川北稔のレビュー一覧

  • 砂糖の世界史

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    古くはイスラームから伝来したとされるサトウキビ。大航海時代を経てヨーロッパ諸国は、カリブ海を中心にサトウキビのプランテーションを展開する。その労働力として酷使されたのは先住民やアフリカから連れてこられた黒人だった。
    当初砂糖はその希少性から薬や装飾に用いられるなど、ステータスシンボルとしての側面が強かった。その後大西洋貿易により大量にヨーロッパへと流入するようになると、東方からの茶と合わせて庶民階級にまで広く浸透していく。このように、砂糖や茶は西欧を中心とする近代世界システムを循環する主要な世界商品となった。だが、「砂糖あるところに奴隷あり」と言われたように、砂糖の生産と奴隷制度との間には切っ

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    2025年11月08日
  • 砂糖の世界史

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    これぞ、世界史の入門書!!
    一見すると「砂糖?」と成りがちなタイトルですが、実は深く世界史に関わっていることが本書を読めばわかります。世界史は数珠繋ぎで繋がっているといいますが、まさにそのとおりです。是非、世界史をマスターするためにも読んでください。

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    2025年10月05日
  • 砂糖の世界史

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    砂糖を通じて世界史を眺める
    そうするとあの出来事はそういうことだったのかとか今こうなっているのはこんなことがあったからか、と腑に落ちる

    あとがきですべての歴史は現代史とあったが
    世界史もこんなにダイナミックに教えてくれれば面白いのに

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    2025年08月10日
  • 砂糖の世界史

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    縦切りとも横切りとも言いづらい、砂糖という点をじっくり見つめて歴史を語る一冊。ジュニア新書だが、大人が読んでも十分満足できる。もう46版。名著なことを実感。

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    2025年08月10日
  • 砂糖の世界史

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    「世界商品」である砂糖を巡る歴史。カリブ諸国の黒人奴隷の歴史が砂糖のせいだったとは…そして紅茶に砂糖を入れるのは「ステイタスxステイタス」だったとは…知らない歴史が満載。非常に興味深い。

    しかし昔の欧州の列強達は人口分布を変えてしまう程の影響力をもっていたとは、いやはや何ともかんとも…今日の世界は欧米が作ったのは間違いない…

    ジュニア新書だけあって平易で読みやすい。漢字記載でない部分もありちょっと幼い笑

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    2025年08月05日
  • 洒落者たちのイギリス史

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    イギリスの贅沢禁止法を通して、身分社会の崩壊の過程と毛織物産業の発展を記していたことが印象に残った。著者は「身分」から「富」へと、贅沢禁止法の規定が変化することから、舶来品であった奢侈品の上流階級に対する貧者の憧れが、経済社会としての需要を促進させ、産業革命に至ったと考えている。個人的に、田舎のジェントリたちが規制されない新規産業を開拓し続けたことが、ファッションが法に勝利した原因とも言えることが興味深い。近世以降のイングランドの発展は、立憲民主制に支えられたことも大きいが、舶来品の国産化に成功したという日本にも共通する点である、島国であったことも大きな要因であると考える。

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    2025年08月02日
  • 砂糖の世界史

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    もともと、ガーナにカカオはなかったし、スリランカに茶はなかった、という衝撃の事実。「世界はひとつ」というと聞こえはいいけど、無理矢理くっつけられるのは嫌だなあ。

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    2025年07月31日
  • 砂糖の世界史

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    砂糖がいかにして発見され、時代の変遷とともに「世界商品」となり、各国の経済や人々の暮らしと関わってきたかが、ジュニア文庫にふさわしい平明な言葉で綴られている。
    お砂糖がもたらしてくれる幸せ、美味しいお菓子やケーキの誕生秘話、などをぼんやり期待して読んでいたら、そんな甘い話では全然なかった。「砂糖のあるところに、奴隷あり」。イギリスを始めとする欧州諸国が冷酷な植民地支配と奴隷貿易を発展させることがなかったら、世界の人々が砂糖の甘さを享受することはできなかったのだ。
    "モノを通してみる近代世界史" という切り口。とても面白い。

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    2025年07月29日
  • イギリス近代史講義

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    名作『砂糖の世界史』の流れで読みましたが、これも若い頃に読みたかったと思わせる歴史の本です。ジェントルマン資本主義とは何かについて、その背景も含め詳しく語られています。講義録なのでとても読みやすく、学生にお勧めしたいです。

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    2025年06月06日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    タイトル通り、ウォーラーステインによって主張された「世界システム論」についての概説書である。
    随分前に書棚に収めていたが、先日、的場昭弘氏の『資本主義全史』を読んで、もしやと思って本書を手に取った。
    直感は当たっていた。
    「世界システム論」とは、西洋資本主義体制による国際的分業制のことを指していたのである。

    世界システム論の目的は、各国史の積み上げを世界史とする旧来の史観を脱し、資本主義による国際的分業体制という観点を軸に近代以降の歴史を論じていくこと。つまり、一国史からの脱却だ。
    この観点に基づくと、欧米各国が「進んで」いて、アフリカ等の諸国が「遅れている」という、それぞれの国が辿るべき進

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    2025年04月27日
  • イギリス近代史講義

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     イギリスの近世、近代とはどういう時代なのか、人々の生活の様子や家族のあり方を観察しながら、都市の形成や産業革命の意味について世界システム論の立場から考察し、現代の「イギリス経済衰退論」の妥当性について述べたもの。
     今度仕事でイギリスに行くので、イギリスのことについてもっと勉強した方がいいなと思って読み、通史的なものを期待したけれど、そんな感じではなかった。が、結果的にとても面白く読めた。著者は岩波ジュニア新書の『砂糖の世界史』という本の著者らしく、この本は読んだことがないけれど、うちの学校の複数の歴史の先生がおすすめしていた本でいつか読んでみたいと思っていた本なので、やっぱりこの著者は歴史

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    2024年07月17日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    ウォーラスタインの世界システム論をベースに15世紀以降の世界史、資本主義史を読み解いていく。

    どこまでがウォーラスタインの議論で、どこからが著者の見解なのか、境目がわかりにくい気がするが、一般の読者を対象とした入門なので、そのあたりまで知りたければ、専門書か、ウォーラスタイン本人の本を読めばいいということかな?

    世界システム論を最初に知ったときには、すごく面白いと思ったのだけど、あまりにもマクロなアプローチで各論、具体論に入ると、だんだん怪しげになっていくところがあって、興味は薄れていった。

    が、個別テーマの本をある程度読んだ今となると、もう一度、このマクロ的な議論がとても大事なものに思

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    2024年06月28日
  • 史的システムとしての資本主義

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    資本主義に限らず、「史的システム」はその内部に矛盾を抱えている。資本主義における矛盾とは、平等性と不平等性(普遍主義と人種/性差別、富と搾取の増大など)である。
    史的システムとしての資本主義は16世紀の西ヨーロッパに端を発し、現代に至るまで500年ほど存続してきた安定的なシステムであったが、その拡大と維持に必要である、新たな周辺(搾取対象)の供給に陰りが見えており、緩やかな崩壊が始まっているように思われる。
    次を担う史的システムの詳細を予見することは不可能に近いが、幾つかの粗いシナリオを準備しておくことは可能であろう。

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    2024年02月12日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    ウォーラステインが提唱した「世界システム論」という史観概念について解説されている。
    世界システム論とは、歴史を国単位で捉えて、諸国が互いに不干渉な状況であるセパレートコース上での競争をおこなっているとする「単線的発展段階論」へのアンチテーゼとして生まれた。
    つまり、勤勉国家が「先進国」、怠け者国家が「後進国」になっているとするのではなく、「中核国」が「周辺国」から収奪したために、「先進国」と「後進国」が生まれたというように、国単位ではなく、世界を一つの単位/構造体として捉え、構造体内の相互作用において全体の状況が作り出されているという考え方である。
    近代初期においては、世界における西ヨーロッパ

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    2024年02月03日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    近代世界史がなぜヨーロッパを中心に展開していくことになったのか、それは世界は個別の主体(国家)による自由競争なのではなく総体として捉えるべきシステムであるから、という世界システム論で捉える本。元々は口頭の講義なのかとても読みやすいです。この書籍以降のアフリカ・中東の紛争と難民、欧米のナショナリズムの状況だったり、中国の台頭、あるいは気候変動問題なども地球規模の相互作用の中で捉えるという意味では今では当たり前の話ではありますね。それでもヘゲモニー国家の変遷と各国の文化の成立要因が連動しているところなんかはなるほど、と面白かった

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    2022年12月04日
  • 世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界

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    感想
    西洋の世界観の下に地球が一つのシステムにまとめ上げられる。ITCによって加速しているが、ローカルな動きも見られる現代。統一には限界があるか。

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    2022年08月17日
  • イギリス近代史講義

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    15世紀〜18世紀のイギリス近代史の概観について、語り口調で著している。
    歴史的な事実よりも「都市の成立とファッションの関連性」「産業革命がイギリスから始まった要因」などの「なぜ?」を考える内容である。
    自分の英国史に関する知識が乏しく、消化不良感があった。いつかもう一度読み直したい。

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    2022年04月30日
  • 8050問題の深層 「限界家族」をどう救うか

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    働かないとかいうのではなく給料が低く、半ばパラサイト中の子供たちが心配で読んだ。
    自立できない状況に親が死んだら心配だ。
    行政とかボランティアとかの網にひっかかるか、
    その状況を鑑みても心配はなくならなかった。
    参考にはなった。

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    2022年04月27日
  • 8050問題の深層 「限界家族」をどう救うか

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    社会と繋がりが浅く、かつ自立に限界が来てはじめて「申請」にたどりつく。
    そういう社会システムなんだよなぁ、結局。何重にもセーフティネットがあるから、アメリカとかイギリスみたいに路上生活者にはならないだけなんだね。
    一方で、機会さえ与えられば生活をよくできる人たちもかなり居るわけで、そういうのは逃さない世の中になってほしい。申請ありきじゃなくて。
    地域包括ケアの役割が重たすぎると思いつつも、そう願わざるを得ない。

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    2022年01月30日
  • 8050問題の深層 「限界家族」をどう救うか

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    ネタバレ

    これまで福祉に関わることが無かったため、引き込もりに対する知識はなかったが、具体的な事例も含めて、わかりやすく説明されてる。
     重要なのは
     ・家族で抱え込まないこと:行政の支援は整っている。対応する側は当たり外れ
                  があるが、ありえないところまで支援している印象も 
                  受ける。
     ・早いうちに手を打つこと:長期化すると対応が困難に。本人も社会復帰が
                  できない。
    具体例のなかで、引きこもりから社会復帰された事例は上記の対応を取っていることが興味深い。
     

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    2021年12月04日