川北稔のレビュー一覧
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世界で最初の産業革命が起こり「世界の工場」と言われたイギリス。
その後、途中に二度の大戦を挟みながらアメリカやドイツでも発生した産業革命は、近代史の基盤とも言えるキーワード。
そもそも産業革命はなぜイギリスで最初に発生したのか。
広大な植民地で築かれた経済の仕組み?
伝統的な議会政治の体制?
はたまた国民の気質や習俗、風土によるもの?
近代国家の発展について、イギリスの経済成長に焦点を当てて政治、経済、文化など多様な観点から考察する。
と、言ってもそれほど堅苦しいものではなく。
特に前半はイギリスの文化的側面、庶民の生活や価値観に基づいて語られる部分が多く、17世紀くらいのイギリスの生活って -
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講演録のような記述スタイルなので、肩が凝らずに読むことができました。
さて、著者はウォーラースティンの世界システム論を下敷きにしながら、イギリスの近代史を俯瞰していきます。「なぜ世界で最初にイギリスが産業革命を成し得たのか」「なぜイギリスは衰退したのか」等々。
私が興味深かったのは、「そもそも衰退とは何か」という著者の問題設定です。「衰退」について語るためには、「成長」とは何かを語らねばなりませんから。
私たち日本人も、「どうやら日本は衰退しているのではないか」との漠然とした不安につきまとわれています。それは第二次世界大戦後のイギリス人たちが感じた不安感と同じなのでしょう。イギリス人がそ -
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近年なにかと「敬遠の対象」や「背徳感とともにあるもの」として取り扱われている砂糖。なんか文明が発達し過ぎてもろくなことないなと思ってこの本を手に取った。
富と権力の象徴、祝福の象徴。薬、栄養源。砂糖が担ってきた役割はたくさんある。
イスラム教の断食中における「摂取の対象」についてのレギュレーション設定はめちゃくちゃ面白かった。笑っちゃいけないのかもしれないけど、どこまでも人間過ぎる。理屈をこねることが実益に通じるならそりゃこねるよなと思うなどした。
「砂糖のあるところに奴隷あり」という言葉は、歴史の授業かなんかで聞いたことがあった。モノカルチャー経済の犠牲者として、一次産品に依存した国の -
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ロンドンになぜ人が流れ込んだのか、そしてなぜスラム街が形成されたのか。それは従来考えられていた産業革命による貧富の差が原因ではない。都市に集まった多様な人々が安価に身を着飾ざれるための服飾製造のための出来高払いの賃労働に従事する女性と外国からもたらされる様々な物資の集積する港湾のポーターとなる男性がスラムの住人。つまり、スラムは工業化の産物にあらず。消費都市やその週辺、港湾などでポーターなど非熟練のてっとり早いその日限りの仕事の生まれる所で成立した。
工業化→大規模工場、機械化→労働者の搾取→貧富の差→スラムの形成という単純なステレオタイプ的な理解の再考。
一方、パリでは19世紀に形成された大 -
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ちくま学芸文庫
川北稔 世界システム論講義
世界システム論の本
南北問題やヘゲモニー国家の変遷については 資本主義論と重複しているため、世界システム論の必要性が理解できなかったが
奴隷貿易や奴隷制プランテーションにより イギリス産業革命が起きたとする ウィリアムズテーゼの論証は わかりやすかった
「だれがアメリカをつくったのか」の論考に驚いた〜植民地時代にアメリカに渡ったイギリス人は、年季奉公人(期限付き白人債務奴隷)、死刑を逃れた犯罪者、失業者とのこと
「世界システム論〜近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史を有機体の展開過程として捉える見方」
南