川北稔のレビュー一覧
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世界史の流れを、「国家」という単位ではなく、「世界」全体で見つめ直すべきだ、ということを様々な角度から講釈してくれている本。
この本が示そうとする事柄は、次の文に端的に表現されている、と思っています。
p26「近代の世界は1つのまとまったシステム(構造体)をなしているので、歴史は「国」を単位として動くのではない。すべての国の動向は、「一体としての世界」つまり世界システムの動きの一部でしかない。「イギリスは進んでいるが、インドは遅れている」などということはなく、世界の時計は一つである。現在のイギリスは、現在のインドと同じ時を共有している。両者の歴史は、セパレート・コースをたどってきたのではなく、単一のコースを押し合い、へし合いしながら進んできたのであり、いまもそうしているのである。いいかえると、「イギリスは、工業化されたが、インドはされなかった」のではなく、「イギリスが工業化したために、その影響を受けたインドは容易に工業化できなくなった」のである。
過去500年間にわたって、ヨーロッパからスタートした「近代世界システム」が、どのような流れで世界を飲み込んでいったのか、それぞれのポイントにおける解説がなされています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容説明
大英帝国の興亡から現代日本を考える。
世界システム論、生活史を切り拓いた西洋史の泰斗による画期的入門書。
高齢者問題、「外見」の重視、昼寝よりも残業という心性―。
拡大する世界システム下、イギリス民衆の日常生活を描く。
目次
プロローグ 歴史学は終わったのか
第1章 都市の生活文化はいかにして成立したか―歴史の見方
第2章 「成長パラノイア」の起源
第3章 ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス
第4章 世界で最初の工業化―なぜイギリスが最初だったのか
第5章 イギリス衰退論争―陽はまた昇ったのか
エピローグ 近代世界の歴史像 -
Posted by ブクログ
世界で最初の産業革命が起こり「世界の工場」と言われたイギリス。
その後、途中に二度の大戦を挟みながらアメリカやドイツでも発生した産業革命は、近代史の基盤とも言えるキーワード。
そもそも産業革命はなぜイギリスで最初に発生したのか。
広大な植民地で築かれた経済の仕組み?
伝統的な議会政治の体制?
はたまた国民の気質や習俗、風土によるもの?
近代国家の発展について、イギリスの経済成長に焦点を当てて政治、経済、文化など多様な観点から考察する。
と、言ってもそれほど堅苦しいものではなく。
特に前半はイギリスの文化的側面、庶民の生活や価値観に基づいて語られる部分が多く、17世紀くらいのイギリスの生活ってどんなだったの、という好奇心だけで読んでも面白いです。 -
Posted by ブクログ
講演録のような記述スタイルなので、肩が凝らずに読むことができました。
さて、著者はウォーラースティンの世界システム論を下敷きにしながら、イギリスの近代史を俯瞰していきます。「なぜ世界で最初にイギリスが産業革命を成し得たのか」「なぜイギリスは衰退したのか」等々。
私が興味深かったのは、「そもそも衰退とは何か」という著者の問題設定です。「衰退」について語るためには、「成長」とは何かを語らねばなりませんから。
私たち日本人も、「どうやら日本は衰退しているのではないか」との漠然とした不安につきまとわれています。それは第二次世界大戦後のイギリス人たちが感じた不安感と同じなのでしょう。イギリス人がその不安にどう立ち向かっていったか、その不安にどう迎合していったか。それらを知ることは、私たちにとって決して無益ではありません。 -
Posted by ブクログ
砂糖と奴隷貿易の関係から始まり、砂糖の話というより、奴隷貿易の話が印象に残る内容だった。
奴隷貿易と関わりの大きい作物として「茶・コーヒー・チョコレート」があるが、これらを砂糖と結び付けて論じられている。
歴史家のエリック・ウィリアムズが「砂糖のあるところに奴隷あり」と言ったというが、この言葉がそれを端的に物語っている。
砂糖の話だけでは語れない内容だったかもしれないが、「茶・コーヒー・チョコレート」の話は、少し逸脱感を感じた。
しかし、エピローグで、「モノをつうじてみる世界史」とある通り、確かに時系列で歴史を見るより、モノを通して見た方が何倍も面白いのではないかと思う。