【感想・ネタバレ】砂糖の世界史のレビュー

あらすじ

茶や綿織物とならぶ「世界商品」砂糖。この、甘くて白くて誰もが好むひとつのモノにスポットをあて、近代以降の世界史の流れをダイナミックに描く。大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命―教科書に出てくる用語が相互につながって、いきいきと動き出すかのよう。世界史Aを学ぶ人は必読!

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Posted by ブクログ

モノ1つを選んでここまで世界の流れを理解できるとは思わなかった。ヨーロッパの人々と砂糖の出会い、砂糖を中心とした大西洋三角貿易、アフリカ人の移動と奴隷制度の廃止などなど、砂糖を中心にして世界が動くことに衝撃を受け、また、世界商品が世界に与える影響の大きさにも驚いた。
砂糖を通してピューリタン革命から産業革命までのイギリスの近世から近代史について大まかに知ることができた。脳内にある順序がばらばらだった出来事たちが水の流れのようにひとまとめになって前後関係が理解できたのはこの本の大きなメリットだと思う。
ほかの岩波ジュニア文庫にも挑戦したい。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

コーヒーが好きなんです。もう10年以上前ですかね、優待でコーヒーの豆がもらえるというんで某株を1000株買ったところ、あんまり飲まない紅茶までずいぶんときちゃって、1年後もぜんぜん飲まないまままた紅茶きちゃって、これは無駄になっちゃうなと思って500株売ってコーヒーだけもらうことにしたんだけれど、ここ数年の世界的なコーヒーの暴騰によって株価5倍になっちゃった。配当金も数倍。そう思うと500株売ったのが悔やまれる! なんて暇はなくって、コーヒーが暴騰しているんだから砂糖も上がるんじゃ? ってことで安かった砂糖の某社株1000株を購入。目論見通りこれまた3倍になってニンマリ。

そういうタイミングでこれ。マジかぁ! まぁ砂糖がテーマの本だからってことはおいといても砂糖が世界を動かしてきたんじゃ? って思えるくらいに砂糖LOVEの本でした。そこに付随してくるのが紅茶でありコーヒーであると。うむ。ほとんど30年前の本なので今や「砂糖は敵だ!」みたいな風潮もあるけれど、あたしは逆に「人工甘味料こそが悪であり砂糖は体にとって必要だ!」と思っているんでコーヒー株も砂糖株も10倍を目指します! 

ってどんな感想だ?

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

コンパクトながら興味深い内容で読み応えがある。バルバトスやタヒチを代表とするカリブ海の奴隷の歴史は恥かしながらあまり知らなかった。このような本を読むと、現在を理解するにはいかに歴史を知っておく事が必要か思い知らされる。イギリスを中心とした西洋人の欲による奴隷貿易が歴史上存在しなければ、モノカルチャー経済国が人口的に作らなければ、インド、アジア南米諸国は発展途上国にならずに済んでいたかも。現在のイギリス、フランスが抱えている移民問題や、西洋先進諸国の肥満問題などもこれらの行為のツケのようなものでしょうか。西洋の先進国が未だにモノを作らず、楽をして富を得ようとしている限り解決策は難しいのでは。日本は豊かな国であると同時に、自国で勤勉にモノづくりを昔からしてきた、日本の文化であり食生活であるお茶も自国で作ってきた、故に今の日本がある。自国でお茶も砂糖も生産せずに砂糖入りミルクティーはイギリスが産んだ文化であるというのはおかしな話である。イギリスの紅茶文化は、紅茶が好きだからではなく、奴隷に作らせたモノを、高級なティーカップで仕事もせずに午後にゆっくり頂くというハイソサエティなステータス文化が好きなだけという事。イギリスが占領していた奴隷地域ではコーヒー豆の栽培が出来なかったが紅茶は栽培出来たというだけ。砂糖の歴史だけに限らず、紅茶、コーヒー、チョコレートの歴史と現在のグローバル問題を色々考えてさせられる良い本でした。おすすめしてくださった方に感謝。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

砂糖を軸に、世界はどのような流れで近代へ至ったか、その時その時の人々の暮らしはどのようなものであったかを解説する。
岩波ジュニア新書の中でも屈指の名著として名高い一冊。

ウォーラーステインの世界システム論とはこういうものであったのだなと読みやすい文章で知ることができた。
私は日本史を選択したので世界史は疎いのだが、そんな私でも今の階級・格差多きグローバリズムがどのように構築されてきたのか、実に興味深く読んだ。

かの高名な、港に紅茶を投げ入れる「ボストン茶会事件」が出て来た時には若干興奮。点と点が繋がって、線になる快感。年代や人名を覚えるだけが歴史じゃないのだ。
ダレることなく一気読み。
ジュニア新書なのに大人が読み込める深い本だった。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

砂糖の歴史を辿ることで、世界全体が見えてきて、とても読み応えのある本だった。後半はどうにも我慢出来なくなり、砂糖入り紅茶を飲みながら当時の人々の生活や感情に思いを馳せた。いつの時代も人間は私利私欲に塗れているんだなぁと思いつつ、その強欲さと奴隷たちの犠牲があったからこそ、今では簡単に砂糖もお茶も気軽に手に入れられるのかと思うと少し複雑な気持ちになった。

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

途中からイギリス在住友人のお土産紅茶に砂糖をたっぷり入れて読んだ。でも良く考えたら我が家の砂糖はきびではなく、ビートだった。。奴隷貿易、産業革命、アフリカ、カリブの島々、世界も歴史も全て繋がっている。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

砂糖が世界史においてどのように扱われ、時代の裏でどのような意味を持つのかを分かりやすく書かれていた。やはり、プランテーションや黒人奴隷は切り離せない内容になる。一方、近代になると生産が増え労働者階級にも普及するとコーヒーショップなど新たな文化生成の一役を担った事も興味深い。

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2025年09月30日

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奴隷貿易、プランテーション、三角貿易、産業革命、モノカルチャーetc。
これまで断片的にしか知らなかったキーワードが一つのまとまりとなってつながっていく様にページをめくる手がとまりませんでした。

食卓に当たり前のようにある砂糖には長く過酷な歴史が流れていることを知れたのはとてもよかったです。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

普段何気なく口にしている嗜好品が、どれほど大きな歴史の流れと結びついているかを実感した。
コーヒー、紅茶、砂糖、チョコレート――これらはいずれも大航海時代以降、ヨーロッパがアメリカ大陸を「発見」し、プランテーションによって大量生産されることで広まった。

印象的だったのは、紅茶に砂糖を入れるという文化の始まりである。当初は、上流階級が高級品同士を組み合わせることで自らの地位を誇示する一種のステータス表現であった。ところがそれが次第に庶民へと広がり、やがて労働と密接に関わる飲み物へと変わっていったという点に、歴史のダイナミズムを感じた。

砂糖を入れたコーヒーや紅茶は、ただの嗜好品ではなく、近代社会において時間に縛られた生活や勤勉な労働を支える「燃料」としての役割を果たした。甘味がもたらすエネルギーと、カフェインによる覚醒作用は、産業革命以降の労働社会にぴたりと適合したのである。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

農作物の砂糖を軸にした近代世界史

歴史について興味深く勉強できるのはもちろん、各国の状況や文化的な背景、それらの変遷もより身近に感じるように知ることができ、そして、枠組を変えた視点の組立方で、世の中の解像度が上がるということを目の当たりにできる。

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2025年09月08日

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『図説世界の歴史 6』に続けて読んだのでいい流れで入ってきた。各項の冒頭で都度驚きを与えてくれる。もっと早くに読んでおけばよかった。すばらしい。

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2025年08月07日

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砂糖から見た世界史を書いてます。
今はダイエットの敵とか体に悪い代名詞のような砂糖ですが昔は栄養失調の人から見たら簡単にカロリーが得られる砂糖は医薬品としての地位があったそうな。
なるほどなぁと。
ただ劣悪な環境で育つサトウキビを栽培するためにアフリカから奴隷を連れてきて働かせて砂糖を作っていたと。
は砂糖は体に悪いのでできるだけ控えるようにするのが常識ですが過去にそういう経緯があったものとして知らないといけないなと思いました。
チョコレートも今は固形の者が多いですが最初は飲み物だったそうです。
それがだんだん変化してココアになり固形のチョコレートになったらしい。
カカオも昔は貴重だったので飲み物として出てたらしいです。
砂糖のある場所に奴隷ありという格言もあったそうですがこの本を読むとなるほどなぁと納得です。
今は簡単に砂糖が取れるようになり健康被害も出てきてるので控えるべきですがこういう歴史があるとは勉強になりました。
現在は何でも簡単に手に入る時代ですが何事も歴史を知るべきなのかなと思いながらこの本を読んでました。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

神聖な薬が台所に並ぶまでの人類狂想曲


砂糖の歴史を語ることは、奴隷の歴史を語ること、ヨーロッパの戦争を語ること、アメリカの歴史を語ること、産業革命以後の近代化した生活を語ること。 

ファストフード店でこの本を読んでいる時、本から目線を落とすと、そこにはコーヒーの入ったカップと横たわる白い紙製の筒がありました。無論それはスティックシュガーの包み紙であって、『砂糖の世界史』なんて本を読みながら、ごく自然に砂糖いりコーヒーを口に運んでいるわけです。普段なら何気ない日常の行為がなんだか不思議な行為に思えてくるような、いい読書体験になりました。日常に対して「これは当たり前じゃないのかも」という視点を与えてくれる本は、いい本です。ちなみにコーヒーも砂糖同様、プランテーションで大量生産され世界中に伝播した嗜好品であって、今では当たり前のこのコンビが、歴史上重要な出会いだったという発見もありました。

好みもありますが、人という生き物は甘い物にひきつけられます。ひきつけられるがあまり飽食の現代では「健康の敵」とされるほどですが、遠い昔の原始時代、人類が弱肉強食の世界をサバイブするためには、カロリー摂取が命綱であって、生きるエネルギーの源泉として糖分を欲するようにあり、ながいながい歴史のなかで甘い物を摂取したいという欲求が本能に刻まれたという説があります。

砂糖の原料・サトウキビの発祥はニューギニアあたりからインドにわたり、東南アジアへ広がったと言われています(この本ではインド説を取っています)。その後ペルシャ、地中海へ伝わり、ヨーロッパの知るところになったとのこと。糖分によるエネルギー補給という側面から最初は薬として珍重されたほか、砂糖の純白さが高潔で神秘的だったことから、宗教的な甘露として人々を強く惹きつけたとこの本にはあります。

中世ヨーロッパにおいて砂糖は貴族や上級階級民だけの薬品、飾りもの、食品、ステータスシンボルだったのが、17世紀に普及した茶やコーヒーとドッキングすることで、イギリスの紅茶文化のおこりとともに爆発的に波及した。イギリスでは葉っぱ一枚とれないにも関わらず、紅茶といえば英国となったという珍奇な現象もこれが起因だそうで。そもそも紅茶に砂糖を入れる行為が、高級品に高級品を掛け合わせるというイギリス成金趣味のお戯れだったとは驚きです。そうか、中国茶には砂糖なんていれないもんなと納得しました。17世紀イギリスのコーヒーハウスやフランスのカフェには科学、経済、文学、政治などの情報が集中し、そこから現在でも続く大企業や組織、サロン、政党などが生まれたという、文化への影響も砂糖にはあります。

砂糖という世界的な重要がある商品を大量に供給するために生まれた「三角貿易」にも分かりやすく触れています。ヨーロッパ列強国は新大陸アメリカに砂糖、コーヒー、カカオなどの大規模農場を開き、収穫した作物で莫大な利益を上げます。その農場ではアフリカから買った大量の奴隷を働かせます。アフリカの奴隷商人へは代わりに武器や工業製品を送ったという、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを結ぶ三角形の人や物の流れが三角貿易です。資本力をもったヨーロッパ人、強制的に農業に従事させられた奴隷、ヨーロッパからアメリカに移住し奴隷をつかった白人、さまざまな人間模様があります。人類の狂騒の俗物的で非人道な残酷な一面でしょう。この本では語られませんが、アメリカ大陸の歴史においてはヨーロッパからの侵略による先住民の迫害という側面もあります。アメリカというまだ誰の手もついてない大きな可能性を秘めた大陸にむらがるヨーロッパの強欲さたるや、、、

また産業革命も、砂糖の舞台が成金のステータスから一般家庭の卓上へと移る大きな理由であったとのこと。昔は農家も大工も料理人も、ぜんぶ自分だったものが、産業革命以降は効率が求められ、それぞれが家のそとに仕事を持ち、分業化され効率化されたという今の働き方のスタイルができたのです。働き方だけでなく栄養の取り方、時間の管理もそれまでとは変わってしまいました。それが砂糖入りの紅茶とオートミールという、湯さえ沸かせば味はともかく簡単にカロリーがとれて労働に励めるという、悪名高いイギリス朝食がスタイル化する原因となったというのも驚きです。

今の世の中は三角貿易以上に複雑な国交が行われています。そのむかし島国として海に護られていた日本も、いま世界のなかでどう動くかが問われています。世界貿易が当たり前になって以降、世界各国の動きを勘定に入れないわけにいきません。日本のメーカーが、A国で採れた原料で、B国の工場で組み立てられたものを日本市場で売って、それをC国の観光客が爆買いするのが当たり前の光景なのです。
(余談:日本こそが世界のすべてであった頃、日本人が日本の外に他の国があるって知らなかった頃の感覚ってどんなだろう。私の友達のおばあちゃんは、合格した高知大学を蹴ってよりレベルの高い大学を目指すために浪人する孫を叱り飛ばしたらしい。高知から出たことがないおばあちゃんは高知大学こそがもっとも誉高い大学だと思っていて、それ以上に偏差値の高い大学を知らなかったのです)

また現在の日本への共通点で言うなら、食糧政策にもこの本は言及しています。ヨーロッパの穀物の値段が、農家のために値下がりを防いでいたのが、労働者にやすくカロリーを与えるために、今度は逆に値上がりを防ぐようになっていった事例を取り上げていて、生産者を守るか消費者を守るかという問題は今の日本のコメ問題ともぴったり重なります。

日本の物価高騰が現在、深刻な状況であることは身にしみて感じてはいますが、安さだけを追い求めるのではなく、財布と相談しながらもフェアトレード商品や農家直売など、そういったマーケットに触れてみることも大事だと思います。むずかしいことですけどね。

三角貿易もそうですが、人間の恐ろしいまでの欲深さにふれるたび、極端な意見ですが「”ぜいたくは敵”ってのは、一周まわって正しいかも」とか思っちゃいましたね。もっと贅沢したい、もっと豊かになりたいという一部の上級階級によって世界がかき回されてるような気持ち。人間という生き物の根本的な欲深さを、もっと自覚しなきゃいけないんじゃないか、そう思います。

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2025年12月22日

Posted by ブクログ

砂糖という「世界商品」にスポットをあて、その生産から消費拡大までの歴史をグローバル視点で理解できる。

生産にはプランテーションにおける過酷な奴隷労働が欠かせず、しかしその一方ではイギリスの上流階級では砂糖がステータスとして消費されていた。
そして徐々に生産が拡大するにつれ大衆にも広まっていき、それらと同時に拡大したお茶と合わせて紅茶が嗜まれるようになった。

そんな砂糖の歴史が分かりやすく丁寧に説明されていて非常に勉強になったし、多くの黒人奴隷の犠牲のもとにいまの状況があると思うと感慨深い。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

歴史を学ぶということは今私たちの生きている世界がどのようにしてこんにちの姿になってきたのかを身近なところから考えてみること。

世界史はとってなくて、その理由に名前や地名を覚えるのが苦手だからというのがあったが、もっと前にこの本に出会っていれば世界史をとっていただろうなと思う。

中高で習った用語がたくさん出てきて、当時は用語だけを覚えることを意識してたけれど内容も理解できて楽しかった。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

点と点で覚えていた世界史が砂糖という一つのモノを通して見ることで線で繋がったような感覚になりました。
国ごとや年代ごとだけで歴史を見るのではなく、こうしてモノを通して見ることも大切なのだと感じ、もっと歴史について学びたいと思いました。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

世界商品(世界で広く流通している)の砂糖から見るヨーロッパ(主にイギリス)の近代史。自国のために、砂糖のプランテーションを作り、奴隷を買う。元々は貴族しか口にできなかったものが、歴史と共に庶民も口にするようになる。砂糖を作ることができないイギリスがなぜこんなに砂糖を欲しがったのか、その背景と共に学ぶことができて面白かった。

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2025年11月24日

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砂糖を軸に世界史を。分かりやすく、世界の変遷を描いていた。コーヒーハウスのくだりがおもしろかった。砂糖と紅茶は、贅沢と贅沢のかけあわせなどもおろしろかった。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

焦点を砂糖に絞っているので歴史の縦軸がスッキリ理解できた。そして縦軸が明確なだけ、横軸をノイズなく俯瞰できる。皆さんがお勧めするだけある。
 言葉だけ覚えていたボストン茶会事件の原因が深く理解できたのがアハ体験だった。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

良い!
閉所恐怖症で船酔いする自分は、本などで奴隷貿易の話が出てくる度、ムカムカどんよりする。
幸せの象徴のようなスイーツに欠かせない砂糖が、そのような犠牲の上に世界中に広かったのかと思うと悲しい。
良い本なので、みんな一度は読んで欲しいね。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

古くはイスラームから伝来したとされるサトウキビ。大航海時代を経てヨーロッパ諸国は、カリブ海を中心にサトウキビのプランテーションを展開する。その労働力として酷使されたのは先住民やアフリカから連れてこられた黒人だった。
当初砂糖はその希少性から薬や装飾に用いられるなど、ステータスシンボルとしての側面が強かった。その後大西洋貿易により大量にヨーロッパへと流入するようになると、東方からの茶と合わせて庶民階級にまで広く浸透していく。このように、砂糖や茶は西欧を中心とする近代世界システムを循環する主要な世界商品となった。だが、「砂糖あるところに奴隷あり」と言われたように、砂糖の生産と奴隷制度との間には切っても切れない関係があり、カリブ海地域などをモノカルチャー経済に陥らせ、それが今日までの問題に繋がっている。重要な労働力を奴隷として徴発されてしまったアフリカ大陸にも、同様のことが言える。
サトウキビの生産は日本でも沖縄や奄美大島で見られ、その地を支配した薩摩藩が諸藩の中でも有力になる背景となった。
砂糖に限らずモノに着目して世界を眺めることは、現代の諸問題を理解するうえで非常に重要なことだと思う。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

これぞ、世界史の入門書!!
一見すると「砂糖?」と成りがちなタイトルですが、実は深く世界史に関わっていることが本書を読めばわかります。世界史は数珠繋ぎで繋がっているといいますが、まさにそのとおりです。是非、世界史をマスターするためにも読んでください。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

砂糖を通じて世界史を眺める
そうするとあの出来事はそういうことだったのかとか今こうなっているのはこんなことがあったからか、と腑に落ちる

あとがきですべての歴史は現代史とあったが
世界史もこんなにダイナミックに教えてくれれば面白いのに

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2025年08月10日

Posted by ブクログ

縦切りとも横切りとも言いづらい、砂糖という点をじっくり見つめて歴史を語る一冊。ジュニア新書だが、大人が読んでも十分満足できる。もう46版。名著なことを実感。

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2025年08月10日

Posted by ブクログ

「世界商品」である砂糖を巡る歴史。カリブ諸国の黒人奴隷の歴史が砂糖のせいだったとは…そして紅茶に砂糖を入れるのは「ステイタスxステイタス」だったとは…知らない歴史が満載。非常に興味深い。

しかし昔の欧州の列強達は人口分布を変えてしまう程の影響力をもっていたとは、いやはや何ともかんとも…今日の世界は欧米が作ったのは間違いない…

ジュニア新書だけあって平易で読みやすい。漢字記載でない部分もありちょっと幼い笑

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

もともと、ガーナにカカオはなかったし、スリランカに茶はなかった、という衝撃の事実。「世界はひとつ」というと聞こえはいいけど、無理矢理くっつけられるのは嫌だなあ。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

一粒の甘さが世界を動かした。人類の欲望がいかに歴史を変えたかを描く。砂糖はかつて貴族のぜいたく品であり大航海時代には植民地と奴隷貿易を生んだ。甘味の陰に苦い現実があったのだ。やがて大量生産が進み庶民の食卓に並ぶようになる。だが現代では健康を蝕む「白い魔薬」とも呼ばれる。砂糖は文明の鏡である。甘さに溺れるか欲望を制する節度を学ぶか――その選択が次の歴史をつくる。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

近年なにかと「敬遠の対象」や「背徳感とともにあるもの」として取り扱われている砂糖。なんか文明が発達し過ぎてもろくなことないなと思ってこの本を手に取った。

富と権力の象徴、祝福の象徴。薬、栄養源。砂糖が担ってきた役割はたくさんある。

イスラム教の断食中における「摂取の対象」についてのレギュレーション設定はめちゃくちゃ面白かった。笑っちゃいけないのかもしれないけど、どこまでも人間過ぎる。理屈をこねることが実益に通じるならそりゃこねるよなと思うなどした。

「砂糖のあるところに奴隷あり」という言葉は、歴史の授業かなんかで聞いたことがあった。モノカルチャー経済の犠牲者として、一次産品に依存した国の「民」がある。

国は短期的には潤う(食べていける)が、成長の幅は大きくできない。ある種のインフラを担うことでの提供責務と共に生きていくことになる。

誰が可哀想とか誰が悪いとか、そういうことを語っても語った先の未来がよくなることはあまりない。ただ、歴史を振り返って知って理解することは本当に大事だと思う。

砂糖かどうかはどうでもよくて。たまたま砂糖きっかけでこういった歴史を振り返ることができてよかった。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

砂糖は塩などに比べると近代的な食料だということがわかる。何よりも人間の欲望が世界を動かしてきた様子がわかっておもしろい。

日本や他国の途上国支援ってずっと続いている気がするけど、モノカルチャーから脱出して産業化に成功してる国や事例はあるのかな?調べてみたくなった。

今だと石油とかエネルギー、半導体、水などのモノから世界を見てみるのが面白そうだと思った。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

砂糖が現代の社会システムを構築した、と言っても過言ではないことが本書から伝わる。
奴隷貿易で暗躍した砂糖、ステータスシンボルとしての砂糖、労働者の糧であった砂糖。
いずれも表層の世界史しか学んでこなかった私には驚きの砂糖の素顔であった。
君のよく知る砂糖について、君の知らない冒険がそこにある。

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2025年08月01日

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