あらすじ
1つ、クールに生きていく。2つ、友だちはつくらない。そう心に決めていた中学生の私の前に、不思議な一人の女性があらわれた。彼女こそ、理想の大人だと思う私の毎日は少しずつ変わっていくが……。少女と大人――傷つきやすい2つのハートが出会った、ある夏の物語。第36回講談社児童文学新人賞受賞。
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Posted by ブクログ
みんなが思う中学生像ってまさにこれですよね?
友達から好きな本を聞くとタイトルからもう既に面白そうだったので読みました。児童文学ということを買ってから知りましたが、これは大人にも響きますよ!
物語はじめ、いじめられた過去を持つ主人公の話から入ります。これがまた胸糞ですが子供って純粋で可愛いとか思ってる馬鹿に教えたいです。そして彼女のモットーである「クールに生きる、友達は作らない」に共感できる人も少なくないでしょう。そして主人公は成長するというあるあるな話だよねと思ったら最後!主人公を救った大人リサにやられました。
子供よりも大人向け、主人公とリサの関係性にバランスを当てはめると、このタイトルに痺れます。
1番崩れやすいのは自分かそれとも人間関係か。何がバランスなんでしょうね。
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小学生のときにいじめを受けた少女は、中学に入ると誰とも話をせず、友達を作らず過ごす。そして夢にうなされ、万引きをしたり無言電話で仕返しをすることで心のバランスをとっていた。
ある日うわさの緑のおばさんを見かけ「助けて」と声をかけてしまう。その見間違えだった洋服を作るサラさんに話をすることで少しずつ変わってきたようにみえたが、サラさんも傷ついた大人だった。
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誰でも心を塞がないといられない時がある。どうやってやり過ごすのか。後から思えばとても人に言えない方法で心をエスケープさせたことの一つや二つ誰にでもあるだろう。
忘れていたが忘れてはいけない。自分もそうだったと時々思い出せれば人に優しくなれる。
子どもの頃のことをおとなは忘れすぎだ。
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魚住直子さんの作品は3冊目。やはり魚住さんの文章は読みやすい。物語の設定や展開も好きだ。
中学二年生の「私」が、いじめられないよう「クールに生きる」「友達は作らない」というモットーで過ごしていたことにも自然に共感できた。また、主人公が偶然出会った「サラさん」も悩みを抱えており、主人公の思うような完璧な大人ではなかった。
最後、主人公がいじめた相手の自宅に言って怒鳴りつけてやっと気持ちの整理ができたこと、サラさんが、自分のした過ちを主人公に打ち明けたこと、ミドリノオバサンなど様々なことが上手く絡み合い、気持ちの良い読後感だった。
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13歳息子の面白かったよという感想に釣られて読書しました。
周りの人はみんな幸せそうに見えて、一見何の問題もなく過ごしているように見えるけど。
誰しも心がゆらゆらと不安定な時もあり、内には色んな思いを秘めて生きているのかもしれない。
不安な思いを感じるのも自分。変えるのも自分。
一歩踏み出す、その場から動く大切さ。小さな勇気をもらいました。
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ふとした切っ掛けで小学生の頃いじめられていた私は、中学に入った時に「クールに生きていく」、「友だちはつくらない」と決めた。ある夜出会った不思議な女性に、何故か私は「タスケテ」と口にしていた。
小学校卒業のタイミングで引っ越しで隣の学区に移り、知る人のいない中学校で新たな自分になり仕切り直しをしようとする私。作り上げたキャラクターこそを自分と思い込むことで、小学生時代の嫌なことを振り切ろうとする。
そうやって心をしっかりと武装するも、ひずみができて心が揺らいでくる。
タイトルの「非・バランス」が持つ力が、作品全体に響いています。
いじめられていた記憶に縛られて悪夢を見て、無意識に加害者に無言電話を繰り返してしまう私。
理想の大人だと思い自分をさらけ出せる相手だと思っていたサラさんにも、違う顔があることを知る。
クラスで目立つグループにいる子にも、教室で見せない顔がある。
そんな様々な自分をバランス良くコントロールすることが「いいこと」なのか? バランスを崩し穴に落ちてしまったら、もうどうしようもないのか。(登場人物のひとりが3階の窓から落ちるのは象徴的だ)
バランスを崩して落ちたと思った地に、もしかすると自分の居場所があるかもしれない。
それぞれの人物が一歩踏み出すためにバランスを崩す。踏み出す先はどこに向いているのかはわからない。それでも一歩踏み出したこと。そこに希望を見出している。
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【本の内容】
1つ、クールに生きていく。
2つ、友だちはつくらない。
そう心に決めていた中学生の私の前に、不思議な一人の女性があらわれた。
彼女こそ、理想の大人だと思う私の毎日は少しずつ変わっていくが…。
少女と大人―傷つきやすい2つのハートが出会った、ある夏の物語。
第36回講談社児童文学新人賞受賞。
[ 目次 ]
[ POP ]
危うい心理状態。
大人でも子供でも、些細な事がきっかけで、こころのバランスを崩す。
傷ついている二つのハートが出会った。
同情なのか、友情なのか。
氷解するこころ。
さらりと読めるのに、こころにしみじみ残る作品。
「タスケテ」思いがけず出た言葉。ずっと隠していた、気付かない振りをしていた。
噂のミドリノオバサンと勘違いした、私。
些細な事が原因で、苛められた小学時代。
引っ越し先の中学校で強くなるために、心に決めたこと。
一つ、クールに生きていく。
二つ、友達は作らない。
挫折が有るから強くなれると言うけれど、挫折など一生無ければ、その方が良いに決まっている。
必要に駆られ、身に付ける強さは本当に必要なのだろうか?
自信が無いから群れる子供達。
標的は弱者に決まっている。
醜く歪んだこころ。
追いつめられた袋小路から抜け出すきっかけも、また些細な事なのだろう。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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小学校時代のいじめを機に、中学では「1つ、クールに生きていく。2つ、友だちはつくらない。」というルールのもとで生きていこうとする女の子のはなし。
「私には友達がいないのじゃない、自分から友達を作らないことを選んだということ。」という文章は、じぶんにも思い当たる節があって、なんかちょっと懐かしさがこみあげてくる。「はしゃぎすぎてしまう」からつけこまれるというのも、なんかわかるんだなー。
やっぱり、サラさんの会社にいって、「私」がデザイナーと勘違いしてたところがいっとう怖いな。怖いけど、おもしろい。あるある、というか。「私」から見てサラさんは唯一まともな大人で助力者でもあって、なくてはならない存在だけど、サラさんだって中学生の「私」と同じものを抱えているという視点。それから緑のおばさんの話が、サラさんのつくった緑の雨合羽によって収斂していく。
「私」が雨合羽を着てユカリの家に突撃する場面が好きだ。水かけられるのも。「今の話よ。あんたにとっては昔のことかもしれない。だけど、私はあれからずっと続いてるのよっ。ずっとずっと、続いているのよっ」
けっこう好きダナ。
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第36回講談社児童文学新人賞受賞作
1つ、クールに生きていく。
2つ、友だちはつくらない。
12歳っていう微妙な時期をうまく描けていてすごくおもしろかった。
Posted by ブクログ
タイトルの絶妙さに悶絶。児童文学って括りになってるかもしれないけど、実はとっても大人向けの小説。ラストはすごくズルいと思うけど、でも、好きだなあ、この終わり方。
あっ、あとがきも良い。作家はあつかましいって、きっとそうだよね。
Posted by ブクログ
魚住直子の作品は初めて読んだ。少女が「いじめ」を乗り越える物語だが、胸が苦しくてやりきれないままで終わらず、成長し、展望が開けているのが嬉しい。
文庫の解説を書いている藤田香織の文章に納得。
他の作品もぜひ読んでみたいと思わせられた。
Posted by ブクログ
中学生がクールに生きると決めた理由が苦しすぎる。
自分に起こったことを消して、新しい自分として生きようとする姿が何とも言えず切なかった。
そんな時に出会ったのがいい大人でよかった。彼女にも悩みがあったのに、聞き役に徹して認めてあげて。きっと主人公の安全基地になっていたことだろう。年齢差はあれど、お互いに良い影響を受けられて何より。
Posted by ブクログ
新幹線用に、本屋で目に入った薄い小説を。
中学生の主人公の悩みを解決するようにみせて、さらさんも姿を重ねてて助けられてたんだろうなあ。
いじめの描写は心がギュッてなる。めちゃくちゃわかる。何度も夢に出てきて、なんでこうしなかったんだろうって何度も後悔するんよね。けど自分が納得する方法を見つけてやり遂げた主人公は格好いい。
そして、さらさんの悩みもわかる。情けなと葛藤と。憧れられていたのに幻滅された後の傷口も。
たぶん人生大小あれど皆人間関係や夢で挫けてると思うから、短い話の中にも心臓をつかまれた気分になると思うな。書評にある、いつかは避難所を脱し自分の場所へ帰らなくてはいけない、はなるほどなと。避難所は遠かれ近かれあるけど、結局は自分だからね。
Posted by ブクログ
友達との距離の取り方に失敗し、はしゃぎすぎてうざがられ、自分を守るために周りをシャットアウトした主人公の姿が自分に重なりすぎて、読み終わったあとも動悸がして手が震える。
思春期の女子の人間関係の難しさをうまく切り取った話だと思う
かつての当事者が思い出して辛いくらいには。辛い。
Posted by ブクログ
主人公の誰とも群れない、って気持ちとかクラス内のゴタゴタとかはよくあることだよなあと共感しました。ちょっと抽象的でいまいちわからないところもあったけど、最後は前に進めたから良かったのかなって思います。
Posted by ブクログ
友達を作らずクールに生きていく事を決めた少女の話。高校時代の自分を思い返して胸がちくちくした。ほんと誰も友達になれなかったなあ。彼女の気持ちがよくわかる。毎日血の涙を胸内で流しながら、居たくない教室でひたすら本読んでいました。
Posted by ブクログ
タイトルに関しては独特のセンスだと思う。内容が想像できないし、こういう本の読者である小学高学年から中学の女子の心に訴えるわけでもない。
しかし、森絵都のデビュー作より、ずっと良かった。少なくとも、面白く読める。
味わいは結構ブラックでちょっとひねくれた子は喜ぶだろう。
大人に対する不信感も顕なのが、教科書の推薦図書としては珍しい。
この作家はもう一作くらい読んでみてもいいかなと思った。
Posted by ブクログ
よくあるテーマだが、少女がわからないことはわからない、とちゃんと思考の限界をつけているところがリアル。
少女と大人の交流というのは、出来すぎというか、作り物感あり。
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傷つくくらいなら自分らしくなくても構わない、友達もいらない、っていう考え方、すごく共感出来る。
わたしもそっちよりの子供だったわ(´・ω・`)
いゃ、いまだに、かもしれない。
Posted by ブクログ
今の子供たちはみんな、こんな風に息をつめて生きているんでしょうか。
「クールに生きる」と「友達を作らない」の二つのモットーを守らないと、学校で生きていけないような。
ここでも、見ていてくれる人 が居ない子供が主人公。
小さな繋がり が一つ先の世界を開いてくれるのだろうに・・・。
みんなが、「ミドリノオバサン」に出会えますように。
Posted by ブクログ
デビュー作だという。うまくポイントを押さえた話だと思う。感情移入できる冒頭から、次第に逆転していく過程、そして安易な大団円に終えないラストまで、「うまいな」と重いながら読んだ。
逆に言えば、すごくイマドキのパターンを丁寧になぞっているようか感じがして、一度もぐんと突き刺さってくるものがなかった。昔々のいい子物語を想定しているならともかく、妙にステレオタイプなような印象さえした。まあ、現実のほうがむしろ、ステレオタイプの積み重ねで成り立ってしまっている嫌いがあるのかもしれないけど。
とても上手で丁寧な作家。若い人に読んでほしいなと思う。本当の中学生などが、どういうふうに受け止めるのか興味もある。
Posted by ブクログ
クールに生きようとする主人公はある日見知らぬ女性に「助けて」とつぶやく。
話としてはとてもありがちなのだけれど、その分、分かりやすくて読みやすい。
第36回講談社児童文学新人賞受賞。
2010/3/5
Posted by ブクログ
小学校時代いじめられた経験から、クールに生きる。友達を作らない。と決めた中学生が主人公。
が、そのモットーは本人の気付かないうちに自分を追い込んでいた。
そんな中、理想の大人の女性と出会い、少しずつ変わっていく。
そして周りも変わっていく。
逃げ出すこと、それだけでは人生変わらないんだなぁ・・・。
Posted by ブクログ
子供も大人もあんまり変わらないなぁ。
こういう風に、女子のコミュニティのイメージが活字で膨らんでいって、本当のところはどうなんだろうと常々思う。
女子トイレとか怖そう。
Posted by ブクログ
小学生時代些細なことでいじめにあった主人公が
自分を守るために考え出したルール、
1.クールに生きていく
2.友だちはつくらない
のけ者にされる前に自分から関わらなければいいのだ。
簡単な話である。
だけど人は1人では生きられない。
そんなときサラに出会う。
主人公にとってサラだけが唯一の友達になったのだ。
人は生き延びるために逃げ出さなければならないときがある。
だけどいつまでも逃げ続けることは不可能だ。
ミドリのレインコートを着るのは自分次第。
いつ着るか決めるのも自分。
だから焦らないでいいよ。
ミドリのレインコートはいつも君の傍にある。