魚住直子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ふとした切っ掛けで小学生の頃いじめられていた私は、中学に入った時に「クールに生きていく」、「友だちはつくらない」と決めた。ある夜出会った不思議な女性に、何故か私は「タスケテ」と口にしていた。
小学校卒業のタイミングで引っ越しで隣の学区に移り、知る人のいない中学校で新たな自分になり仕切り直しをしようとする私。作り上げたキャラクターこそを自分と思い込むことで、小学生時代の嫌なことを振り切ろうとする。
そうやって心をしっかりと武装するも、ひずみができて心が揺らいでくる。
タイトルの「非・バランス」が持つ力が、作品全体に響いています。
いじめられていた記憶に縛られて悪夢を見て、無意識に加害者に無言 -
Posted by ブクログ
ネタバレ寓話のような短編集。
動物達の姿を通して「生きること」のしんどさを思うと同時に、「生きること」について深く考えさせられる。
どのお話も文体はとても優しいのに内容は生と死に関するもので切ない。けれどラストは気持ちを軽やかにさせてくれるものが多い。
特に『アメンボリース』『朝の花火』が好き。
飛ぶことを諦めた鳥もいれば、人間に憧れるサルだっている。
生き物を殺すことに快感を覚える「ころしや」のアオダイショウだって温かな気持ちを知る瞬間に出会い、腹を空かせて死にそうだったライオンも生きる勇気を貰う。
「死んでるみたいに生きるんだったら、意味がない」
怖がりの子グマが一生懸命考えて出した答えが心に残