川北稔のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この世界はどのようにして成立したのか、その中でなぜヨーロッパが世界の中心となったのか、なぜその逆(アフリカや南米が先進国で欧米が発展途上国である世界)にならなかったのか、南北の差はなぜ生まれたのか、というのがこの本の議題で、議題自体は名著「銃・病原菌・鉄」と同様のものだと思います。ただ、「銃・病原菌・鉄」は人類の文明が始まる昔まで遡ってこの議題に挑んでいる一方で、この「世界システム論講義」は主に15世紀以降の世界の経済の動きに焦点を合わせている点が違うと感じました。250ページ程の文庫本なのに1,100円もして高かったけど、それに見合う内容だったと個人的には満足しました。この本を「銃・病原菌・
-
Posted by ブクログ
英国近代史を経済システムや内的発展の観点から描く。19世紀に世界を網羅する帝国を築いた同国の歴史は、議会政治とかインド制服とか、政治・外交史の観点から描かれることが多いけれども、帝国を形成するに至った内的活力に目を向ける本書は、どうやら著者の講義を書き起こしたものであるらしい。
ポイントの一つは、近代化とは都市化であるという着眼。交易都市や城塞都市としての性格が強かった中世都市に対し、近代都市では農村から都市への人の集中が起こり、産業的にも文化的にも、都市において近代が形成される。
次に、イギリスにとって切って離せないジェントルマンの存在。労働に従事しないのがジェントルマンであり、地主階級 -
Posted by ブクログ
世界史の流れを、「国家」という単位ではなく、「世界」全体で見つめ直すべきだ、ということを様々な角度から講釈してくれている本。
この本が示そうとする事柄は、次の文に端的に表現されている、と思っています。
p26「近代の世界は1つのまとまったシステム(構造体)をなしているので、歴史は「国」を単位として動くのではない。すべての国の動向は、「一体としての世界」つまり世界システムの動きの一部でしかない。「イギリスは進んでいるが、インドは遅れている」などということはなく、世界の時計は一つである。現在のイギリスは、現在のインドと同じ時を共有している。両者の歴史は、セパレート・コースをたどってきたのではな -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容説明
大英帝国の興亡から現代日本を考える。
世界システム論、生活史を切り拓いた西洋史の泰斗による画期的入門書。
高齢者問題、「外見」の重視、昼寝よりも残業という心性―。
拡大する世界システム下、イギリス民衆の日常生活を描く。
目次
プロローグ 歴史学は終わったのか
第1章 都市の生活文化はいかにして成立したか―歴史の見方
第2章 「成長パラノイア」の起源
第3章 ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス
第4章 世界で最初の工業化―なぜイギリスが最初だったのか
第5章 イギリス衰退論争―陽はまた昇ったのか
エピローグ 近代世界の歴史像 -
Posted by ブクログ
世界で最初の産業革命が起こり「世界の工場」と言われたイギリス。
その後、途中に二度の大戦を挟みながらアメリカやドイツでも発生した産業革命は、近代史の基盤とも言えるキーワード。
そもそも産業革命はなぜイギリスで最初に発生したのか。
広大な植民地で築かれた経済の仕組み?
伝統的な議会政治の体制?
はたまた国民の気質や習俗、風土によるもの?
近代国家の発展について、イギリスの経済成長に焦点を当てて政治、経済、文化など多様な観点から考察する。
と、言ってもそれほど堅苦しいものではなく。
特に前半はイギリスの文化的側面、庶民の生活や価値観に基づいて語られる部分が多く、17世紀くらいのイギリスの生活って -
Posted by ブクログ
講演録のような記述スタイルなので、肩が凝らずに読むことができました。
さて、著者はウォーラースティンの世界システム論を下敷きにしながら、イギリスの近代史を俯瞰していきます。「なぜ世界で最初にイギリスが産業革命を成し得たのか」「なぜイギリスは衰退したのか」等々。
私が興味深かったのは、「そもそも衰退とは何か」という著者の問題設定です。「衰退」について語るためには、「成長」とは何かを語らねばなりませんから。
私たち日本人も、「どうやら日本は衰退しているのではないか」との漠然とした不安につきまとわれています。それは第二次世界大戦後のイギリス人たちが感じた不安感と同じなのでしょう。イギリス人がそ