結果佐久間にものすごいツンデレな態度をとっているのがかわいい。
そんな冷たい静流にめげずに忍耐強く側にいる佐久間って、ほんとに好きなんだなぁと、こっちには伝わってくるんですが…
静流のツンデレは、とにかく自分への自信なさと、佐久間の愛に臆病なところからくるものなんですよね。
書き下ろしもラブラブで犬も食わない感じで楽しめました。
お互いに心変わりを心配したり、ぐるぐる考えすぎちゃったりという恋の悩みに楽しく?付き合わされます。Hシーンも甘くてドキドキさせられました。何といっても、積極的に頑張ろうとした静流がかわいすぎでした。ツンデレの極致です。これにメロメロにならないほうがおかしいくらいの天然ぶりに萌え。
佐久間もなんだかんだ気持ちを疑われていますが、それは静流からの視点なんですよね。冷静に読むと相当惚れ込んでるのが丸わかりです。
後輩の新見や、浮田ですら、全部気がついているのに、肝心の静流がほんとに天然でわかってなくて、もうキュンキュンさせられました。
冒頭+書き下ろしがとてもよくて、雑誌で読んだ時よりずっと面白くなっています。イラストもピッタリだったと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校の同級生、再会もの。
自分だけが相手を好きで、その背中を追いかけ続けることに疲れて一度は手放した恋。
でも本当はいつの間にか自分が追いかけられていたなんて、私得過ぎる設定にモダモダ!
可南さんの、流れるようにキレイな文章も手伝ってあっという間に読めました♪
一途俺様のさりげない優しさと独占欲、グルグルしちゃう受けの可愛さ、すれ違いの焦れったさ…。
キャラも設定もストーリーも、好みのど真ん中で、萌えツボをグイグイと押されてしまいました!
実は最初の15ページでノックアウト!
高校時代の回想シーンなんですが、カーテンに隠れてキス!なんて、そりゃ悶絶するよね♪
何不自由無い男が、恋に振り回されるお話大好きです!!
先生、続編とか高校時代の話とか書いてくれないかな? -
Posted by ブクログ
禁忌な血縁もので年下攻め。
昔は仲良しだった弟に、会社の派閥争いに協力を求めるため久々に再会する兄の要。今ではカメラマンとして生計を立てている清司に、邪険にあしらわれた要は傷つきながらも自分の立場を守るためにどんな要求でも受け入れようとします。
また、ちょっとずるい受が登場してます。好きな相手には優しく甘いんですが、そのくせどれだけ愛されているかは分かっていない鈍なところも。
例によって攻は、一見クールで酷薄そうなかんじです。攻受このあたり、ちょっと類型的。
ただ、ドラマとしては結構面白いんです。副社長の座にいる要の譲れない矜持みたいなものとか、祖父母との関係とか、すごく息苦しそう。そこから次第に見えなかった大切なものに、要が気付かされていくところとか。
そんな兄の葛藤にまるで気付いてなくて自分より家が大事なんだと誤解していた清司もせつないです。
メグとか若宮とか脇女性キャラも味があって、話がふくらんでいて好感。
兄弟で愛し合うまでの気持ちの高まりや、要が禁忌を犯す決意をする心情も細やかに描かれていていいのですが、派手なヤマ場みたいなのがないのでちょっと拍子抜け。まあ、今のところ要はやっと清司を受け入れる気持ちになったばかりなので、仕方ないですけど。
続編があるようなので、それも楽しみです。 -
Posted by ブクログ
幼馴染みで兄弟同然のように暮らしていた高校生の年下攻×大学生です。
受の千実が、秘密をかかえていて、憎からず想っている洋の気持ちをどうしても受けとめられないことにせつなくなります。千実の揺れる心が読んでいてじれったくもあり、洋の青くて真っ直ぐな恋心に危うさを感じたり。
今までの作品の類型です。受がちょっとずるくて屈折していて、感情と行動がウラハラなところ。一方の攻はクールで一見何を考えているのかわからないけど、受一筋ってところも。大事なものを手放す小ネタもやはり登場。
またか、という見方もあるし、この手の話が好みであれば、そこがうれしいかんじです。
小さな萌えどころがあちこちに散りばめられているせいか、これといった話でもないのに何故か先が読みたくなるのが不思議。
今回、ストーリー運びが軟弱に感じないこともないんですが、多分手ごわい敵役が登場してないからじゃないかな?佐夜子も少しインパクトに欠ける気がします。
千実と洋が、それぞれ強くジェラシーを感じるような人物は登場するんですが、憎むべき相手でもない…ラブラブのトッピング程度。
スリリングなものは皆無ですが、ドキドキ感は充分。
心の行き違いを修正しつつ、二人がどのように愛を育んでいくのか、楽しめます。