あらすじ
茶や綿織物とならぶ「世界商品」砂糖。この、甘くて白くて誰もが好むひとつのモノにスポットをあて、近代以降の世界史の流れをダイナミックに描く。大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命―教科書に出てくる用語が相互につながって、いきいきと動き出すかのよう。世界史Aを学ぶ人は必読!
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Posted by ブクログ
砂糖を取り巻く世界の動きがこんなにドラマティックだったとは。
「世界商品」である砂糖の覇権争い、プランテーションを支えるための奴隷貿易、ヨーロッパとアフリカとカリブ海をつなぐ三角貿易、お茶と砂糖のマリアージュ、イギリスで紅茶の文化が根付いた理由など。ワクワクする読書体験だった。
高校生の時に知っていたら、もっと世界史に興味を持てたのではないかなあ。
Posted by ブクログ
なんとなく存在が当たり前だと思うものにも壮絶な背景があったりします。身近なものの歴史に、改めて目を向けることは大事だと思いました。歴史と聞くととっかかりにくいかもしれませんが、ジュニア向けなので読みやすく、大人の方にもおすすめです。
Posted by ブクログ
超ベストセラーと言われているのも納得の内容。
ジュニア向けなだけあって読みやすい。
学生時代は断片的に暗記していた世界史の用語ががこの本で一気に繋がる。
用語の中に人々の生活が、奴隷の厳しい現実があることに気付かされた。
世界商品とはというところからヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸を砂糖を通して見ていく。
歴史って面白いということを改めて実感できる一冊。
もっと若い頃に読みたかった……!
Posted by ブクログ
「君たちの記念碑はどこにある?」の後に、そういえばあったな、と積読の山から出してきて読んだ一冊。岩波ジュニア新書なので、読みやすく、あっという間に読み終えた。
ぼんやりとしか知らなかった「プランテーション」「奴隷貿易」そして砂糖、お茶、コーヒーの歴史。
衝撃的な残酷さ。
資本主義というのは内因的に誰かを、何かを搾取するエンジンのようなもので、本当に轟音と共に、周辺世界を貪り食うような獰猛さで暴れ回っていたんだな。
とにかく、利益を上げるためには安い労働力を極限まで使い倒す。必要なら遠い大陸から人を誘拐して連れてきてでも。清々しいほどにシンプルなシステム。
一定の反省を経て、もう少し上品にルールを守って体裁を整えてやろう、となっていた20世紀が終わり、利益があげられなくなってきた資本家(を抱える国)が、なりふり構わず獰猛さをむき出しにしてきているのが21世紀なのだなと思う。
当時、アフリカでは自国の人々を捕まえてヨーロッパの奴隷商人に売って儲けていた者もいたという。
資源もない日本。賃金の低い日本。その割に国民負担率は高い日本。古い武器を高く買わされている日本。それを喜んでやっているように見える政治家。これ、現代の植民地の完成なのではという感想を持った。
Posted by ブクログ
世界史を砂糖という観点から紐解く非常に分かりやすくて面白い歴史書でした。
普段口にしている甘い粉がかつてはこんなに世界を大きく動かしたということが分かりやすい文体で記述されており、さくさく読めました。
Posted by ブクログ
砂糖は世界を動かした。
しかし、その裏で多くの犠牲が生まれた。
砂糖が高級品になったからだ。
ヨーロッパで需要が急増した。
その結果、大規模なプランテーションが広がった。
労働力として多くの奴隷が連れてこられた。
いわゆる三角貿易が始まった。
砂糖は「世界商品」になった。
甘さは人々に喜びを与えた。
お菓子や飲み物が広まり、生活は豊かになった。
しかし同時に、
過酷な労働が生まれた。
多くの命が奪われた。
さらに、砂糖のとりすぎは病気も増やした。
甘さは幸せの象徴に見える。
だがその裏側には、
苦しみと悪夢があった。
砂糖の歴史は、
光と影の両方を持っている。
Posted by ブクログ
テーマ史としても十分面白いが、個人的には最後のエピローグが重要だと感じた。モノを通じて見ることで、中央政治などに大きな歴史だけではなく、ミクロな単位に焦点を当てた小さな歴史を構築できる。
この視点は様々な分野に転用できる考えだと思う。
Posted by ブクログ
モノ1つを選んでここまで世界の流れを理解できるとは思わなかった。ヨーロッパの人々と砂糖の出会い、砂糖を中心とした大西洋三角貿易、アフリカ人の移動と奴隷制度の廃止などなど、砂糖を中心にして世界が動くことに衝撃を受け、また、世界商品が世界に与える影響の大きさにも驚いた。
砂糖を通してピューリタン革命から産業革命までのイギリスの近世から近代史について大まかに知ることができた。脳内にある順序がばらばらだった出来事たちが水の流れのようにひとまとめになって前後関係が理解できたのはこの本の大きなメリットだと思う。
ほかの岩波ジュニア文庫にも挑戦したい。
Posted by ブクログ
コーヒーが好きなんです。もう10年以上前ですかね、優待でコーヒーの豆がもらえるというんで某株を1000株買ったところ、あんまり飲まない紅茶までずいぶんときちゃって、1年後もぜんぜん飲まないまままた紅茶きちゃって、これは無駄になっちゃうなと思って500株売ってコーヒーだけもらうことにしたんだけれど、ここ数年の世界的なコーヒーの暴騰によって株価5倍になっちゃった。配当金も数倍。そう思うと500株売ったのが悔やまれる! なんて暇はなくって、コーヒーが暴騰しているんだから砂糖も上がるんじゃ? ってことで安かった砂糖の某社株1000株を購入。目論見通りこれまた3倍になってニンマリ。
そういうタイミングでこれ。マジかぁ! まぁ砂糖がテーマの本だからってことはおいといても砂糖が世界を動かしてきたんじゃ? って思えるくらいに砂糖LOVEの本でした。そこに付随してくるのが紅茶でありコーヒーであると。うむ。ほとんど30年前の本なので今や「砂糖は敵だ!」みたいな風潮もあるけれど、あたしは逆に「人工甘味料こそが悪であり砂糖は体にとって必要だ!」と思っているんでコーヒー株も砂糖株も10倍を目指します!
ってどんな感想だ?
Posted by ブクログ
コンパクトながら興味深い内容で読み応えがある。バルバトスやタヒチを代表とするカリブ海の奴隷の歴史は恥かしながらあまり知らなかった。このような本を読むと、現在を理解するにはいかに歴史を知っておく事が必要か思い知らされる。イギリスを中心とした西洋人の欲による奴隷貿易が歴史上存在しなければ、モノカルチャー経済国が人口的に作らなければ、インド、アジア南米諸国は発展途上国にならずに済んでいたかも。現在のイギリス、フランスが抱えている移民問題や、西洋先進諸国の肥満問題などもこれらの行為のツケのようなものでしょうか。西洋の先進国が未だにモノを作らず、楽をして富を得ようとしている限り解決策は難しいのでは。日本は豊かな国であると同時に、自国で勤勉にモノづくりを昔からしてきた、日本の文化であり食生活であるお茶も自国で作ってきた、故に今の日本がある。自国でお茶も砂糖も生産せずに砂糖入りミルクティーはイギリスが産んだ文化であるというのはおかしな話である。イギリスの紅茶文化は、紅茶が好きだからではなく、奴隷に作らせたモノを、高級なティーカップで仕事もせずに午後にゆっくり頂くというハイソサエティなステータス文化が好きなだけという事。イギリスが占領していた奴隷地域ではコーヒー豆の栽培が出来なかったが紅茶は栽培出来たというだけ。砂糖の歴史だけに限らず、紅茶、コーヒー、チョコレートの歴史と現在のグローバル問題を色々考えてさせられる良い本でした。おすすめしてくださった方に感謝。
Posted by ブクログ
"アジアの東の端で採れた茶と、西の端のカリブ海の砂糖がイギリスで出会う"
砂糖をめぐって様々な国や人の思いが交差して生まれた歴史は、未知の発見と新しい時代の成り立ちを疑似体験でき、めっちゃ面白かったです。
読みやすい語り口もジュニア新書ならではの魅力。
こういう本を読むと、昔に比べると奴隷制度はやっぱり減っているし、世界は良い方向に進んでいるじゃないかなと思います。
中学生のお子さんにおすすめしたい一冊で、歴史に興味をもつきっかけになります。
Posted by ブクログ
よくおすすめにあがってくるので読んでみた。
砂糖は自分にとって「おいしいけど健康に悪い」程度の認識だった。ところがこの本を読むと、かつては万病に効く薬であり高貴なものだったという。同じものでも時代や環境が変われば認識がここまで変わるのかと驚かされる。
あと、この本は苦々しい。
砂糖の生産には、収穫から精製までの工程に厳しい時間的制約がある。当時のヨーロッパの人々は農業中心の晴耕雨読の暮らしで、近代的な時間規律とは無縁だった。その制約を満たすために、奴隷たちが正確な時間での重労働を強いられた。そして利益はヨーロッパの側にしか流れない。タイトルの甘く楽しげな雰囲気とは裏腹に、読み進めるほど苦々しい気持ちになるギャップが不思議だった。
一方で、モノを起点にした歴史本はあまり読んだことがなく、新鮮だった。砂糖を追いかけるだけで、当時の人々の生活がリアルに浮かんでくる。砂糖と紅茶の結びつきや、言葉の由来といった雑学も随所にあり、歴史が遠い過去ではなく地続きのものだと感じさせてくれる。
現代でも、便利なモノやサービスの由来をたどれば、誰かの犠牲の上に成り立っているものがあるのだろう。仕事で原価を扱っていると数字でコストを把握した気になるが、数字に表れない犠牲や背景もある。数字だけで判断せず、その裏にあるものを見に行くようにしたい。
Posted by ブクログ
とても読みやすくわかりやすく、そしてためになった。
最近読んだイギリスの野鳥博物館の盗難事件のノンフィクションを読んでいるときもそうだったけれど世界史図説を引っ張り出してきてノートを取ってしまった。興味を持ったその先へつなぐ案内人として岩波ジュニア新書は最高。
歴史を学ぶと、本当になんというか列強のしてきたことというのは…となる。
Posted by ブクログ
パン作りを始めて気になっていた砂糖とは何なのか。
フランス人友達がマルティニクに旅行しラム酒をお土産に持って来てくれたのだけど、考えさせられてしまった。
イギリス人がお茶を飲む理由、ハイティーと労働者の着付けの友、カリブ海についての歴史が学べた。
軽すぎず重すぎず、読み応えのある本だった。
Posted by ブクログ
1. 「生活習慣」のルーツ:砂糖が現代の労働リズムを作った
最も関心を持たれていたのは、食文化が**「時間概念」**という目に見えない社会ルールに変容した点ですね。
エネルギー源としての砂糖: 砂糖入り紅茶が、産業革命を支える労働者の安価で手軽な「ガソリン」となったこと。
労働スタイルの変化: 以前の「晴耕雨読」のような自然に合わせた働き方から、砂糖の摂取によって「時間厳守(ワークスケジュール)」で動く近代的な労働スタイルへと人間が適応させられたこと。
日常への浸透: 私たちが当たり前に使っている「時間割り」や「スケジュール」の裏に、実は砂糖という物質が深く関わっていたという驚き。
2. 「世界の歪み」の起源:モノカルチャー経済と南北問題
一国の繁栄が他国の犠牲の上に成り立つという、現代の国際情勢の根っこについても深く認識されていました。
モノカルチャー経済の強制: イギリスの利益のために、植民地が「砂糖を作るだけの場所」に変えられてしまったこと。
構造的不平等の誕生: この植民地支配の仕組みが、自給自足の崩壊や経済的不安定を招き、今日の「南北問題」の直接的な発端となったこと。
3. 「普及の法則」:贅沢品から日常品へのダイナミズム
お茶やチョコレート、コーヒーといった他の嗜好品とも共通する、**「価値の変遷」**のパターンを見出されていました。
三段階の普及: 「薬」として珍重され、次に「貴族の贅沢品(ステータス)」となり、最終的に「庶民の日常品」へと降りてくるという歴史的プロセス。
イギリスの戦略: フランスやドイツとは異なる、植民地とセットにしたイギリス独自の「お茶文化」の定着戦略。
総括
あなたにとってこの本は、単に「砂糖の歴史」を知るためのものではなく、「私たちが今、なぜこのようなスケジュールで働き、なぜ世界には格差があるのか」という現代社会の謎を解き明かすための補助線となったのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
『モノをつうじて世界をみる』今の生活ではおなじみの砂糖について、成分についての解説ではなく育てる、つくる、消費するを切り口にした一冊。プランテーションのことや奴隷制度など授業で習うことを少し深く解説しています。
Posted by ブクログ
砂糖という世界商品を中心に世界史を紐解こうという本でした。
三角貿易、奴隷制度、プランテーション、ティーパーティ、産業革命といった、かつて列強と呼ばれたヨーロッパ諸国やアフリカ、南アメリカとの関係性を理解するためには非常に良い内容でした。
奴隷など少しげんなりする内容もありますが、砂糖を使った紅茶やコーヒー、チョコといった商品を提供する喫茶店が、人のネットワークを繋ぐ根底になっていたのは驚きでした。
産業革命以降は少しずつ下火に思えますが、砂糖というテーマでここまで面白く深掘りできるのか、と驚きでした。
Posted by ブクログ
歴史は変わらないけど、見方によって印象は大きく変わる。
"国"でなく"モノ"から見る世界。
砂糖が人の心を打ったのは希少性なのか、麻薬性なのか、はたまた国の発展のためなのか。
植民地の土地や労働に依存した糖は、薬として、嗜好品や朝食として形を変え人々の生活に侵食する。
ひとつなぎの歴史が個々の国のカルチャーを作っている。そう再認識できた。
Posted by ブクログ
世界史にあまり詳しくない自分でも、砂糖にスポットを当てながら歴史の流れを紐解くというアプローチはとてもわかりやすかった。
学生時代に学んだ歴史の授業もこんなふうに学べたらもっと頭に入ってきただろうし、面白いと思えたのでは?と思う。
Posted by ブクログ
歴史を年代の暗記ではなく、世界を「ヨコ(空間)」と「タテ(時間)」の構造で捉える、学校の授業では教えてくれないであろう本質を教えてくれる一冊。
「歴史を学ぶとは、いま私たちが生きている世界が、どのようにしてこんにちのような姿になってきたのかを考えること」(あとがき)
同時に、砂糖という「合法ドラッグ」が、人間の脳をハックして世界中をシャブ漬けにしてきたホラーな歴史でもあるなぁ…と思った。
たまたま重なった条件によって、誰かが搾取され、誰かが呑気に茶をしばく側になる。
高校生のとき、これが教科書だったら、もう少しマシな民度の大人をやれてた……かも笑
Posted by ブクログ
砂糖を通して歴史を紐解くのが面白かった。今でこそ安価でありふれた存在だが、かつては争奪戦を巻き起こし、中南米やアフリカの社会に対して現在に至るまで大きな影響を及ぼしていることが分かった。
Posted by ブクログ
世界商品である砂糖の歴史を辿ることを通して、奴隷貿易や植民地のモノカルチャー化、産業革命時の都市労働者の朝食となったこと、コーヒーハウスの広まり、ティーハウスで科学や文化の革新が進んだこと、などなど、世界中の出来事がつながって捉えられてとても面白い。著者が最後に、歴史は世界単位で、どう人々の生活に影響しあっているかを分析しながら研究することで、それぞれの人々に共感することができると述べている点が示唆的。
Posted by ブクログ
神聖な薬が台所に並ぶまでの人類狂想曲
砂糖の歴史を語ることは、奴隷の歴史を語ること、ヨーロッパの戦争を語ること、アメリカの歴史を語ること、産業革命以後の近代化した生活を語ること。
ファストフード店でこの本を読んでいる時、本から目線を落とすと、そこにはコーヒーの入ったカップと横たわる白い紙製の筒がありました。無論それはスティックシュガーの包み紙であって、『砂糖の世界史』なんて本を読みながら、ごく自然に砂糖いりコーヒーを口に運んでいるわけです。普段なら何気ない日常の行為が、なんだか世界を揺るがすほどの強欲な行為に思えてくるような、おもしろい読書体験になりました。日常に対して「これは当たり前じゃないのかも」という視点を与えてくれる本は、いい本です。ちなみにコーヒーも砂糖同様、プランテーションで大量生産され世界中に伝播した嗜好品であって、今では当たり前のこのコンビが、歴史上重要な出会いだったという発見もありました。
好みもありますが、人という生き物は甘い物にひきつけられます。その魔力の強烈さは飽食の現代においては”健康の敵”とされるほどですが、遠い昔の原始時代、人類が弱肉強食の世界をサバイブするためには、カロリー摂取が命綱だったわけです。生きるエネルギーの源として糖分を欲するようになり、ながいながい人類の歴史のなかで甘い物を摂取したいという欲求が本能に刻まれたという説があります。
砂糖の原料・サトウキビの発祥はニューギニアあたりからインドにわたり、東南アジアへ広がったと言われています(この本ではインド説を取っています)。その後ペルシャ、地中海へ伝わり、ヨーロッパの知るところになったとのこと。糖分によるエネルギー補給という側面から最初は薬として珍重されたほか、砂糖の純白さが高潔で神秘的だったことから、宗教的な甘露として人々を強く惹きつけたとこの本は教えます。
中世ヨーロッパにおいて砂糖は貴族や上級階級民だけの薬品、飾りもの、食品、ステータスシンボルだったのが、17世紀に普及した茶やコーヒーとドッキングすることで、イギリスの紅茶文化のおこりとともに爆発的に波及した。イギリスでは葉っぱ一枚とれないにも関わらず、紅茶といえば英国となったという珍奇な現象もこれが起因だそうで。そもそも紅茶に砂糖を入れる行為が、高級品に高級品を掛け合わせるというイギリス成金たちの単なるお戯れだったとは驚きです。そうか、中国茶には砂糖なんていれないもんなと納得しました。17世紀イギリスのコーヒーハウスやフランスのカフェには科学、経済、文学、政治などの情報が集中し、そこから現在でも続く大企業や組織、サロン、政党などが生まれたという、文化への影響もけして軽視できません。
砂糖という世界的な重要がある商品を大量に供給するために生まれた「三角貿易」にも分かりやすく触れています。ヨーロッパ列強国は新大陸アメリカに砂糖、コーヒー、カカオなどの大規模農場を開き、収穫した作物で莫大な利益を上げます。その農場ではアフリカから買った大量の奴隷を働かせます。アフリカの奴隷商人へは代わりに武器や工業製品を送ったという、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを結ぶ三角形の人や物の流れが三角貿易です。資本力をもったヨーロッパ人、強制的に農業に従事させられた奴隷、ヨーロッパからアメリカに移住し奴隷をつかった白人、さまざまな人間模様があります。人類の非人道で残酷な一面でしょう。この本では語られませんが、アメリカ大陸の歴史においてはヨーロッパからの侵略による先住民の迫害という側面もあります。アメリカというまだ誰の手もついてない大きな可能性を秘めた大陸にむらがるヨーロッパの強欲さたるや、、、
また産業革命も、砂糖の舞台が成金のステータスから一般家庭の卓上へと移る大きな理由であったとのこと。昔は農家も大工も料理人も、ぜんぶ自分だったものが、産業革命以降は効率が求められ、それぞれが家のそとに仕事を持ち、分業化され効率化されたという今の働き方のスタイルができたのです。働き方だけでなく栄養の取り方、時間の管理もそれまでとは変わってしまいました。それが砂糖入りの紅茶とオートミールという、湯さえ沸かせば味はともかく簡単にカロリーがとれて労働に励めるという、悪名高いイギリス朝食がスタイル化する原因となったというのも驚きです。
今の世の中は三角貿易以上に複雑な国交が行われています。そのむかし島国として海に護られていた日本も、いま世界のなかでどう動くかが問われています。世界貿易が当たり前になって以降、世界各国の動きを勘定に入れないわけにいきません。日本のメーカーが、A国で採れた原料で、B国の工場で組み立てられたものを日本市場で売って、それをC国の観光客が爆買いするのが当たり前の光景なのです。
(余談:日本こそが世界のすべてであった頃、日本人が日本の外に他の国があるって知らなかった頃の感覚ってどんなだろう。私の友達のおばあちゃんは、合格した高知大学を蹴ってよりレベルの高い大学を目指すために浪人する孫を叱り飛ばしたらしい。高知から出たことがないおばあちゃんは高知大学こそがもっとも誉高い大学だと思っていて、それ以上に偏差値の高い大学を知らなかったのです)
また現在の日本への共通点で言うなら、食糧政策にもこの本は言及しています。ヨーロッパの穀物の値段が、農家のために値下がりを防いでいたのが、労働者にやすくカロリーを与えるために、今度は逆に値上がりを防ぐようになっていった事例を取り上げていて、生産者を守るか消費者を守るかという問題は今の日本のコメ問題ともぴったり重なります。
日本の物価高騰が現在、深刻な状況であることは身にしみて感じてはいますが、安さだけを追い求めるのではなく、財布と相談しながらもフェアトレード商品や農家直売など、そういったマーケットに触れてみることも大事だと思います。むずかしいことですけどね。
三角貿易もそうですが、人間の恐ろしいまでの欲深さにふれるたび、極端な意見ですが「”ぜいたくは敵”ってのは、一周まわって正しいかも」とか思っちゃいましたね。もっと贅沢したい、もっと豊かになりたいという一部の上級階級によって世界がかき回されてるような気持ち。人間という生き物の根本的な欲深さを、もっと自覚しなきゃいけないんじゃないか、そう思います。
Posted by ブクログ
砂糖という「世界商品」にスポットをあて、その生産から消費拡大までの歴史をグローバル視点で理解できる。
生産にはプランテーションにおける過酷な奴隷労働が欠かせず、しかしその一方ではイギリスの上流階級では砂糖がステータスとして消費されていた。
そして徐々に生産が拡大するにつれ大衆にも広まっていき、それらと同時に拡大したお茶と合わせて紅茶が嗜まれるようになった。
そんな砂糖の歴史が分かりやすく丁寧に説明されていて非常に勉強になったし、多くの黒人奴隷の犠牲のもとにいまの状況があると思うと感慨深い。
Posted by ブクログ
歴史を学ぶということは今私たちの生きている世界がどのようにしてこんにちの姿になってきたのかを身近なところから考えてみること。
世界史はとってなくて、その理由に名前や地名を覚えるのが苦手だからというのがあったが、もっと前にこの本に出会っていれば世界史をとっていただろうなと思う。
中高で習った用語がたくさん出てきて、当時は用語だけを覚えることを意識してたけれど内容も理解できて楽しかった。
Posted by ブクログ
点と点で覚えていた世界史が砂糖という一つのモノを通して見ることで線で繋がったような感覚になりました。
国ごとや年代ごとだけで歴史を見るのではなく、こうしてモノを通して見ることも大切なのだと感じ、もっと歴史について学びたいと思いました。
Posted by ブクログ
世界商品(世界で広く流通している)の砂糖から見るヨーロッパ(主にイギリス)の近代史。自国のために、砂糖のプランテーションを作り、奴隷を買う。元々は貴族しか口にできなかったものが、歴史と共に庶民も口にするようになる。砂糖を作ることができないイギリスがなぜこんなに砂糖を欲しがったのか、その背景と共に学ぶことができて面白かった。
Posted by ブクログ
砂糖を軸に世界史を。分かりやすく、世界の変遷を描いていた。コーヒーハウスのくだりがおもしろかった。砂糖と紅茶は、贅沢と贅沢のかけあわせなどもおろしろかった。
Posted by ブクログ
ちょっと話題になっている気がしたので読みました。砂糖が文化と溶け込みながら、そして植民地支配、プランテーション、奴隷貿易とも結びつきながら広がってきた歴史を通して、世界情勢を俯瞰的に知ることができます。
こう言うのは本当に良書だな〜と思いつつ、やっぱり歴史の裏側的な要素もあるので、表を知っている人にとってはめちゃくちゃ面白いと思います。
僕の場合は、歴史は好きだけども、中学知識で止まっていて、歴史強者と言えるほどの知識量ではないので、なんとなく歴史の裏側を知った面白さの一方で、その頃世界はどんなふうに動いていたんだろうか・・・みたいなところがふわっとしていたので、多少は歴史の勉強をしながら読んだ方が良かったかもな〜と思います。
でも、こう言う感じの本は、色々と読み漁りたいなと思いました。